世界に通用するAIチップを日本から。そんなTAIの未来ビジョンに共鳴し、Tokyo Artisan Intelligence株式会社(以下:TAI)に参画したのが、エンジニアリングマネージャーのK.Wさんです。FPGA(書き換え可能なハードウェア)やASICといった半導体領域を専門とし、これまで15年以上にわたり、動画像処理やAIチップの設計・開発に携わってきたハードウェアのエキスパート。現在はTAIにて、技術リードからマネジメントまで幅広い領域を担っています。今回はそんなK.Wさんのキャリアと、TAIでの仕事について深掘りしました。
プロフィール
エンジニアリングマネージャー
・2004年 大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科 卒業
・2009年 大阪大学大学院情報科学研究科 博士後期課程 修了
・2009年 株式会社シンセシス(現 株式会社ソリトンシステムズ) 入社
└動画像コーデックIPの開発をリード
・2014年 株式会社フィックスターズ 入社
└自社ストレージ製品の開発に携わる
・2017年 株式会社ドワンゴ 入社
└動画像コーデックIPの開発をリード
・2019年 LeapMind株式会社 入社
└ディープラーニング推論エンジンの開発をリード
・2024年 Tokyo Artisan Intelligence株式会社 入社
└AI処理エンジン、AIチップ開発をリード
趣味は将棋・囲碁。休日は動画を観たり公園を散歩したりしてリフレッシュしている。
Q1. 現在の主な業務や注力領域について教えてください
私はAI処理エンジンの開発において、マネジメントからアーキテクチャ検討、技術リードまで幅広い役割を担っています。特に力を入れているのは、FPGAを活用したAI処理システムの開発で、海外の協力企業と連携しながら、高性能かつ低消費電力のシステムとして顧客へ提供することを目指しています。
現在進行中なのは、海外の企業と共同開発した試作FPGAボードをベースにした製品化プロジェクト(※)です。今後の商品化を目指し改良を重ねており、この開発に私自身も深く関わっています。また、将来的にはより効率的で高速なAI処理を実現する新しいAIチップの研究開発にも取り組んでいます。ハードウェアとソフトウェアの両面から最適なソリューションを追求することで、エッジAIの可能性を広げることが私のミッションです。
AI処理は日々進化しており、競争も激しい分野です。だからこそ、技術的なキャッチアップだけでなく、どの市場にどう投入するかというビジネス視点も常に持つよう心がけています。その両面を意識しながら、チームをリードするのが自分の役割だと考えています。
※独自開発のエッジAI用FPGAボードに関するプレスリリースはこちら
Q2. TAIに入社されたきっかけは何でしたか?
前職の会社の都合で、新たなキャリアを探していた時期に、FPGA関連の勉強会で中原さん(CEO,CTO)と出会ったのがきっかけでした。懇親会で直接お話しする中で、TAIが「本物のプロダクト」を作り、それをビジネスとして成立させていることを知り、大きな衝撃を受けました。
AI業界ではPoC(概念実証)で終わるプロジェクトが多い中、TAIは実際に動く製品を作り、社会に価値を届けています。その姿勢に深く共感し、自分も「技術を形にし、社会に貢献するものづくり」に携わりたいと思い、入社を決意しました。
実際に入社してみて、想像以上に技術に真剣に向き合う会社であることを実感しています。経営陣も現場の課題を理解し、積極的に議論に加わってくれる環境は、エンジニアとして非常に働きがいがあります。挑戦することが当たり前の風土があり、常に自分を成長させてくれる職場です。
Q3. これまでのキャリアは、現在の業務にどう活かされていますか?
動画像コーデックのハードウェア実装からスタートし、大規模回路設計やAI処理エンジン開発に至るまで約15年以上、この世界に携わってきました。動画像処理もAI処理も、大量データを高速に処理する点で共通していて、限られたリソースでパフォーマンスを最大化するアーキテクチャ設計の知識は、FPGAベースのAI処理システムにそのまま活かされています。
また、前職で海外出身メンバーと協働し、日常的に英語で技術議論をしていた経験は、現在の海外パートナーとの開発に非常に役立っています。さらに、ディープラーニング推論エンジンの開発経験は、エッジAIチップ開発における軽量化手法や効率化の検討に直結しています。
TAIでの仕事を通じて、IP開発だけでなく、ボード開発からチップ開発へと業務範囲が広がり、システム全体を俯瞰する力やレイヤー間のトレードオフを考慮した意思決定力が磨かれていると感じています。技術だけでなく、どの技術をどう使って市場価値を生むかを考える視点がより強くなりました。これまでの経験がすべてつながっていると感じられるのは、大きなやりがいです。
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▲FPGA搭載ボード
Q4. TAIの社風や、チームの雰囲気はどのように感じていますか?
TAIは非常にフラットで自由度の高い組織です。エンジニア一人ひとりが最もパフォーマンスを発揮できる環境を、自分で選択できる文化が根付いています。フルリモート・フルフレックスで働けるのはもちろん、出社しての仕事も可能で、各自の働き方が尊重されます。
特に心理的安全性が高いのが魅力です。役職に関係なく意見を言い合える空気があり、失敗を恐れずに技術的な議論ができます。週1回の合同ミーティングや個別の1on1、Slackを使った日常のやり取りなど、コミュニケーション手段も豊富でスピーディーです。この環境だからこそ、入社したばかりのメンバーも安心して挑戦し続けられていると感じています。
私自身、TAIに来て最も良かったと思うのは、全員が「もっと良いものを作りたい」という同じ方向を向いているところです。無理に上を立てることもなく、誰の意見であれ「良いものを採用する」という文化が浸透しています。この文化がチームを強くしていると感じています。
Q5. 技術面でのチーム運営や、コミュニケーションで工夫している点はありますか?
私が大切にしているのは「透明性の高い開発プロセス」です。仕様検討段階ではDesign Docを作成しレビューを行います。特に大規模な機能開発の際は、モジュール単位で詳細な仕様書を用意し、開発を依頼します。
またGitHubのPull Requestを活用し、すべてのコードがレビューを経てマージされる体制を徹底。品質を保ちつつ、チーム全体でコードへの理解を深められる仕組みです。問題が起きてもPR単位で巻き戻せるので、迅速な対応が可能です。
Slackでは日常的に技術的な疑問や進捗を共有し、解決が難しい場合はWeb会議で画面共有をしながら議論するなど、柔軟に対応しています。リモート環境下でもチーム全員が方向性を共有できるよう、ドキュメントとリアルタイムコミュニケーションを使い分けることを心がけています。特に、後から振り返りやすいよう議事録を残し、ナレッジを共有する仕組み作りにも注力しています。
Q6. 今後挑戦したいことや、入社を考える方へのメッセージをお願いします
今後は、TAIが取り組むAIチップ開発に全力で挑戦したいと考えています。これまで私は回路設計を中心に経験を積んできましたが、チップの製造や販売といった領域は未経験です。だからこそ、これまでの知見を活かしてエッジ向けの革新的なソリューションを形にし、短時間での商品化を目指したいと思っています。
エッジAIの現場では、推論性能だけでなく、設置性・運用性・継続性も求められます。今回採用したFPGAにより、低消費電力と産業用途に不可欠なリアルタイム処理の両立を実現。ハードとソフトを統合した開発により、現場で本当に使えるAIを実現できたと実感しています。
TAIは急成長中のスタートアップで、会社とともに成長したいエンジニアにとって最適な環境です。大切なのは、自ら考え、提案し、主体的に動けること。「どうすればいい?」ではなく、「こうしてみたら?」と言える方と、一緒に挑戦したいですね。
PoCで終わらない“本物のものづくり”に関われるのもTAIの魅力で、海外パートナーとの協業もあり、グローバルな視点で成長できる環境もあります。
高い技術力や英語力があれば強みになりますが、何より大切なのは挑戦を楽しめる姿勢です。「世界に通用するAIチップを日本から」という情熱を持つ方と、新たな価値を生み出していきたいと思っています。
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TAIでなら、自分の技術力と情熱を存分に発揮できるはずです!ぜひ一緒にチャレンジしましょう。