注目のストーリー
まちづくり
人と、地域と、つながりながら 私だけの行き先へ
「こんにちは、初めてのご利用ですか?」。木目が温かな雰囲気の店内から、明るい声が聞こえる。笑顔でお客さまに話しかけるのは、高山咲さん。2023年3月に出身地の愛媛県にUターンし、北宇和郡松野町の目黒集落で株式会社サン・クレアが運営する「森とパン」で働いている。一度は地元を離れ、憧れた東京へ高山さんは専門学校を卒業後、洋服の販売員として約1年間愛媛県内で働き、22才のときに上京した。「洋服がすごく好きだったので、東京が一番いろいろなことを吸収できるところかなって思っていたんです。田舎育ちだったので、単純に東京への憧れもありました」東京で働いていた頃の高山さん渋谷、代官山、横浜などで店頭に立...
私たちだからこそ挑める 「あめつちの心」を伝える使命(下)
<前の記事はこちら↓>企業はまるで土のよう 一人一人が秘めた力に期待「カンパニー」を成す人たちに、細羽さんがもう一つ求めているものがある。はっきりと答えられる、自分が果たしたい「使命」だ。誰にでもきっとある、好きなことや極めたいこと。変えていきたいものや、新たに作り出したいもの。強い思いを持って何かを追いかけ続ける人が秘める力に、細羽さんは期待している。「僕がスタッフをサポートするというのはおこがましいけれど、力が発揮できるような環境を整えたいと思っています。その人が本来十分なパフォーマンスを持っていることを前提に、余計なものが入らないようにする。僕は自然栽培で野菜やお米を作っていますが...
私たちだからこそ挑める 「あめつちの心」を伝える使命(上)
自然の循環のように、いつまでも続く強い「カンパニー」を目指して「この森にあそび、この森に学びて、あめつちの心に近づかむ」。愛媛県北宇和郡松野町には、こう刻まれた石碑が残されている。初代町長・岡田倉太郎氏が書き残した言葉だ。松野町は人口約3800人の、愛媛県で最も小さな町。ひとときも途切れることがない川の音。季節によってさまざまな表情を見せる緑。町土の約84%を森林が占める「森の国」には、人々の生活を包み込むような自然がある。コロナ禍で変化した人間社会のとらえ方株式会社サン・クレアのCEO・細羽雅之さんがこの町にやって来たのは、2019年のこと。松野町目黒集落にある「森の国ホテル」の再建を...
「ここだけの青」を探したい ホテル×農×ものづくり
愛媛県松山市から車で約2時間。市街地を抜けて山道を行くと、窓から温かな明かりがこぼれる建物が現れる。国立公園にも指定されている滑床渓谷に建つホテル、水際のロッジだ。朝は藍染め、昼からはホテルへ清水裕太さんは、このホテルで働きながらホテル近くの目黒の集落で藍染めを行っている。例えば春は朝起きたら蓼藍(たであい)の苗に水をやり、藍染めの準備をする。午後からは水際のロッジに出勤し、フロントに立つというのが1日のスケジュールだ。「藍染めは会社の仕事でもあり、自分がやりたいことでもあります」。ホテルで働きながら、この地域で叶えられる自分の「好き」を追い求めている。藍染めは「畑と服をつなぐもの」清水...
いつか分かる「おまもり」を君に この森でできること
国立公園にも指定されている、愛媛県北宇和郡松野町の滑床渓谷。この森で、2021年の夏から子どもを対象にした野外教育キャンプ「NAME CAMP(なめキャンプ)」が行われている。キャンプを設計するのは、前川真生子さん。株式会社サン・クレアが運営する水際のロッジでフロント業務に携わりながら、キャンプディレクターとして働いている。「楽しいだけではなくて、キャンプを通して自然の心地よさや怖さを感じてもらえるようなプログラムを設計しています。“いろいろな経験をしてもらう”というよりは、他の子どもたちや多様な人との共同生活を経て、子どもたちが自分自身のことを考えるきっかけになったらいいなと思っていま...
守るために変わる。ビジネスホテルから「街のコンシェルジュ」へ
コンパクトな客室に、必要最低限のアメニティ。チェックイン、チェックアウトはとにかくスムーズに。そんなビジネスホテルのイメージを、がらりと変えようとしている人たちがいる。愛媛県宇和島市にある宇和島オリエンタルホテルのゼネラルマネージャー・福島徹さんと支配人・松田優さんだ。福島さん(左)と松田さん(右)「ここでできること」に期待 入社のきっかけ福島さんは、宇和島オリエンタルホテルを運営する株式会社サン・クレアに2006年に入社。入社前は高校で進路相談員として働いていたが、同級生の父親が働いていた縁で宇和島オリエンタルホテルに勤め始めた。「もともとコミュニケーションはあまり得意ではなかったので...