【ファイターズ スポーツ&エンターテイメント×SQUEEZE 特別対談】tower eleven hotel、挑戦の2年間
2023年3月、北海道北広島市に誕生したエスコンフィールドHOKKAIDO(以下エスコンフィールド)そのスタジアム内に位置する「tower eleven hotel」は、“世界初、球場一体型ホテル”というユニークなコンセプトで注目を集めてきました。
開業から2年、野球観戦とホテルステイの融合という新たな体験を生み出してきたこのホテル。今回はその裏側を支えてきた、株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント (以下、ファイターズ)・エリア開発部の野澤さんと、ホテル運営を担う株式会社SQUEEZE (以下、SQUEEZE) ・デジタルオペレーション部の中田さんのお二人に、2年間の歩みや取り組みの裏側、そしてこれからの展望についてお話を伺いました。
【プロフィール】
・野澤寛之(のざわ ひろゆき)
株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント エリア開発部 。ゼネコンでの現場監督、星野リゾートでのサービス、施設運営やマネジメント経験を経て、ファイターズへ入社。TOWER 11を含むFビレッジのエリア開発を担う 。
・中田聡喜(なかた さとき)
株式会社SQUEEZE デジタルオペレーション部 部長。tower eleven hotelの開業準備段階からプロジェクトに参画し、現在はSQUEEZEが運営する複数のホテルを統括。
※施設名称について
■ TOWER 11(タワーイレブン)
エスコンフィールド外野エリアに隣接した建物全体の名称。ホテル、サウナ・温浴、飲食店など複数の機能を備えた複合施設。
※「TOWER 11」は、複合機能を内包した建物全体を指す言葉です。
📍HP:https://www.hkdballpark.com/map/tower11/
■ tower eleven hotel(タワーイレブンホテル)
TOWER 11内にある宿泊施設のブランド名称。SQUEEZEが運営し、スマートチェックインなど最新技術を導入した次世代型ホテル。
※「tower eleven hotel」は、ホテルを指すブランド名称です。
📍HP:https://staytuned.asia/ja/brands/towereleven/hotels/towerelevenhotel
それぞれのキャリアと、TOWER 11プロジェクトとの出会い
ーまずは、皆さんのこれまでのキャリアと、TOWER 11プロジェクトに関わることになった経緯からお聞かせください。
野澤: 私は、大学で建築を学び、ゼネコンで10年ほど現場監督をしていました 。現場監督として、工事の進捗管理や安全管理などを行う中で、1級建築士の資格も取得しました 。その後、星野リゾートで軽井沢や白老などの施設開発やサービス・マネジメント全般に従事していました。北海道に拠点を移すタイミングで、ファイターズがFビレッジという壮大なプロジェクトを進めていることを知り、これは面白そうだと思い、思い切って転職を決意しました 。 ファイターズでは、エリア開発部という部署で、TOWER 11 を含むFビレッジ全体の開発を担当しています 。
中田:私は2021年にSQUEEZEに入社し、複数のエリアで施設運営のマネージャーを経験したのち、北海道に赴任しました。2022年7月頃からtower eleven hotelの開業準備に携わり、現在はホテルの運営全体を統括する役割を担っています。プロジェクトの初期から現場に入り、運営の体制構築や改善にも取り組んできました。
左より野澤氏、中田氏
開業2年を迎え、tower eleven hotel の現在地
ーtower eleven hotel は、今年開業2周年を迎えました。改めて、この2年間を振り返ってみていかがですか?
野澤: Fビレッジ全体として、年間で400万人以上もの方が訪れるボールパークに成長したことは、本当に素晴らしいことだと感じています。
その中で、TOWER 11も多くのお客様にご利用いただいており、私たちとしても大きな手応えを感じています。Fビレッジ 、エスコンフィールドは、単なる野球場ではなく様々なエンターテイメントが楽しめるボールパークとして、多くのファンの方々に愛されています。TOWER 11もその一翼を担う施設として、多くのお客様に利用していただけていることは本当に光栄です。
参照:https://www.hkdballpark.com/news/600/
中田:Fビレッジを通して、多くのお客様に楽しんでいただけていることを実感しています。Fビレッジ全体の来場者数も伸び、ホテルの稼働率も上がりました 。これは、多くのお客様にホテルを楽しんでいただく、利用していただくというテーマを掲げて運営してきた結果だと思います。
ー特に印象に残っている出来事はありますか?
中田:やはり、開業して最初に迎えた開幕戦の盛り上がりですね。エスコンフィールド全体が熱気に包まれていて、ファンの皆さんの期待と興奮が最高潮に達していたのを今でも鮮明に覚えています。tower eleven hotelにも多くのお客様が宿泊され、まさに「ここでしか味わえない体験」を提供できたと思っています。あの空気感は、本当に忘れられません。
野澤:私も入社直後に2年目の開幕戦を体感しましたが、ここは世界中どこにも負けない魅力的な空間だというのが確信に変わった瞬間でした。
開業当初を振り返って──試行錯誤の先に見えた景色
―TOWER 11の開業準備から携わってこられた中田さん。ここまでを振り返ってみて、印象的だったことはありますか?
中田:開業当初は、試行錯誤の連続でした。
「世界がまだ見ぬボールパーク」は運営する側もまだ見ぬ世界でした。初めてのことが大半ななかオペレーションも不確定要素が多く、たくさんのご意見をいただきました。パフォーマンススコア(※口コミやアンケートの平均スコア)も7点台で、決して高評価とは言えない状況でした。
2023年9月、bokking.com口コミ評価参照
野澤:私は開業から1年ほど経ってからこのプロジェクトに加わったんですが、当時すでにスタッフの皆さんが、課題に一つひとつ丁寧に向き合ってきたんだなというのはすごく感じました。施設のオペレーションもかなり洗練されていて、「これは相当試行錯誤してきたんだな」と。
中田:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。現場のスタッフとは分からないながらも毎日のように改善案、アイデアを積極的に出し合って、どうすればもっと良くできるかを話し合っていました。たとえば館内案内がわかりづらいという声に対してサインを増やしたり、アルコールがほしいという声にアルコール自販機を導入したり。オフシーズンは雪の日でもスムーズにホテルに来ることができるようにロードヒーティングを導入したり。細かいところでいうと女性ゲストが温浴後に人目を気にせず部屋に戻れるよう裏導線を活用する工夫や、サウナ前にメガネ置きを増設したりちょっとした改善も多く実施しました。
館内案内/裏導線を活用
野澤:そのあたりの対応スピードや、現場からの声をすぐに反映する柔軟さには、本当に驚かされました。私もホテル業界の出身なのでわかるんですが、こうした細やかな改善を積み重ねるのって、実はすごく難しいんですよね。しかも、それをチーム全体でやり続けていることが、素晴らしいです。
中田:ありがとうございます。開業当初から多くのゲストの方から様々なご意見やリクエストをいただきました。初めは足りないところばかりだったのですが、一つ一つスタッフ全員でアイデアを出し合って改善してきました。おかげさまで今ではホテルはパフォーマンススコアも9点台になり、
2025年4月、bokking.com口コミ参照
温泉サウナは2023年に、SAUNACHELIN(サウナシュラン)2023
にも選んでいただきました。あの瞬間は、本当に嬉しかったですね。チーム全員の努力が報われた、象徴的な出来事でした。
SAUNACHELIN(サウナシュラン)2023
https://saunachelin.com/archive/2023/facility/sp.php
―SQUEEZEとファイターズのパートナーシップも、強固なものに進化していきていますね
中田: Fビレッジのコンセプトである「共同創造空間」が、実際に現場にも浸透していると強く感じています。ファイターズの皆さんが非常に寛容で、柔軟にご対応いただき、いろいろなことを承認してくださるおかげで、これまでの取り組みを実現できています。本当に感謝しています。
野澤:SQUEEZEさんとは、スピード感のある意思決定ができる点も本当にありがたいです。ファイターズとしてもまったく新しい施設、サービスを創り上げることは挑戦の連続ですが、柔軟に形を変えながらスピード感をもってプロジェクトを進められています。この関係性は非常に貴重だと感じています。
試合がない日も楽しいホテルへ。オフシーズンの挑戦
ーオフシーズンの集客は、ホテルにとって大きな課題の一つですが、どのような工夫をされていますか?
中田: 当初から試合のない日はゲストも楽しめる魅力が発信できておらず課題でした。1年目はホテルの稼働率も低く、2年目は全員でアイデアを出し合って、”試合のない中でもゲストに楽しんでいただくには”を考えました。試合のない日は何もないと思われがちなのですが、魅力あるコンテンツが多くあります。2年目は試合のない日の魅力多く発信し、温泉やサウナといった温浴施設の充実はもちろん、レストランで季節限定の特別メニューを提供したり、ホテル内でイベントを開催したりと、様々な取り組みを行い、試行錯誤を重ねています。
また、Fビレッジ全体で開催された「MOOMIN WINTER LAND」の影響も大きかったです。
https://www.hkdballpark.com/special/moomin2024/
ホテル内にもムーミンのぬいぐるみを設置したり、温浴施設でぬいぐるみを貸し出したりして、世界観を共有しました。
tower eleven onsen & saunaにて
試合がない日はウェルビーイングを重視するお客様が多い傾向にあります。そうしたニーズに応えるために、オフシーズン限定でウェルビープランを展開し、こちらも大変ご好評をいただきました。
https://event.hkdballpark.com/2024/winter/stay
野澤:Fビレッジ全体のコンテンツと連動した企画づくりも、非常に重要ですね。たとえば、近隣のスノーパークと連携した宿泊プランや、エリア内で開催されるイベントと組み合わせたプランなども検討しています。Fビレッジで過ごす”という体験価値を、ホテルとしてどう深められるか。今後も引き続き、チャレンジしていきたいですね。
ー 他に何か困難だったポイントなどはありますか。
中田: 特に難しかったのは“食事”の提供体制です。夕食をホテル内で完結できるかどうかは、滞在評価にも直結します。飲食店の営業時間や選択肢が限られていたことで、お客様の満足度を思うように上げきれなかった部分もありましたが、TruffleBAKERY BAKERY & RESTAURANT と連携し、 スペシャル朝食を出したりしています。今年はサウナ施設の軽食の拡充や球場内レストランとの連携など、改善に取り組んでいます。
https://www.hkdballpark.com/news/253/
野澤: 冬季にはFビレッジの一部店舗が休業することもあって、ホテル滞在だけでどれだけ満足してもらえるかが課題でした。でもそれは逆に言えば、まだまだ“伸びしろがある”とも言えると思っています。
──SQUEEZEは tower eleven hotel の運営において、さまざまな新しい試みに挑戦されているそうですね。具体的にはどのようなことを実践されているのでしょうか?
中田:施設の運営だけではなく、テクノロジーを持ったSQUEEZEならではの取り組みもさせていただいています。サウナではQRコードによるチェックインを開発し運用するなど、SQUEEZEの強みを活用したスマートな運営を積極的に取り入れています。お客様がよりスムーズに、ストレスなく滞在できるよう、システム面からも工夫を重ねています。
tower eleven onsen & sauna QRコードチェックインの様子
──野澤さんは、SQUEEZEによるホテル運営について、どのように感じていますか?
野澤:一番驚いたのは、チェックインの速さですね。前職では「チェックイン=おもてなしの入り口」としており、お客様1組に対して1時間つきっきりでチェックインを行うこともありましたが、SQUEEZEでは、お客様が望めば最小限の手間でお部屋に入れる仕組みが整っています。必ずしも時間をかけることだけが正解ではなく、高価格帯のサービスにおいてもチェックインはよりスマートでスムーズな流れを重視し、それ以外の接点でホスピタリティを発揮できるということは、新たな発見でした。
中田: そう言っていただけて良かったです。私たちは社内で「Ai powered but warmer hospitality 」と掲げたりしていますが、SQUEEZEならではのテクノロジーでスマートで効率的なオペレーションを推進することと、お客様への温かいホスピタリティを両立したい、両立できると考えています。tower eleven hotel でしか味わえない特別な体験をしていただくためにも、無駄を省きデジタルの力を活用しつつ、スタッフには、お客様に最高の思い出を作っていただくための「旅マエ、旅ナカ、旅アト」すべてにおいてサポートができる時間を増やせればと思っています。
まちとともに、進化するホテルへ。これからの展望
──TOWER 11 の今後について、お二人が描く展望や、さらに挑戦していきたいことを教えてください。
中田: これから目指していきたいのは、“Fビレッジ全体を楽しむための拠点”としてのホテルの在り方です。試合がある日はもちろん、ない日でもFビレッジには魅力がたくさんあります。滞在そのものが目的になるような滞在体験をつくっていきたいと考えています。そして今後も、ファイターズさんと一緒に、滞在価値を高めるさまざまなアクティビティを企画していく予定です。Fビレッジという空間全体をより多くの方に楽しんでいただけるよう、ホテルとしても積極的にその魅力を発信していきたいです。
現状に満足しているわけではありません。ここまで歩んでこられたのは、日々の改善を地道に積み重ねてきたスタッフ全員のオペレーションチームの努力があってこそです。だからこそ、これからが本当の勝負です。3年目を迎える今、これからもゲストの声に真摯に耳を傾け、改善し続けるチームでありたいと思っています。
野澤:Fビレッジは、もはや「球場」だけではありません。これからは、“街”としての機能をさらに拡張していくフェーズに入ります。2028年には新駅も開業予定で、今以上にアクセスしやすくなり、日常的に人が行き交う場所になっていく。そうなったとき、Fビレッジという枠を超えて、“まちの中の生活インフラ”としての役割も担っていくと考えています。
ホテル単体で価値を高めるだけでなく、Fビレッジ全体のコンテンツと連動した企画をつくり、地域の方々にとっても愛される存在になること。そして、北広島という地域全体の魅力向上や活性化に貢献していくことが、私たちに求められている役割だと思っています。これからも、ホテルの常識にとらわれない挑戦を続けていきたいですね。
──この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
中田:私たちは、Fビレッジ、そして観光産業全体をもっと盛り上げたいという強い想いを持っています。tower eleven hotelでは、“共同創造空間”というコンセプトのもと、ポジションや経験に関係なく、誰もが主役として活躍できる環境があります。実際に、ここからアルバイトクルーとしてスタートし、リーダーやマネージャーへとキャリアアップしたスタッフもいます。SQUEEZE全体でも、20名以上が同じように成長を実現してきました。
私たちのチームの強みは、変化を前向きに捉え、既成概念にとらわれず挑戦し続けること。仲間とともに考え、動き、改善を重ねることで、自分自身も大きく成長できる場所です。北広島から、日本全国へ。
この場所だからこそ届けられる、心に残る滞在体験や感動の瞬間を、一緒に創っていきましょう!お客様はもちろん、事業パートナーの皆さまや働くことに興味をお持ちのクルーの皆さん、是非、tower eleven hotelそしてFビレッジに足を運んでもらえたら嬉しいです。
野澤:ファイターズの魅力は、何といってもファンの皆さんと喜びを分かち合えることです。そして、Fビレッジという他にはないフィールドで、日々新しいことに挑戦できるのも、大きなやりがいです。
お客様を笑顔にすることに喜びを感じられる方、仲間と協力しながら挑戦を楽しめる方、一緒に、Fビレッジを、そして北海道をもっと盛り上げていきましょう!
SQUEEZEでは、事業拡大につき、積極採用中!
「地元北海道でチャレンジしたい!」そんな思いをお持ちの方、
少しでもご興味がある方は、お気軽にご連絡ください!
(カジュアル面談も大歓迎です)