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2024年5月、先端技術の人材・組織開発支援を手掛ける株式会社スキルアップNeXt(以下スキルアップNeXt)と、AIモデルや機械学習システムの開発を行う株式会社KICONIA WORKS(以下KICONIA WORKS)は、資本業務提携を発表しました。
2020年頃から業務提携を行い、協力関係を築いてきた両社が、なぜこのタイミングで本格的に手を結ぶことになったのか。提携に至るまでの経緯、互いの組織に対する印象、そして両社の融合によって描かれる未来の展望とは——。
本記事では、2025年6月4日にスキルアップNeXt本社で開催された全社会での、KICONIA WORKS代表・書上(しょがみ)拓郎さんと、スキルアップNeXt取締役・伊澤智也による対談の模様をお届けします。
個の力のKICONIA WORKS、組織力のスキルアップNeXt
KICONIA WORKSができるまで
—本日は、5月に発表されたKICONIA WORKSさんとの資本業務提携について、書上さんご自身のキャリアや会社のカルチャー、提携に至るまでの経緯、そして今後の展望についてお伺いします。
KICONIA WORKS代表の書上氏は、スキルアップAIの講師としても活躍
—まずは、書上さんご自身のご経歴と、KICONIA WORKSのご紹介をお願いします。
書上: 改めまして、KICONIA WORKS代表の書上です。AI関連の業務に携わっていることから、「情報系や理系の出身ですか?」とよく聞かれますが、実は商学部の出身です。
新卒ではテーマパーク運営会社に入社し、グッズ制作などを担当しました。その後はコンサルティング会社を経て、フィンテック企業に転職。そこで伊澤さんと約2年ほど同僚でした。
その後、アメリカ・ラスベガスに渡り、現地でカジノマシンの製造・販売を手がけた経験もあります。帰国後は上場企業で社長秘書を務めたのち、AI開発企業に入社しました。
ーAIとの出会いは、そのIT企業でだったのでしょうか?
書上: そこで初めてAI開発に触れ、その可能性に衝撃を受けました。当時僕が従事していたコンサルティングや営業、マーケティングの業務は、将来的にAIによって代替されていくと強く感じました。それならば、AIを活用して新たな価値を創出する側に回ろうと決意したのが、2014〜15年頃です。
同時に、AI EXPOなどのイベントを通じて情報収集を進める中で、実際にAI導入で困っているのは中小企業であることに気づきました。大企業は、既存事業の成長にAIを活用していますが、多くの中小企業は、人手不足や技術力の不足といった、より深刻な課題を抱えています。私たちであれば、そうした企業に対して、適正な価格で価値のあるAI開発支援を提供できるのではないか。そんな思いから立ち上げたのが、KICONIA WORKSです。
書上氏と伊澤はフィンテック企業で同僚だった頃から10年来の付き合い
プロフェッショナルに大きな裁量を与えるカルチャー
ーKICONIA WORKSさんのカルチャーはユニークだと伺っています。どのような価値観を大切にされているのでしょうか?
書上: KICONIA WORKSは、僕はよく「アベンジャーズのような組織」だと表現しています。各分野におけるスペシャリストが集まっていて、それぞれが他社に行っても第一線で活躍できるような人材ばかりです。そうしたヒーローたちが、仕事のスタイルや価値観のフィット感で自然と集まっている。そのため、僕たちは自社のことを「会社」ではなく「組織」や「チーム」と呼んでいます。
全員がプロフェッショナルとしての自律を前提にしており、業務時間や働く場所、タスクの進め方などは個人の裁量に委ねています。報酬に関しても、本人が自分で設定するスタイルを採用しています。ただしプロフェッショナルとして、一度上げた給与を後から下げることは認めていません 。そのため、皆慎重になり、自ら昇給を申し出ることはほとんどないのが実情です 。結果として、僕から「この方の給与は上げた方がよいのでは」と提案することが多いですね 。
伊澤: KICONIA WORKSさんのカルチャーのユニークさは、僕もオフィスに伺うたびに、強く感じます。かつて僕が在籍していた、リクルートのデータサイエンスチームの立ち上げ時に近い、フラットで自律的な雰囲気があります。また、全社員で経営会議を行っているのも印象的です。
書上: はい。経営に関する議論には、役職や入社時期に関係なく全員が参加しています。先日も、7月に入社予定のメンバーが積極的に意見を出してくれて、「この方を採用してよかった」と感じました。
ー書上さんから見て、スキルアップNeXtはどんな会社だと感じていますか?
書上:KICONIA WORKSとは 対照的な魅力を持つ会社だと感じています。スキルアップNeXtさんは、チーム全体で動く力が強く、組織としての持続性と安定感があります。
私たちは職人型の組織で、各自の専門性に依存しているため、誰かが欠けるとプロジェクトが成立しにくくなるリスクも抱えています。一方、スキルアップNeXtさんは、業務の標準化やオペレーション整備がしっかりされていて、誰かが抜けてもチームでカバーできる体制が整っている。その点は羨ましく、尊敬しています。
長年の信頼とリスペクトが生んだ異例のスピード提携
組織開発とAI開発の提供価値が重なった
ー今回の資本業務提携ですが、スキルアップNeXtとしてはいつ頃から構想があったのでしょうか?
伊澤: 構想自体は2年ほど前から持っていましたが、体制が整った2024年10月から検討を本格化しました。私たちはもともと、個人向けのスクール事業からスタートしましたが、次第に法人のお客様から組織開発や人材育成に関するご相談をいただくようになり、事業領域を拡大してきました。
企業のAI活用レベルが進化する中で、より大きな価値を提供するためには何が必要か考えた時、「開発」の領域が重要なテーマとして浮かび上がりました。戦略策定からAI開発までを一貫して支援できる体制を整えるには、自社だけでは時間がかかってしまう。そこで、信頼できるパートナーとの連携が最善だと判断しました。
ーその際、真っ先にKICONIA WORKSさんの名前が挙がったと伺いましたが、どうしてですか?
伊澤: 一番の理由は、代表の書上さんに対する信頼です。以前一緒に働いていた頃から、頭の回転が速く、やるべきことを確実にやり遂げる方だと感じていました。独立後も継続して活躍されており、人としてもビジネスパーソンとしても、尊敬できる存在でした。
加えて、日熊さんをはじめ、技術力の高いメンバーが揃っていることも大きかったです。技術が好きで、新しいことに挑戦するマインドを持った方が多く、そうした組織は希少だと感じ、最初にお声がけしました。
ー書上さんは、そのお話を聞いた時、どのように感じましたか?
書上: 実は、会う前から「おそらく、そういう話ではないか」と思っていました。というのも、ちょうど1ヶ月ほど前に、僕が尊敬する経営者の方と相談をしていたら、ちょうど資本戦略の話になり、資本業務提携は、自分たちのやりたいことを持続的に実現するための有力な選択肢になり得ると実感できたのです。
そのタイミングで、伊澤さんから久しぶりに食事の誘いが来た時、「これは、資本提携の話かもしれない」と感じました。実際に話を聞いてみると、「やはりそうか」という印象でした。
お互いの思惑とタイミングが合致
4ヶ月でのスピード提携、その裏側
ー昨年12月に話が出てから、実際の提携まで約4ヶ月。非常にスピーディな展開ですね。
伊澤: これまで多くの資本提携に関わってきましたが、今回が最短です。通常であれば、候補先をリスト化し、アプローチするところから始めます。しかし今回は、まず真っ先に書上さんにお会いしました。その時のリアクションが印象的で、通常であれば「一度社内で検討させてください」といった返答が多い中、「ぜひ前向きに検討したい」と即答してくれました。
書上: お互いにまったくの他人同士ではなかった、という背景が大きいと思います。
伊澤: 初回のデューデリジェンス(資産査定)で、ほとんどの確認事項がクリアになったのも、稀なケースでした。お互いに「しっかりしている」と信頼できていたことが、スムーズな合意につながったのだと思います。
「個」と「組織」の融合が生み出す新たな価値
ー組織文化の異なる二社が一つになる中で、今後乗り越えるべき課題や重要なポイントは何だとお考えですか?
伊澤:一番大切なのは 「本当の意味でお互いを知ること」と「リスペクトを持ち続けること」だと思っています。資本提携というと、組織のカルチャーの統一や調整に意識が向きがちですが、それぞれの持つ良さを尊重し合う姿勢のほうが重要です。例えば、私たちが普段行っている組織運営とは異なるやり方でも、KICONIA WORKSさんにとっては、それがパフォーマンスを最大化するための本質的なカルチャーである場合もある。その違いを単なる数字や制度で評価するのではなく、背景や文脈を理解した上で、連携のあり方を丁寧に設計していきたいと考えています。
書上: より具体的には、これまで僕の頭の中にしかなかった「誰がどのプロジェクトに、どれくらいの熱量で取り組んでいるか」といった情報を、可視化していく必要があります。それがないと、スキルアップNeXtの皆さんと本質的な連携を取るのが難しくなります。
また、フラットに会話できる環境を作ることも大切です。日々の対話から、自然と議論が生まれ、新たな価値を共創できる関係性を築いていきたいと思います。
「新しいことを始めるなら、まず相談したい」と思われる存在へ
ーこれからの展望についてお聞かせください。AI/DX業界において、どのような存在を目指しているのでしょうか?
伊澤: 目指すのは、先端領域において新しいことを始めようと思った時に、まず最初に相談される存在です。AI/DXにとどまらず、GX、量子、Web3や、今後新たに出現する先端領域に取り組む際、困ったときに最初に思い出されるような、信頼と期待の集まるブランドを築いていきたいと考えています。
特に、今回の提携を機に、KICONIA WORKSさんのR&D機能をさらに強化し、エンジニアが常に最先端の技術に挑戦できる環境を整えていく予定です。技術力だけでなく、その技術を活かす組織力も含めて、業界をリードする存在を目指します。
書上: これからの開発業務は、AIエージェントなどの台頭により、価格やスピードだけでは差別化が難しくなる時代に入っていきます。そうした中で、私たちは「淘汰を生き抜く価値ある開発会社」であり続けたいと思っています。
今回の提携によって、AIの内製化支援から高度な開発支援まで、幅広いニーズに応えられる体制が整います。その結果、「何かあったら、まずこの会社に相談しよう」と思っていただける、最初の窓口として認識されることが理想です。
これまでのKICONIA WORKSは、「知る人ぞ知る、秘密結社のような存在」でした。いよいよ、そんな私たちが表舞台に出るタイミングが来た。いわば、暗闇に潜んでいた忍者が、少しずつ日の当たる場所に姿を現していくようなイメージです。これも私たちにとって、大きなチャレンジだと捉えています。
AIを活用したサービス・プロダクト開発に強みを持つKICONIA WORKSと、先端領域に関する人材育成と組織開発支援に強みを持つスキルアップNeXt。両社がタッグを組むことで、AIの導入からDXの実現まで、企業が直面する多様な課題に対して、専門知識・ノウハウ・リソースを結集した、包括的かつ実践的なソリューションを提供してまいります。
どうぞ、これからのスキルアップNeXtとKICONIA WORKSにご期待ください。