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飲食事業を超えて羊の普及に貢献する|SheepSunriseビジネス構想ストーリー

今回の記事では「羊の普及」に向けて、SHEEP SUNRISEが現在手掛けている事業や今後のビジネス構想について、関澤社長にお話を伺いました。

フランチャイズ化を見据えた卸事業「シェフの予想を超える羊肉の提案」で拡大を目指す

- 現在SheepSunriseで展開している事業についてお聞かせください。

ジンギスカンの店舗「羊SUNRISE」をはじめ、現在は「食肉の卸し」なども展開しています。羊肉を扱う飲食店は増えてきていますが、国産羊肉を仕入れる難しさというところや、輸入物の羊肉の情報が飲食店にまで落とし込まれていないという現状から、価値が見出せるのではないかと思い、取り組んでいるところです。

僕がオーストラリア産ラムのPR大使を務めさせていただいていることもあり、ありがたいことに羊肉に関するお困りごとが僕たちのところに集まるようになってきています。今後、僕たちがプロモーションに携わりながら、飲食店やスーパーにも羊肉を卸していく予定です。

- 卸事業の中で具体的に取り組まれていることをお聞かせください。

現在はおよそ50社の卸しに携わらせていただいています。

これまでたくさんのシェフの方々と関わったり、コラボレーションをさせていただき、経験を積んできた中で、シェフの方々の「羊肉でこういう料理を作りたい」というご要望に対して、最適な羊肉をマッチングすることができるのが僕たちの強みです。

単に僕たちがもっている羊肉を押し売りするのではなく、シェフの方々の料理=作品に携わらせていただくような形の提案ができること、そして僕たちの羊肉の知識や情報量を生かして、シェフの方々の予想を超える提案ができることが、僕たちの強みであり、他のお肉屋さんと差別化できているところだと感じています。

- 50社との取引に対して、どのくらいの羊肉を扱っているのでしょうか?

現在は月で1トンほどの羊肉を扱っています。今後はより強化していくためにも、自社で倉庫 兼 工場を設けて、国内外から羊肉をインポートし、自社の工場から直接、羊肉のご提案ができる仕組みを整えていきます。

僕の地元である茨城県で工場を探しているところで、今後は空輸で届いた羊肉を羽田や成田まで取りに行き、温度を管理した状態で茨城の工場まで運び、そこから配達・発送することで、仲卸業者を省き、より高い鮮度管理や扱いの難しい羊肉なども扱えるようにしていく予定です。

- 卸事業で見据える今後の展開をお聞かせください。

まずは2024年内に、自社の倉庫 兼 工場の体制を整えることを目指しています。その後の展開としては、直営のみにとどまらず「フランチャイズ化」を見据えています。

全国のお肉屋さんでは、牛・豚・鶏・羊と様々な食肉を扱うなかで、羊肉はまだまだ消費量も少なく、扱いづらいお肉であること。そして、99%が輸入物のため柔軟な提供が難しいというところで、飲食店からするとお肉屋さんに羊の相談をしてもアイテムや情報量が少ないという現状があります。

僕たちが全国各地をまわりながら飲食店へ羊肉のご提案をさせていただき、地域毎に一定数の取引ができるようになった先では、現地のお肉屋さんとフランチャイズ契約をし、取引数を担保した状態でお肉屋さんへ権利を渡すことで、結果としてその地域で羊肉が広がっていき、羊肉の普及に貢献できるのではないかと考えています。

未利用資源である「皮」の有効活用を目指し、食以外の観点からも羊の普及に貢献する

- 飲食店、卸事業以外にはどのような事業展開をお考えでしょうか?

新たにアパレル事業の中での大きな仕掛けとして、北海道に「皮なめし工場」(皮を柔らかくする工場)を作り、未利用資源となっている動物の皮が「革」として活用されていくことを目指しています。

最近では”アニマルウェルフェア”や”サスティナブル”という言葉を耳にするようになったように、羊に限らず動物の様々な問題が浮き彫りになっています。北海道の鹿や熊による獣害被害なども度々ニュースになっていますが、そこで駆除されてしまう生き物の皮は産業廃棄物扱いとなり、処理費用を払って処分されています。

生き物がお肉になっていく過程で必ず出てくる皮を有効活用し、アパレルブランドや家具ブランドに革を素材として提供したり、協力して商品を開発することで、未利用資源となっている生き物の皮が素材としても活用されていくことを目指しています。昨今の情勢からも、国内産の革は新しい素材として、今後注目を集めていくのではないかと考えています。

実は3、4年前にクラウドファンディングで、捨てられている羊の皮を仕入れ、国内初の羊専門アパレルブランドを立ち上げた経験があります。当時は北海道に皮のなめし工場を作るという発想がなかったため、コスト面や認知の拡大、ビジネス化する上での仕組み作りなど様々な問題に直面し、断念せざるを得ない状況でした。

しかし今回、北海道に皮なめしの工場を作ることで、羊に限らず牛や豚、鹿、さらには魚など、様々な生き物の皮を有効活用し、工場を稼働させながら、原料屋さんとしての動きもしていくというのが、アパレル事業の中での大きな仕掛けとなります。

- 羊の革にはどのような特徴があるのでしょうか?

一番の特徴は「柔らかくて軽い」という点です。

羊の革は”人の肌に一番馴染む革”ともいわれていて、レザージャケットでも隙間を作らないようにピタっと馴染むので、冷たい空気が入ってこないことから、バイカーさんにも好まれている素材です。

北欧では、家具ブランドでラムレザーが使われていることも多く、その家具には非常に高い価値がついていたり、赤ちゃんが生まれた時には、毛をつけたムートンという革をプレゼントする風習もあります。

ムートンにはウールがついていて、ウールは多毛質で空気をたくさん含むことができることから、赤ちゃんがうつ伏せになっても窒息しないといわれていること。また「フィルター」という言葉の語源が『フェルト』という羊の毛からきていているように、大気中の有害物質を半永久的に吸着し続ける仕組みをもっているため、赤ちゃんをきれいな環境で過ごさせてあげるという思いが込められているそうです。

- そんな優れた羊の革は、今後日本でどのように普及していくとお考えですか?

介護の現場で羊の革を活用し、寝たきりの方々の床ずれ(皮膚のある部位が圧迫されてしまうこと)を防いだり、羊の毛を触ってリラックスしていただくという点で貢献できると考えています。

羊は人類最古の家畜であり、衣・食・住すべてをまかなってきた生き物ですので、今は「食」という面で普及を進められているように、「衣」「住」という面でも引き続き普及を進められるように取り組んでまいります。

飲食事業におけるSHEEP SUNRISEの「今後の展開」

- 2024年開業予定の新店舗についての構想をお聞かせください。

現在、ジンギスカン屋「羊SUNRISE」は麻布十番と神楽坂に2店舗構えており、新たに渋谷に3店舗目を開業予定です。麻布十番と神楽坂の店舗では、席数は20席以下ながらも客単価は15,000円前後、おかげさまで2回転満席という状況が続いているのですが、羊を普及するという意味では、今より手軽に、羊肉を食べられる現場を増やしていくということを目指しています。

新たに開業する渋谷店では、リーズナブルな価格帯で、より幅広いターゲットやシーンでご利用いただき、羊の普及に繋げるというのがテーマになります。北海道では「締めジンギスカン」という文化があり、食事やお酒を飲んだ後にジンギスカン屋に寄るということも多く、深夜の方が賑わっているお店も多いです。

羊を普及するという意味でも、そういった北海道の文化を持ち込むために深夜時間帯の営業も視野にいれています。ジンギスカンの魅力を知っていただくのはもちろん、締めジンギスカンという文化で「楽しい時間だった」と感じていただけるお店を手掛けることにチャレンジしていきます。

- 幅広いターゲットへの普及というところで、5月に開催されるイベント「SHEEP JAM」についてもその取り組みの一環になるのでしょうか?

はい、その通りです。

SHEEP JAMは5/25(土)、26(日)の2日間で行われる羊づくしの祭典で、東京の豊洲で開催されます。羊の普及に関する様々な取り組みをしている「sheepfreaks」という僕たちのチームが主催するイベントで、羊料理やアパレル、グッズやトークライブなど、羊を存分に体感していただけるイベントになっています。

▼詳しくはこちらからご覧いただけます

https://sheepsunrise.jp/sheepfreaks/jam2024/

開催場所も公園で公共施設ということもあり、幅広い年齢層の方に集まっていただけるのではないかと僕自身もとても楽しみにしています。今回、僕たちの取り組みに賛同してくださった13名ものシェフが全国各地から集まるイベントですが、これまで様々なイベントやフェスからお声がけされているような有名シェフからも、「このSHEEP JAMのイベントは自ら出たいと思えるイベントだ」というありがたいお言葉をいただきました。

フードロスを削減するためにも食事は事前のチケット制で、チケットがあれば11名のシェフが手掛けた料理を1品ずつフルコースとして楽しむことができます。チケットの枚数分のみ準備をしていますので、イベントを通じた羊の普及はもちろん、事前のチケット制でフードロスを削減するなどといったイベントの仕組みにより、食材に対する思いをもっているシェフの方々も集まっていただけたのではないかと思っています。

今年が第1回目となりますので、毎年続く人気のイベントになるように盛り上げていきたいです。

- このイベントが成功した暁には、どのような展開・構想があるのでしょうか?

おかげさまで今回のイベントに関するプレスリリースを出したところ、業界の方々から想像以上の反響をいただき、すでに様々なご提案やお声がけをいただいています。今後、シェフの料理をOEM(製品を製造するメーカー)で商品化し、音楽フェスや店舗など、様々な場面でクオリティの高い羊料理を提供できるようにし、羊の普及に繋げていきたいです。

- 最後に、衣食住と様々な事業を展開しているなかで「食」という面で関心をもたれている求職様に対してメッセージをお願いします。

羊はまだまだ可能性を秘めている食材ですので、できるだけ自由な発想で、何事も無理だと思わずにチャレンジしてほしいと思っています。また食という面では、僕たちはジンギスカンという一つの料理を武器にしていながらも、これだけのシェフの方々と関われる機会があり、そのシェフの方々との関係性からたくさんの経験を積むことができるので、料理を覚えたいという方にもぜひ仲間になっていただきたいです。

- 関澤社長、ありがとうございました!

いかがでしたか?

羊の普及に向けて、SHEEP SUNRISEが現在手掛けている事業や、今後のビジネス構想をお聞きすることができました。

次回はジンギスカン屋「羊SUNRISE」の内部に焦点を当て、店舗で行っている「独自戦略」や「人事制度」などについてお話しを聞いていきたいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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