RITでは先日、全社員に向けて中期経営計画を発表しました。2030年までに売上高20億、利益2億という具体的な数字を目標に掲げ、「受託中心のビジネスモデルからプロダクトベースの成長モデルへの変革を図る」ことを打ち出したRIT2030中期経営計画。
代表取締役の安武に、今回の中期経営計画について自身の想いや考えなどをインタビューしました。
「中計」ってなんのため?──その意図と背景にあるもの
─ 2024年1月に太陽ホールディングスにグループインしてから1年経ちますが、このタイミングで「RIT2030中期経営計画(以下、中計)」を策定した背景を教えてください。
「マネージャー層を中心に 『この先どうなるのか見えない』といった声が増えていることを感じていました。ここで改めて、グループにいることと、今後我々が目指していきたいことを整理して、経営者として会社の“行き先”を明示する責任を果たさなくてはいけない、と思って策定しました。
いま、全体の進捗としては2〜3割。ようやくプロダクト中心の事業体制が形になりはじめ、STiVを皮切りに、SPG-Rやasmana、デジローといったプロダクトも育ってきています。直近立てている目標の製薬ドメインに関しては、STiVももちろんそうだし、コンサルメンバーの大半が製薬関連の案件に入っていますね。」
成長の3本柱──プロダクト、生成AI、グローバル
製薬から始める“ニッチトップ”戦略
─ なぜ今、プロダクト中心の方針に舵を切ったのでしょう?
「受託モデルだと、結局のところ成長の鍵は“人数”になってしまう。売上を2倍にしたいなら従業員数も2倍にしなくてはいけない、みたいな。そこで一定の限界が見えてきたからです。もちろん人数を100とか1000とかまで成長させる方法もあるのですが、今のマーケット状況だと何十年かかるんだろう、というのもあって。元々プロダクトには会社として強い興味がありましたし、グループインしたことでそこを突き詰められる環境にもなりました。なので原点回帰のような感覚もありますね。
とはいっても、体制を組んだり、予算をつけたり、セールスプロセスを強化したり……これからもっとやらなくてはいけないことはたくさんあります。」
─ プロダクトのセールス強化はどのように進めていく想定ですか?
「プロダクトの成長に欠かせないのが“売る力”だと思っているので、営業人材の採用や体制強化は、グループ横断で進めている最中です。今期は、*営業統括チーム長の神田さんやパートナーのShenさん、Davidさんたちが営業の旗振りを担ってくれています。今後さらにプロフェッショナルな営業チームをつくっていきたいですね。」
*メンバー一覧
─ 今期の注力領域として製薬ドメインをあげていますが、なぜですか?
「製薬ドメインは、グループとしても収益基盤があることで第二の柱に位置づけています。加えて、急速にDX化が進む製薬ドメインに、ICT事業が入り込めるビジネスチャンスも拡大しています。RITとしても、目の前に明確な課題を抱える業界があるなら、まずはそこにリソースを集中すべきと考えました。」
─ 他にもICT、製造業、エネルギー業界などが中計に記載がありますが、他業界への展開は、どのようなタイミングを想定していますか?
「製薬チームがしっかり黒字化して、自走できるようになること。もしくはグループとしての強みが活かせて、かつRITのケイパビリティが合う領域が見つかれば広げていく想定です。」
差別化の鍵は「業界×AI」
─ 今後生成AIのプロダクトは多く出てきています。そのような中で、どのように差別化を図っていこうと考えていますか。
「差別化が難しい領域ではあります。なので、技術を深掘りするよりは業界の課題を深掘りしていって、掛け算で勝負したいと考えています。“製薬×生成AI”のように、業界に根ざしたAI活用で独自性を出していきたいですね。」
日本と世界の“二軸”で考えるグローバル展開
─ 海外展開には、どのような狙いがありますか?また、海外市場におけるRITの強みや勝ち筋は、どこにあると考えていますか?
「香港、中国、シンガポールなどでの展開は、藤原さんのネットワークがきっかけです。案件やリードの話を聞いていると、やっぱり日本のマーケットは客観的にみても冷え込んでいるんですよね。あとは、日本市場に来たいって希望しながらも、未知なイメージを持っているクライアントに対して、意外とクロスボーダーでやれるコンサル会社って少ないんですよね。なので単価一つとってもまずはグローバルスタンダードというものを見て、どんなものかっていうのを取りに行きたいという思いが強いです。そういったグローバルスタンダードを感じながら、日本に還元できる仕組みも作れたら良いですね。」
2030年に向けた組織進化とカルチャー醸成
─ 現在RITが掲げているMVV・Purposeと今回の方針はどうリンクしていますか?
「現在のMVV・Purposeを実現するために今回の方針・戦略を打ち出しています。MVVは簡単に実現できるものではなく、長い道のりになります。そのため、一定のメンバーからはMVVを実現するための現実的な方法がイメージできないというコメントもありました。
私としては、事業開発を"成功させる"ことこそが、MVVの実現に最も重要なことだと思っていて、その成功確率を高めるために今回の方針を打ち出しています。極端な話、100個の事業をとりあえず立ち上げて、中途半端にやって全て失敗するのは、関わっているメンバーにとって一番不幸なことであると思っていて、やるからには必ず成功させる、そのためには戦略を描き、リソースも集中してやり切るということ狙っています。」
─ 規模やカルチャーなどの観点において、2030年にはどんな会社にしたいですか?
「2025年末には、ファンリードグループ(ICT事業)全体で売上40〜50億円、社員数400名。その先の2030年には、売上100億、社員数1000人規模にしたいです。各社のカラーを持ち寄りながら、チャレンジングでワクワクするような組織をつくっていきたいですね。
カルチャー面では、仕事も人生の一部だからこそ“本気で・誇りをもって向き合える”ような価値観を大事にしたい。自由な雰囲気の中にも、責任と熱量がある。そんなチームでありたいですね。」
─ 今までもRITではメンバーのチャレンジを後押ししてきましたが、今後はメンバーのチャレンジやアイデアをどう育てていきたいですか?
「これまでは“どんなチャレンジでも応援”というスタンスだったけれど、やっぱり悪い面としては、組織の戦略に沿っていないと体制も予算も中途半端な支援になりがちでした。そうすると成果も出づらいですよね。メンバー自身も求めてるのは成果だと思うので、今後は特に戦略に合致したものを後押ししていきたいと思っています。」
メンバーへのメッセージ──「まずは、自分ごと化」
─ 正直、メンバーそれぞれの仕事がどう変わるのか想像がつきにくいです…どんな形に変わっていくのでしょうか?
「エンジニアやデザイナーは、受託開発から自社プロダクトへの関与比率が高まってくると思います。コンサルはその時にターゲットとしている業界(直近だと製薬)の案件が増える形になりますね。
どちらも案件のテーマ以外の観点では、グループ会社との連携が増えるかもしれませんが今の仕事内容と大きく変わることはないと思っています。」
─ この変革期において、メンバー一人ひとりに期待する行動はなんでしょう?
「正直、まだ中計が腹落ちしていないメンバーも多いと思うんです。これからも環境の変化はある中で、腹落できていないとメンバー自身も苦しくなってしまう。
なので“自分ごと”として考えようとする姿勢を大事にしてほしいし、気になることがあればどんどん声を上げてぶつけてほしいです。自分自身がそこにコミットしようとする意識があれば良い議論になっていくはずですし、それは僕にとってもありがたい。批判でも良いのでバシバシ言ってくれると嬉しいです!」
社外へのメッセージ──業界の構造を、一緒に変えていく仲間へ
─ RITのサービスやプロダクトに興味を持つ企業へのメッセージをお願いします。
「RITがいたからこそ次の未来にすごい価値が残せた、というような状態をつくっていくことを目標にしています。これからも革新的なサービスやプロダクトを世の中に作り続けていくので、現状足りない部分はあるかもしれないですが、積極的に使っていただいたり、ご意見いただいたりしながら、ぜひ一緒に世の中の発展に貢献していきましょう!」
最後にちょっと本音──“やっぱり、人が好き”
─ 少し固いお話しが続いたので、最後に安武さんのちょっとした本音を聞いても良いですか?(笑)
「やっぱり僕は人が好きなんですよね。だから退職者が出ると正直めちゃくちゃつらいです。これは自分の責任だ、って(笑)だから最近何人か出戻りしてくれていますけど、本当に嬉しいです。今現在も様々なポジションを募集していますが、今のRITに興味を持ってくれる方にはぜひジョインして欲しいです。」
人が好き。挑戦が好き。安武さんの想いがたくさん詰まった中計のお話しを聞くことができました。
RITの挑戦は、ここからますます加速していきます。