動けば未来が変わる、動かなければ何も始まらないーー。連載「安武社長、本音聞いてもいいですか?」の第3回目のテーマは「20代のうちにやるべき5つのこと」です。CEOの安武さんが、若手時代に体験した失敗や葛藤、そこから導き出した20代で必ずやっておくべき5つのことを本音で明かします。今のまま何となく過ごすのか、それとも一歩を踏み出すのか。この記事を読み終えたとき、あなたの時間の価値が変わるかもしれません。
ー20代のうちにやるべきことは何でしょうか?
A:そうですね、1つ目は、多様な人と出会うこと、会いにいくこと。学生時代はサークルや学部など、社会人になったら同じ社内(部署内)など、同質的な人たちと集まりがちです。けれども、それでは考え方や価値観が固定化されてしまう。だからこそ、外に出て違うバックグラウンドを持つ人と出会い、自分の「当たり前」を壊していくことが大切です。これが自分の視野を広げることに繋がります。
2つ目は、自分でお金を稼ぐ大変さを知ることです。アルバイトのように時給で働くのではなく、成果や報酬に直結する形で働いたり、インターンなどで優秀な人が集まり自分の経験にもつながる場所で働いてみること。例えば営業や投資、起業、プログラミングなど、自分の行動がそのまま結果につながる経験をしてほしいですね。そうした経験から社会で生きるために必要なリアルな感覚が身につくからです。お金を稼ぐことがいかに難しいかを知っている人と、知らない人とでは、キャリアの選び方や働き方の姿勢が全く違ってくると思います。
3つ目は、アンテナを広げて情報収集を続けていくこと。今はYouTubeなどを通じて、ビジネスの現場で活躍する人のリアルな話を直接聞ける時代です。書籍では得られない、生々しい成功談や失敗談を吸収してほしいですね。気になる人がいれば思い切って連絡を取るのもいい。その積極性が、後に師匠のような存在やロールモデルとの出会いにつながります。個人的におすすめなジャンルとしては、起業や経営、M&Aなどは面白いチャンネルが多いです。
4つ目は、自分だけの強みを持つこと。社会に出ると「あなたは何ができる人ですか?」と必ず問われます。そのときに、一言で自分を語れるものがあると強い。専門的な知識でもいいし、組織で活かせるキャラクターでもいい。周囲から「この分野ならあなた」と認識される強みを作ることが重要です。1~3の行動をしっかり起こしていくと、自ずと自分の強みも見つかってくるはずです。
最後に5つ目は、キャリアのビジョンを複数持つことです。1つの道だけに賭けると、それが閉ざされたときに絶望します。そうではなく、3つほどの選択肢を常に持っておくと安心です。もし第1希望がダメでも、別の道に進める柔軟性がある。これが20代をどう過ごすかを大きく左右します。通常はキャリアのビジョンを1つ持つだけでも難しいことですが、1~4を行動を通して磨き上げていくと、きっと解像度の高いビジョンがいくつか見つかるはずです。
ーその中で特に重要なものは何ですか?
A:やはり「多様な人と出会うこと、会いにいくこと」ですかね。学生時代は同じサークルや学部の人との交流が中心で、それ以外の情報ってあまり入ってこないと思うんです。でも、外の人と会うことで考え方や視野は一気に広がります。例えばベンチャー企業でインターンをすれば、経営者や起業家と直接つながる機会もある。そうした出会いが人生を変えるきっかけになると思います。RITでもインターンは採用していますし、募集していない会社でも経営者や起業家は行動力のある若い方から連絡をもらえると嬉しいものです。
ーご自身の学生時代を振り返ると、どのような経験が今につながっていますか?
A:高校までは東大文一を目指して猛勉強していましたが、結果的に慶應義塾大学法学部に進学しました。司法試験を目指してダブルスクールにも通っていましたが、ロースクール制度の導入で現役合格が難しい状況になり、母子家庭で私立大学、ダブルスクールで経済的な負担を感じていたので、早く社会に出たいと思うようになりました。そこでベンチャーやコンサルに関心を持ち始めたんです。
一方で大学生活ではサークル活動やアルバイトにも熱中しました。テニスサークルでは2、3年生のとき代表を務め、イベントを企画してメンバーが楽しく活動できる環境を整えました。アルバイトでは飲食店やインターネット回線の飛び込み営業を経験しましたが、特に営業は辛いことも多かったですね。門前払いばかりで心が折れそうになりましたが、その経験で「折れない心」を得られました。これは社会に出てからも役立っていると思います。
ー失敗から学んだことはありますか?
A:司法試験に必要な単位を取り損ねて受験資格を失ったことです。当時は失敗だと思いましたが、それをきっかけにキャリアを真剣に考えるようになりました。結果的にはプラスになったと思います。お酒の席での失敗談も多々ありますが(笑)、そうした経験も含め、すべてポジティブに捉えるようにしています。失敗は後悔ではなく、次に進むためのきっかけになりますね。ここでキャリアの選択肢は1つではないと気づくことができました。
ーもし大学時代に戻れるなら、どんなことをしたいですか?
A:ベンチャー企業でのインターンに挑戦したかったです。当時は、インターネット系の会社がどんどん出てきていました。有名どころでいえば堀江貴文さんやサイバーエージェントの藤田さんなど、まさに新しい産業を切り拓く人たちが登場していた時代です。
そうした人たちと、学生という立場だからこそアクセスできる機会があったはずなんですよね。紹介してもらえたり、話を聞けたりする可能性は十分にあったと思います。けれど当時の私は、サークルや学部内といった身近なコミュニティにばかり目を向けていて、そうしたチャンスに気づけませんでした。
いま振り返ると、そういう中で師匠のような存在を見つけられていたら大きな財産になったと思います。人生を導いてくれる存在が1人でもいれば、自分のキャリアの方向性や選択肢はもっと広がっただろうなと思います。
ーなぜコンサルを選んだのでしょうか?
A:将来起業家になりたいというキャリアを考えた時に、経営を理解するには幅広い視点が必要だと思ったからです。コンサルティングなら1社に縛られず、多様な業界や企業と関われます。プロジェクトごとに違うお客様と向き合えるので、知見が一気に広がります。外部から経営を俯瞰してアドバイスする経験が、自分にとって一番学びになると考えたからですね。
ー最後に、若手へのメッセージをお願いします。
A:悩む前に行動することです。新しい場所に出かけ、知らない人と出会い、情報を取り入れる。その積み重ねが必ずキャリアにつながります。「動いた者勝ち」というのは本当にその通りで、毎日少しでも行動すれば確実に視野は広がります。たしかに、新しいことへの挑戦ってすごく不安ですよね。でも、その先には必ず良い未来が待っています。ぜひ一歩を踏み出してください。
安武さん、今回もありがとうございました。
今回のお話しを聞いて、「動いた者勝ち」の気持ちを忘れずに、何か行動を起こしてみようと思っていただけたら嬉しいです。
次回のインタビューも乞うご期待!!!