「マーケティング=広告を出すこと」。この根強いイメージを持つ方は少なくないでしょう。
でも、実際のマーケティングの現場はもっと複雑なんです…!RITのマーケティング部門には、データを分析し、戦略を立て、社内外の人と連携しながら事業を成長させるーーそのために日々奔走する2人のマーケターがいます。
今回は、伊藤さんと稲葉さんに「マーケティングってなんで大事なの?」という、シンプルだけど奥の深いテーマについて、たっぷり語ってもらいました。
メンバー紹介
伊藤 健人(いとう けんと)
広告代理店でキャリアをスタート。大手通信販売では最大月間広告費8,300万円を運用し、複数の新規事業立ち上げやグロースを経験。RIT入社後は新規事業のグロースに携わり、一度退職して他社でマーケティングスキルに磨きをかけ、2025年6月にRIT再入社。
稲葉 考紀(いなば たかのり)
SI業界で10年、マーケティングで10年の経験を持ち、広告テクノロジーに精通。ITの知識をマーケティングに活かしていきたいという思いから、2011年にWeb広告代理店に入社。DSPやアドテク分野で実績を積む。伊藤さんのリファラル採用によりRITへ。
マーケティングって何するの?
― まず、お二人がマーケティング業界に入ったきっかけを教えてください。
稲葉さん:2011年にWeb広告代理店に入社したのがきっかけです。当時アメリカで盛り上がっていたアドテクノロジーが日本にきていて、DSPという広告配信の仕組みを知ったとき「この技術は面白い」と思いました。SI出身だったので、システムとマーケをつなぐ役割が自分に合っていると感じましたね。
伊藤さん:僕は新卒で広告運用に携わったのが始まりです。大手通信販売の支援をしていた頃は、広告費を月8,300万円まで運用したのですが、その中で気づいたのが「部分最適」じゃなく「全体最適」を考えることの重要性です。広告だけじゃなく、売れる仕組み全体を設計するのが楽しくなってきて、それでマーケターとしての意識が芽生えました。
― 現在、RITではどのようなお仕事をしているのですか?
伊藤さん:主にマーケティング戦略の立案支援、Asmanaを含む自社プロダクトのグロース、グループ会社の課題洗い出しなどをしています。提案して終わり、ではなく、改善や実装まで入っていきます。
稲葉さん:僕も同じような業務内容です。まだ入社して間もないので、まずは案件獲得のために動いています。後は積極的に出社もして顔を売っています(笑)いろんな方と関わることが多いので、割とそこは重要視していますね。
ーRITのマーケティングの強みを教えてください
伊藤さん:エンジニアやデザイナーなどの他職種メンバーと距離感が近いことで、スピード感のある実現可能性の高い提案ができるということですね。大きい会社だとどうしても縦割りで関係が薄かったりしますけど、RITはちょうど良い規模感なので気軽に他メンバーに相談できます。
稲葉さん:開発部隊がいることでマーケターやコンサルタントが描いた内容が青写真だけにならず、実装までご提供できることがRITの強みです。クライアントにも、現状にあった「地に足のついた提案」ができると思っています。
マーケティングという仕事
― エンジニアや営業、広報など、他部署と関わることも多いのですね。
伊藤さん:マーケターの業務って本当に幅広くて。いろんな部署の方と深掘りして話さなくちゃいけないシーンが多いんです。だからこそ、誰にでも伝わる言葉を使うのが大事だと思っています。
稲葉さん:同感です。僕も他の方と話すときに「マーケの世界観を持ち込まない」ことを心がけています。相手が営業なら営業の、開発なら開発の視点で説明する。
伊藤さん:あと、けっこうマーケターって、傍観者の立場で物をいう方が多いんですよね。「売り上げが上がらないのはここが問題だよ」っていう割に、解決策まで落とし込めるマーケターって意外と少ない。
稲葉さん:じゃあどうすれば良いのか、というところまでセットで話せるようなマーケターでありたいですよね。それをすることで、他部署の方からの信頼、そしてクライアントからの信頼が獲得できると思います。
― マーケティングという仕事のやりがいはどこにありますか?
伊藤さん:常に改善の連鎖なので、見えていなかった課題がデータから浮かび上がってきて、「じゃあ次はこうしよう」と施策が生まれる瞬間はワクワクします。
稲葉さん:僕は、一消費者でありながら、様々な業界をマーケ視点で分析できるのが楽しいです。この業界ってこんな課題があるんだ、っていう知識欲が満たされるのが面白い。そしてクライアントの課題を見つけ、それを突破する施策を提案して成果が出た時は、達成感がありますね。
変わるマーケティングの形
― 過去10年において、マーケティングはどのように変化しましたか?
稲葉さん:今はもうオールドメディアと呼ばれていますが、昔は「4マス(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)」が中心でした。その頃は大手の広告代理店を使ってお金をかければそれなりにできたんですが、今はクライアント自身がデータやノウハウを蓄積して、自社で施策を回す時代です。いわば「データの民主化」が進んでいて、それをお手伝いするのが僕らマーケターですね。
伊藤さん:テクノロジーの進化もあって、特定のユーザー層にピンポイントでアプローチできるようになりましたね。ユーザーとコミュニケーションをとってマーケティングの効果を最大化する流れは、今後も加速すると考えています。
― ユーザー単位に変化したマーケティングにおいて、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)はなぜ重要なのでしょうか?
稲葉さん:CDPとは、簡単に言えば自社内に散らばったデータを一元管理することです。顧客の契約データや顧客の行動データ、営業ステータスのデータなどを統合して管理することでストーリー性のある顧客に合わせたマーケティング施策が行えるということです。
伊藤さん:データを活用することで顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズ施策も可能になります。サードパーティデータ*が使いにくくなっている昨今において、自社データは不可欠な材料なんです。
(*企業と直接関係を持たない第三者の企業や団体が、ユーザーのWebサイト閲覧履歴やアンケート調査などから収集・販売する外部データ。プライバシー侵害のリスクやデータ信頼性の懸念から、近年利用が難しくなっている。)
稲葉さん:CDP導入における、戦略・施策設計・検証・定着なんかは僕らが責任を持ってご支援が可能な部分です。
ーRITのマーケティングを、どんな課題を持っている企業に活用してほしいですか?
伊藤さん:「売上を上げたいけど、何から手をつけたら良いかわからない」といった課題を持った企業ですね。特にBtoBやインフラ系などはマーケ施策の効果測定がしにくい企業なんですが、全方位からの支援をさせてもらえるとしっかり効果を出せていけます。
稲葉さん:そもそも「マーケティングに力を入れる発想がない」企業もありますからね。マーケティングはただ広告を出稿するということではなく、経営的判断としてトップラインを伸ばすための手段なんですよね。トップラインを伸ばす=売上を上げるということで言えば、「経営のより近くにあるもの」だと理解してもらうというところから始めたいです。
今後の展望
今は二人のマーケティング部門ですが、今後は「年間売上1〜2億円、2〜3年後には10人規模のマーケ組織」を視野に活動していきます。
データと人をつなぎ、成果につなげる。
その舞台裏には、数字だけでは語れない、会話と信頼の積み重ねがあります。