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「変なこと(アート)を仕事にする」イベントレポート

今回は、Tokyo Work Design Week(働き方の祭典)という場をお借りして企画した、トークイベント「変なこと(アート)を仕事にする」をレポートします!
勤労感謝の日の2日前、11月21日に開催されたこのトークイベントでは「働く」というキーワードで、アート業界を捉えてみました。それがアートがこれからもこの「社会」の中で、持続的にありつづけるために、ひとつ大切な視点なのではないかと考えたためです。
このイベントを盛り上げていただくために、様々なプラットフォームで「変なこと(アート)」を仕事にしている4名の方に集まっていただきました!


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森 隆一郎 :渚と 主宰
アートやカルチャーで社会の境目をクリエイティブにする「渚と」主宰 / 墨田区文化振興財団(業務委託) / 東京シティ・バレエ団アドバイザー / 全銀座会G2020プロジェクトアドバイザー / 文化の朝活 東京アーツのれん会主宰ほか。これまでの仕事は、江東区文化センター事業担当、ティアラこうとう制作担当、いわき芸術文化交流館アリオスマーケティングマネージャー、アーツカウンシル東京PRディレクターなど。


植松侑子 :Explat理事長/syuz'gen代表
舞台芸術制作者にむけた人材育成と労働環境整備のための中間支援組織「NPO法人Explat」理事長。舞台芸術のマネジメント専門人材のプラットフォーム「合同会社syuz’gen」代表社員。舞台芸術のマネジメントにかかわる人が、自らの仕事に誇りを持ち、心身ともに健康で、生涯の仕事として続けられる方法を模索中。


加藤 翼:(株)ロフトワーク コミュニティデザイナー / 100BANCH コミュニティマネージャー
1990年生、千葉県柏市出身。ボストン大学への留学を経て早稲田大学社会科学部を卒業後に、外資系コンサルティングファームに入社。主に海外現地法人の業務改革を担当。働きながら通信制の美大で空間デザインを専攻し、2017年からロフトワーク に入社。100BANCHの立ち上げから参画し、現在コミュニティマネージャーを務める。


小谷菜美:READYFOR株式会社 ソーシャルインパクト事業部マネージャー
1992年生。法政大学社会学部メディア社会学科卒業後、WEB制作/編集ディレクターのアシスタントとして修行に身を投じる。並行してNPO法人/一般社団のプロボノとしてクリエイティブ支援を行い、ソーシャル領域との接点を持つ。2017よりReadyforにキュレーターとして参画。2018年7月からソーシャルインパクト事業部マネージャー。同時期、事業部の中にアート部門を立ち上げる。
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最初に、森さんから様々なアーティストやアートプロジェクトを紹介してもらいつつ、今回のイベントで語り合う、「変なこと(アート)」を観客のみなさんと共有させてもらいました。
その中から1つセレクトして紹介させていただきます!

パーラー公民館https://youtu.be/_AoUHgrapEg


パーラー公民館は沖縄県那覇市若狭地区を拠点としたプロジェクト。若狭地区にある曙エリアは中心地からも遠く、貧困率・高齢者率の高い地域です。このエリアには公民館のような施設がなく、建設要望があるものの、財政的には困難な状態。そこで「公民館って何だっけ?」と根本的な機能を考え直し、「その機能があれば公民館になる!」と、移動型公民館をつくって、実践しています。

誰もが思い浮かべる「公民館」という建物のイメージとは異なるので、「変!」と思われてしまうかもしれませんが、コミュニティ全体で「公民館」の機能自体を考え直し、自身で作り上げるという画期的なアートプロジェクトです。
こういった「変なこと(アート)」を仕事にする人たちは、どこに社会との接点があるのでしょうか?登壇者の皆さんに聞いてみました。


植松:日本社会をより良くアップデートして次世代にバトンタッチしたい。その手段として『変なこと(アート)』を仕事にしています。アーティストという存在だけだと社会に埋没してしまうので、彼らと社会を接続するマネジメント人材が不可欠です。多様な価値観を認めていく社会を生み出すためにも、マネジメント人材の労働環境の未整備は社会的な損失と考え、Explatでの活動を始めました。

:アーティストのような、何かを突破していこうとする人が社会と繋がっていくには、『渚』のような存在が必要だと考え、個人ユニット「渚と」をスタートしました。アートには様々な価値がありますが、文化資本が個々人に貯まっていくと素養や教養が身につき、社会の民度が上がり余計なことにコストがかからなくなるなど、社会的なメリットが多くあります。

小谷:Readyforのキュレーターとしてアートが社会と接せられる側面を作っています。どのような切り口で社会にアピールしていくかを考え、応援者を増やそうとしています。アート業界のど真ん中にいる人間でなく、アートに関わる経歴や肩書がないからこその、素人感覚のフィードバックを求められていると思います。

加藤:100BANCHには、パーソナルな興味の強いクリエイターやアーティストが集まります。彼らはアウトローに見られがちですが、それをどう社会にみせていくかの手伝いをしています。例えば、コオロギラーメンを作るプロジェクトと、将来的なタンパク質減に対し国連が昆虫食を提言していることを組み合わせたり。視座を高めるためにアーティストとディスカッションを繰り返しています。



プラットホームは様々ですが、アートと社会を接続することの必要性や仕事の重要性はどの方の同じ想いです。『社会との接続』にあたり、アート業界と社会との間にある『言語の違い』について注目されました。


:アートと一言で言っても、舞台と美術の業界でさえ使われるボキャブラリーに差はあります。同じ内容であっても、アートのシンポジウムで使う文脈をそのまま企業のCSR担当に話しても、通じないと思います。

小谷:クラウドファンディングでは一般社会に資金を募るので、受け入れて理解してもらう必要があります。翻訳者として一歩引いて、プロジェクトと付き合っています。

植松:専門知識というよりも、考える力や継続して学んでいく力の方が大事だと思います。それは他業界でも一緒だと思います。社会がどのように変化していくか不確実ですが、アートは特に扱っているもの自体も不確実です。その中で信じられるものは自分自身しかないので、「己とは」を突き詰める覚悟が問われると思います。

小谷:採用活動などでは、これまでやってきた仕事のポートフォリオ(実績)を見る機会がありますが、そこからはその人自身の解決したい社会問題は何かなど、読み切れません。一方で私自身もポートフォリオが欲しくてプロボノ(専門知識で社会貢献をするポランティア活動)を行ってきています。同じように、アートに関わりたいけれどポートフォリオが無く、突破口が分からないという人もいるのではないかと思います。「己とは」を持っていない人と一緒にポートフォリオをつくっていく過程で、経験や言語を得ていけるのではないでしょうか。

独自の価値観や言葉を一般社会に翻訳し、理解してもらう。そのためには自分自身を確立しながら、常に学び考える姿勢が大切です。ここで、アートと自身の『距離感』の話に移っていきます。


:アートを崇めると仕事にはならないと思います。アートは人の心にダイレクトに響きやすいので、国威発揚に使われやすいという危険性もあります。そういった危機感を基に作られたのが「アーツカウンシル」です。アートと冷静な距離感をたもちながら付き合っていく必要があるので、大好きだと働きづらいのではないかと思います。

加藤:距離感は大切だと思います。コンサルをしていた時も気を付けていましたが、馴れ馴れしくなると言いづらくなるのです。コミュニティマネージャーも、あまりにも入り込むと言いたいことが言えなくなり、コミュニティ自体が井の中の蛙になっていってしまう。ある瞬間は喜びと悲しみを共有するが、スッと引いてみる時も必要ですね。

今回、イベントのタイトルは敢えてアートを『変なこと』と言い換えて使用しました。そのことに関して、登壇者のみなさんに、ご意見をうかがいました。



加藤:「変」と思える瞬間に、自分の中にある固定概念との比較が生まれます。「アート」は純粋芸術に留まらずに、概念としてもっと多くのものを包含できるのではないかと思います。アートを「変」と呼んでも良いのではないでしょうか。

小谷:客観的に「変なこと」をどう社会にみせていくかという仕事だと思っています。変であるかどうかは主観的なことですが、「アートは変なこと」として、切り口をみつけていって仕事しています。

植松:他者と違うということは自分も変だということ。「変」な部分が性格になっていくのかもしれないですね。「変なこと」が仕事となって、自分を引き受けている人が増えて来ているので、「アート」と括っているだけの話だと思います。みんな自分が「変」であることを引き受けていけば、社会が良くなるのではないかと思っています。

:パナソニック創業100年を記念してできた、会場となっている100BANCHへのリスペクトから「変なこと」というタイトルを付けました。「変」というのは変化する社会ということ。バブル世代に育った自分としては「変だよね」は誉め言葉だったので、物議をかもしたことに驚きました。人と違うことをする人材が、社会を変えて行くというイメージがあります。

各々のプラットフォームで、アーティストや「変な」プロジェクトと寄り添い合いながら、社会との間に入る翻訳者4名。彼らが語り合ったこのトークイベントは、観客からの質問なども織り交ぜながら、2時間に渡り繰り広げらえました。

100年先を考えるには、論理よりも「飛躍」や「変化」が必要。「変なこと」に可能性を感じ、さらにそれを媒介する「変なことを仕事にする」人々の大切さを再認識できるイベントとなりました。


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