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スタッフインタビューvol. 50 「いつまでも子どもたちと共に」

PAJ非常勤ファシリテーター最高齢のももちゃん(百瀬幸一)は72歳。企業を定年した後、教育ファシリテーターや、農業を通して子どもの成長を支えるボランティアなどで子どもたちと関わっています。

PA(プロジェクトアドベンチャー)との出会い

私はずっとリコーに勤めてきて、45歳以降は新入社員からマネージャーまでのマネジメントやリーダーシップなどの階層別研修の企画や講師をしていました。当時の研修は伝統的な座学のスタイルでした。さまざまな教育ゲームやグループ討議などを取り入れながら変化をつけていましたが、何か物足りなさを感じていました。そんな中、たまたま同僚がPAを受け、その魅力を伝えてくれました。早速PAを体験しました。これは階層別研修に活きると思いましたね。全国から集められた人たちがなかなか打ち解けず、一方的な研修に陥りがちでしたが、PAを体験した後ではお互いが身近な関係になり、自主的に発言する人が増え、研修効果が上がりました。また、組織単位(上司から一般社員まで)のPAでは研修前後で職場の空気が変わったという報告を受けたこともあります。でもその頃は、「PAって面白い」「グループが活性化する」という程度を感じたところで定年になりました。

「フルバリュー(最大限にお互いを認め合う)」を再考する

PAを始めた頃は、PAが大切にしている「フルバリュー」ということは全然頭になくて、単純にチームビルディングのツールとしてすごくいいと思っていました。定年後にPAJ(プロジェクトアドベンチャージャパン)の非常勤ファシリテーターを務めるようになり、「フルバリュー」という言葉に改めて向き合うことになりましたが、高度成長期に身を置いた会社人間だった私にはなかなか理解しにくい部分がありました。

どういうことをしたら「フルバリュー」ということになるのか、それが最初はよくわかりませんでしたが、あるとき、設立当初からずっとボランティアとして関わってきた「市村自然塾関東」の考え方とPAのフルバリューが発想的に同じだと気づきました。

「市村自然塾関東」では、塾生一人一人を受け入れながら『自然を慈しむ心、仲間を思いやる心、ルールを守る心、自分のことは自分でやる力、安全を知る力』を農業を通じて学ばせるために、「指示しない、命令しない、世話をやきすぎない、教えすぎない」を徹底しています。これがフルバリューに共通していると自分の中で納得できました。

もともと子どもが好きだったこともあって、次の世代の子どもたちが少しでも意欲的に力強く生きていってくれたらという思いから、PAや市村自然塾のお手伝いをいつまでも続けたい気持ちがあります。

最高齢のファシリテーター

今は小中高生のプログラムのファシリテーターをしています。子どもが大好きで、毎回、毎回出会いがとても楽しみです。ファシリテーターを担当させてもらう時には年齢は意識しません。他のファシリテーターと同じように悩むこともありますし、若い人に負けたくないという気持ちもあります。

ファシリテーターとしての思いは、市村自然塾と同じで、「自主自立自律」できる人になってもらうためのお手伝いをする、そのための気づきを引っ張り出すための仕掛けや言葉かけをすることが私の役目なんだと思っています。あとは楽しくわいわいやりたい。私も楽しいし、生徒たちも楽しい。だからファシリテーターというよりも、同じチームの一員として楽しくできる、そんな中で「自主自立自律」みたいなことをより多くの生徒が気づいてくれたら嬉しいと思っています。

それを子どもたちが学んでくれたかは、一日の短い接点だけではわからないので、PAの仕事は種まきのような仕事かなとも思っています。その後のきっかけづくりになってくれたらいいかなと思います。一日のうちで変化はなかなか見られないし、教育はそんなにすぐに効果が表れるのではないですからね。

だからこそインパクトを与えておきたい。「あのとき、あんなことがあったな」と思い出してもらえれば、いつか腑に落ちる部分があるかもしれません。そのために私がちょっと一歩引いたところでファシリテーターとしてどうあったらいいのか、どう仕掛けていったらいいのかを考えているつもりです。

ニックネームのちから

「ももちゃん」という呼びやすいネーミングがよかったと思います。

このネーミングは私にとってとても意味のあるネーミングです。当時は当たり前でしたが、職場の先輩から「百瀬」と呼び捨てにされて仕事をしていました。10年以上も経ったあるときから、先輩が私のことを「ももちゃん」と呼ぶようになりました。そのとき、私は「先輩が認めてくれた。やっと一丁前になったんだ」と嬉しかったことを今でも覚えています。

いつも自己紹介で「ちょっと怪しいおじさんです、ももちゃんです」と言うと、わーっと盛り上がってくれて、「ももちゃーん」と飛んで来てくれます。一気に生徒と溶け合うことができます。嬉しい瞬間です。

だから子どもたちも年齢差を感じていないんじゃないかな。子どもたちに「いま何歳?」って聞かれて、「いくつに見える?」と返すと、大体60歳と言われるから、「そうだよ!」と言います(笑)

方法論を越えて

最近、グループを見ていてよく思うことは、アクティビティの中でグループに提供する「作戦会議」の時間についてです。作戦会議の様子を聞いていると、方法論やテクニックを話していることが多いです。今のご時世でスマホなどでゲームを楽しんでいる生徒が多くなったためではないかと勝手に想像しています。方法論やテクニックも大切ですが、そのときにどう思ってやったのか、どう感じていたのか。あるいは、仲間に対して自分がどういう気持ちで働きかけたのかということをもっと話してもらいたいんです。

そういう風に強く感じるようになったのは年のせいかもしれません(笑)。新聞はよく読みますが、その中で世の中が変わっていることを知らされます。あまりにも心のない方法論が目につき気になっています。PAは心の研修だと思うので、最近は、方法よりも心や思いが大切で、それをお互いにどう共有するかが大事なんだと特に強く感じています。私の経験や想いを伝えることがあります。遅かったけれど、72歳になってようやくここまで来ました。

年齢との戦い

ファシリテーターとしての今年の目標は、去年並みにきちっとやることです。希望は去年と同等以上にやりたいと考えています。ここ数年来変わらない目標と希望ですが…。今のところ気力は充実していますが、体力の低下を年々感じています。落ちないように自分なりに努力をし、起床後にはストレッチ、折を見てテニスやスイミングを続けています。せめて中高生に負けない程度の体力を維持していきたいです。やらなければいけないと思っています。こう考えることも一つの張り合いですね。ファシリテーターをできるかどうかは年齢との戦いになってきますが楽しいことはずっとやっていきたいですよね。そしていつまでも“青春”でいたいと思います。

                                         (20190111)

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