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エンジニアから行政書士への転身。徹底した自動化で、バックオフィスの無駄な時間を削減し続ける

overflowのバックオフィスを創業当時から一人で支え続ける井須健二(行政書士)。元エンジニアという肩書をもつ井須は、なぜoverflowで働き、どのようなチャレンジを続けているのでしょうか。これまでの軌跡をインタビューしました。

効率化・仕組化を徹底!
150名の請求書を、一人で瞬時に対応する。

ー 井須さんはoverflow創業時の2017年からジョインされているそうですが、まずは現在のoverflowでの仕事内容を教えてください。

経理・会計(請求書発行や支払い、月次決算)、法務(契約書作成、チェック)、労務(給与計算、経費精算)など、overflowのバックオフィスに関する全てに関わっています。

経理・会計は、ルーチンワークのような決まった業務を滞りなく行うようにしており、それに合わせて、事業管理や業務管理に必要なデータを、overflow経営陣に必要な時に速やかに提供できるように心がけています。

労務に関しては、overflowはライターさんをはじめとする業務委託が大変多いので、契約書の作成やチェック、月々の支払いの業務は、同じような規模のスタートアップに比べるとかなり多いと思います。

これらの業務に関しては、当初から今まで、業務の範疇・役割は特に変わっていません。

ただ、会社の成長・拡大に伴って、業務量や業務内容が増えてきているので、これらをどうやって効率化・仕組化していくことが求められていきます。

ー overflowはコンテンツマーケティング事業や人材マッチングのOffers事業を展開し、規模がどんどん拡大しています。特に業務委託の契約は今後もさらに増え続けていくのではないでしょうか?

そうですね。overflowをお手伝いいただいている業務委託の方は現在150名ほどいらっしゃるのですが、先日も「まだまだ数が足りない」と編集長の新留さんが言っていましたので、これからもどんどん増えていくと思います(笑)

そこで、業務委託のさらなる増加を見据えて、業務効率を徹底的に上げること、そしてその仕組みを構築することに現在は重点的に取り組んでいます。

最近はSaaSなどのツールが主流で、これらの便利なサービスはなるべく使用するようにしており、たとえば契約関係ではクラウドサインを導入しています。


ー クラウドサインはこれまでの紙での契約に比べて、圧倒的に手間が減りましたね。他にもどのような取組みがありますか?

業務委託の方ですと、月末に請求書の発行業務があると思うのですが、その発行作業の効率化を進めています。

具体的には、請求書入力フォームを用意し、そこに氏名や請求金額などの必要項目を入力・送信するだけで、自動的に請求書が発行できるというものです。

請求書入力フォームへのアクセスも、Slackでoverflowのワークスペースに登録されている方であれば、private channelで「/invoice」と入力すると、請求書入力フォームに飛ぶことができます。そして、そこから「請求書作成」にアクセスすると、前回の内容をコピーして簡単に請求書を作成することもできます。


フォーム送信後は、Slackbotに請求書を発行したことをお知らせするメッセージが届き、Googleドライブにアクセスして請求書の内容を確認できるようにしています。

また、Offersのクライアント様への契約書発行も最短10秒で送付まで完了できる仕組みになっています。

ー 業務委託のライターさんから「これだけで良いの? 便利すぎる!」という声も聞こえています。

それは嬉しいですね(笑)。業務委託の方でしたら、請求書を作成・発行すること自体が手間ですからね。それに管理する私も、請求書を一枚一枚確認したり、請求金額の数字を請求書から読み取ったりすることは手間です。

overflowでは先ほどご紹介した仕組みよって、スプレッドシートに150名の委託先の皆さんからの請求金額が自動的に一覧化できるので、最低限のチェック工数だけで済むようになりました。

ー 委託先がこれから増えたとしても、バックオフィスの工数が単純に比例することはなくなりそうですね。

はい。人の手を介すと、どうしてもミスが起きてしまうものです。だからといって、ダブルチェックの確認はさらに手間がかかってしまい、かえって悪循環になってしまうと思います。

こうした現状を踏まえ、なんとか上手くできないかと考えたのが、この仕組みの始まりです。overflowのメンバーはみんな業務委託ですので、今後も皆さんの煩わしさを無くしていきたいと思っています。

でも正直、まだまだ改善の余地もあると思いますので、既存のSaaSなどのツールもうまく活用しつつ、自社の業務のやり方・管理方法に最適な形で組み込み、一気通貫で自動的に処理できるような仕組みの構築を進めていきたいですね。

ー overflowでは「時間をふやす」というビジョンを掲げており、「効率化」や「仕組化」は重要な取組みですよね。まさに井須さんはoverflowのビジョンを体現されていると思います。

そう言っていただけると嬉しいですね。overflowは、データドリブンで事業を展開・管理している会社です。

請求書の効率化以外にも、CEOの鈴木さんと一緒に、事業計画のダッシュボードを構築して、未来の予測モデルを可視化する仕組みも作っています。

具体的には鈴木さんから「こういうことを実現したい!」という要望を聞き、そこから私が要素を分解・整理し、入力項目やフォーマットを決めていきます。

あとは各事業の数値(売上やコストなど)を入力していけば、近未来の事業予測を数値で把握できるようになるので、鈴木さんからは「意思決定が段違いに速くなった!」と好評をいただいています。

ー 仕組化することで経営の意思決定スピードを早め、その分はサービス力の強化などに時間を費やせるようになっているのですね。でも、予測モデルを経営者と一緒につくる行政書士って珍しいですよね?

そうかもしれません。でもこれは日本の製造業の現場では当たり前にやっていることなんです。ルール(規定)を決めて標準化し、それを日々運用して最大限の成果を発揮していく。

これはバックオフィスにもつながる考え方だと思いますし、エンジニア時代の経験も活きていると思っています。


40歳を過ぎてからのNEXTキャリア。
若い経営者と一緒に成長していきたい!

ー 井須さんは元エンジニアの行政書士ということで、かなりユニークな経歴の持ち主だと思いますが、これまでの経歴について教えてください。

1989年のバブル真っ只中の時代に、電機メーカーへ新卒で入社しました。配属されたのは半導体事業部という部門で、主にオーディオ用のLSI(オーディオ製品の中に使用される部品)の開発・設計を行う部署でした。

半導体事業部自体はその後、他社との事業統合をいくつか繰り返し、全く違う会社になってしまいましたが、会社生活の大半はこの仕事に従事していました。

ちなみに新卒入社した1989年は平成元年。そして今インタビューを受けしているのは令和元年ですから、時代の流れを感じますね(笑)

ー 「元年」つながりですね! ちなみにもう少し当時の業務内容について教えてください。

業務内容は、主に製品の回路設計(ハードウェア設計)でした。開発していた製品が比較的小規模で、顧客の用途に特化したカスタム的なものでしたので、顧客との仕様決めから回路設計、試作・評価、量産化、顧客対応まで、製品化のフロー全てに携わっていました。

また、メーカーであればどの会社もそうだと思いますが、製品開発部門が事業責任(収益責任)を担っていましたので、売上・コスト・損益については、入社当時から強く意識づけされました。これらの経験は、今の仕事に少し活かされていると思っています。

ー エンジニアから行政書士へ転向したのには、何かキッカケがあったのでしょうか?

40歳過ぎたくらいから、少しずつ第二のキャリアみたいなものを考え始め、当初は何か資格でも取っておこうという軽い気持ちでした。

受験資格に制限が無く、かつ門戸が開かれた国家資格として行政書士がありましたので、44歳のときに1回目の受験で合格することができました。

ー 資格取得後すぐに独立されたのでしょうか?

そうですね、合格した翌年に行政書士事務所を開業しました。スキル無し・コネ無し・金無しの開業でしたので、副業・転職・キャリア形成の考え方から見るとかなり無謀だったと思います。

とにかく開業後は、過去のコネには一切頼らなかったので、仕事もほとんどなく辛い時期ではありましたが、自分にとっては初めてのことばかりで、新しい気づきや知見が得られたことは、今振り返ると貴重な経験でした。

その時間の中で自分に何ができるか熟考した結果、以下の方向性を決めました。

 ・会社(法人)のサポート業務をする
 ・主にスタートアップ、ベンチャー企業を対象とする
 ・クライアントの一員として自分の役割を全うする

ー 「スタートアップ、ベンチャー企業を対象」というのはなぜですか?

いくつか背景はあるのですが、私はまっさらな状態から第二のキャリアを歩きはじめたので、スタートアップやベンチャー企業と一緒に成長していきたいという気持ちが強くありました。

また、これからの若い世代を育てていきたいという親心的なものもあったのかもしれません。

そして、スタートアップやベンチャー企業の中でも、可能であれば、テクノロジーを使って世の中に貢献しいく会社で、一緒に成長できたら良いなとも漠然とではありますが考えていました。

ー なるほど、そして開業して5年目にoverflowとの出会いがあったのですね!

はい。overflowは池尻のマンションの1室でスタートしたのですが、同じマンションの上の階に、田中さん(overflow創業者)のお知り合いで、株式会社パルミーの伊藤さんのオフィスがあり、そこで私がパルミーさんのバックオフィス業務をしていた関係でご紹介いただいたのがご縁です。

パルミーさんとは、創業直後から今も変わらずお付き合いさせていただいています。

ー パルミーさんと同じビルだったのは、以前のこちらの記事でもありました。そのときの田中さんとはどのようなコミュニケーションがあったのでしょうか?

最初は、パルミーさんのオフィスで、田中さんと30分くらい雑談などをして終わりました。

overflowはまだ創業間もなく、バックオフィスの人員が本当に必要か判断が難しいタイミングだったのですが、その後メールで何度かやりとりさせていただいて、3カ月後にジョインしました。

ー 創業直後のスタートアップにバックオフィス業務って正直そんなにないと思うのですが、何かキッカケがあったのでしょうか?

融資に関して、私が協力できる点があったためです。それをきっかけに、業務内容もバックオフィス全般というザックリした内容で、それ以外でも手伝えることがあればやりますよというスタンスでジョインしました。

ー 何となく自然の流れでoverflowにジョインした印象ですね。

そうですね。融資のお手伝いという名目はありましたが、何か大きな決め手があってoverflowにジョインしたというわけではなかったと思います。

鈴木さんや田中さんは、バックオフィス業務を引き受けてくれる人がいれば助かる。私の方は、スタートアップの創業時期からジョインして一緒に仕事ができて良かった。そういう考えだったのではないかと思います。


価値観を共有し、相手を最大限に尊重。
自分の領域で120%以上のチカラを発揮する。

ー overflowにジョインして約2年ほど経ちましたが、会社の成長は感じますか?

そうですね、売上も毎月伸び、それと共に業務委託のメンバーをはじめとした関係者も増えています。短期間でかなりの数が増え、会社としての勢いをまさに体感しています。これからどうなるか楽しみですし、これからも支えていきたいと思っています。

ー ちなみにoverflowはリモートワークを推奨していますが、井須さんはいかがでしょうか?

はい、基本はSlackでのコミュニケーションで、必要があればオフィスに来るようにしています。

当初、「最低でも週1回は出社しないといけないですか?」と鈴木さんに相談したことがありました。

やはり対面でのコミュニケーションは重要だと思いましたし、企業のカルチャーなど、同じ空間にいることで共有できることもあると思います。

ー 会うことが大事な場面もありますよね。それで鈴木さんはなんと?

「いや、別に出社しなくてもいいですよ」って即回答をもらいました。Slackがあれば大丈夫だと。それで「鈴木さんがそう言うなら……」ということで基本的に出社せず、やりとりはSlack上で完結させるようにしました。

最初は「本当にやっていけるのかな……」と実は心配していたのですが、その不安もすぐに無くなりました。

必要な連絡にはすぐに返答をいただけますし、他愛のない話にも皆さん付き合ってくれて、直接会わなくてもコミュニケーションは問題ありませんでした。これはすごいことだと思いましたね。

ー 実際にやってみるとリモートでも問題ないことがすぐに体感できたのですね。ちなみに経営陣に対する印象は以前と変わったりしていますか?

いえ、良い意味で当初と変わらないですね。経営陣からの細かいオーダーは特になく、「こうしたい!」というテーマや課題だけいただき、それを自分なりに考えて実行していくスタンスは創業時から変わっていません。

鈴木さんも田中さんも日々の業務における効率化や仕組化は大事にしていて、それは私も同じ考えなので、むしろ仕事も進めやすいと思います。

創業間もない会社は、必然的に人員も限られていますので、価値観を共有しながらそれぞれの領域で120%以上の成果を上げていくことが求められます。

overflowはそれが実現できていると思っているので、一緒に働いていて心地良いですよ。

ー つまり、「プロ意識」の高さを感じていると?

そうですね、overflowはプロ意識が強い人の集まりだと感じています。

プロとは専門性を持っていることに加え、自分の役割を理解し、一定以上の結果を常に出し続ける人だと思うんです。

自らPDCAを回して進めていくことは意外と難しいと思うのですが、そういうことが暗黙の了解で実現できている会社だと思っています。

少なくても私はそう思っていますし、これからもそうやっていくことで自分も成長を続けていきたいと思います。

ー 井須さん、ありがとうございました。

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