今回は、株式会社オプト(以下、オプト)にて、ストラテジー、クリエイティブ、メディアを包括するプランニング領域の統括部長を務める中村に、入社からこれまでのお話を伺いました。
<プロフィール>
中村駿介
2015年、オプトへ新卒入社し、メディアプランナー職に従事。
2019年、コミュニケーションプランニング部門の部長に就任。
2021年、ストラテジー、クリエイティブ、メディアを包括するプランニング領域の統括に就任。生活者の検索行動メカニズムに基づくコミュニケーションメソッドを用いたマーケティング支援を推進中。
自分のありたい姿と可能性を大切にする
――入社前はキャリアパスをどのように考えていましたか?
入社前から現在に至るまで、明確なキャリアパスを描いたことはありません。一方で、「成長し続ける」というありたい姿はずっとコアにあります。停滞を感じたくないという根源的な感情があり、「常に前に進んでいる、上昇している」と実感できると、自分自身が満たされるんです。オプトを選んだのも、自分の選択肢を広げて成長していける環境だと思ったからです。
就職活動は、デジタルマーケティング業界に絞って行いました。なぜなら、あらゆる企業活動に必須のマーケティングスキルと、成長速度の速いデジタル業界での知見があれば、選択肢を広く持って成長していけると考えたからです。そのなかで、決まった枠組みに沿って仕事をするのではなく、自ら考えて動ける自由度の高さが私に合っていると思い、オプトを選びました。最初の配属は市場が成熟しておらず、オプトとして新しい取り組みとなる動画広告領域を希望しました。市場にも会社にも正解がない領域なら、年次に関係なく自分が最も価値を発揮できる可能性がある。そうすれば、キャリアの選択肢やさまざまなチャンスが増えると考えていました。
常に一つ、二つ上の視座でコトに向き合う
――入社後、どのような気持ちでお仕事をされていましたか?
早く成長したいと意気込んでいましたが、入社1年目は思い描いた成果を出せず、悔しい思いをしていました。もがいているなかで、まずは憧れの人の背中を追いかけてみようと決めました。当時のマネージャーは、若手でありながら新境地を開拓し、成果を残し、社内表彰も複数受賞している憧れの存在でした。まずはこの人を模倣しようと考え、資料づくりからプレゼンテーションにおける話し方まで、完全に再現できるようにしました。何度も繰り返すなかで、ただ真似るだけではなく、徐々にその人の発言や意思決定の背景を考えるようになりました。すると、自然に自身の視座も上がり、それが、結果的には私個人だけではなく、チームの成果にもつながるようになりました。このような経緯もあって、入社4年目にはマネージャーに任命いただくことができました。
――入社から現在にかけて、何がモチベーションになっているのでしょうか?
モチベーションを意識したことはないですね。何かをモチベーションにしているとその何かが揺らいだときにモチベーションが下がる可能性があります。私の場合は、モチベーションではなく「成長を実感し続けていたい」というマインドセットがあるためか、一定のスタンスで仕事に向き合えています。昔から少年漫画が大好きで、その影響を色濃く受けていますね(笑)。
自分のなかにあるキャパシティを箱に例えるとしたら、箱の密度を高め、空白を生みたくないという感覚があるんです。常に箱を満たすために全力で動き続け、満たされてくると、箱がひと回り大きくなるタイミングがくる。そして、また満たしていく。これを繰り返し続けています。箱を満たすために行動と挑戦を続けていくなかで、マネージャーという役割を担ってきました。
予想外の異動と部長への昇進
――ご自身の成長も実感されていたと思いますが、次の新しい挑戦はどのようなものでしたか?
ここまでお話してきたように、動画広告の施策を実行する運用コンサルタントとしてのミッションを遂行していましたが、自分の仕事の質を高めるには、今のミッションの上段にある戦略プランニングのスキルが必要だと感じるようになりました。そこで、マーケティングの上流にあるブランドの課題に向き合ったり、メッセージを届けたい相手を軸に考えるような戦略プランナーとしての動きもするようになりました。
さらに、社内はもちろん、市場全体を見渡しても、同じ領域を担う人たちと同じことだけをやっていても飛び抜けた成果は出せないと思いました。そこで、デジタルマーケティングの分野ではあまり取り組みが進んでいないと感じていたアカデミックな知識をインプットし、自分の仕事に転用することにも挑戦し始めました。
そのようなタイミングで、社長をはじめ役員陣から、部署の異動と別組織である戦略プランニング部の部長職への就任を直接打診されました。以前からプランナーの能力を身に付けたいとは思っていましたが、部署異動も部長になることもまったく予想していませんでした。二つ返事で引き受けましたが、驚きと喜びで顔が引きつっていたと思います。
――役割を打診される前から、高い視座と行動があっての抜擢なのですね。
自ら守備範囲をはみ出して「新しい価値創造」に向けたアクションをしていたからこそ、部長になる機会をいただけたのだと思います。
ただ、打診を「受けます」と答えた時点では、不安を拭い切れていませんでした。自分の持ち場からはみ出して行動していた領域ではあったものの、本職としては未経験。さらに、メンバーのほとんどが先輩でした。チームの皆さんが自分についてきてくれるだろうかという不安が大きかったです。
私にできることは、圧倒的な行動量に尽きると考えました。部長でありながらプレイヤーの業務も行い、メンバーの誰よりも知識やスキルがある状態で、誰よりも成果を出すという意識で動いていました。次第に「これ以上やっている人はいないだろう」という自負が芽生えて、不安が払拭されていきました。部署の先輩方は、最初から応援の姿勢でいてくださったと後から知ったのですが、関連部署やお客さまにはやはり行動量で信頼を築いていったと感じています。
統括部長になるときには、すでに準備ができていた
――その後、部長から統括部長への打診があったんですね。
部長の打診をいただいたときとは違い、準備が整っている状態でした。私が担う統括部長は当時存在しないポジションでしたが、もともと部署間の連携を強めればアウトプットの質が上がると考え、同じ領域内の関連部署と積極的にコミュニケーションを取るようにしていたんです。私の部署を含めた3つのチームの統括という立場は、まさに必要だと感じていたタイミングでの打診だったこともあり、光栄でした。視座を高くして仕事に臨む姿勢を評価いただけたのではないかと思います。さらに、異なる領域の部署を経験してきたことで、スキルセットとしても統括の立場を活かせる状態になっていました。今回のチャンスも飛んできたからには必ず掴む。自分の範囲にとらわれずに行動してきた過去がつながって、機会を得たように思います。
――これまでの役職を通して、仕事への向き合い方に変化はありましたか?
一番の変化は、与えられた仕事を最大限実行する立場から、仕事を創出する立場になったことです。会社のために組織として何を目指すのか、メンバーそれぞれのビジョンとスキルはどうなのか。これらを徹底的に考えて仕事に落とし込むことが役職者の役割だと考えています。メンバーの立場で「与えられたミッションに対して、どうやってそれ以上の価値を発揮するか」を考えていたときとまったく異なる思考です。自分が組織やビジネス構造すらも変えられる。「前提条件をも変えていけるんだ」という感覚を強く持てるようになりました。よりベストなあり方を考えられるようになり、自分の箱がまた一段と大きくなったと感じます。
はみ出すほどの行動量が、後悔のないキャリアを描く
――キャリアパスを事前に描かず、領域をはみ出すほど目の前の仕事に向き合うことで、巡ってくるチャンスに飛び込む。こうしたキャリアの築き方の良さはなんでしょうか?
思いがけないチャンスにめぐり合うことや、自分では描けないようなキャリアの広がりがあることです。想定外のチャンスへの挑戦が、それまでの自分では想像できないような大きな成長や学びをもたらしてくれました。もともとキャリアパスを描いていないため、「あの時に動いていれば」という後悔もないです。もちろん直接的にキャリアにつながらないこともあります。ただ、選択肢を広げておいたことが、後から振り返ってみると偶然にもチャンスを手繰り寄せることにつながったと感じます。
逆算型でキャリアを描けば、最短でゴールにたどり着くことができると思いますが、みんながみんな、そうする必要はないと思います。オプトは領域をはみ出すことや、自ら考えて行動する姿勢が評価され、そういう人に挑戦の機会が巡ってきます。自分では想像していなかったチャンスに出会いやすい環境だと思います。