Nateeは2025年11月に8期を迎えました。経営も新体制となり、代表取締役CEOに大江、取締役CHROに西林が就任しました。
株式会社Natee、8期を迎え新経営体制へ移行株式会社Nateeのプレスリリース
西林は2年前から事業と兼務しながらHRの責任者を務め、Nateeの組織拡大・組織力向上を牽引してきました。そんな西林が、Nateeの組織づくりにおいて参考にしたのが、YOUTRUSTの代表取締役CEOである岩崎由夏さんが2024年10月にnoteで発信した「ビジネスパーソン心得五十四条」です。
今回はYOUTRUST代表取締役CEOの岩崎さんをお招きし、HR領域への思いや組織づくりで大切にしていることを聞きました。岩崎さんが語る組織づくりの哲学と、それを実践するNatee西林の対話から、Nateeが目指す「強い組織」へのビジョンをお伝えします。
▼プロフィール:
岩崎 由夏(いわさき ゆか)
大阪大学理学部卒業後、2012年株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社し、2016年子会社に経営企画として出向。採用担当として経験を積む中で、求職者にとってフェアでない転職市場に違和感を覚え起業を決意。「日本のモメンタムを上げる 偉大な会社を創る」というビジョンを掲げる、株式会社YOUTRUSTを2017年に設立。2018年4月にリリースしたキャリアSNS「YOUTRUST」は、信頼できるつながりからキャリア・オポチュニティに出会えるサービスで、累計ユーザー数は約40万人に成長。同時に転職潜在層が集まるSNSの独自性を基盤にしたネットワークリクルーティングサービスも法人向けに展開。
西林 翔太(にしばやし しょうた)
2014年新卒で株式会社D2Cに入社し、電通に出向してデジタル広告のバイイングを担当。その後、株式会社LibalentではSNSプラットフォーム×エンタメ領域での広告企画に従事し、執行役員として組織マネジメントも経験。
2022年8月にNatee入社。代理店向け営業組織をゼロから立ち上げ部長を務めた後、2024年6月よりHR本部長を兼任し採用・組織領域を統括。同年8月、執行役員に就任。2025年11月より取締役CHRO。
Nateeの経営危機&組織の疲弊感。ポジティブな組織づくりのためにYOUTRUST岩崎さんから受けた影響
━━今日は、YOUTRUST代表の岩崎さんをお迎えして、“強い組織づくりとバリュー”をテーマにお話を伺っていきます。よろしくお願いします。
西林: 実は僕がHR領域への挑戦を本格的に始めた頃、手探りで組織づくりを模索していて。そのときに拝見したのが岩崎さんのnoteでした。HRの仕事に取り組む上で、ものすごく影響を受けたんです。今日は対談できるということで、とても楽しみにしていました!
岩崎: うれしいです(笑)。 今回、新体制を迎えるにあたって、Nateeさんの組織やカルチャーづくりの構想をお伺いできること、楽しみにしています。
━━そもそも西林さんが採用・組織づくりのHR領域を統括するようになった経緯を教えてください。
西林:今から3年ほど前に、Nateeは経営危機を経験しました。資金ショートが間近に迫る中、全員で必死になって乗り越え業績は回復。「生き残るために働く」を経験したNateeは筋肉質な組織にはなりましたが、同時に大きな疲労感が残っていました。
当時の僕は代理店セールス部門の責任者として、メンバーたちがNateeで働く意味と価値を再認識してもらうために、チームの一体感づくりにこだわっていたんです。
その取り組みをきっかけに、次第に「チームづくり」から「事業部全体の組織づくり」へと関心が広がっていきました。
そのなかで、当時の代表の小島が6期の全社キックオフイベントで「Stay Positive」というスローガンを掲げました。仕事に、そして人生に対して能動的に向き合おうというメッセージに私も共感し、小島の思いを組織に浸透させるべくHR責任者に手を挙げたんです。
━━「Stay Positive」はすぐに浸透したのでしょうか?
西林:いや、時間はかかりましたね。どんなに強いメッセージも、言葉を掲げるだけでは浸透しません。
仲間を集めて「ステポジ委員会」を立ち上げ、「Stay Positive」を社内に根付かせるための施策を講じました。メンバーの功績を称える社内アワードの創設や周年イベントのクオリティを格段に上げたり、努めて盛り上げることで明るい空気感を醸成しました。社員たちにも受け身で「盛り上がる」ではなく主体的に「盛り上げる」ことが大事であると何度も伝えました。
また個人的にテーマにしていたのは組織の”温度”を上げて、”湿度”を下げることです。採用面では必ず僕が1次面談を担当することにし、明るくカラッとした人という採用基準を徹底しました。
そんなふうに6期を駆け抜けた結果、業績も黒字化し、クリエイターへの報酬還元総額が累計で22億円を突破。大変な日々だったけど、間違いなくクライアントへの価値や、クリエイターへの報酬還元という形につながっていく。事業の意義を再認識できた1年だったと思います。
━━HRに向き合う中で、YOUTRUST岩崎さんから多大な影響を受けたそうですね。
西林:はい。手探りでHR施策を進めていましたが、やればやるほどHRを体系的に学ぶべきだと思うようになりました。その道のプロから学ぼうと様々なインプットを得る中で、最も刺さったのが岩崎さんが発信されていた「ビジネスパーソン心得五十四条」というnoteでした。キャッチーでありながら手触り感があり、自分たちの行動を変える力のある言葉が並んでいたんです。
▼ビジネスパーソン心得五十四条
ここで書かれていることをNateeの状況に合わせて発信したり、時にはそのまま全社ミーティングで共有したり。特に「努めて元気」や「リーダーシップのある人はフォロワーシップも高い」といった話は、メンバーにもすごく響いていました。
━━「ビジネスパーソン心得五十四条」はどんな意図で発信されたのでしょうか?
岩崎:職種や業種は違えど、全てのビジネスパーソンに共通する「社会人としてのルールブック」があると私は考えています。優秀なビジネスパーソンなら、誰もが当たり前のように実践しているルールです。
例えば、「マネージャーになりたいのに、居酒屋で会社の愚痴をこぼしている」という人。そんな人を会社がマネージャーに昇格させるわけがないですよね。でも、そういったルールのようなものを誰かが教えてくれるとは限りません。だからこそ経営トップが、しっかりとメンバーに伝えていく責任があります。これはたまたま社外にも発信しましたが、日々思うことがあれば、常に社内メンバーには共有するようにしています。また言語化しておくというのは、組織にとって有利に働くんです。都度指摘しなくても、メンバーがルールブックをもとに自走してくれますから。
優れた言葉は、前向きな変化の起爆剤になる
━━岩崎さんには、今年の6月にNateeでスタンスやカルチャーに関する勉強会で講師を務めていただきました。
岩崎:勉強会でのNateeの雰囲気、めちゃくちゃ良かったです。私が入った瞬間、社内が良い意味でざわざわしていて(笑)、待ち構えてくれている感がありました。とても熱心に話を聴いてくれたし、質問も多かったなと。成長のベクトルが上向きになっている組織だと感じました。
西林:嬉しいです。実はNatee社員の前でお話してもらう機会を1年ぐらい前から狙っていたんですが、ベストなタイミングを図っていて。せっかくお呼びするなら岩崎さんの言葉が一番響く組織コンディションのときが良いなと思っていて、それがこのタイミングだったんです。
期待通り、自分ごととして捉えてくれたメンバーが多かったです。岩崎さんに伝えていただいた「元気は利益」や、「シャニカマ(斜に構える人)になるな」といった言葉は、Natee内でも浸透しましたね。
━━岩崎さんの影響で、まさにポジティブに変化したメンバーもいたんですよね。
西林:そうなんです。特に印象的だったのが、リーダーを担うことに苦手意識を持っていたメンバーが、岩崎さんの「努めて元気」という言葉に触発され、マネジメントで実践するようになったことです。飄々とした性格だった彼が、「何かを成し遂げるには『努めて』明るく振る舞うこと。そうすることで、会社全体の空気を良くできるし、成果が出しやすいチームを作れる」と気付き、仲間を引っ張ってくれています。
※セールスユニットリーダー圓谷のインタビュー記事
岩崎:私は「無理の先にしか何かはない」と常々言っているんですが、その彼も「良い無理」をしているんだと思いますね。新しい自分になるためのチャレンジゾーンに身を置いている。
人間誰しも、「嫌だな・苦手だな」と思う仕事はありますよね。でも、そういう仕事に毎日向き合っていった先にしか、本人の成長はありません。「嫌だな」に向き合わない人生は個人的にも嫌だし、そんな人が集まる会社にはしたくないと思っています。
西林:あと、YOUTRUSTさんの会社に置いてある銅鑼(メンバーが目標を達成した時に鳴らす)に感化されて、リーダー陣が「鐘」を買ってきたんですよ。(笑)
リーダー陣が主体的に会社を盛り上げようとする姿はとても嬉しかったですね。小さな鐘なんですけど、良いことがあったときにNateeではこれを鳴らしています。
YOUTRUSTオフィスに設置されている銅鑼
銅鑼に影響を受けてNateeに導入した「鐘」
オフィス移転のタイミングでしっかりしたものを常設予定です(笑)
━━Nateeは11月からの新体制に向け、「Natee Commitment」という形でバリューを再策定しました。どんなプロセスで決めたのでしょうか?
西林:11月から新体制を迎えるにあたり、改めてNateeのミッションや組織のあり方について考えました。組織規模も大きくなる中、一人ひとりがやるべきことを明確にするためのバリューを考えることにしたんです。
9月に実施した箱根でのオフサイトミーティングで、全メンバーが参加するワークでバリューについて議論しました。その後、経営陣で検討を重ね、「Natee Commitment」という形で新しいバリューを策定しました。
━━当初の「Natee Style」から、「Natee Commitment」としたのはなぜですか?
西林:はい。実はこれも、岩崎さんから影響を受けています。YOUTRUSTさんは「YOUPROMISE」を策定されています。これは約束事だよというメッセージであると岩崎さんがおっしゃっていて。
なので今回Nateeでは、明確に責任も伴う約束として「コミットメント」という言葉を採用しました。
今回の再策定においてもStyleという選べるものではなく、Commitmentという責任を伴う約束であるという表現にはこだわりました。
企業の“くささ”まで伝わるバリュー。策定したNatee Commitmentとは?
━━では改めて、策定した「Natee Commitment」について教えてください。
西林:最終的に選んだのは、以下の3つの言葉です。実は結果的に4年前に策定したものから大きく刷新はしなかったのですが、改めて意味合いがしっかり伝わるようにシャープにリバイスしています。
まず、Respect。
大前提としてすべてのステークホルダーに敬意を持つこと。これはNateeで働くうえでの土台になります。
また、今回大事にして伝えていきたいのは「尊重」と「対話」です。仲間に対してフィードバックが必要な時も、双方にリスペクトがあればしっかり伝わる。だから臆せず対話しようというメッセージです。
次に、Handle。
実は「ハンドルを握る」という言葉はNatee内でよく使われる表現です。社内外の機会を見つけ、自ら手を上げ推進すること。もっと言うと会社の課題を自分ごととして捉え、自ら解決に動く。Nateeでは働く人はこの基準でいてほしいと強く思っています。
最後に、Leverage。
最大成果がでるセンターピンを常に探す。そのために必要な断捨離や権限移譲はどんどんやっていこうというメッセージです。また、Leverageには「自分自身のキャリアにレバをかけてほしい」という思いも含んでおり、「良い無理」をしているメンバーには必ずその跳ね返りが返ってくる。だから今ぐっと頑張ろうよというメッセージでもあります。
━━岩崎さん、いかがですか?
岩崎:バリューは言葉自体を評価するものではなく、一人ひとりがどれだけ「自分の言葉」として捉えられるかが重要です。Nateeの新しいコミットメントは、行動につながる、強い意思を感じる言葉だと感じました。特に「Handle」という、オーナーシップを強調する言葉は、Nateeらしい熱量を感じさせるものだと思いました。
今後はメンバーの皆さんの納得感を醸成しつつ、組織への浸透を図れるかが鍵になります。
━━YOUTRUSTが2024年2月にバリューを刷新した際、どんなことを重視したのでしょうか。
岩崎:これはバリュー刷新後に言語化できたのですが、“YOUTRUSTくささ”を大切にしていました。会社の“カラー”では弱い。YOUTRUSTと聞いただけで、その会社だと分かる”くささ”を感じさせるような言葉にこだわっていました。
強い会社というのは、独自の“におい”を持っているように感じます。「この人、○○っぽいな」というか。YOUTRUSTのメンバーにも、そんな“くささ”を持ってほしいと期待しています。
西林:Nateeの「Handle」も、まさに“Nateeくささ”につながる言葉かなと思いました。バリューを議論した際も、「『Handle』という言葉は残したい」という声は多く上がっていたんです。「Natee Commitment」を機に、Nateeの強みである主体性やオーナーシップをさらに磨いていきたいです。
━━バリューは組織への浸透が重要です。YOUTRUSTはどんな取り組みをしていますか?
岩崎:シンプルにインプレッションですね。普段、どれくらい「YOUPROMISE」を見る機会があるかどうかが大切なので、オフィスのあらゆるところにポスターを掲示しています。“うっとうしい”と思われるくらいが、ちょうど良いんです。
またYOUTRUSTでは表彰文化も重視しています。毎月バリューに基づく「YOUPROMISE賞」を選出し、メンバーを称えています。そして彼らには1ヶ月間、栄誉を称えた三種の神器も手渡しています。
YOUTRUSTオフィスに掲出される「YOUPROMISE」ポスター
━━三種の神器とは……?
岩崎:「YOUPROMISE」に基づき、
剣:「元気は、利益。」賞
勾玉:「変化を起こせ。」賞
鏡:「やりきってるか?」賞
をグッズとして渡しているんです。オフィスで元気がないメンバーがいたら、この剣で喝を入れられるそうですよ(笑)。全て自作で、それなりに費用もかかりましたが、受賞者も誇りに感じてくれています。
西林:実際に現物をみると、しっかりつくってあるんですね!私たちも表彰文化には力を入れるつもりです。Natee Commitmentにひもづけたグッズを創りたいですね。ハンドルはめっちゃいいの作れそう(笑)!他に岩崎さんが意識していることはありますか?
岩崎:けっこう地味なこともしていますよ。例えばSlack。もちろん「YOUPROMISE」の各スタンプもつくっていますが、それだけでは不十分です。
私は各チャンネルを覗いて、良い動き方をしているなと思ったら、そっとスタンプを押すんです。私が直接関与していないプロジェクトだったとしても。社長からスタンプを押されるとびっくりしますよね(笑)。でも、そんな地道な積み重ねが、バリューの浸透、そして組織のカルチャーづくりに寄与していくと思っています。
明るい組織から、強い組織へ
━━新体制では、CEOの大江さんとどのような役割分担になるのでしょうか。
西林:シンプルにいうと大江が事業を、僕が人事、組織を管掌します。
リーダーシップのPM理論で話すと、大江はPが強いリーダーで僕はMが強いリーダーです。
大江はNatee入社以降、Nateeのミッションを一日も忘れずにフルコミットしてきました。また今でも常に最前線でクライアントに向き合っており、背中で組織を牽引していくリーダーです。
一方で僕は全体に対して発信したり、適材適所の配置を行ったりと、プロデューサーとして組織に向き合えることが強みです。
ここはかなりの補完関係にあり、それぞれの強みを生かしながら、Nateeを経営していくつもりです。
━━西林さんがHRに専念する一方で、岩崎さんは代表として事業全体を見ながら、CHROの役割も兼ねるというスタイルですね。
岩崎:経営陣がどんな役割を担うかは各社で事情が異なるため、個々に考えるべきテーマだと思います。私が意識しているのは、「社長でなくてはいけない仕事は何か」という点です。例えば事業戦略は誰がつくってもいいですよね。経営トップが“負ける”戦略しかつくれないのであれば、COOや外部コンサルに依頼して“勝てる”戦略をつくってもらった方が良いわけです。
YOUTRUSTは、そもそも事業ドメインがHRです。経営トップの私もHRが得意なので、採用や組織づくりの要所で私が関与することが、組織成長にとって最もレバレッジが効くと判断しています。
━━ありがとうございます。では最後に、西林さんから今後のNateeの組織づくりの展望についてお願いします。
西林:現在Nateeは外からみても内からみても明るい組織になったと思います。ただこれから目指す組織は強い組織であり、「明るい」は「強い」の一要素であると考えています。
Nateeより良い条件で転職できるし、独立だってできるのに、ずっとNateeでコミットしている。そんな人達がより多くいる状態が強い組織だと思っています。
今のNateeにはこんなポテンシャルを秘めているメンバーが沢山いますし、彼らと一緒にYOUTRUSTさんのような強い組織をつくっていきたいですね。
岩崎:Nateeさんは“明るさ”という強いカルチャーの土台がすでにあるから、これからどんな進化をしていくのか楽しみです。組織づくりって、それぞれの会社だけの話ではなく、日本全体のビジネスの土台を強くしていくことだと思っています。
お互い、いい組織をつくっていく仲間として、これからも頑張っていきましょう!