Nateeは2025年11月に8期を迎え、新体制へと歩みを進めます。
株式会社Natee、8期を迎え新経営体制へ移行株式会社Nateeのプレスリリース
セールス責任者として事業を牽引する大塚は、これまで数多くのクライアントとのプロジェクトを手掛けてきました。その代表例が、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社(以下、ユニリーバ)との取り組みです。
ユニリーバは長年、テレビCMをはじめとするマス広告を中心にコミュニケーション施策を展開してきました。現在はSNS領域への投資を増やし、”Social First”なマーケティングに力を入れています。
今回は、ユニリーバでPersonal Care(ボディウォッシュ、デオドラント)商品を統括する前納有紀子さんをお招きしました。ブランドを成長させるための”Social First”の意義、長期的なブランド戦略、そして今後の展望について深くお聞きします。
Nateeが目指すのは、ブランドが成果を生み続けるための共創関係を築くこと。ユニリーバの変革に伴走する大塚との対話から、事業成長を加速させるパートナーシップのあり方についてお伝えします。
▼プロフィール:
前納 有紀子(まえの ゆきこ)
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社のディレクター。ボディウォッシュおよびデオドラント商品のブランド戦略やマーケティング、事業計画の策定および実行を担う。日本の市場特性を踏まえたソーシャルマーケティングを推進し、「ダヴ クリーミースクラブ」など多くのヒットキャンペーンを生み出し、ブランドの価値向上に貢献している。
大塚 宥吾(おおつか ゆうご)
上智大学を卒業後、マイクロアドに入社、新規事業開発を経験。2018年にKaizen Platformに転職し、動画事業の立ち上げ期から営業やカスタマーサクセス、事業企画など幅広い業務に携わる。上場後は事業責任者も務めた。2023年、Nateeにジョイン。SNSマーケティングのセールス責任者として、「日本一成果を出す事業づくり」に熱中しながら、「最強の若者集団創り」にコミットしている。
日本市場の特性を踏まえたSocial First施策を推進
━━本日は、ユニリーバの前納さんをお迎えしました。ブランド視点からSNSマーケティングの可能性について、様々な話をお聞きできればと思います。
大塚:前納さんはマーケターとして第一線で活躍され、ユニリーバさんが手掛けるブランドに大きなインパクトを与え続けている方です。数多くのヒット商品を市場に送り出してきたうえ、組織のSocial First推進も粘り強く行っており、リーダーシップの面でも常に勉強させてもらっています。
前納:ありがとうございます。Nateeさんとの取り組みは、ユニリーバの事業にとって大きな転換点だったように思います。これまでマスマーケティング中心だった当社に、「Social First」という概念がもたらされたわけですから。
━━改めて、ユニリーバが掲げる"Social First”の定義を教えていただけますか?
前納:社内では「Social First」と呼んでいますが、正式には「Social First Demand Generation」です。目的はデマンドジェネレーション、「需要喚起」になります。
つまり、ゴールに置いているのは「この商品を使ってみたい」という人を増やすことなんですよね。そのうえで、生活者のメディア利用動向や消費行動が変化している今、一人ひとりの興味・関心に寄り添ったメッセージ発信が重要です。その有効な手段(How)としてSocialを位置づけている、というのがユニリーバの掲げる"Social First Demand Generation”の考え方です。
━━前納さんから「マスマーケティングが中心だった」とのお話がありましたが、Social Firstへの舵切りはスムーズだったのでしょうか?
前納:いいえ、この舵切りには数年を要しました。SNSへの注力が必要だと分かってはいたものの、これまでマス広告で成功体験を積み上げてきたため、戦略を根本から変えるのは非常に難しい判断でした。
大塚:どのようなロジックで意思決定されたのでしょうか?
前納:私たちにはメディア投資の原則として、短期的なリターンよりも、長期的なブランド育成を追うべきという考えがあります。単発の施策で認知を広げることもありますが、ユニリーバとしては「何年もかけてブランドを育て、消費者に『これは自分のための商品だ』と感じていただく」ことを重視しています。その上で、5年後もブランドが生き残るために市場を冷静に見つめ直した結果、SNS領域への投資は絶対に必要だと判断しました。
そして実際に投資したところ、効果は目に見えて上がりました。私たちが考えていた以上に、SNSというプラットフォームが持つ影響力が大きくなっている、ということを実感しましたね。
━━施策を進める際に、日本市場の特性も意識されましたか?
前納:かなり意識しています。というのも、日本市場は他地域と大きく特性が異なるからです。美容に関する興味・関心や、商品の購入動機、クチコミへの信頼度など、消費者の行動様式が違うのです。
日本の消費者の特徴のひとつに、納得感を重視するという傾向があります。「この商品がなぜ優れているのか」、「他の商品ではなく、これを選ぶ意味は何か」ということを真剣に捉えている。そのため、商品購入のロジックや納得感をいかに高めていくかという視点で、メディア選定やクリエイティブのつくり方を慎重に配慮しています。
クリエイター共創マーケティングで、ヒットキャンペーンを生み出す
━━Nateeとユニリーバが実施した、クリエイター共創の企画ワークショップについてお聞きします。まずはワークショップ実施に至った経緯について教えてください。
大塚:2023年時点で、いわゆるインフルエンサーと呼ばれるクリエイターの価値は今ほど高く評価されておらず、「縦動画の中で踊っている人たち」というイメージを持つ人も多かったと思います。
そんな中で、ユニリーバの皆さんはSNSマーケティングの必要性を実感されていました。ただ、まだ事例も少なく、取り組み方を模索してされているという状態だったように思います。そこでNateeがワークショップという形で、クリエイターとマーケターの接点をつくり、直接コミュニケーションをとれるようにしました。
━━クリエイターと接することで、彼らの価値を実感してもらおうとしたのですね。
大塚:まさに。ワークショップでは、直接クリエイターの話を聞き、彼らがどんな視点で動画を企画し、どう撮影しているのかを間近で見ていただきました。そうしたリアルなプロセスを体感することで、「クリエイターと一緒にものづくりをすれば、新しい価値が生まれる」と実感していただきました。
それ以降、ユニリーバさんの中でもクリエイターとの共創に対する意識が一気に前向きになったと感じています。
前納:参加したマーケター全員が「これはやらないとマズイ」とすぐに感じたようです。当社がこれまで行ってきたワークショップの中で特に高い満足度となり、すぐに次の施策につながりました。
━━代表的な成功事例として、Nateeがコンセプトづくりから関わらせて頂いた「ダヴ クリーミースクラブ」のキャンペーンについて詳しく聞かせてください。
前納:ボディスクラブ市場は世界的に成長している一方で、日本では認知こそあるものの、使用率がなかなか伸びていませんでした。そこでNateeさんには、「スクラブ未経験層にも届く、新しいコミュニケーションを一緒に考えてほしい」とお願いしたんです。
大塚:浸透率が低いカテゴリの中でもシェアが高いブランドだったため、ブランドの成長のためには競合からのリプレイスだけでなく、カテゴリ新規のユーザー(スクラブ未経験者)の獲得が必要だと考えました。
普段ボディスクラブ商品を使っていない消費者に調査を行ったところ、「スクラブは肌に良くない」、「痛い」、「ボディスクラブ商品ならではの価値が良く分からない」といったイメージが根強く、もう一段階ブレイクさせるための新しい打ち手が必要でした。
そこで、なめらかなテクスチャーの良さを「ふわとろ」と表現し、プランニングの軸としました。また商品の価値をそのまま伝えるのではなく、SNSでトレンドになっていた「バブみ」という言葉に結びつけました。「バブみ」とは、“赤ちゃんのようにピュアで、守ってあげたくなるような雰囲気”という意味。キャンペーンでは「ふわとろバブみ肌」と表現し、消費者が商品の価値をイメージしやすいよう工夫しました。
前納:SNSや商品レビューでも、「どうやってバブみ肌をつくるの?」といった声で盛り上がっています。社内だけでは「バブみ」という表現は生まれなかったでしょうね。普段から、SNSに浸かっていないと、着想すら難しかったと思います。
━━キャンペーン設計についても具体的に教えて頂けますか?
大塚:「#ふわとろDoveでバブみ肌」を合言葉に、Vlog・カップル・美容レビューの軸でクリエイターを起用し、“触れたくなる肌”を多面的に訴求しました。初速の再生が高いクリエイティブはTopView広告にして波状的に配信するなど、リアルタイムでPDCAを回すフルファネル施策を構築しました。
Xでも“ふわとろスクラブ”という口コミが生まれていたので、それをTikTokへ移植し、ブランドのモメンタムを最大化する戦略を取りました。その結果、UGCが自然発生し、『痛そう』『高そう』といったボディスクラブ特有のハードルを解消できたと考えています。
前納:”正解”を固定化せず、仮説は立てつつも「まずはやってみよう」という挑戦的な心構えでSNSのキャンペーンを組み立てていたことですね。キャンペーン後も改善を加え、最大のインパクトが出そうなところに収斂していくプロセスが印象的でした。
▼実際に投稿したクリエイティブの一部
https://www.tiktok.com/@mukkana0510/video/7356920689485565191
https://www.tiktok.com/@ayanodagane32/video/7451560231319932167
https://www.tiktok.com/@hitoedes13/video/7403664564492963079
https://www.tiktok.com/@yuna_hoshino_official/video/7356574571694214401
━━キャンペーンの効果を具体的に伺えますか?
前納:「ふわとろバブみ肌」という面白く新鮮なワードが、オンライン上での話題化を大きく後押ししてくれました。
実際に、20〜39歳女性の新規購入率が大幅に伸び、特に20代では購入率が前年比3倍に。2025年5月には、ダヴ スクラブシリーズの累計販売個数が520万個* を突破するまでに成長しました。今では、ボディスクラブはユニリーバにとって事業を牽引する重要なカテゴリーのひとつになっています。
* ダヴ ボディスクラブカテゴリの出荷実績より(2021年1月~2025年5月 ユニリーバ調べ)
驚きと発見を生み出す、ブランドの共創パートナーとは
━━前納さんはこれからの時代のマーケティングにおいて、どんなパートナーが必要だと考えていますか?
前納:一言でいうと、私たちにできないことをやってくれる方です。社内では考えられなかった視点を提供してくれたり、驚くような提案をしていただいたり。新しいこと、驚きに満ち溢れたことを提示いただくことを期待しています。
大塚:まさに私たちが日頃から意識していることですね。前納さんのチームで思いつくような施策を提案するだけでは、私たちが存在する意味はありません。“言われたことだけやる”といったスタンスは論外で、常にクライアントと共に、“やるべきことは何か”から一緒に考えるようにしています。
前納:消費者も、楽しさや新しさを求めていると思います。私たちもブランドとして、ポジティブサプライズを提供し続けたい。自分たちでできることには限界があるので、時代に合わせたアウトプットを形にできる方がパートナーになり、当社のマーケティングを支援いただけると嬉しいです。
━━大塚さんは、パートナーとしてクライアントに向き合う際、どんなことを意識していますか?
大塚:いつも心に留めているのは、「私たちの売上はクライアントにとってコストである」という事実です。私も事業を預かる身として、事業全体の収益を意識しながら仕事に臨みますが、クライアントのコストだけを増やしてしまうのは本末転倒です。Nateeの事業成長は、クライアントの成果創出とセットになっていなければならないと考えています。
Nateeが介在することで、ユニリーバの皆さんだけではできないことをできるようにする。短期的でなく、3〜5年といったスパンで成果につなげられるよう努めています。
前納:少し話は逸れますが、ユニリーバとNateeって、資料のつくり方が似ている気がします。どちらも成果を重視する社風といいますか。資料を通じて、思考プロセスやロジックを垣間見るのですが、そのたびに共感できる部分が多いなと感じています。
━━両社とも成果に至るまでのロジックを重視しているんですね。
前納:ただ最終的に、消費者が触れるのはビジュアルやショートムービーといった、クリエイティブの部分です。いくらロジックを積み上げても、クリエイティブが魅力的でなければ消費者は離れてしまいます。ロジックは計画を立てる上で不可欠ですが、最終的なアウトプットのための素養や能力も求められます。そういった意味で、Nateeさんはクリエイティブな感性も併せ持つ心強いパートナーだと思いますね。
今のやり方にこだわらず、ブランドの本質的な課題に向き合うパートナーでありたい
━━今後のユニリーバのブランド戦略において、SNSの役割はどのように変わっていくと考えますか。
前納:SNSのプラットフォームは時代と共に変化していくため、今のやり方がこれからも通用するのかは分かりません。ただ、常に変化・進化し続けるのがSNSの特性ゆえに、新しいことを積極的に試し続ける姿勢が大切だと考えています。
時代の流れを適切にキャッチアップし、これからはより多くの年代の消費者にブランドを使っていただけるよう、顧客層の拡大を図っていきたいと考えています。
━━SNSネイティブ世代である若手社員の活躍の機会も増えそうですね。
前納:特にTikTokのようなプラットフォームを活用する場合、SNSネイティブな若手社員の活躍が求められます。若手社員から出てきたアイデアが顧客の共感を呼ぶことも多く、彼らの感性をもとに施策をつくるケースも増えてきました。
大塚:御社は若手社員も多く活躍していて頼もしいですよね。Nateeも同様で、若手社員に裁量権を与え、「自分がプロジェクトを牽引していく」という意思を持ってもらうようにしています。SNS領域における第一人者はまだ存在しないので、若手社員が自覚を持ち、市場価値の高い人材として活躍してほしいと願っています。
前納:若手社員だけでなく、全てのマーケターがチャレンジできるのがSNS領域だとも感じています。特にこれからは、いかにSocial Firstで幅広い顧客層にリーチしていくかが鍵になります。顧客層に合わせて、コンテンツやエグゼキューションを変化させていく。色々な知恵を掛け合わせて、ブランドを成長させていきたいです。
━━今後、両社はどんな取り組みを実現していきたいと考えていますか?
大塚:これまでと変わらず、ユニリーバさんの「Social First Demand Generation」に伴走し、ブランド戦略の中で体現していきたいと考えています。
SNSマーケティングはあくまで手段です。これまでの延長線上の施策だけではなく、ブランドが目指す新たな顧客層へのリーチや、ブランドの長期的な成長に貢献できる取り組みをご一緒していきたいです。
Nateeとしても事業領域を拡張し、プロデュース力やデータ活用などのケイパビリティを磨いてきました。加えて、アカツキへのグループ参画によって活用できるアセットも広がっています。これらを掛け合わせながら、ユニリーバさんの事業をより本質的に伸ばしていくための戦略策定と実行にコミットしていきます。
前納:これまでにない新しいものを生み出し続けるためには、両社で良い関係性を構築していくことが欠かせません。受発注を交わす取引先同士ではなく、パートナーとして腹を割って相談できたり、意見をぶつけ合えたりできることが重要です。
Nateeさんにはこれからも、フラットなパートナーという立ち位置で、ぜひ一緒にビジネスを考えてもらいたいと思います。
大塚:ありがとうございます。ユニリーバさんの事業成長に不可欠な存在となれるよう、今後も全力を尽くします。引き続きよろしくお願いいたします!