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※この記事はMOLTSのコーポレートにて、3月3日に投稿した記事の転載になります(https://moltsinc.co.jp/blog/3516)
会社をとことん大きくする気はない。でも、真っ白に燃え尽きることのできるようなでっかい体験を、みんなでしたい。そのための手段として事業を発展させたいが、会社をたたむXデイは決めてある。
そんなつもりで仕事を続けて早3年。MOLTSは2019年2月末で3期目を終え、3月より4期目に入りました。
クライアントのみなさま、パートナーのみなさま、また関係者のみなさま、そしてなによりメンバーのみんなのおかげで、すばらしい3年間を過ごすことができました。
本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。よろしくしてもらうために、この3年間の積もる話を聞いてもらってもいいですか。
いや、そんなに長くならないです。大丈夫なんで。ちょっとだけ、いいですか。
もう一度、高校時代のような3年間を過ごして
この3年で、メンバーは10人を、平均年収は750万を超えました。クライアントの総数は今まで70社以上で、経常利益も「10人でここまで届くんだ」というラインまで伸びました。
また、平均継続率は半年以上となり、長期に渡りご一緒させていただく案件も増えました。長くて3年弱(独立した時から継続してくださるクライアント)もいたりして。
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MOLTSはよく「何をやっているのかわからない会社」と言われます。それはそのとおりで、デジタルマーケティングに強みを持つという特長はありますが、他にもいろいろやっています。
この3年間はあえて自社のメイン事業を明確に定めず、まずはクライアントの課題を把握した上で、それを解決するためのあらゆる手段、すなわちオウンドメディアや運用型広告、より上流でのマーケティングの戦略立案など、幅広く展開してきました。
弊社の理念はシンプルで「美味い、酒を飲む。」。これだけです。この理念を追求する上で気づいたのが、特定の手段・手法をクライアントに提供するだけでは、どうも美味い酒が飲めない、ということ。
それよりも「いかにクライアントに成果をもたらすのか」を第一に、クライアントと同じミッションを持ち、プロジェクトチーム全体を引っ張っていく。ミッションを達成したら、その次のミッションをどう決めるのか、その話し合いにも入らせていただく。こうやって仕事に心血を注いできました。
デジタルマーケティングを中心に、時には組織マネジメントや事業戦略、経営に参画。予算だけいただき、自由に好きなことをやらせてもらったこともあります。その結果が長い継続率であり、良くも悪くも「強みを軸にし“成果が出せる”とわかったことをいろいろやる会社」という形になったのだと思います。
多くは満足していただけたと自負していますが、もちろん時には「切られる」こともありました。包み隠さず話すと、ご迷惑をおかけしたこと、お叱りを頂戴することもありました。
価値を残せていないと判断し、全額返金したこと、自分たちが介在する価値が薄くなったと判断し、途中でお断りすることもありました。
「真っ当じゃないことをするのは嫌だ」「自分の心に誠実に」――自分だけでなく、想いを同じくする仲間たちと共に突っ走りながら、利益だけではなく、きちんと「美味い酒を飲めているか」を追求できたこと。飲めていないと思ったら一旦、立ち止まれたこと。
そうしながらも会社として一定の成果を収められたのは、「MOLTSを作って良かった」と思える大きなポイントです。
この記事を読んでくださる方には、僕が高校球児だったことを知っている方もいるかもしれません。3年間というのは、野球に生活のすべてを捧げて過ごした月日と同じ長さ。
もう10年以上も前になりますが、当時はあり余った力を、自由奔放な発想を、純粋に湧き出てくる情熱を、明るい将来を疑わない勇気を、時には大失敗したことによる羞恥と反省を、そしてそれらを束ねて前に進む冒険心を持って、がむしゃらに動き続けていました。
そんな「がむしゃらになれる“心のありよう”を持って過ごす日々」を青春と呼ぶのであれば、MOLTSを立ち上げてからの3年間は、まさに青春時代でした。多くの人が懐かしいものと振り返る青春時代が、僕にとってはこれからも続いていくと信じられることが、とにかくうれしいです。
一人でも生きていけるやつらが、それでもMOLTSでやっていく
この3年間、どの年も「楽しいけれどきつかったな」と感じますが、3年目は今までとは違うきつさがありました。「MOLTSにメンバーがいる価値とは何か」を考えなければならなかったからです。
MOLTSは、メンバーを雇用する「会社」ですが、世に言われる「ギルド型」に近い組織形態をとっています。
全員が独立採算。固定給に連動した目標と、目標を超えた額の売上総利益の40%が個人に還元されるインセンティブ制度がありますが、個人の目標以上を会社が押しつけることもなければ、出社義務もない。
一方で、メンバー同士が柔軟に協業すること(社内でも売り買いが多発的に発生しています)、大きなプロジェクトに一丸となって取り組むこともできる。
知識と経験は少しずつ全体に共有しつつ、ストックされた個人に還元されていない60%は会社としての支払いや整備、投資に回す。経営状況はすべて開示し、役員を含めた全員の給与も透明化。それを創業当初から、当たり前のこととしてやってきました。
京セラのアメーバ経営を個人と時代に最適化していると言ったら、大きく出すぎでしょうか。
このような仕組みだと、正直、「明日独立しても生きていけるやつら」ばかりが集まってきます。逆に、最初はこの仕組みがきつくても、半年も経てば一人で生きていける力は身につくとも言えます(もちろん、すんなり馴染む人もいれば、苦労をし続ける人もいましたが……)。
だから、MOLTSには「All Investor(全員投資家)」というカルチャーがいつの間にか根づいていました。
「会社に所属する」ということは「自分の大切な時間を投資する」ということ。「いる価値がない」と判断したら独立すればいい。無理に引き止めることはしないし、価値が一致する期間だけ、一緒にやっていこうと。
そんな会社だからか、特に3期目は頭を抱え続ける日々でした。1期目はとにかく会社を存続させるために必死になり、2期目はそれを安定させるために飛び回り。そして3期目、メンバーが増え、実績が積み上がるにつれて、少しずつMOLTSで働くことへの温度感に差が生まれ始める。実際に数名の退職者を出すことになりました。
仲間を失うのは正直、寂しいです。
それでも「MOLTSにいて人生を投資する価値はあるのか」という観点で双方が考え、退職者を見送ることができたのはとても健全だと思いましたし、苦しくも心地よくも感じました。同時に、経営者として「健全であること」と向き合うことはとてもタフな仕事であることも思い知りました。
この1年は「本当は一人でも生きていけるやつらが、それでもMOLTSでやっていく意味とは何か」を問い続ける日々でした。そこに答えを見出さなければ、新しい会社の形を目指すMOLTSは次のステージに行けないことも、ひしひしと肌で感じています。
そして、これはMOLTSの創業者である僕の大きな問題でもあります。前職では事業会社のマネージャーとして、徹底的なリアリストであった僕は、正直、抽象的な「価値」「意味」といったことを考えるのが得意ではありません。
金銭的な面だけでなく、誰かと一緒に働く「価値」や「意味」は何か。
僕もこの難しい問いを考え、その答えをもって仲間を率いるドリーマー、ストーリーテラーといった類の人に近づいていかなければならない。会社を設立した当初は、「雇われマネージャーと大して仕事は変わらん」とも思っていましたが、最近はその認識が大きく変わりました。
このギアチェンジは、とても難しい。一歩、誤れば独裁者、経営者のエゴになってしまうからです。だからこそ、「そこにトライしたい」という想いもあります。
うれしいことに、信頼するMOLTSの取締役の松尾や心の拠り所である永田を始め、メンバーたちはそんな僕の背中を押してくれています。MOLTSと向き合ってくれた仲間を見送り、肩を落とす僕を励ましてくれたメンバーたちのためにも、ゲロを吐きそうになりながら、考え続ける。
しかし、まだまだ「価値」「意味」の答えは得られていないし、考えも浅い。決して、「ずっとメンバーにいてほしい」ということではありません。でも、離れてほしいというわけでもない。
MOLTSという「箱」を一緒に作っていく仲間は、もっともっと増やしていきたい。そうしないと“でっかい体験”はできないと思うから。
実際に、集まってくれる仲間たちがいる以上、そこには何かしらの「価値」「意味」があるはずです。それをどう言語化し、仲間に、ステークホルダーに、そして世の中に伝えていくか。
このような悩みを抱える経営者にとって、仲間の存在はプレッシャーである一方、とても心強くもあります。4期目の間には、一定の答えを出したいと思っています。
答えは、やはり「より美味い酒を飲むには」ということに隠れているのではないか――今はそう思っています。
人は成功するだけでなく、失敗することもあります。苦い経験をしても、美味い酒を飲める。そこには自分以外の「人」が必要です。挫折しても前を向かせてくれるエネルギーを生み出す場であることは、MOLTSの価値になるはずです。
このことについては、またどこかで考えたことを書きたいです。まあ、これからもガシガシやるぞ、ってことで。
そういえば「さみしい」からオフィスを移転しました
そうそう、4期目を前に、オフィスを移転しました。理由は「さみしい」から。
これまでオフィスを構えていた五反田は、渋谷・新宿や丸の内といった要所へのアクセスも比較的よく、少しディープな世界が残る街。老舗スナックの『ガボ』、『うどん』という店名のカレー屋、深夜に腹を空かせたときの癒し『寿し処阿部』など。
掘れば掘るほど味が出る場所ばかりで、すばらしいところでした。
一方、メンバーの自宅からのアクセスという面では、五反田はあまりよくない。出社義務のない弊社において、そうなると「じゃあオフィスに行かなくていいか」となりがちです。
もともと「美味い酒を飲めているのなら、どこで働いても自由では」という発想からできた制度ではあるものの、経営者としては正直、「超さみしくね?」となるわけです。最初から予測しておけよ、と言われそうですが……。
そこで、メンバーの自宅からのアクセスがいい新橋にオフィスを移転することにしました。これで出社率が上がることを期待しています。「おはよう」と言える回数、ちょっとでも増やしたい。
あわせて、コーポレートサイトもリニューアルしました。これまで、事業を明確に定めていなかったこともあり、「MOLTSはこういう会社です」という情報をほぼ一切、伝えないサイトでした。ここに情報を少しずつ付け足すことができるように展開しています。
今回のリニューアルでは、MOLTSのカルチャーを紹介するページの公開や、指名での案件の問い合わせができる仕組みを導入するなど、新しい試みをしています。MOLTSの少し変わった世界観を楽しんでもらえればうれしいです。
これは社外への広報だけでなく、社内への広報の意味もあります。独立採算で優秀なメンバーが自走しているため、社内でも「うちの会社、そんな大きな仕事をしていたの?」「あなた、こんな難しい案件を回していたの?」と驚く場面が増えました。
直接、顔を合わせる機会が多いわけではないので、ウェブ上で情報をしっかりとアップデートしていきます。
メンバーも、株主も、クライアントも、パートナーも、今だけではなく、過去も未来も含めた、MOLTSと関わりのある人たち全ての人とのリレーション。壮大な目標ですが、それをコーポレートサイトを通して作りたいです。
また、このサイトは採用にも活躍してもらうつもりです。この1年で転職サービスを使わず、コーポレートサイトのみでの採用に切り替えられるようにしたい。2〜3年後あたりには当たり前になっていると思うので。
最後に。行きつけの寿司屋ができたんですが…
せっかくの機会なので最後に紹介したいのですが、行きつけの寿司屋ができました。恵比寿ガーデンプレイスから徒歩3分、目黒三田通りに面した「和賀」という隠れ家的なお店です。
僕と一緒に飯を食いに行ったことがある人はわかると思いますが、僕はあまり舌がいい方ではありません。「とにかく胃袋に収まってくれれば何を食べても幸せ」というタイプ。でも、奥さんの料理と和賀は別格です。
最初、たまたま見つけて入ってみたところ、生まれて初めて「マグロの赤身が舌でとろける」を体験。「寿司ってこんなに美味しいのか」と衝撃を受け、通うようになったところ、大将が「そめちゃん、これ食ってみな! 美味いから!」と言ってくれるようになりました。
そして、それがもう全品、美味い。……何の話をしているんだよ、って思いますよね。ごめんなさい。でも、ですよ。
「これ食ってみな、美味いから!」
そうすべての仕事に対して言えるような生き方って、すごくないですか。
自分はそういう仕事ができているのか、といつも考えさせられます。だって、本当は、自分が世に出すものは、組織であれ、サービスであれ、すべてそう言えるようにしなきゃいけないはずじゃないですか。
これからも大将のように、すべての仕事に対して「どうスカ! 美味いでしょ!」と自信を持てるようにしたい。真っ当に、真っ当に。そして「学びがある」と理由をつけては、和賀に通い続けたい。普通に美味いし、誰か奢ってほしい。
MOLTSは3期目、大きなチャレンジとして転職サイト『MOREWORKS』を運営するHIVE社との提携を始め、ハンズオン型(出資して運営に参画する)ビジネスをするようになりました。
もう1社(まだ非公開ですが、そのうち報告できるようにします)ともハンズオン型で提携しつつ、自社事業もスタート(一旦、止まっていますが……)。少しずつ代理店業だけでなく、自社事業とのバランスを取り始めたところです。
4年目はこのバランスを保ち続けながら、収支を安定させ、自由にチャレンジができる状況を作り上げます。
MOLTSが成し遂げたいこと――真っ白に燃え尽きることのできるようなでっかい体験を、みんなでしたい――を考えると、早くこれを達成しなければいけない。今年はそのための1年にしていきます。
この3年で築いた資産を元に、挑戦もしつつ着実に収益を伸ばし、5期目の2020年からレバレッジをかけられる状態が目標です。
MOLTSはXデイに会社をたたむ。そう遠くないこの日に向けて、具体的にはマーケティング関連の事業を拡大させながら、M&A事業(特にサイトなどのスモールM&A)にも、注力していきます。
もしこのあたりの経験のある方で、僕らと一緒にやってみたい、話を聞いてみたいという方がいましたら、お気軽にご連絡ください。
とにかくこの3年、色々ありました。すげえつらかったし、すげえ楽しかった。青春を感じられたこと、感じられ続けられると思えること。それだけで今は幸せだと思えるし、そうさせてくれる松尾、永田を始めとするメンバー、株主、そしてクライアント、パートナーに心から感謝して。
結局、長い話になっちゃいましたね。でも、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。4期目、ゴリゴリがんばっていきます!