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ベンチャーキャピタリスト木村亮介さん対談

<IF Lifetime Ventures 木村亮介さんとの対談>

Modelmap Co 代表の John、改め川井です(名刺を本名へ戻しました)。日本へ帰国して早くも2ヵ月が経過しようとする中、弊社 Modelmap の米国立ち上げ時期から、とても早い段階で出資、サポートをいただいている IF Lifetime Ventures の木村亮介さんと対談を実施しました!

ベンチャーキャピタリスト木村亮介さんの紹介記事はこちら
https://www.fastgrow.jp/articles/Incubatefund-kimura


「二人はどういう経緯で知りあったんですか?」

川井
「直接会ったのは最近なんですが、実は木村君とは同じ大学の同期、かつ PwC で同時期に在籍していたことがあるんです。PwC へ転職が決まった際に、大学のメンバーと飲みに行ったことがあって、そこで "PwC なら木村がいるよ" と言われて。その時には、会ったこともなかったので、ふーんと思って特に連絡することもなく、しばらく PwC で働いていました。ふとしたタイミングで PwC の社会人同期の同僚に "そういえば同期に木村君っている?" と聞いたところ、"最近辞めたよ" って言われて。結局大学でも、PwC でも会えず。笑」

木村
「すれ違いでね。9月ぐらいにはいなくなってたかな。4カ月くらいは一緒にいたはずなんだけどね。笑」

川井
「そういう意味で、木村君は僕のことを特に知らなかったんだけれど、僕の方はずっと木村君の存在は認識してて。初めて話したのは 2017 年の 9 月ぐらいだったかな?当時、米国でのアウトソース先が炎上して、貯金が100万円ぐらい一瞬で吹っ飛んでしまって。MBAの借金返済もあるので、資金調達をまじめに検討しようとしてたところ、そういえば例の木村君、今ベンチャーキャピタルやってなかったっけ、と思ってふと連絡したのがきっかけですね。」

木村
「PwC 同期の紹介とかじゃなく、Facebook 経由でいきなりメッセージきたよね。同じ大学卒で、同じ会社卒の、でも僕は面識がないっていうって人から突然連絡がきて。笑 まあ共通の知人の中にも出てたので、じゃあ Skype でお会いしてみようかなっていう感じでした。」



「出資を決めた理由について教えてください」

木村
「まず、僕自身がPwC 時代に、PPP(Public-Private-Partnership)という専門部署で、エクセルのシミュレーションを作っていたこともあり、川井さんが解こうとしている課題をユーザーとして肌で感じていました。また、PwC のモデリングチームの技術については、同期からとにかくすごいと前から話を聞いていて。色々と後付の理由はあるけれど、実際は "財務モデリングのSaaS?需要ありそうだな。PwCのモデリングチーム?じゃあ投資します!" ぐらいの勢いですね。笑」

川井
「最初のミーティングでコミットをもらって、嬉しい反面びっくりした。意志決定早かったよね。笑」

木村
「圧倒的に PwC モデリングチームの技術的な凄さ、というのを隣の部署で感じてたのが大きかったね。こんなに洗練されたモデリングのチームは少なくとも僕は、国内で見たことがなかったので。あのノウハウをプロダクトにするってことがそれは絶対いいねっていう当時から思った原体験があった。今でもベンチャーキャピタリストとして、投資先の事業計画作るみたいなとことかは僕がやってる中で、需要はあるけれど、得意な人はそんなに居ないし、事業計画を作る作業自体に生産性はそんなにない。ここを簡単にシミュレーションできるようになれば、創業者がいろんな意味で本当の意味でやるべきこと、例えばユーザーと向き合うとか、チームを作るとか、そういうことにフォーカス出来る場面が増えるんじゃないかなっていう思いもある。」

川井
「初めて話して 30分後ぐらいには、もうバリュエーションと投資額をすぐに提案してくれたよね。」

木村
「自分のファンドの場合、やるって決めてしまえば、投資家として決定できる体制にある。川井さんは日本人にしては珍しく、MBA を取りに行って、更に海外でリスクを取っている。創業者が正面からチャレンジしようとしている人であれば、もうそれでいいじゃんっていう感じかな。後はどういう風に実行するかとか、実現していくかってところは、相談しながらやっていける人だなって印象として思った。実際はもう少し直感的なところかもしれないけれど、実際に投資を決めるまでのプロセスを、あえて言語したらそんな感じ。」


「起業をしたキッカケは何ですか?」

川井
「僕の場合、キャリアの中で "起業しよう!" って決心して起業した分けじゃなくて、小さい頃から人生の中で、遅かれ早かれ起業をすると決めていた。それが何故かと言われると、多分ビル・ゲイツへの憧れが原点にあると思う。僕が 13 歳で中学校に入学した頃って、丁度 2000 年 の IT バブル真っ只中で、皆一家に一台パソコンを買っていた時期だった。そういう影響かどうか分からないけど、中学校で仲良くなった友達が当時ホームページを立ち上げたり、掲示板を作ったりしてて、子供ながらに一時期ハマって色々と遊んでいたんだよね。CGI の全盛期だったから、Perl という言語が中心だった。小学校までずっとスポーツしかやってなかった子供だったから、パソコンを触り始めてから突然世界中のニュースは見れるし、動画は見れて音楽は聴けるし、簡単なソフトウェアは作れようになるし、知りたいことは何でも調べられる。自分の世界が一瞬で広がった出来事だった。こんなすごいものを、誰が作ったんだ、って思っていたら、ちょうど世界一の金持ちとしてテレビで紹介されてたビル・ゲイツだった。笑」



川井
「当時はコンピューターや西海岸そのものに対する興味もあって、何となくエンジニアになりたい、技術者ってカッコイイと思っていた時期もあった。けれど、ビル・ゲイツのことをもう少し調べてみると、彼はエンジニアでもあったけれど、本質的には起業家としての成功者だっていうことが分かってきた。ITバブルも結局すぐ崩壊したし、技術は本当に面白いけれど、世の中とのタイミングがすごく大事なんだ、っていうのを子供ながらに考えていた気がします。それは大学で商学部へ入ってまずはビジネス、特にファイナンスを学ぼうという決断に後に影響してると思う。技術が好きだっていう気持ちはずっと昔からあるし、それは留学先をカーネギーメロンに決めた理由の一つでもあるかな。」

木村
「そこから最初に金融業界を選んだのは何か理由があるの?」

川井
「次は何の技術が面白いかな、世の中を変えるキッカケになるかな、っていう視点で世の中を見てたから、逆に特定の業界だと困る、って思ってた。笑 トヨタに就職すると、自動車の人になっちゃうし、ユニクロに就職すると、アパレルの人になっちゃう。そうじゃなくて、全業界をみれる仕事を最初にやるべきだ、って単純に考えた結果コンサルティング会社や証券、投資銀行を受けて、運よくアナリストの内定もらったっていうところが始まりだね。」


「Modelmap で起業をしようと決断した理由は?」

川井
「勉強したり調べたりするのが好きっていうと誤解を与えるんだけど、情報そのものを収集することとか、データベースを作るっていうことが好きだったのかも知れない。中学校でパソコンにハマっていた時期に、セキュリティアカデメイアっていうウェブサイトを見つけて定期的に訪問してた。セキュリティの専門家が数学やコンピューター、暗号について解説をするサイトだったんだけど、それだけじゃなくて、生物、化学、医学から経営や歴史まで、ありとあらゆる分野のことを調べてメモをしてあって。多分、今も検索すれば出てくると思うけれど、サイトの目的のところに、"核戦争で廃墟・死の灰の状況から、少人数で文明を再建することができる知識・スキルを身に付けるためのサイトを目指す" って書いていて、この人やべーな、と。笑」

木村
「やばいね。笑」

川井
「何故だか、今もそれをすごくかっこいいなと思ってるし、情報集めるっていうことに当時からすごく興味を持っていったんだよね。後に証券会社で、チャート分析のチームからクオンツチームへの異動を希望した理由に関係している気がする。そんな中、PwC へ転職して、いざビジネスの現場へ出てみると、あるはずのものが何もないっていう。笑」

木村
「何もないね。笑 皆エクセルでガチャガチャしてる。笑」

川井
「そう。データベース中心の分析をしてきた自分にとって、技術的に全然可能なはずなのに、何故かない。これを作ったら、金融業界の Github になれるんじゃないかという感覚は PwC で働いている間にずっとあった。MBAに行く前まで、このアイデアで起業するっていう決断はしてなかったんだけども、MBA 時代に、海外の金融機関で働いている人と話しても、同じように非効率な仕事のやり方をしていた。世界レベルでの課題だということも確認できたし、逆に意外とエンジニアの視点を持った人は金融業界にあまり居なくて、自分にしかこのプロダクトを作れないんじゃないか、って思ったからかな。次の時代の技術を見つける、なんてカッコイイこと言っても、結局自分の好きな分野に戻っていったよね。笑」

木村
「僕も、事業検討をする上での最上流のデータが、全く持ってデジタル化されていないところとか、構造化もされてないところは、プロフェッショナルのリソースをすごく無駄にしているという意味で、社会にとっても大きな課題だと思う。逆に皆が Modelmap を使うのが当たり前になった世界では、プロフェッショナルはもっと意味があることに自分たちのリソースを使えるっていう意味で、すごくいい影響が社会に還元されると思う。パラメーターが 1 か 10 かで 100 億円が 1,000 億円に変わっちゃう世界なのに、ものすごく優秀な人がエクセルシートを必死でチェックする世界は何とかしたいよね、っていう思いがユーザーとしても投資家としてもあるね。」



「Modelmap の魅力を語ってください」

川井
「まず、プロダクトという意味で言えば、創業ストーリーでも少し触れたけれど、本質的に未来予測のためのインフラを着実に作っているという実感がある。"事業計画" と言うと、単に売上やコストの見積もりを集計しているだけと思うかもしれないけれど、本質的には、前提条件を決めてシミュレーションをしている。為替が1円動くと在庫はどうなるのか、販売数量のパターンが変わると、現預金にどういう影響が出るのか。このシミュレーションがどんどん精緻になっていくと、それは未来予測の分野に徐々に入っていく。」

木村
「一緒に働く人に Modelmap が与えられるものって、何か考えてるものはある?」

川井
「まず、大前提として、楽しく働くことを保障する。そうじゃないと、スタートアップとして終わってると思う。笑」

木村
「終わってるね。笑」

川井
「事業を通じてって言う意味だと、金融業界ってレガシーな業界と、エンジニアの比較的モダンな業界を行き来する、新しい経験、面白いポジションで仕事ができるんじゃないかと思ってる。B to C 向けのサービスも面白いけど、金融業界やプロフェッショナルファームのような閉じた世界にアクセスして、そこの課題を間近で観察できるスタートアップのエンジニアってすごく珍しいし、挑戦に値するワクワクした環境だと思う。」



<あとがき>

今回は IF Lifetime Ventures の木村亮介さんと対談をしていただき、出資を決めた経緯や、起業そのものに係る原体験をお話させていただきました。近々製品を正式にリリースする予定となっており、これから事業が加速してゆくタイミングとなっています。日本に帰国してから2ヵ月ほど経過しましたが、引き続き一緒に事業を進めてくれるエンジニアを全力で募集中です。ビル・ゲイツが好きな人、古い業界の改革に興味がある人、エクセルをガチャガチャするのが死ぬほど嫌いな人は、今すぐご連絡下さい!

2018年7月末日 川井

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