ミラティブが新規事業を発表 "All for Streamers"を掲げ全配信者への支援をスタート
スマホゲーム配信者数で日本一を誇るゲーム配信プラットフォーム『Mirrativ(ミラティブ)』(以下Mirrativ)を 運営するミラティブは、5月26日に新たな事業戦略 「All for Streamers」を発表した。
https://realsound.jp/tech/2025/05/post-2033285.html
※2025年5月26日時点の記事です
2025年5月26日のミラティブグループ 新規事業・戦略発表会にて、M&Aによる株式会社アイブレイドのミラティブグループへの参画を発表しました。ゲーム実況者やVTuberを中心としたインフルエンサーマーケティングを主力事業とするアイブレイドがミラティブに加わることで、Mirrativアプリ以外で活躍する個人配信者・VTuberにも幅広く価値を届ける事業を実現できるようになります。
本記事ではミラティブの代表取締役赤川隼一と、アイブレイド代表取締役妻木泰夫が対談し、発表会では語り尽くせなかった「ミラティブ×アイブレイド」の共創実現までのストーリーをお届けします。
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・ミラティブが新規事業を発表 “All for Streamers”を掲げ全配信者への支援をスタート
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株式会社アイブレイド 代表取締役 妻木 泰夫
2009年DeNA入社、広告営業やゲームコンサル、海外事業のBizDevを担当。その後複数のスタートアップで事業統括などを担当し、2017年にYouTuberを起用したプロモーション支援を行う株式会社BUZZCASTで取締役COOに就任。2019年に独立しアイブレイドを設立し事業をする傍らミラティブに参画しライブゲーム事業などに携わる。現在は株式会社アイブレイドにてインフルエンサーマーケティング、VTuberキャスティングプラットフォーム「ぶいきゃす」、VTuber音楽イベント「Rock on V」、ライバープロダクション事業「ライブレイド」などを展開。
株式会社ミラティブ 代表取締役 赤川 隼一
慶応義塾大学環境情報学部卒業後、2006年DeNAに新卒入社。最年少執行役員として海外事業、ブラウザゲーム事業等を管轄。2015年、同社の事業として「Mirrativ」を開始。2018年2月に、Mirrativ事業をDeNAからMBOし株式会社ミラティブを創業し、現在までに約100億円を資金調達。「わかりあう願いをつなごう」をミッションに、日本発の新たなコミュニケーションの形を世に展開している。
―妻木さんの経歴と、アイブレイドがミラティブに参画することとなった経緯について教えてください。
妻木:新卒でDeNAに入社して5年ほど働いた後、スタートアップを含む何社かで事業統括などを担当しました。その後、インフルエンサーマーケティングを展開する企業での経験をもとに独立し、2019年にアイブレイドを設立。現在は主にゲーム配信者、YouTuber・VTuberを起用したプロモーションをサポートしています。
独立後はミラティブの事業に携わる傍ら、アイブレイドの経営も行っていたのですが、2024年の夏頃から「自分の会社にフルコミットしたい」という気持ちが強まってきて、今後について赤川さんに相談しました。
赤川:妻木さんに相談された当時、ミラティブでは「Mirrativアプリに限らず、他のプラットフォームを利用する配信者にも価値を提供できないか」という検討を始めていました。そこで「まず誰に価値を届ける事業をつくるのか」を考えたとき、サポートに対するニーズが高い個人VTuberが注力領域として挙がってきました。
ミラティブは以前からVTuberとも深いつながりがありました。ANYCOLOR株式会社が運営する「にじさんじプロジェクト」が最初の配信プラットフォームとして選んでくれたのは、Mirrativアプリでした。最初の収益化支援もMirrativアプリ上で行わせていただきました。
Mirrativアプリ内で利用できるアバター機能「エモモ」を開発した2018年から、ミラティブはVTuber市場の中では独自路線を走ってきた立場です。当社が培ってきたナレッジを用いれば、近年増加しつつある個人VTuberが抱える特有の課題を解決できると考えました。
そうした構想が浮かび上がってきたタイミングで、妻木さんから前述の相談があったわけです。妻木さんと話していく中で、ミラティブとアイブレイドの挑戦したいことが一致していることに気づき、「それなら一緒にやろう」と声を掛けました。
―M&Aによるグループジョインに対して、不安やハードルはありましたか?
赤川:単に「やりたいことが同じ」というだけでは、M&Aという話にはならなかったと思います。私個人はDeNA時代にM&Aや戦略投資にも関わっていましたが、当時のミラティブにはM&Aによる事業拡大の事例はなく、アイブレイドがその第1号になるということで、手法自体の是非も含めた議論がありました。
それでもなお実施に至った背景には、僕個人がDeNA時代から妻木さんと一緒に働きたいと考えていたことがあります。実際に一緒に働いてみて、真面目さや誠実さを妻木さんから強く感じ、「妻木さんのやりたいことなら応援したい」と常々考えていたんです。
信頼できる人が、自分たちのやりたいことと同じことをやろうとしているのなら、一緒にやらない手はない。その確信が、大きな経営判断の後押しをしました。
妻木:赤川さんからM&Aの打診を受けたときは、アイブレイドを自分の力で大きくしていきたいという思いが強かったため、正直とても迷いました。しかし、事業成長そのものに焦点を当てれば、ミラティブとともに進んだ方が迅速に成長できることは間違いありません。
赤川:M&Aは今後ミラティブの事業の幅を広げるために必要な手段です。いずれ挑戦することだとすれば、アイブレイドは他社よりも第1号としてふさわしいと考えたため、こちらからラブコールしました。ただし、この打診はミラティブグループに入る側の会社、つまりアイブレイド側が本当にM&Aの意義を感じてくれるかどうかが最終的な判断基準になる話なので、妻木さんと何度も対話を重ねました。
―共に事業を育てていく相手として、お互いどのような印象を抱いていましたか?
妻木:私から見た赤川さんは、市場のトレンドや流れを俯瞰で捉えられる方です。マクロとミクロ双方の視点を持っており、そのバランス感覚に優れている方だと思います。私はつい目先のことにとらわれて、そこにフォーカスした意思決定をしがちなので、赤川さんとなら、異なる視点を交わらせることで加速度的な成長を実現できると感じました。
赤川:僕から見た妻木さんは、やるべきことをきちんとやり遂げる方です。妻木さんは視点がミクロになることを課題と感じているようですが、顧客やサービスと向き合って満足してもらえるものにする、真面目にやりきるためにはその視点が必要です。
ミラティブのライブゲーム『ピコピコサバイバーズ』の立役者は、実は妻木さんなんですよ。リリースまではもちろん、リリース後も「どうすればライブゲームとしてもっとよくなるのか」という問いに向き合い続けて、結果を出してくれました。その姿を近くで見ていたからこそ築かれた妻木さんに対する信頼が、今回のM&Aにつながったと思います。
―個人VTuberのサポートを強化するうえで、アイブレイドはどのような役割を果たしますか?
赤川:バーチャル空間においては、年齢や国籍、性別やバックグラウンドなどに関係なく、誰もが自由に活動できます。その強みを発揮できるVTuberが世に広く知られたのが2017年末頃で、「ホロライブ」や「にじさんじ」をはじめとしたVTuber事務所が影響力を増すと共に、大きな影響力を持つスターVTuberも登場するようになっていきました。
バーチャル配信が世の中に浸透したことで、事務所に属さない個人VTuberも増えました。一方で個人の活動には限界もあり、たとえば企業案件ひとつとってもなかなか機会が持てない方も多いです。企業案件やグッズ販売は、収益化の視点でも活動を支える大事な要素です。企業にとっては多くの発注先の1つに思えるとしても、VTuber個人にとっては貴重な機会だからこそ、サポートしていくためには一人ひとりに対して丁寧に対応しなければなりません。こうしたニーズに応えるためには、妻木さんの真面目さや誠実さが必要だと考えました。
妻木:赤川さんのおっしゃる通り、個人VTuberの数は増え続けています。彼らの悩みをヒアリングしてみたところ、リアルイベントの実施やグッズ販売など、あらゆる場面で個人だとどうしても難しいことがあると聞きました。そこをサポートできるよう、さまざまな取り組みを進めています。
―現在は具体的にどのような取り組みが進んでいますか?
赤川:ミラティブ側からは、アイブレイドの事業成長をさらに加速させるため、主に人的リソースの提供を行っています。ミラティブのメンバーがアイブレイドに出向したり、採用活動のサポートをしたりといった形です。
また、2022年に行われた株式会社丸井グループとの資本業務提携から、ミラティブはオフラインでグッズを販売したり、イベントを行うポップストア展開の実績を作ってきました。その関係値をもとに、個人VTuberのポップアップストア出店の支援ができるよう、アイブレイドと連携しています。
さらに、クレジットカードで決済すると“推し”の配信者にミラティブの無償コインが配布される「ミラティブ推し活カード」の提供を、2025年3月からスタートしました。この仕組みについても、個人VTuberへの横展開を検討しています。
妻木:ミラティブのセールスチームがさまざまなゲーム会社にアイブレイドのVTuberキャスティングサービス「ぶいきゃす」を案内してくださったおかげで、短期間で著名タイトルのVTuberキャンペーンを複数実施させていただきました。これは、ミラティブとの連携がなければ実現しなかった実績です。
また、2025年6月にはアイブレイド主催の音楽イベント『Rock on V』を開催するのですが、ミラティブの配信者にも出演していただく企画が進んでいます。このように、ミラティブの配信者とVTuberを分けず、両者の垣根をなくすことでも面白いことができるのではないか、と考えています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
妻木:基本的にはVTuberをはじめとした配信者の課題解決をサポートしていく事業を、これからも続けていけたらと考えています。現状、すべての課題に対応できているわけではないので、できることをどんどん広げていきたいです。
ミラティブとアイブレイドの方針は、想像以上に共通していると思います。だからこそ、ミラティブ内で培ってきたナレッジを活かせば、VTuberの課題解決がもっと進んでいくと信じています。今回のグループジョインを起点に、個人VTuberへのサポートをさらに加速させていきたいです。
赤川:アイブレイドの力を借りることで、新戦略の旗印となる「All for Streamers」の実現が加速していると感じます。新戦略の中で発表したように、ミラティブは「CastCraft(キャストクラフト)」を提供する株式会社キャスコードもグループ会社に迎えました。同サービスはさまざまなプラットフォームで活動する配信者に利用されているものなので、今後はキャスコードとアイブレイドのシナジーも生み出していくことができるでしょう。
これは以前から語っていることですが、インターネットの本質は「個人をエンパワーすること」と「距離をゼロに近づけていくこと」だと考えています。
活動の場をバーチャルな世界に移行することで、私たちは現実世界におけるさまざまな制限や条件を気にすることなく、自由に活動できます。そして、配信によるリアルタイムなコミュニケーションが増えていけば、人同士の距離は縮まっていきます。その流れは、今後ますます加速していくはずです。
ミラティブグループは「All for Streamers」をコンセプトに掲げ、新規事業の立ち上げやM&A、パートナー企業との協業を積極的に行っていく予定です。今回のM&Aは、その第一歩として意義あるものとなりました。ここを起点に、日本に限らず世界中に価値を提供するグループに成長できるよう、挑戦を続けたいです。