Wantedlyの皆さん、こんにちはメイプルシステムズ採用チームです。
メイプルでは「離職率100%」「キャリアファースト」「すべての仕組みに逆張り」「ノールック採用」など、一風変わった文化や制度があります。こういった文化や制度は、どのような経緯があって生まれたのか。
今回はメイプルの社長である「望月さん」を召喚、『メイプルの社内制度』『キャリアプラン』に関する質問をしてみました。
メイプルの社内制度について
- なぜ契約金と給与を連動させようと思ったのですか?
- 離職率100%だと誰もいなくなりませんか?
- ノールック採用の基準はありますか?
- 「すべての仕組みに逆張りを」する意図はなんですか?
- 契約金が下がった場合、 給与も下がるということですか?
- なぜ営業さんを社内に採用していないのですか?
- 有給が入社日から支給されると聞いたのですが何故ですか?
- ボーナスが無いのは何故ですか?
なぜ契約金と給与を連動させようと思ったのですか?
ボク自身がまだ会社員だった頃、契約金が幾らなのか会社から知らされていませんでした。また自分の給与がどうやって上がるのか明確な指針も知らされていませんでした。
これを解消する仕組みとして契約金の公開と、その金額による給与テーブルにすることにしました。透明性の担保をすることで「自分のレベル感」と「何をすれば給与があがるのか」の指針も自ら気付けるのではないかと考えたからです。
契約単価の希望額を上げれば案件数が減ります。当然、自分の希望する案件に行きづらくなりますよね。逆に契約単価の希望額を下げれば案件数は増えるのです。自分のキャリアに対する第三者評価がそこでされることになります。凄く透明性の高い仕組みだと思いませんか?社内評価ではなく市場評価が自分の給与を決めるのです。
離職率100%だと誰もいなくなりませんか?
誰も居なくなるのではなく、循環が起きると考えています。いま次々と入社してくれる方が増えてきていますが、入社と退職の数が一定になるところがあると思います。その際、3年間での難職率100%のように期間を絞って目標数字とする日が来るのかもしれません。
実際、先日転職が決まったメイプルの仲間は日本マイクロソフトさんへ転職していきます。そんな離職であれば応援すべきではないでしょうか?僕らはステップアップのために踏み台にされる企業を目指しています。
「離職率100%」に込められた想いがたくさんのエンジニアに届けば幸いです。
ノールック採用の基準はありますか?
エンジニア経験が2年以上という基準はありますが、内容によってはしっかりと面接する必要があると考えています。今のところノールック採用は3名ほどいますが、結局みなさん顔合わせを希望されて本社へいらっしゃいました。その時点で採用は決まっているので面接ではないのですが。
具体的な基準を説明すると、ある言語で1年以上の経験、あるフレームワー クで1年以上の経験、案件数を4つ以上。DBも何かを1年以上。みたいなところは見ています。PHPならCakePHPやLaravelを使っているかなど、対応するフレームワーク経験ですね。
逆に言えば、フレームワーク未経験の方はノールックしていません。しっかりと面接で見させて頂いています。
「すべての仕組みに逆張りを」する意図はなんですか?
どんなことでも何かしらの意図があって仕組みがあると考えています。社会人になって最初に不思議に思ったのは給与明細の見方を誰も教えてくれないことでした。「この税金はどう使われているのだろう」「 何でこんなに引かれているのだろう」色々と鯛ぺることで見えていなかった仕組みが理解出来るようになってきました。
離職率100%の仕組みもそうなのですが、もともと企業は「離職を抑えたい」という気持ちがあります。 それは何故なのか?と仕組みを考えることで逆張りの離職率100%が生まれたのです。
仕組みに逆張りをすることで、これまでに無かった価値を生み出し、本当の利益を享受出来る仕組みに作り変えていきます。
契約金が下がった場合、 給与も下がるということですか?
そのとおりです。これも仕組みを深掘りしたことで出来た仕組みです。エンジニアがスキルチェンジをしにくい理由は、会社が高単価の案件に入れ続けるために、同じスキルで行ける案件だけにアサインするためです。
では案件をエンジニアが選べるようにするとどうなるのかと言うと、スキルチェンジのために低単価の案件でも選ぺるということです。メイプルで は会社ではなく個人が自分で案件を選びます。それにより納得の上で給料を下げてスキルチェンジにチャレンジ出来るのです。
このことから「キャリアファースト」という言葉が生まれました。キャリアを優先するために自分で取れる選択肢が増えたのです。これからの個の時代の最先端の制度ではないでしょうか。
なぜ営業さんを社内に採用していないのですか?
自社に営業を置かず他社と協力する大きな理由は、ネットワークの広がりが期待出来るからです。自社の営業が1ヶ月で営業出来る企業数は40社程度でしょうか。他社との繋がりは現在500社ほど密に連絡を取り合っていますが、その会社の営業も利用できると考えると2万社とネットワークが繋がることになります。
どう考えても自社に囲い込むよりも、他社と密に連絡を取り合う方が合理的なのです。では他社との連絡に時間的コストがかかるかと言うとそうでもありません。自社サービスにより自動化出来る部分を増やしています。
今後半年で営業コストは90%程度削減出来る見込みです。営業は足で稼ぐのは古い、これからはオンラインだとCMでやっていますが、メイプルはその先へ行きます。営業すること自体が古いと言える仕組みを構築していく予定です。
有給が入社日から支給されると聞いたのですが何故ですか?
有給の付与については「入社から半年経過後に10日付与しなければならない」と労働基準法39条により決まっています。よって大抵の会社では、その最低水準の条件で付与するのが通常なのですが、半年経過後に10日付与されていれば良いわけなので入社後から少しずつ付与することとしました。
「なぜ入社から半年は有給が貰えないのか?」と社員がツイートしているのをたまたま見ていたので、法務に確認し入社後すぐに付与できるように制度変更を行いました。
メイプルは「すべての仕組みの逆張りを」 する組織です。何故?と疑問を持ったものを調べて改善することが出来た一つの事例だと言えます。今後も同様の疑問が起きた場合には、会社へ報告して相談の俎上にあげるという良い先例になりました。
ボーナスが無いのは何故ですか?
こちらも仕組みの深掘りをすることで無くなった制度です。実はボーナスがあることが従業員にとってはマイナスであるということをご存知でしょうか?ボーナスは業績給とも言われますが、必ず支給する必要はないのです。会社の業績不振や景気が不安定などの理由によりボーナスが減ったりしますよね。決まった額を支給しなければいけない法律もないのです。
しかも雇用保険から出る育休時の手当や、職を失った場合の失業保険は何をベースに出ると思いますか?ボーナスの額を含まない基本給をベースに算出されるのです。つまりボーナス支給ではなく、基本給として上乗せして支給しておいた方が、もしもの時のセーフティーネットを最大限活用出来ることになります。
こういった仕組み理解から始まる新しい取り組みがメイプルには溢れています。ボーナスではなく基本給に12分割して支給する理由が理解できましたでしょうか。
キャリアプランについて
- 1年も経たずに転職するのはどう思いますか?
- キャリアを作る上で業種は選ぶべきですか?
- 給与は下げずにスキルチェンジできますか?
- スキルチェンジをせずに単価を上げていく方法はありませんか?
- Alが仕事を奪っていくと思いませんか?
- 異業種の経験はIT業界で活かせると思いますか?
- 今後IT人材は枯渇するのか余るのか、 どちらだと思いますか?
1年も経たずに転職するのはどう思いますか?
その理由にもよるのですが、転職の受け入れ先が決まってからでないと危ないと思います。やはり直ぐに辞めてしまう人という印象が付いてしまうので次が決まりにくいのです。もちろんちゃんとした理由が合った場合でも事実確認が出来るわけではないので二の足を踏む企業は多いでしょう。
しかし残業が異常に多いとか、給与未払いが起こっているとか、酷いハラ スメントを受けていると一般常識と照らし合わせて辞めるべき事案はあると思います。こればかりは運の要素も大きいとは思いますが出来る限り続ける方が良いのは間違いありません。
ただし3年は続けろというのは企業側の論理だと考えています。採用にかかった費用の元を取るまでの期間は拘束しようとしているのではないかとボクは考えています。1年は頑張った方が良い。でも3年はどうかな?と言うのがボクの持論となります。
キャリアを作る上で業種は選ぶべきですか?
案件としての業種だと思いますが、スキルマップを構築する上で業種の選定は非常に重要ですし、選ぶべきだと考えています。例えば、ゲーム系案件ばかりを経験しているエンジニアはどう見られると思いますか?ゲームであれセキュリティ面は課金もあるのでしっかりしているはずなのですが、銀行系案件に関わっていた方に比べて軽く見えてしまいます。
つまり外からの印象がどう映っているのかを意識して業種を選んでいく必要があります。ボクは多岐に渡る業種を経験していますが、全体の印象として少し堅めの企業にウケる経歴書となっています。逆にゲーム系案件は苦手に映っていると思います。自分の経歴書がどんな業界に向けて特化しているのかを意識することで、今後のキャリアが作られていくと思ってください。
キャリアを作るのはこれまでのキャリアであり、意識して案件を選んで来たのかが重要となります。「カッコいいキャリアを作ろう!」ではないですが、意図の透けるキャリアを作りましょう。
給与は下げずにスキルチェンジできますか?
一般的なSES企業では、企業として売り上げを落とすことを嫌がるため、転職時でのスキルチェンジがやりやすいとは思います。しかし転職のタイミ ングで給与アップを図ろうとしている場合、スキルチェンジをしてしまうと給与は上がらないことになります。今のスキルを使いつつ、少しキャリアを変えられる企業を探すのは至難のワザだと考えられます。
まずは現在の企業でスキルチェンジを申し入れてみるのが良いと思います。一般的には給与を下げることが出来ないため、スキルチェンジを目的とした転職を考えている旨と伝えて現場を変えてもらうのです。 それにより給与を維持しつつスキルチェンジが可能になると考えられます。
その後半年から一年が経過した際に、再度転職活動をするのが良いかと思います。ただし、スキルチェンジを応援してくれた企業として残留も含めて考えてあげるのが大人としての選択肢でもあると考えています。
スキルチェンジをせずに単価を上げていく方法はありませんか?
ある一定までは単価は上がり続けます。大体一つの言語で5年程度は単価は上昇を続けます。その後はPLやPM経験などが求められます。幅広く対応出来る業種を増やしていくか、対応出来る言語を増やしていくかしなければ単価の上昇は頭打ちになります。しかしプログラマとしてのSESの単価上限はプライムに近いSES企業であれば、もっと高単価もあるのですが、一般的には80万程度でしょうか。
この水準を維持し続けること自体は比較的簡単だと思います。しかし一つ待ってください。年齢も上がり続けているのです。入れる現場が減ってくるため、給与水準は保てたとしてもやりたい案件かどうかは別問題なのです。対応出来る言語や業種を増やすことは、将来に渡ってやりたい案件にありつくための手段でもあるとボクは考えています。
Alが仕事を奪っていくと思いませんか?
Alはあらゆる分野の仕事を置き換えていくと思います。農業は最たる分野なのではないかと思います。なぜなら、オートメーションによってサービス品質が落ちないからです。土地を持っている人が農業での勝ち組になるのか、水耕栽培による土地をそもそも使わない仕組みに変わっていくのか、どちらにせよサービス品質へのクレームがない分野はAlが得意する分野なのかなと考えています。
逆にAlを作っている私たちのIT分野は最後までAl化は進まないのかと思います。技術革新も激しく、新しいものを使いたがる僕らの分野は、Alの発展よりも激しく変動しているのではないかと思うからです。要件定義や設計などのアナログからデジタルヘの置き換えが必要な分野はAl化もしづらいのではないかと思います。
そもそもAlが仕事を奪い切った時は、ボクらは好きなことだけで生きてい ける世の中になっていると思いますよ。仕事は趣味でやる人がいる世界ですね。
異業種の経験はIT業界で活かせると思いますか?
異業種での経験はあまりIT業界では活かせないのではないかと思います。金融機関での経験や流通業界での知識など、一定分野の知識は業務知識として使えるのは勿論なのですが、活かせるのは「業務知識」に限定されたものです。プログラミングには活かせないのです。
論理的な思考力を鍛えることが出来る仕事であれば、プログラミングにも活かせるのですが、あまりそういった仕事を思い付きません。論理的に組み立てる必要のある仕事と言えば弁護士とかですかね。弁護土からプログラマになる人は聞かないのでハッキリとは分からないですが、向いているとは思います。
異業種というよりは、管理ポジションにいた人の経験は活かせるのかなと思います。ただしプログラミングというポジションではなくPLやPMというポジションでの話ですが。
今後IT人材は枯渇するのか余るのか、 どちらだと思いますか?
IT人材は枯渇していくと思います。ITシステムが溢れて業務の自動化がどんどん図られていくと思いますが、それを使う人材として企業側にエンジニアが雇用され始めるのではないかと思うのです。作るエンジニアだけではなく使う方にもエンジニアリング知識が必要とされるような気がします。
例えば、Alを使うためのデータモデリングが出来る人材が企業側にいれば、圧倒的にスピーディな取り組みが出来ると考えられます。日本人だけでは足りず、海外エンジニアも国内に取り込まれていくのではないでしょうか。
日本人は海外へ出て行くべきだという論調がありますが、日本は出生率も減少している以上、海外から日本へ入ってくる方が増えて行くのではないかと考えています。英語が使えて海外エンジニアをマネジメント出来るレベルの日本人エンジニアの需要は高まっていき、枯渇するどころか需要は高止まりを続けると考えられます。
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