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プロジェクトを成功に導くためにディレクターが持つべき3つの脳

本記事は、企業で働くクリエイター向けのウェブマガジンCreatorZineにLayout Unit ディレクターの松本亮平が寄稿した記事を一部編集して掲載しています。
[CreatorZine]クリエイターがいま備えるべき3つの脳とは ロフトワークのディレクターが解説
https://creatorzine.jp/article/detail/1034

ロフトワークは、プロジェクト単位のクライアントワークがメインです。プロジェクトでは、クライアントのミッションや課題の本質を問い直すことからはじめ、国内外さまざまなクリエイターをプロジェクトメンバーとして巻き込み共創しながら、新規事業の創出支援、デザインリサーチ、ウェブサイト制作、空間企画プロデュース、展示企画プロデュースなど取り組む内容は多岐にわたります。

今回は、プロジェクト単位での仕事を通して感じた「ディレクターが持つべき3つの脳」について紹介します。これから紹介する3つの脳を持ち、適切なタイミングで使いこなしていくことで、プロジェクトの成功は大きく近づきます。

それでは、3つの脳とはいったい何を指しているのか、具体的にどういう場面で活用していくのかを紹介していきたいと思います。

ひとつめの脳:プロジェクトマネジメント脳(鳥の目)

ロフトワークでは冒頭で触れたようにプロジェクト単位での仕事が多いため、自分が受け持っているプロジェクトを管理する(プロジェクトマネジメント)ということがメイン業務のひとつです。

プロジェクト管理をする際にまず取り組むことは、プロジェクトメンバーの先頭に立ち、どんなゴールをたて、どのようなプロセスでプロジェクトを推進していくのかをデザイン(設計)すること。そして、それに沿ってスケジュール管理はもちろん、制作するものの品質管理、関わるプロジェクトメンバーを含めたステークホルダーの管理、発生しうるリスクやコミュニケーション面の管理など、鳥の目で俯瞰的に全体を見回すことがプロジェクトマネジメントには求められます。

マネジメントという言葉が保守的な印象を与えてしまいがちですが、良いマネジメントをするべく、能動的に、そしてクリエイティブに、「プロジェクトをデザインしている」という意識を持つことがミソです。

プロジェクトマネジメントを学ぶのにおすすめ記事

もしもゲストハウスの女将が、PMBOKに出会っていたら。

ゲストハウスの女将なども経験してきたクリエイティブディレクター服部がロフトワーク入社後、プロジェクトマネジメントの世界標準「PMBOK」と出会い、目から鱗がポロポロと落ちてた!という中から、特に知っておきたかった5つのポイントをまとめた記事。プロジェクトマネジメントにどういった要素があるのか、具体的にどんなアクションをするのかを垣間見れます!
https://loftwork.com/jp/finding/pmbok_okami

ロフトワーク流、熱意と生産性を引き出すプロジェクトコミュニケーション術

さまざまな有形・無形の「新しい価値」を生み出すプロジェクトを多く手がけてきたロフトワークならではの、メンバー間のコミュニケーションをもっとうまくやる方法、プロジェクトをもっと楽しくデザインする方法のヒントをまとめた記事。
https://loftwork.com/jp/finding/20180207_project_communication

ふたつめの脳:ディレクション脳(虫の目)

ロフトワークのプロジェクトディレクターは、名の通り、制作物のディレクションがふたつめのメイン業務です。

制作物がウェブサイトならそのウェブデザインを、制作物が空間であれば、その空間デザインの品質を上げるためのブラッシュアップをクリエイターと並走して行い、一緒に過ごすクリエイターとはトップダウンではなくフラットなコミュニケーションを取りながら進めます。そんな風に仕事を進めていくディレクション脳は、先ほど紹介したプロジェクトマネジメント脳とは反対に、制作物自体の細部へと目を向け、問いかけや深ぼりを繰り返す、いわば虫の目の動き方と言えるでしょう。

ディレクションについて理解を深めるのにおすすめ記事

“チャンス” をかたちに。 多様な出会いを演出したクリエイティブの裏側

ロフトワークがお世話になっているクライアント・パートナーの方々を招き、日頃の感謝を伝えるため毎年開催しているパーティ(YEAR END PARTY)。そのクリエイティブを担当したディレクターと制作の裏側を紐解いた記事。クリエイターと具体的にどういった話をしながら作り上げていくのかを掴むヒントにぜひ。
https://loftwork.com/jp/finding/concept-visualization-yep2019chance

3つめの脳:トレンドスクレイピング脳(魚の目)

もうひとつ、ロフトワークのプロジェクトディレクターがプロジェクトに取り組むときに活かしている脳が、時代の流れや世の中の人のニーズやトレンドなど「流れ」を読み取る、言うならば魚の目です。クライアントの視点を引き上げること、と言い換えることができるでしょうか。

例えば、空間デザインやディレクションの場合は、今後はどんな空間が世界的に重要視されていくのか。そもそも空間の前にどのような活動をその場ですべきかなのか。というように、今のデザイントレンドを元にした良し悪しの議論だけでなく、中長期的に時流の少し先を読み、クライアントへ新しいトレンドを共有しながら問いを投げかける力が必要です。そのスキルを身につけるには、普段から領域横断でさまざまなトレンドにアンテナを貼っておく必要があります。

見出しにつけたトレンドスクレイピングの「スクレイピング」は、削り取るという意味。大切なのは、世の中のありとあらゆる情報から、最新トレンドを引っ張ってくるのではなく、その膨大な情報源の中から、クライアントの特性と掲げているビジョン、プロジェクトの特性を鑑みながらキュレートする(必要な部分だけ削り取っていく)、ということです。

この脳を適切なタイミングで発動できると、プロジェクト初期のクライアントへの問いかけ、要件定義、ゴール設定を効果的に行うことができるはずです。

いかがでしたでしょうか。

今回はロフトワークのディレクターを例に3種類の動き方を紹介しましたが、これに限らず、さまざまな仕事でも応用が効く視点だと思います。読んでくださった方の少しでもお役に立てれば幸いです。


Author 松本 亮平(Layout Unit シニアディレクター)
関西学院大学卒。学生時代には途上国開発や国際問題を学びながら、アメリカのNGOの海外住居建設プログラムに参加し東南アジアを歴訪。卒業後は大手オフィス家具メーカーに就職し、オフィスワーカーの働く環境改善や提案に奮闘。クリエイティブが生まれる環境を自ら創造していきたいと、2014年ロフトワークに入社。Webディレクションで培ったプロジェクトマネージメントの力を基盤に、共創空間、クリエイティブ空間のプロデュースに従事。国内外問わず、あだ名は「へいへい」。Profile
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