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ロフトワーク京都で3ヶ月間インターンをしました!
こんにちは!ロフトワーク京都でインターンをしている、下岡です。私は一般企業へ就職した後、以前から関心のあったコンセプトを考え、カタチにすることを学ぶため、大阪芸術大学に入学し、写真表現について勉強しています。アート・デザイン・ビジネスの文脈が交差するロフトワークのプロジェクトへ関心があり、5月からインターンを始めました。そんな私ですが、8月にロフトワークを卒業します。3ヶ月という短い間でしたが、働くことへの考え方が新しくなる、そんな濃い時間でした。
そこで今回はインターンで得た学びや発見について、読者のみなさまにお伝えしたいと思います。とても私的な内容になりますが、これからインターンをしようかなと思っている学生さんなど、ロフトワークへ関心のある方へお届けできると嬉しいです。
プロジェクトの素地はリサーチでつくる
インターン期間中は、アプリ開発プロジェクト、ウェブサイトのリニューアルプロジェクト、新サービスのコンセプトビジュアルを考えるプロジェクト、など幅広い業務に携わることが出来ました。その中でも主に、資料や議事録の作成、情報整理などの仕事を担当していました。今回は、特に印象深かったリサーチに関するお仕事について紹介していきます!
私が携ったプロジェクトの多くは、新しい事業やサービスの企画提案を行う案件でした。このような案件は、提案のための第一歩としてリサーチを行います。目的は案件によってさまざまですが、競合や類似サービスの現状を知り、なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかの原因を把握し、案件に応用できるポイントはないかを考えるといった、提案の下準備をしていく段階です。新しいものを考えるとき「閃いた!」とか「神が降りてきた!」とよく言われますが、その前には地道なインプットがあるのですね。
仕事の目的を確認してから着手する
私は2つのリサーチのお手伝いをしました。デスクトップリサーチと、インタビューです。この2つについて、自身の気づきを交えながらご紹介していきたいと思います。
まずは1つ目のデスクトップリサーチです。このリサーチでは、広く浅いもの、狭く深いもの、求められる情報の方向性が違う場合がありました。インターネットには膨大な量の情報があり、漫然と検索していると時間があっという間に過ぎてしまうことがあります。インターンを初めて間もない頃、時間をかけた割に、的外れなアウトプットをしてしまったことがあり、焦りを感じました。
ですが、この経験が気づきポイントなのでした!取り組む前に、どのようなアウトプットが求められているのかを確認することがまず、大切なのだと。そして、求められている情報の方向性によって、以下の工夫をして、作業を始めました。
PCとリアルを行き来する
広い情報が求められる場合、1つのテーマについて多面的な情報がほしいケースがほとんどです。そのため、リサーチを進めていく中で、情報をカテゴリー分けし、視点を変え(検索ワードを変え)ることで、1つの方向性に深入りし過ぎないよう工夫しました。例えば、福祉と伝統工芸に関する新事業を提案するプロジェクトに関わった際、福祉に関する新しい取り組みを行う団体を探すというリサーチを行いました。このとき、営利追求・雇用創出・地域福祉向上など団体を目的別にまとめることで、集める情報に偏りがないよう心がけました。
一方、深い情報が求められている場合、具体例が求められることが多いです。ある検索ワードに対して、変数のように掛け合わせるワードを変えていくと、ほしいものが得られることに気づきました。例えば、あるアプリのコンセプトを具現化する際、ビジネスモデルが近しいサービスのスタート時の状態をリサーチしました。その際、サービス名に契約・営業・苦労のようにワードを掛け合わせ、なぜ成功したのかを具体的に掘り下げていくという方法を取りました。
また、リサーチ前に、想定される検索ワードを書き出し、ヒットしたかどうかの結果を書き残すよう、工夫しました。作業の跡を残していくことで、英語検索の場合は、UIよりInterfaceと入力する方がヒット率が高い、などヒットした要因を掴め、効率よくほしい情報を手繰り寄せられるようになりました。PCにずっと向き合っていると、自分でも何をどこまでやったのかわからなくなることがあります。そんな時は、思考や作業の導線を可視化することが大切だと学びました。
今いる場所を鳥の目で捉える
次に2つ目のリサーチに関するお仕事、インタビューについてどのような仕事をしたのか、紹介したいと思います。
メインのお仕事は文字起こしでした。文字起こしとは、話している内容を聞き、文字に打ち直していくというものです。話を文字にして記録するという点では議事録と似ていますが、目的が違います。議事録は相手との合意内容やto doを明確にするというものですが、文字起こしは、聞こえてきた言葉をそのまま文字にします。ただし、「えーっと」などのノイズ的な言葉は省いた方が良いケースもあります。このように書くと簡単なのですが、聞こえてきた文字をひたすら打っていく作業は長時間つづく集中力と、話を構造化しながら聞くことが必要なのだと気づきました。
まず、インタビューを聞きながら打っていると、話すスピードの方が早いので、どこかで置いていかれます。すると音源を切り、また聞き直す。これを繰り返します。気がつくと、1時間のインタービューに対して、3時間ほど文字起こしのために時間を使っていました。
これではいけない!と思い、音源を聞く際にある工夫をしました。ほとんどのインタビューは質疑応答なので、質問(知りたいテーマ)から答え(内容、具体例)へと移ります。テーマ→内容→具体例、大きなものを小さなものへチャンクダウンするイメージで、会話を捉え、いまどの箇所を話しているか理解しながら、打っていく。これを意識することで、作業時間が半分ほど短くなりました。
また、この構造で資料を作ると、話題ごとにまとめ、見出しをつけやすくなり、資料の見やすさにも繋げることができました。そして、たくさんのインタビューを聞いていると、話題の優先順位がわかるようになり、優先度の高い話題は資料の上段に配置するなど、気を配れるようになりました。自分の行動をメタ認識で捉えると、安定して集中できる。これは、日頃の生活や仕事にも応用できそうです。
タイムマネジメントの大切さ
そして、上記の工夫をした際、共通して意識したことが時間管理です。これは仕事をする上での基本だと思うのですが、今まではざっくりと時間を見積もり、仕事を始めていたことに気づきました。
ロフトワークでは、世界標準のプロジェクトマネジメント手法PMBOKに則り、仕事の進め方が決まっています。プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功させるために必要な活動の計画を立て、日程表を作り、仕事の進捗(進み具合)を管理することを指します。プロジェクトを進めるための指針となるものです。この手法では、マネジメント作業の半分以上が立ち上げ、計画に充てられていて、最も大切なプロセスと位置付けられています。そして、計画を立てる際には、計画を細分化した作業にあたる、タスクの時間配分が大切です。プロジェクトメンバーが実際に仕事をする際は、このタスクを実行し、時間を管理していきます。
では、何に基づいて時間配分を決めれば良いのか?このとき、ロフトワークでは時間予算という考え方が登場します。プロジェクトにかけられる時間の見積のことで、プロジェクトで得られる利益によって決まります。恥ずかしながら私、この言葉を初めて知りました…!プロジェクトやタスクにかけられる時間は有限で、決まっている。当たり前なのですよね。ですが、この当たり前を決める方法が決まっていて、明文化され共有されていることって稀有だと思うのです。
時間予算から、タスクにかけられる時間を決める。そして、実際のタスクにかかった時間を、記録していく方法がありました。それが、togglというタイムマネジメントツールです。操作はシンプルで、ストップウォッチの要領でタスクの開始時、終了時にボタンをクリックします。インターンを初めた頃は、ついつい記録し忘れることが多かったのですが、記録することの意味を理解してからは、記録することが習慣となりました。目標時間と実際にかかった時間に差があったときは原因を見つけ、対策を立て、実行する、といった日々の積み重ねが、仕事の基本になるのだと改めて感じました。
必要なことはとにかくシェア
このようなタスク管理の考え方やツールの使い方は、ロフトワークwikiという社内版wikipediaに掲載されているので、基本がわからなくなった際に立ち戻ることができます。このwikiは仕事をしている中での気付きや発見をナレッジとして共有でき、より良いものへ日々更新されています。みんなの知恵を総動員して、現場に即したマニュアルを作り、常にブラッシュアップしているという感覚です。
1人だけが固有の情報を持つのでなく、みんなで情報を共有する。これは、プロジェクト資料の保存についても同じ考え方でした。クラウドに資料が保存されているため、メンバーは同じ資料を閲覧します。すると、ある人は資料の最新版を見ていたけれど、ある人はその前のバージョンを見ていたという問題が解消されます。このように、ロフトワークでは、必要なことに集中でき、かつケアレスミスの発生を抑える環境が整っていました。
日頃のやり取りで使われていたチャットもメンバーで会話を共有し、端的に必要なことを伝えられるので、スピーディに仕事が進みます。そして、時には絵文字を入れることで、感情を添えて伝えることができました。私は今までの習慣で固い言葉をたくさん使っていたのですが、柔らかくわかりやすく伝えることの大切さを学びました。そして、仕事モードに切り替えなきゃという意識から、自分がフラットになっていく感覚があり、新たな発見でした。
仲間と楽しみながら取り組む
このフラットな感覚は、ロフトワークが大切にしている理念にも通じるところがあると感じました。ロフトワークは、クライアントもクリエイターも垣根なく同じ方向を見て一緒に走ること、そしていつも笑い合いながら旅する、という姿勢を大切にしています。プロジェクトに関わるメンバーは、同じ目線で接する。このオープンな関係性が作用し合い、考え抜かれたアウトプットに繋がっているのだと実感しました。これはインターン生である、私の意見もひとつの意見としておもしろがったり、受けいれてもらえたときに感じました。デスクトップリサーチをしていたとき、得られた情報から自分なりに気づいたことを伝えると、「次は、気づいた点をテーマにリサーチしてみて」と仕事をくださった時は嬉しかったです。
また、楽しみながら仕事をする。これもロフトワークらしさなのだと感じます。正解はないなか、過程を楽しむことでプロジェクトへ夢中になり、オリジナルな視点をもつことに繋がるのだと気づきました。
思いを実現していく勇気
ここまで、事例とともにインターンで得た気づきを振り返ってきました。ロフトワークには、たくさんのインプットを咀嚼し、スピード感と一体感をもってアウトプットへ繋げる皆さんの姿がありました。そして、レポートを書きながら、インターン中、何度か聞かれたことばを反芻していました。どう思うのか?どうしたいのか?自分の意見が求められる場面がたくさんありました。私は今までの習慣でついつい「すべき」で考えてしまいます。ですが、「すべき」はこれまでの思考や常識の枠に捉えられているのですね。
新しいものやサービスを世に出そうとするとき、最初は誰か1人の「したい」が周囲やプロジェクトを動かしていくのかもしれません。ロフトワークでは、多様な「したい」を実現できるフィールドがあり、実際に実現されている方がたくさんおられ、その姿が眩しく見えました。そして、私もこのように働きたいと思う像を見つけることができました。今回、ロフトワークで働く機会をいただき、大変感謝しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!