こんにちは!株式会社リトプラPR担当の松倉です。
2024年8月、世界中で注目を集める生成AIと、大人気のトレーディングカードが融合したユニークなアトラクションが誕生しました。その名も
「MAZEMON GENERATOR/AIモンスター生成ラボ」
‟自分の手で、世界に一枚だけのカードを生み出す” という、新感覚の次世代トレカ体験を実現した「MAZEMON GENERATOR/AIモンスター生成ラボ」(以下、マゼモン)は、どのようにして生まれたのか?今回は、プロデューサーの正垣健太、そして企画・開発を担当した渡邉清峻にインタビューを実施! 開発の裏側やこだわりについて語ってもらいました。ぜひご覧ください!
開発者の紹介
企画・開発:正垣健太 10年以上にわたり、メダルゲームやXRアトラクションなど多様なエンタメ企画に携わる。独立後は子ども向けプログラミング教室を開業。現在はリトルプラネットでアトラクションやプロダクトの企画開発を担当。スタートアップならではのスピード感とフットワークで大手をうならせる新サービスや施設開発を作ることにやりがいを感じている。
企画・開発:渡邉清峻 大手広告制作会社でAR/VRアプリの開発に約5年従事。2019年よりリトルプラネットに参加し、テクノロジーとアナログ体験を融合させたコンテンツを企画・開発。「新しい」を「面白い」へと変換するのが得意。プライベートではものづくりユニット「カタコト」として3Dプリンターや電子工作などを活かしたものづくり活動も行っている。
▲「デジタルえほんアワード2024」(主催:国際デジタルえほんフェア実行委員会)で受賞した際の写真 左:正垣健太 右:渡邉清峻
昔ながらの遊び x 最新デジタル技術 - 未来へつなぐ ‟アソビ” の進化 -
ーー マゼモンの企画が生まれた背景や、開発を決めたきっかけを教えてください。
正垣 ChatGPTに代表される生成AIが世に出始めた2022年頃から、渡邉と私の2名で、生成AIを活用したアトラクションやプロダクトの研究開発をスタートしました。当初は対話型AIキャラクターなどの試作やディスカッションを重ねるなかで、あらかじめ用意されたAIを使うのではなく、子どもたちが自由な発想でAIを活用し、何かを生み出せる方が面白いのでは?と考えるようになり、自由に素材を組み合わせてモンスターを作り、世界に1枚だけのトレーディングカードが生まれるという現在の企画に至りました。
開発は、アイデアを出し合い、渡邉がプロトタイプを作り、また意見を交わすという壁打ちの繰り返しでした。渡邉が生成AIを活用した遊びのベースを固めていき、私はアーケードゲーム出身ということもあり、バトル部分の仕様やハードウェアの選定を担当。ある程度内容が固まった段階で、デザイナーや設計も加わり、一気に開発が加速していきました。カードゲームは世代を問わず親しみがあるため、テストプレイでもワイワイと盛り上がりましたね。
また、渡邉は「もっと面白くしたい、こうしたい!」とモチベーション高く開発をリードしてくれるタイプだったため、私はプロデューサーとして、筐体の原価設定やプレイ料金からの投資回収計画など、収支の面も見ながら進めていきました。こうして、子どもたちの発想と生成AIが生み出す化学反応によって、これまでにないアトラクションが完成しました。さらに、トレーディングカードという「昔ながらの遊び」を最新テクノロジーで再定義することで、新しい遊びの形を生み出せたのではないかと思います。
ーー 子どもたちの自由な発想と生成AIを掛け合わせた新しい遊びの形がユニークですね。トレーディングカード要素で親しみやすさもあるのも印象的です。実際の開発では、どのような点を意識しましたか?
渡邉 「子どもたちにとって何度も試して、遊びたくなるか」というところでした。マゼモンは生成AIという技術を中心に使ったアトラクションになります。今でいう最新の技術を使ったものではあるため、それだけである程度のインパクトや体験の新規性を実現できてしまいます。
ただ、リトルプラネット内にあるアトラクションと見ると、ただの新規性だけでは子どもたちの興味を引くことはできませんし、次々と新しい遊びを求める子どもたちにとって "何度も遊んでもらえる" ものになりません。そのため、"技術や面白さ" に頼らない、"体験の面白さ" をどれだけ込められるか、ということを意識しました。
例えば生成結果の面白さや実際のカードが手に入る要素はもちろん、バトルシステムや以前作ったマゼモンをシャリング(※)に保存できるシステム、倒した相手のバッジが獲得できるシステムなど。ただ "生成できる" だけで終わらない、いろんな遊びの要素を込め、"また遊びたい!" と思える工夫を実装しています。
※パークでの体験をより深く楽しむためのリストバンド型デバイス。付属のQRコードをスマホで読み取ることで連携可能。遊んだデータの記録、描いた絵の保存、専用通貨「リプラ」の獲得・利用(特別アイテムや景品交換)ができる。
ーー なるほど、生成AIの新しさだけでなく、何度も遊びたくなる仕掛けがたくさん詰まっているんですね。では、マゼモンならではの特徴や、他のトレーディングカードと差別化できるポイントについても教えてください。
正垣 マゼモンならではの特徴は、100種類以上の素材プレートを自由に組み合わせ、世界に1枚だけのモンスターカードを作成できる点です。従来の「素材を組み合わせてモンスターを合成する」タイプのゲームや玩具では、あらかじめ決められたパターンの中から結果が導き出される仕組みでした。
しかし、マゼモンでは生成AIを活用することで、モンスターのイラストや名前、必殺技、特徴の説明文まで、その場で自動生成されます。そのため、同じ素材を使っても毎回異なるモンスターが誕生し、まさに"世界に1枚だけのトレーディングカード"を生み出すことができます。
▲モンスターの元となる「そざいプレート」。100種類以上あり、期間限定プレートも存在する
ーー 例えば、複数人が同じ素材(ドラゴン、ネコ、オノ、ハート)を組み合わせても、それぞれ異なるデザインのカードができるということですね。その分、技術的な課題や実装の難易度も高そうですが、開発時の具体的なエピソードがあれば教えてください。
渡邉 課題となったのは、『生成結果のクオリティを一定に保つこと』でした。マゼモンでは、“毎回違うモンスターが生まれ、世界に一枚だけのカードが作れる” という体験を大切にしています。動物のようなものから、まるで生き物ではないようなものまで、多種多様なデザインが生み出されるのが特徴です。
本来なら特定の系統や画風に寄せてAIを安定させることもできますが、それではマゼモンの多様なモンスターを生み出すという特性が損なわれてしまいます。そのため、ひたすら試しの生成を繰り返し、どんなものでも誕生させたモンスターに満足できるラインを担保できる、そのパラメーターの調整に大きな時間を割きました。
結果として、可愛いものを作ろうとしても、かっこいいものを作ろうとしても、生成できた結果にワクワクできるラインの調整ができるようになったと思います。
ーー こうして見ると、どのカードもカラフルで、おとなも思わず集めたくなりますね。マゼモンのデザイン面はどのように決めていったのですか?
渡邉 マゼモンジェネレーターは筐体型のアトラクションであることから、まず「どんな装置であるべきか」という視点で考えました。子どもたちにとって、このアトラクションはどんな体験になるのか。さまざまな素材を選び、組み合わせを試行錯誤しながら、新しいモンスターを生み出す—— その過程は、まるで「未来の実験」のようだと感じたことが出発点です。
そこから、SFの世界に登場する実験装置のようなイメージをもとに筐体のデザインを設計しました。素材となる「そざいカード」も、“DNAが刻印されたディスク” という設定にし、実在感のあるデザインを意識しています。アトラクションの世界観を統一し、「未来のためのモンスターを作る実験」をテーマに設定しました。子どもたちは、その実験を進めるキャラクターを手伝う役割を担います。ワクワクする近未来の演出も取り入れ、より没入感のある体験を目指しました。
ーー 私が実際にマゼモンを体験した際、「これとこれを混ぜたらどうなるだろう?」とワクワクしながら合成し、予想外の結果に驚くのが非常に楽しかったです。こうした反応は他のゲストにも多いと思いますが、開発者として特に印象に残ったシーンや嬉しかったエピソードはありますか?
渡邉 遊んでいる様子を見て驚いたのは、「マゼモンを通じて自然とコミュニケーションが生まれている」ということです。マゼモンジェネレーターは基本的に一人ずつプレイするアトラクションのため、開発時は子どもが夢中で合成素材を探したり、バトルしたりする一人での体験を想定していました。
しかし、社内テストでは「この素材を使ったほうが可愛くなるよ!」といった会話が自然と生まれ、できあがったカードを見せ合うなど、その場で子どもたちがすぐに仲良くなる様子が見られました。カードを見せ合うこと自体は想定していましたが、体験中から会話が生まれるとは思っておらず、印象的でした。
また、実際に導入後は、親子でそれぞれカードを作り、「お母さんこんなのできた!」と会話が弾む様子も見られます。マゼモンを通じて、ただ楽しいだけでなく、その先の体験まで生まれているのが嬉しいですね。
▲リトプラ社内で実施されたマゼモン体験会の様子。初めて会った子ども同士が一緒に楽しんでいる様子が印象的でした
ーー 最後にマゼモンの未来や、今後の展開についてどのように考えているか教えてください
正垣 公式店舗からパートナー店舗へと筐体設置も増えていき、筐体やカードのハード面やソフトウェアのバージョンアップなども随時行なっていきます。今後は、カード単体でのバトルルールを周知したり、アプリの PLANET PORTAL (プラポ) から自分の作ったマゼモンのキーホルダーやカードケースなどのグッズが作れるサービスなど、店舗以外の場所でも触れられる機会を広げていきたいと考えています。
ゆくゆくはマゼモンのカードバトル大会や、マンガ連載、アニメ化などメディアミックスで世界を広げていきたいなという妄想はあります。子ども達が遊べば遊ぶだけマゼモンは無限に増えていきますので、活躍出来るフィールドを用意して一緒に盛り上げていけたらと思います。
渡邉 マゼモンは運営開始から少しずつアップデートや改善を加えてきましたが、まだまだ加えたい要素がたくさんあります。店舗からは「もう全部のバッジを獲得した子もいました!」と嬉しい報告をもらうこともあり、そういった何度も遊んでいる子どもたちにも新しい体験を提供したいと考えています。
導入店舗も増えてきているので、その環境を活かして、さらに遊びの幅を広げたいと思っています。例えば、ある店舗で一番強いマゼモンを作った子どもが、そのマゼモンで他のプレイヤーに挑戦する「挑戦者出現!」機能を検討しています。
また、改善点としては、カードの品質をプラカードに変更するなど、物理的な満足感も感じてもらえるように進めています。世界で一つだけのマゼモンたちを、大切に集めたくなるような体験を提供できるよう、今後も取り組んでいきます。
今回は『MAZEMON GENERATOR/AIモンスター生成ラボ』の開発秘話をお届けしました!
アトラクションのアイデアから、生成AIを活用したカード作成、さらには遊びの幅を広げるための工夫まで、メンバー一人一人がアイデアを出し合いながら、形にしていきました。
リトプラでは、職種に関係なく自分の強みや可能性を最大限に活かせる環境があり、マゼモンもそんな環境のなかで生まれたアトラクションです。
新しいアイデアを形にし、挑戦し続けるリトプラに興味をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。また、カジュアル面談も積極的に行っておりますので、ご興味のある方はお気軽にエントリーいただければと思います!
最後までお読みいただきありがとうございます。