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ロンドンのBtoBスタートアップでバックエンドエンジニアとして働いている川西さん。
海外就活の面接で一番よく話していたのは、派手な留学経験でも難しそうな研究テーマでもなく、学生時代にLightblueで担当した「図面OCR」の案件でした。
日本のAIスタートアップで、仕様のすり合わせから実装・改善までを任されたこと。
その経験を、UKの面接で伝わりやすいひとつのエピソードとして整理し直したこと。
それが結果的に、「海外でエンジニアとして働く」ための一番の武器になりました。
この記事では、
- どんなきっかけでLightblueにジョインしたのか
- どんな仕事を任され、そこで何を身につけたのか
- その経験をどうUK就活での「語れるネタ」に変えていったのか
を、順を追って紹介していきます。
プロフィール
川西さん
1998年生まれ。9歳までアメリカで育ち、その後は日本で中高・大学生活を送る。
高校では野球部、大学ではボクシング部に所属。
東京大学 工学部 システム創成学科に進学し、大学院では災害時の水道ネットワークの強靭化など「災害レジリエンス」をテーマに研究。
学部時代からLightblueでエンジニアインターンとして約4年間勤務し、修了後はHPIビザを利用して渡英。
現在はロンドンのテック系スタートアップでバックエンドエンジニアとして働いている。
カラオケ店アルバイトから、雑居ビルのAIスタートアップへ
学生時代の川西さんは、いわゆる「PCオタク」ではありません。
「高校までは野球、大学ではボクシング。
どちらかというと体育会系寄りの学生でした。」
プログラミングにちゃんと触れ始めたのは、シンフリ(進学振り分け)の頃。
「何か新しいことをやってみるか、くらいの軽い気持ちで始めました。」
大学2年の頃は、カラオケ店でアルバイトをしていました。
「大学生のうちに、一度は“普通の接客バイト”もしておきたいなと。
将来直接役に立つかは分からないけれど、人に優しくなれる経験ではありました。」
そんなタイミングで、ボクシング部の先輩から声がかかります。
「先輩が関わっているAIスタートアップでインターンを探しているんだけど、興味ない?」
「とりあえず話だけ聞きに行くか」と向かったのは、雑居ビルの一室。
そこで、Lightblue代表の園田やエンジニアの谷口と話すことになりました。
会社の説明を一通り聞いたあと、最後に飛んできたのがこの一言です。
「で、どれくらい入れる?」
「こっちは話だけ聞きにきたつもりだったんですが、
気づいたらその日からインターンが始まっていました。(笑)」
こうして、Lightblueでのエンジニアインターンがスタートしました。
社員5人のスタートアップで、「調べて・聞いて・作る」を回し続ける
インターン開始当時のLightblueは、社員5名ほどの小さな組織でした。
- 最初は出社メイン
- コロナ以降はフルリモートへ移行
- 稼働は週2日・週10時間前後
- 夏休みなど、まとまってコミットする時期もあり
- 学部〜大学院〜渡英後の契約社員期間も含め、在籍期間は4年以上
スタート地点のスキル感は、「右も左も分からない」に近い状態だったと言います。
「最初は本当に何も分からなくて、
そもそも何をどうググればいいか、というところからのスタートでした。」
そこからの基本スタイルは、とてもシンプルです。
- まずは自分で調べる
- 手を動かして試す
- それでも分からなければ、自分の考えを整理してから質問する
「分からないことを、ただ 「分かりません」で止めない。
ここまでは分かっていて、この先のどこで詰まっているのかを説明してから相談する。そのクセはLightblueで自然と身につきました。」
「カリキュラム通りに教わる」というより、
実務の中で“自分で前に進める力”を鍛えられる環境だったと言えます。
印象に残っているプロジェクト①:点群データを2Dに落とす
最初に本格的にコミットしたのは、
3Dスキャンの点群データから2次元情報を生成するプロジェクトでした。
- 点群(3D)データを解析し
- 必要な情報を2D平面に落とし込み
- その後のCAD化につながるデータを生成する
「自分の書いたコードが、そのまま“ものづくり”の下地になっていく感覚がありました。
これはちゃんとプロジェクトとしてコミットしたな’ と実感できた最初の案件だったと思います。」
印象に残っているプロジェクト②:図面OCRをCSVに変換する案件
そして、のちのUK就活で「一本のストーリー」として語ることになるのが、
図面をOCRしてCSVに変換する案件です。
やっていたことを噛み砕いて説明すると、こんな内容です。
- タイヤの図面に書かれた仕様情報を
- 画像として読み込み
- OCR(文字認識)でテキスト+座標情報として取得し
- 顧客が扱いやすい CSV形式 にまとめる
「当時はまだ、何でもLLMに投げればいい時代ではなかったので、
APIのレスポンス構造をきちんと理解しながら、
この座標のテキストはCSVのどの列に落とすか’ を設計していく必要がありました。」
この案件では、
- 要件のすり合わせ
- 実装方針の整理
- 実装〜検証
- 顧客のフィードバックを受けた改善
と、ひとつの仕事の流れを通して担当しました。
「最初から最後まで、自分の名前で語れる案件でした。
あとから振り返ると、この案件が一番“軸”になっていたと思います。」
この「自分でやり切った一本のプロジェクト」が、のちのUK就活で強力な武器になっていきます。
HPIビザでロンドンへ。Lightblueの仕事が「チャレンジの土台」に
大学院修了のタイミングで、川西さんはHPI(High Potential Individual)ビザの存在を知ります。
- 世界大学ランキングで一定順位以内の大学を卒業していれば
- イギリスで働くための就労ビザが出る制度
「東大卒ならビザが取れるので、
それなら一度イギリスに行って、現地で就活してみるか’ という気持ちになりました。」
ここで大きかったのが、Lightblueとの継続的な仕事があったことです。
「渡英後も、Lightblueの仕事をリモートで続けさせてもらいました。
それが生活のベースになる収入になっていたので、
とりあえず働きつつ、本気で現地の就活をする’ という選択ができました。」
日本でのキャリアを一度すべて手放して飛び込むのではなく、
- 生活の安定はLightblueの仕事で確保し
- そのうえでロンドンのスタートアップに全力で挑戦する
という形で、ロンドンへの一歩を踏み出しました。
ロンドンでの就活:最初はうまくいかなかった
ロンドン到着後は、
- 日中:現地企業への応募・面接
- 夜:日本時間に合わせてLightblueの作業
という生活が始まります。
「最初は正直、少し甘く見ていました。
興味のある会社を見つけて、とりあえず応募してみる、というスタンスでした。」
その結果、現実はなかなか厳しいものでした。
- 書類選考は通る
- しかし面接で落ちる
- 最終面接まで進んでも、不採用になることもある
- 英語で、自分の経験をうまく説明しきれていない感覚が残る
「最終面接まで行って ‘これは決まっただろう’ と思っていた会社からも普通に落ちて、そこで初めて ‘やり方を根本的に変えないとダメだな’ とスイッチが入りました。」
Lightblueでの経験を「一本のストーリー」に整理する
ここから、就活の向き合い方をガラッと変えます。
よく聞かれる質問と答えを、まずは全部書き出す
まず、面接でよく聞かれる項目を洗い出しました。
- 自己紹介
- これまでやってきた仕事
- 一番難しかった / 印象に残っているプロジェクト
- 顧客とのコミュニケーションで意識したこと
- 手厳しいフィードバックをもらった経験
- チームでの役割や働き方
これらについて、すべて英語でGoogleドキュメントに書き出し、整理していきます。
「英語でその場で考えながら答えるのはやはり難しいので、
まず文章として書いてから、口頭で話せるように削っていきました。」
図面OCR案件で、ほとんどの質問に答えられるようにする
次に決めたのは、かなり割り切った方針でした。
「できるだけ多くの質問に、図面OCR案件ひとつで答えられるようにしました。」
図面OCRの案件には、面接で見られやすい要素がすべて入っていました。
- 技術面
- どの技術/APIを選んだか
- どこで詰まり、どう解消したか
- 顧客視点
- 現場が扱いやすいCSVとは何か
- UIや出力形式へのフィードバックをどう反映したか
- 進め方・オーナーシップ
- 要件整理〜実装〜改善の中で、自分がどこまで主体的に動いたか
- チームワーク
- 社内のメンバーとどう役割分担し、相談して進めたか
この案件を軸に、
- 「技術的に難しかった点」を聞かれても
- 「顧客志向のエピソード」を聞かれても
- 「チームで成果を出した話」を聞かれても
すべて図面OCR案件から話せるように構成し直しました。
「バラバラだった経験を、ひとつの案件にまとめなおしたイメージです。
自分も話しやすくなりましたし、聞き手にとってもイメージしやすくなったと思います。」
「分からないことをそのままにしない」姿勢も、そのまま評価された
もうひとつ、Lightblue時代からの習慣であり、
UK就活で評価されたと感じているのが、質問の仕方です。
「分からないときに、ただ 分かりませんで終わらせない、というのは意識していました。」
具体的には、
- 自分なりの仮説や考えをまず伝える
- どこまで理解できているかを共有する
- そのうえで、どの部分で迷っているのかを相談する
というスタイルです。
「コーディング試験も、全問完璧に解けたわけではありません。
それでも 考え方やコミュニケーションの取り方が良かった と言ってもらえたのは、Lightblueでの進め方をそのまま面接でも出せたからだと思います。」
図面OCR案件を軸にしたストーリーと、Lightblueで培った「調べ方・聞き方」が噛み合った結果、イギリスでの選考通過率は目に見えて変わっていきました。最終的に、現在所属しているロンドンのBtoBスタートアップからオファーを受け、バックエンドエンジニアとして働いています。
Lightblueインターンで得られたもの
あらためて、Lightblueインターンで得たものを聞くと、川西さんは次の3つを挙げてくれました。
- 自分の名前で語れるプロジェクトを持てたこと
- 図面OCRのように、要件整理から実装・改善まで通して担当した経験
- 「まず自分で調べて、それでもダメなら相談する」習慣
- スタートアップならではの、自走する前提の環境で身についた進め方
- どこに行っても通用する“一本のストーリー”
- そのプロジェクトを、海外のエンジニア採用でも分かりやすいエピソードとして語れたこと
「Lightblueでの経験をちゃんと整理して話せるようになった瞬間、UK就活の景色が変わりました。」
これからLightblueのインターンを考えている人へ
この記事を読んでいる方の中には、
- 将来は海外も含めてキャリアの選択肢を広げたい
- 自分の名前で語れる“一本のプロジェクト”を持ちたい
- 誰かに言われたことをこなすだけではなく、自分で考えて動きたい
そんな思いを持っている人もいるかもしれません。
川西さんは、最後にこんなメッセージをくれました。
「完璧に準備してから、というよりは、どんとこいくらいの気持ちで飛び込んでみて、経験したことをあとからしっかり深掘りして言語化すれば、就活の場でもちゃんと武器になります。」「自分で手を動かして、考えて、相談しながら進めるのが好きな人なら、Lightblueのインターンはきっと相性がいいと思います。」
スタートアップの現場で積み重ねたインターン経験が、国境を越えて“キャリアのパスポート”になっていく。
そんな一例として、川西さんのストーリーをお届けしました。