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ウェルビーイングの観点から見た「ストレス」や「職業意識」の男女差に関する研究結果を公開

研究結果サマリー
・ストレス指標19項目のうち、10項目以上は男性よりも女性の数値が高かった
(19項目のうち、6項目は男性より女性の数値が高く、3項目は同程度だった)

・男女共同参画に関わる8項目のうち、6項目で女性の数値が低かった

・上司からの評価や給料、様々な立場の活躍などに対する認知は、40代以降で男女差が見られた
特に「上司からのふさわしい評価」「仕事に見合う給料やボーナス」「いろいろな立場の人が尊重されている」の3項目で、男性の得点が上昇に転じる傾向があった

研究を行った背景
2022年4月に「女性活躍推進法」が改正され、常時雇用の労働者数が101人以上300人以下の企業は、改正前は努力義務とされていましたが、改正後は義務化となりました。

加えて、男女共同参画の観点から見ると、日本は他の先進国に比べて大きく遅れをとっているとされています。こうした実態の中で、よく挙げられる具体指標は賃金格差や女性管理職比率です。

一方で、具体的に仕事を通したストレスや職業意識の中でどのような男女差が存在しているかについては、十分に検討されていない背景があります。

今回、弊社の『ラフールサーベイ』のデータを活用し、立正大学心理学部との共同研究にて、ウェルビーイングの観点から見た「ストレス」と「職業意識」の男女差について分析しました。

分析対象及び分析内容
①分析対象
企業・事業所数:462
対象人数:66,427名 (女性:29,003名, 男性: 37,424名)
平均年齢:41.17歳
平均勤続年数:9.43年

②使用データ
株式会社ラフールが実施するラフールサーベイへの回答者(回答期間:2021年1月~2022年2月の間)

③分析に使用する項目
『ラフールサーベイ』に含まれる職業性ストレス簡易調査票 (57項目)および、新職業性ストレス簡易調査票の推奨尺度 (63項目)に独自項目(36項目)を追加した計156項目

分析結果
■ ストレス指標19項目のうち、10項目以上は男性よりも女性の数値が高かった
(19項目のうち、6項目は男性より女性の数値が高く、3項目は同程度だった)

男性と女性との間でウェルビーイングに感じる傾向に違いが見られることがわかった。

■ 男女共同参画に関わる8項目のうち、6項目で女性の数値が低かった

【男性優位の項目】
・失敗しても挽回(ばんかい)するチャンスがある職場だ
・職場では、(正規、非正規、アルバイトなど)いろいろな立場の人が職場の一員として尊重されている
・自分の仕事には十分裁量が与えられている
・今の仕事(業務)はきっと将来の自分のためになると感じる
・将来の仕事やキャリアプランを自分で考えている
・職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる

【女性優位の項目】
・私は上司からふさわしい評価を受けている
・自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている

・今の仕事(業務)はきっと将来の自分のためになると感じる
教育・研修、介護・福祉・医療、人材サービス、メーカー(素材・食品・医薬品他)、インフラ、その他の業種のみ男女差は見られなかった。

・自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている
人材サービス、建設・不動産、コンサルティング、IT・インターネットの業種において、むしろ女性の方が平均値は高い。残る業種では有意な男女差は見られなかった。

■上司からの評価や給料、様々な立場の活躍などに対する認知は、40代以降で男女差が見られ、特に「上司からのふさわしい評価」「仕事に見合う給料やボーナス」「いろいろな立場の人が尊重されている」の3項目で、男性の得点が上昇に転じる傾向があった。

終わりに
ウェルビーイングな経営を実現するために必要な「可視化」と対策

2022年は多様性元年。上場企業のコーポレートガバナンスコード改訂、女性活躍推進法改訂、男性育休の義務化の推進、人的資本、非財務情報開示など、従業員のウェルビーイングを実現するためには、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への理解や取り組みが必要不可欠です。

本研究では、ストレス・職業意識の男女差があることがわかりました。一貫して男性の方が職場で自律性をもって働くことができている一方、職業性ストレスは女性の方がサポートは高いにもかかわらず、満足感には差が見られず、多くのストレス指標は女性の方が高く、男女共同参画に関わる項目も同様に多くが男性の方が良好だった結果に。

また、上司からの評価や給料、様々な立場の活躍などに対する認知は、40代以降で男女差が見られた。多くの項目で男女差は現在も存在しており、特に女性活躍のための支援が必要である。さらに中年期以降のライフステージにおいて、男女差が顕在化する項目があり、子育て等が一段落した段階の働き方の違いを反映する可能性が見え、中年期以降の女性従業員に対する「リスキリング」支援の必要性が示唆された。

このように、人的資本、非財務情報の「可視化」を通した課題の発見やその先の対策は大企業に限らず急務であり、“労働市場”への適応に向けた取り組みやウェルビーイング経営の実践は、今後より重要性を増してくるのではないでしょうか。

【 共同研究者 】
立正大学 心理学部 永井智 氏、佐藤秀行 氏

■ 共同研究者よりコメント
今回の分析では、男女共同参画に関する項目の多くで女性の得点が低くなっていること、一部の項目は40代以降に男女差が顕在化することなど、非常に興味深い結果が示されました。女性の活躍についてはまだまだ課題が多いことは社会的にも認知されていますが、ラフールサーベイの結果からも、こうした点が裏付けられたことは有意義な結果であると思います。

また、職業性ストレスに関わる諸変数においても男女差が見られたことは、単に女性活躍における課題ではなく、ウェルビーイング全般における男女差に注目することの重要性を示唆します。もちろん、こうした男女差は雇用形態や転職の有無など、実際のキャリア状況の違いを反映している可能性もあり、こうした観点からも今後分析を行っていきたいと考えています。

■ 立正大学について
立正大学公式サイト : http://www.ris.ac.jp/

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