家業は、5代続く「川原町泉屋」 実家は岐阜県の長良川近く、鮎料理と加工食品のお店をしています。もとは製造業だったのですが、5代目である父が本格的に鮎と向き合うことにしたそうです。それは、わたしが小学校5年生のとき。磨き抜かれた塩焼きの技術や、匂ったことも口にしたこともない発酵食品に触れることは、当時の私にとって、あまりにも刺激的でした。「”食”って、すごくおもしろいに違いない」と思ったんです。いま思えばこの体験が、将来は何かしらのかたちで食に携わろう、と決めたキッカケだったのかもしれません。
*岐阜のお店「川原町泉屋」です。父が、ここで鮎を焼いています。
1年前の夏、大学院を飛び出して、東京へ。 毎日のランチタイムは「わたしだけの世界」 ただ「食べる」という末端の行為だけでなく、食物そのものの栽培や伝播にも興味があったので、とにかく農学部に入ることしか考えていませんでした。結果的に京都大学農学部資源生物科学科に入学しましたが、受験勉強のような、いわゆる ”正解がすでに決まっている” ことに対しては得意だったようです。ごく一般的な学生生活でしたが、ちょっと変わっていたところを挙げるとするなら、「ひとりで食べる」ことが大好きでした。自分はコレが食べたい!という欲求が強すぎて、まわりに合わせることが面倒になっちゃって。時には、いや、しばしば、2限あるいは3限をサボってまで、自転車で食べたいものを求めに走っていました。好きな時間に、食べたいものが食べられる。とっても幸せでした。
*食事の時間はだいたい一人でしたが、サークルではありがたいことに、多くの仲間に恵まれました。
人生初、敷かれたレールから外れてしまいました。 すこしだけ、大学院の話をします。実は、農学研究科ではありません。室内実験ではなくフィールドワークによるデータ採取に魅せられて、情報学研究科の生物圏情報学講座に進学しました。私の研究対象の生物は、タイ王国固有種かつ絶滅危惧種の、メコンオオナマズです。最大体長3メートルともいわれる巨大な魚、ぜひググってみてください。食べられます。
毎日新鮮であったはずの研究生活が、不安という感情に支配されるようになったのは、4年生の終わり頃からだったと思います。海外留学、実質1ヶ月間での卒論執筆、ついていけない情報学の講義、入学して間も無く始まったサマーインターン選考… いつしか身も心も、どこかに置いてけぼりになりました。このまま何もできなくなるのが嫌で、半ば無理やりですが、休学して東京に出てみることを決めました。東上野のオフィスに足を踏み入れたのは、その2週間後です。
未経験からのエンジニアインターン生活。 未経験でのジョインだったので、まずはRailsチュートリアルを3周するところから始まりました。私の当時のプログラミング的実績といえば、統計の単位は落とし、大学院の講義もコピペでのりきる、という上々のレベル。エラーログを解読するなんて、程遠い話でした。
「どうすればプログラミングが出来(るようになるまでモチベーションを維持でき)ますか?」と、聞かれることが度々あります。ありきたりな答えですが、私のように元々コンピューターサイエンスと全般的に親しくない人間は、もう「必要性に駆られる」しかない、と思っています。 また一方で、仕事として「必要性に駆られる」だけで楽しみが何ひとつなければ、それは苦痛でしかありません。私の場合は幸運なことに、プログラミングという手法により課題を解決し、その先に描くことのできる未来が 食でつながるくらし なんです。これはもう、やらない選択肢はない、と言い切ります。
さっきまで「一人で食べることが好き」などと吹聴していたのに、何を言っているんだ、という感じですよね。実は、キッチハイクにジョインして以来、 みんなで食べるということの魅力に毎日ドップリ浸かっています。
*ある日のまかない。メンバーみんなで「いただきます〜!」
日々のまかないやPop-Upを通して、食事の構成要素は食べものだけでない、ということを強く実感しています。何を?だけじゃなくて、誰と?どこで?どのように?… これらの要素が集まって初めて、おいしく楽しい食事が完成されるんだということ。何が正解で、何が不正解ということはないとは思いますが、より心が健康でいられる食事を実現するために、私はキッチハイクでエンジニアをやっているのだ思います。
サービスを使わなきゃ。だって、エンジニアだもの。 私はスタートアップしか経験したことがなく、大きなソフトウェア開発会社の業務フローについて明るくはありません。ただ、未来を1秒でも早く実現させるキッチハイクでは、一般的な「ソフトウェア開発のV字モデル」に該当する業務を、基本的にすべて同じ人間が請け負っています。
ありがたいことに、インターン時代から責任ある立場として、複数のプロジェクトでキックオフからリリース、そして継続的な改善までの一連の流れに携わっています。この立場を全うするには、当然キッチハイクというサービスへの理解が欠かせません。それも、コード上の世界を超えて、ユーザーが実際に体験している現場を知ることが不可欠だと思っています。
利用するほど、開発するほど、キッチハイクのファンになる! IDEOのCEO/代表取締役のティム・ブラウンは、著書『デザイン思考が世界を変える』において、革新的なアイデアが生まれるためのヒントを語っています。
ごく普通の人々がニーズを表明することは滅多にない。しかし、実際の行動を観察することで、満たされていないさまざまなニーズを明らかにする、貴重な手がかりが得られる場合があるのだ。 私のちょっとした誇りは、プロダクトチームの一員でありながら、自分自身が積極的にサービスを利用していることです。作り手としてCOOKもやりますし、最近グロースしている「みんなでお店」では、日直さんとして行きたいお店にみんなで行く機会をつくっています。現場は何より楽しくておいしくて仕方がないのですが、ここで聞いたユーザーの生の声や気付きが、未来を見据えた仕様、および設計に直接反映されることは珍しくありません。中には、絵のサイクルをわずか3日で一周するようなスピード感のあるプロジェクトも経験しています。
もはや私にとって、Pop-Upに参加するという行為は 「非日常」ではなく「日常」 です。これは、どんなに話題性のある公式イベントや、緻密に企画されたユーザーテストよりも、素晴らしいことだと思っています。自分自身がめいっぱい楽しんで、ユーザーさんとの交流から共感が生まれ、開発によりさらに魅力的なプロダクトに成長させる。サービスへの愛が、どんどん加速するサイクルです。
*スパイスカレーPop-UpのCOOKをしています。幸せの時間です!
「社員になる」と決めてから実際になるまで。 キッチハイクの正社員を目指すと決めるまでには、2段階のエピソードがありました。 休学当初は「とりあえず」感が強く、半年間の休学申請だったんです。それが日に日に、こんな環境をたった半年で手放すなんて勿体なすぎる… と思うようになりました。そこでまず最初に決めたのは、休学期間の延長です。Web系のエンジニアとしてしばらくは頑張っていく、と方針を定めていたので、大学院を退学することを前提とした延長でした。両親含め、相談した人には9割9分、反対意見をいただいたことを記憶しています。それでも曲げなかったのは、アドバイスを押しのけてまで自分の道を突き通す意志の強さ… という訳では決してなく、悩みに悩んだ結果、もっとも自分が後悔しない選択肢を採用しただけです。
延長を決めてからも、就職活動はしようと思っていたので、気になるサービスや会社を調べたりということは継続していました。そんな中、2月〜3月に2週間ほどミャンマーに滞在する時期がありました。帰国後の出勤初日、待っていたのはメンバーみんなからの「おかえり〜!」と笑顔。 その瞬間、自分の中で迷いが消えました。 私はこの人達と一緒に歩んでいくんだ、という覚悟ができました。
そうして約10ヶ月間のインターン生活を経て、7月から晴れて新入社員として新しいスタート地点に立ちました。現在はまだ休学中ですが、年内には退学手続きを完了させて、学生を終える予定です。5年間とはいえ、京都はとてもお世話になった大好きな土地。また住みたいなぁと思います。
キッチハイクというチームで、未来を開拓します。 まだまだ自分には、プロジェクトをスピード感をもって進めつつ、質の高いプロダクトを世に出すためのあらゆる知識と技術が不足しています。そのうえ、いま直面していることは受験勉強とは違い、すべて ”正解のない” 開拓です。もともとマイナスの感情に浸りやすい私が、あえてそんなスタートアップという挑戦的な環境を選んでいるのは、 自分自身の成長なくして、サービスの成長はあり得ない 状況にいられるからだと思います。
一見、この状況はストレスフルに思えます。確かに楽ではありませんが、キッチハイクは「心理的安全性」を非常に重んじる会社。チームメンバーが互いに寄せる信頼の厚さは、普段の食事でのコミュニケーションから既に生まれています。私も、失敗することへの恐怖から「こんなこと、言ってよいだろうか…」と悩むことがだいぶ少なくなりました。
今の改善より、未来のプロトタイプ *やることは、いつも未来からの逆算です。リリース時は、たくさんのロケットがSlackに飛びます!🚀🚀
これはキッチハイク内に浸透している考え方なのですが、いくつもの良いアイデアがあるからといって、ただやみくもにリソースを投じることはしません。理想の未来と現実を比較し、最適な A little bit ahead(少しだけ未来へ近づくためのプロトタイプ) を選択しつづけています。正直「なにをやらないか」という判断はとても難しく、心が折れます。しかし、その判断の繰り返しによって自分もサービスも確かに前進していますし、思考の過程で発生する数々のインタラクションは、私はひとりで苦しんでいるのではなく「チーム開発」をしているんだ!ということを、いつも教えてくれます。 私はそんなキッチハイクで、毎日楽しく、時に辛く、でもやっぱり楽しく開発できることに、幸せを感じています。
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