人の育て方について、いちばん具体的に書いた回です。発注のLINEの話から新人教育まで、うちで実際にやっていること。
読むと、この会社が何を「できるようになってほしい」と思っているかが分かると思います。
「条件が限定されるほど、いいパフォーマンスができる」
これが職人ってもんでさ!
という話を、こないだ土田酒造の会を執り行ったときに
杜氏の星野さんとも意気投合で盛り上がった
スタッフの郷野くんが、魚屋さんへ発注のLINEを送っていて
横から見ててちょっととんちんかんだった時に、
僕が以下の様に指摘した。
”①「タコください」
②「マダコください」
③「ボイルのマダコください」
④「明石のボイルタコください」
⑤「明石のボイルタコ、可能であれば1杯800〜1kgのサイズ、キロ単価4200まででお願いします」
↑下に行くほど、願いに応えやすくなるじゃん?”
こちらが買い手の時は、頼まれる側のことを考えて、
初めて売り手に信頼される。
どうせなら、いい商品(もの)を渡してあげたい!って思ってほしい。
逆にこちらが売り手の時のことを考えてみましょう。
魚屋←→飲食店の場合は、客側(買い手)である我々もプロ。
でも我々が日々接客するお相手は、別に日本酒のプロではない。
よくお客様が「日本酒好きなんですけど、あまり詳しくなくて…」と申し訳なさそうに断りを入れてくれるのですが、
まっっっっったくそんな必要はないと思ってるんです。
僕は郷野君に
”日本酒のオーダーを自分で受けてる時を考えてご覧よ”と続けました。
”仮に初めていらっしゃったお客様に
「なんか美味しいのください」って言われるの、けっこう大変じゃない? その人の好みも、気分も、今日はご飯を食べて来たのかこれからなのか、
何も情報がないままだと、こちらの手札から何を選べばいいかヒントないよね。”
だからコミュニケーションを取りながらヒントを探していく。
頼まれる側は、条件があればあるほど考えるコストが減って判断しやすい。
こちらが売り手の時はできるだけ条件を限定するために、最低限の会話で情報を集めながら。でも自分のエゴも混ぜて提案する。
結局人は人から物を買う。目の前の人が信用に足るか、好きかどうかが一番大事。
これ、新人教育の時もよく話します。
うちで日本酒の出し方を最初に教えるとき、僕が共通して伝えることは
「まず3本持っていけ」
「なるべく自分で味見して、自分の言葉で伝えてみて。拙くていいから。」
ひとつめの意図は…ちょっとズルい話になります。笑
1本だけ決め打ちで薦めて口に合わなかったら、それはこっちのせいになる。3本持っていってそれぞれ説明して選んでもらえば、お客様が自分で決めたことだから納得しやすい。だから選択肢を与えろ、という意味。
ふたつめはもっとシンプル。
ネットで調べたそれっぽいテイスティングコメントや、先輩の言ってた借り物の言葉より、
味見して感じた自分の率直な感想が一番刺さる。
結局飲食店は人次第、という原理原則にこういう場面でよく思い至ります
こんな感じでよく僕からツッコまれてますが、
そんな門前仲町カラスの店長・郷野君と出会ってもう6年経ってます。
コロナ初期の混乱のなか、大学を中退してすごく人生の道に迷ってた彼も30代。変わらずツッコミどころの多い愛され役ですが、僕や僕以外のスタッフも含めて、社内で一番心の安心を預かっているのは間違いなくコヤツです。
追伸:料理はすごく上手くなったと思います笑
最近は料理のお題だけ出すと、みんなが美味しく作ってくれます。
楽だなあ。
最初の話のように思考のポイントはまだまだ僕から伝えられることも多いですが、料理も接客も日本酒の提案も、スタッフみんなに安心してお任せできるようになりました。本当にありがたい。
ここ最近は仕組みや管理の大切さを第一に考えてルール設定やマニュアル作りに傾倒していたけど、
その中身にはやっぱり働く人の気持ちが入っている。
最近は、人の気持ちを無視して作るルールはイマイチ、とまた人情寄りに戻ってきた。このゆらぎを繰り返していくのだろうな、と思っています。
書いていくうちに話があっちの方こっちの方に行ってしまいました。笑
僕の考えをまとめると、
僕らプロは
・買い手のプロであれ
いい結果に辿り着きたければ無理のない条件をできるだけ絞れ
・売り手のプロであれ
お客様とのコミュニケーションで無理なく条件をできるだけ絞れ
・最後は人柄でチューニングせよ
っていう話でした。
こういう考え方で店を渡していける人を探しています。合否のないカジュアル面談を30分、志望動機も履歴書もいりません。下のボタンから、話だけ聞きに来てください。