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SaaSの命ともいえる重要ポジション、CS(カスタマーサクセス)。月額課金で長くお使いいただくことを前提としたサービスだからこそ、お客様に伴走し、成功へ導き、サービスにご満足いただけるようサポートし続けるというCSの役割は何よりも大事なものです。しかし、SaaSというビジネスモデルやカスタマーサクセスという職種は比較的新しいもので、多くの方は未経験から挑戦されています。
4月中旬にCSにジョインしてくれた阿部も、そんな一人です(取材時:5月下旬)。阿部はこの一ヶ月半、どのようにキャッチアップしてきたのか。また、CS組織の立ち上げから参画し、ここまで組織を牽引してきた竹谷が、どのような意図で研修プログラムを組み立てているのか。二人の対話を通して、入社後の業務の流れや、これからの組織の課題も見えてきました。
未経験から、イタンジのCSを選ぶまで
– まず阿部さんは、SaaS企業もCS業務も不動産業界も未経験から、イタンジへ来てくれました。なぜCSに興味をもったのですか?
阿部「人とコミュニケーションをとることが好きで、お客様と接することができる仕事がしたいと思っていましたが、自身の仕事への向き合い方と“営業”という仕事の考え方は合わないと感じていました....。そんなとき、Wantedlyを見ていて、たまたまCSという職種を知って。他企業も含めていろいろ調べていくなかで、おもしろそうだと感じました」
ノマドクラウド カスタマーサクセス 阿部
– SaaS企業がたくさんあるなかで、イタンジに入社を決めたのはなぜですか?
阿部「元々賃貸情報などを見るのが好きで、不動産業界に興味をもっていました。また、自分自身、不動産仲介をしてもらうときにいろいろな不便を体験していたこともあって、課題感が一致したというのもあります」
– でもCSは初めてということで、不安はありませんでしたか?
阿部「不安だったからこそいろいろ調べたのですが、イタンジもWantedlyのストーリーでCSについてたくさん発信してくれていましたし、他社もいろんな発信をしていたので、それらを読むことで、“お客様の課題を解決するために伴走していく役割” というイメージはしっかりもてていました。反面、調べれば調べるほど、なんとなくですが、CSのやり方や役割分担が会社によってかなり違うようだと気がつきました。なのでむしろ早く中に入ってみて、CSのことをもっと知りたいなと思いましたね」
– イタンジではまず、オンボーディング業務担当から始めるのですよね。
竹谷「そうです。イタンジのカスタマーサクセス組織内は、プロダクト毎にさらにチームが分かれています。チームによって形はそれぞれですが、阿部さんが配属されたプロダクトは、オンボーディングチームとサクセスチームに分かれています。オンボーディングチームは利用開始までの支援、サクセスチームは利用開始後の支援という役割です。各社で分業体制やどこまでがオンボーディングなのか異なるんですが、イタンジでは今の内容で分けていますね。入社後、まずはオンボーディングチームに所属し、流れや全体像を学んでいただきます。その後、志向や人員などを勘案し、オンボーディング業務をより深めていくか、場合によってはサクセスチームに異動するか、進路が分かれます」
ノマドクラウド カスタマーサクセス マネージャー 竹谷
– 実際にオンボーディング業務をおこなってみて、いかがですか? ギャップを感じる部分はありませんでしたか?
阿部「ギャップはそんなになかったですね。ああこうやってお客さんとちゃんと話しながらやってるんだなーというのが肌で感じられましたし、お客様がどういったところで困っているのかも見えてきて、理解が深まっていっています」
入社後の研修を通し、スムーズに実務へ移行
– 入社後、どのように業務にキャッチアップしているんですか?
竹谷「研修プログラムを作ってあるので、基本的にはそれにのっとって自学を進めてもらっています。そして、毎日メンターと1on1をして、わからなかった点を解消したり、理解度のチェックをしたりしています」
– 研修プログラムはどのような意図で制作されているのでしょうか。
竹谷「未経験で入社される方が多いので、まずはベースをインプットしていただくことを想定しています。新入社員研修としてイタンジのサービスについての学習機会ももちろんありますが、こちらの研修システムではSaaSの基礎やCSの存在意義、不動産業界の仕組みなど、根本的な要素を理解していただけるように構成しています。今は出社と在宅をおりまぜた勤務形態なので、在宅でもコンスタントに研修を進めていけるよう、ほぼオンラインで完結できるようになっています」
研修プログラムの一部
– 序盤にランチとあるのがおもしろいですね。
竹谷「これは阿部さんから意見をいただいて、最近追加したんですよね」
阿部「リモートと出社をまぜたハイブリット形式で仕事をしていることもあって、最初に誰が何を担当していて、どんな知識をもっているのかがわからなくて。誰がどこにいるのかもよくわからず、ちょっとした質問をしづらいのがストレスでした。そこで、序盤でランチの場を設けてもらい、相互理解をする時間があるとやりやすいのではないかと思い、提言させていただきました」
竹谷「聞きづらいときにもやもやしている時間がもったいないですからね。阿部さんからその意見をいただいたときに、はっとして、すぐに反映しました。いろんな人とコミュニケーションを育むことができる、よい場になると思います」
– 自学がメインとのことですが、まんねりしたり飽きたりしなかったですか?
阿部「読み応えがありましたし、賃貸業界とはなんぞやというような部分や、仲介会社の1日など、そういう初歩的な知識が入れられるっていうのはおもしろかったです。自学に専念するのは2週間程度で、そこからはOJTで案件を一緒にやっていくかたちです」
竹谷「プログラムをぱっと見るとすごく多く見えると思うのですが、研修自体は広く浅くなので、それほど時間をかけずに終わります。あくまでベースを学んでいただくもので、その後は実務を通して理解を深めていってもらえればと思っています。今後はもっと充実させていきたいですけどね」
– なるほど! 阿部さんは、研修から実務に移行した際に、困ったことはありませんでしたか?
阿部「おおむねなかったですが、KPI関連でどこまで確定的なのか判断がつかないことはありました。具体的には、たとえば初期設定を3日で完了していただく、という目標があるのですが、どれくらい厳密に守っていただく必要があるのかがわからず…。お客様がお忙しくなかなか着手していただけなかったときに、やきもきしました。実際は、受注してから30日で導入を準備をするKPIがあるのですが、それを達成するための目標数値でした」
竹谷「たしかに、理由を知らないと判断に困りますよね。導入日数を決めている理由の一つは、導入完了してから料金が発生するため、ご契約後はなるべく速やかにご利用を開始していただく必要があるからです。もちろん早く開始していただければ、それだけお客様のメリットにもなります。なので、その疑問に対する回答としては、3日は目安にすぎないけれど、最終的な導入日数の目標は可能な限り守る必要がある、ということです。そのあたり、もっと理解を深められるよう工夫してみます」
– リアルタイムで研修がブラッシュアップされていくのがおもしろいですね(笑)。ところで、ご契約を決めてくださっているにもかかわらず、お客様のほうでなかなか導入が進まないのはなぜなのでしょうか?
竹谷「理由はいくつかありますね。例として、契約を決めてくださった方と、実際に導入を進める現場の方とで、温度感が違うことはよくありますね。ですが、実際導入してくだされば、必ずその便利さを喜んでいただけますので、根気よく進捗をお尋ねさせていただいています」
阿部「それにシンプルに、現場の方は本当にお忙しいんです。いつお電話しても、別のお電話に出られていますし。お客様のストレスにならない程度に、でも期限は守れるように、ほどよい距離感で導入まで併走していくのがポイントだと思います」
– なるほど。営業チームの商談に同行する、というプログラムもありますね。
竹谷「商談はお客様のお悩みを直接うかがえる貴重な場ですし、お客様の課題によって、提案のパターンもいろいろとあります。お客様の課題はCSの業務にも密着している部分なので、研修に商談同行を組み込んでいます」
組織に染まるのではなく、組織を作っていくーーーCS組織の今までとこれから
– 竹谷さんは2017年に一人目のCS担当者として入社されましたが、今では担当プロダクトのCS組織は15人規模となりました。カスタマーサクセスという職種自体も新しく、会社によってやり方が全然違うというお話が先ほどありましたが、イタンジでもいろいろと模索しながらやってきて、今がありますよね。これまでの変遷を簡単に教えていただけますか。
竹谷「まずオンボーディングについてですが、一番最初は導入マニュアルを作成し、お客様にお渡しして終わり、というシンプルな方法をとっていました。ですが、やはりマニュアルだけで使いこなしていただくというのは無理がある。使わないまま更新の時期を迎えたり、機能が活用しきれていなかったり。そこから、オンボーディングの整備に着手し始めました。
初めにやったことは、導入〜導入初期のサポートを手厚くすることです。レクチャー資料を作って、MTGも複数回おこない、段階的に慣れていただくよう工夫しました。次に、ステージ管理を始めました。お客様ごとに、たとえば導入準備中とか、レクチャー中、というふうに、どういう状況であるかを一眼でわかるようにし、適切なフォローができるようにしました。また、導入は順調にいったけれども、次第に使わなくなってしまったり、活用しきれていない企業様に気づけるよう、定期的に連絡してサポートする仕組みも作りました。
その後、導入のスタートから更新までの流れ、カスタマージャーニーは掴めてきたから分業化しようとなって、オンボーディングチームとサクセスチームに分かれたのが2020年のことです。現在もこの体制が土台になっています。今はいわば “磨き上げフェーズ” ですね。僕は、カスタマーサクセスの効率化などに取り組んでいるため、磨き上げは他のメンバーにお願いしてます。自分で考えて動いているメンバーが多いので、どんどん改善されていますね。皆で改善した方が色々な視点が入り、どんどんよくなっていると思います」
– “磨き上げフェーズ” に入った今、これからのメンバーに期待することはなんですか?
竹谷「ただ目の前のタスクをこなすだけでなく、視座を高くもってもらいたいですね。お客様がより高い成果を出せるよう、他にやれることはないか考え、仕組み化をしたり、お客様の意見を吸い上げて開発と共有することで、プロダクトももっとよくしていったり。そして数あるSaaS企業の中でも、イタンジのCSはすごいぞっていう組織を作っていってほしいです」
– 先ほど、入社後の研修について阿部さんからたくさんフィードバックをもらい、それを早速反映したというお話がありましたよね。
竹谷「そうそう、優秀な方だなと思いました。フィードバックしていただける数、質、精度、すべて期待以上で、ありがたかったです」
阿部「自分の意見も聞き取ってもらえて、改善していこうという意識が感じられるので、会社に染まるという全時代的な考えじゃなくて、盛り上げていこうという意志で働いていけるのが魅力だなと思いました」
竹谷「組織的にもまだまだやりたいことはたくさんあって、ステップアップ研修を作ったり、評価体制を見直したり、そのあたりも強化していきたいと思っています」
– 他に組織の課題について、何か思うところがあったらぜひ教えてください。
阿部「そうですね…イタンジではやりとりが基本的にslack上でのチャットなのですが、直接のコミュニケーションと比べてちょっと端的になりすぎているのではないかな?と感じることがあります。コミュニケーションは、相手と自分の双方の努力が必要なので、受け手のことを考えた丁寧なやりとりが意識されるともっとやりやすくなるのではないかと思います」
– めちゃくちゃリアルなご意見…。イタンジではスピード感を大事にするあまり、早く返信することを優先して、ちょっと言葉足らずになっているパターンも確かに見受けられますね。
竹谷「反省しかないです...打つのはどうしてもしゃべるよりも時間がかかるので、ここは省略しても伝わるか、と考えてしまいがちですね……」
– ぜひ全社的に改善していきましょう。ところで今後阿部さんはCSとしてキャリアを歩むにあたって、どんなCSをめざしていきたいですか。
阿部「お客様も気づいていないような、ちょっとした不具合を見つけられるCSになりたいです。そのためには、お客様の声をしっかり聞いたり、お客様も意識していないような数字を見たり、こちらからも全体を見てお声かけしていくことを心がけたいです。こちらからお客様の課題を見つけ、解決策を提案し、お客様の成功につなげることができれば、それこそがCSという仕事の醍醐味ですよね」
– ありがとうございます! 最後に、CSとして働く上で、イタンジのよさを伝えるならどんなところがありますか。
阿部「入ってびっくりしたのですが、こんなに働いている人のバックグラウンドが幅広い会社って、あまりないと思います。アパレルや美容室の経験者なんて人も。いろんな人がいろんなことを知っていて、その経験を寄せ合ってできている魅力的なチームです。そしてこれからまた、新しい考えの人がどんどん入ってきたら、ますます楽しくなると思います。ですから、不動産業界を知らないし…というようなことは考えずぜひ飛び込んできてほしいですね」