こんにちは!インヴァスト株式会社の子会社「ボーディングスクールコンサルティング株式会社(以下、BSC)」の工藤 愛子です。
今回は、2024年11月に約1週間、BSCの横山社長および藤本執行役員とともに米国東海岸のボーディングスクールを訪問する出張に行ってまいりましたので、その様子をお届けいたします!
ボーディングスクール訪問出張の目的
今回の米国出張は、横山社長が2週間で合計26校のボーディングスクールを訪問するというもので、1週目に私が横山社長に同行し、2週目は同じBSCメンバーの佐藤が同行しました。学校訪問はメイン州から始まり、レンタカーで移動しながら東海岸を縦断、最後はメリーランド州で終えるという旅程です。
横山社長が20年以上お付き合いしており、BSCとして自信を持って紹介出来ると考えている米国内のボーディングスクールを工藤と佐藤が訪問することが、本出張の主な目的でした。また、1週目の初めの3日間は、来年9月入学を目標にボーディングスクールを受験予定のお客様(Aくんとそのお母様)の学校訪問も兼ねていました。これは、BSCで提供している「学校訪問サポートオプション」というサービスになります。私たちコンサルタントが、お客様の出願校もしくは出願予定校の学校見学や入学面接等に同行するサービスです。
私が1週目に訪問させていただいた14校は、留学生への英語サポートが比較的充実しており、BSCで現在担当している生徒の多くが、これらの学校に在籍しております。2週目は初めからアメリカ人に交じって授業を受けるような学校が多く、すでに海外での留学経験やインターナショナルスクールでの経験があり、一定レベル以上の英語力が身に付いている生徒の受験校となるような学校群です。
7月下旬に、訪問する学校と出張スケジュールがある程度固まった頃、横山社長より「どちらの週に同行したいかを理由を踏まえて教えてほしい」との指示がありました。私は、現在担当している生徒が通っている学校が多いという理由から1週目を希望しました。
6月に入社したばかりで、留学前の生徒たちと実際に会った回数は少なかったものの、生徒たちが学校でどのように過ごしているのか、オフィスで面談をしている時とはどんな違った表情を見せるのかを、自分の目で確かめたいという気持ちがありました。また、生徒から自身の様子や、学校の好きなところ等を直接聞くことができると、私がコンサルタントとして独り立ちした時に、自分が受け持つ生徒との関係性を具体的にイメージするきっかけになるのではないかと考えました。
8月に入り横山社長から、私はどちらかというと生徒一人一人にフォーカスしていくのが得意だとのフィードバックを頂きました。1週目に訪問する学校群は、個別の生徒に焦点を当ててサポートしていく傾向にあるからそのような特徴の学校を見学するのが、コンサルタントとしての得意分野を伸ばすことに繋がるのではないかとのことで、1週目に同行させていただくことになりました。
出張中のスケジュール
今回の出張では、基本的に下記のようなスケジュールで動いていました。
学校訪問前には、朝、ホテルを出る前に、学校訪問サポートで同行したAくんの面接の最終練習を行いました。渡航前から週1のペースで面接練習は行いますが、学校訪問当日の朝は、その学校の本番面接を想定した最終確認の時間になります。英語で話してウォーミングアップをしてから学校に向かいます。学校訪問は最低でも3〜4日続けて行うので、これが渡航中の毎朝のルーティンになります。
学校に着いたらまずはAdmission(入学担当)の建物に行き、挨拶をします。学校案内ツアーは生徒・Admission担当の教員のいずれかが行ってくれます。在校生に日本人がいて授業の空きコマと重なっていれば、日本語で案内をしてくれる場合もあります。案内役の生徒はツアーガイドとしての研修を経て学校から認定を受けており、質問にも丁寧に答えてくれます。
(メイン州にあるGould AcademyにてAくんに説明をするツアーガイドの生徒)
ツアーガイドの生徒は、私たち来校者にしっかりと体を向けて、安全な場所で立ち止まり、授業の内容や学校の設備、寮生活のこと等、丁寧に説明してくれました。また、Aくんには「どこから来たの?」、「何年生からの入学を検討しているの?」、「わからないことや聞きたいころはない?」等、優しく声をかけてくれました。他にも、校内を移動中に椅子が出しっぱなしになっていたらしまったり、落ちているゴミを拾ったりと細部までよく気付き、気配りが行き届いているなという印象を受けました。
ツアーが終了したらAdmission担当の教員が、Aくんの面接を1対1で行います。「面接」と聞くと、かしこまった雰囲気で、緊張して臨むようなものを想像しますが、ボーディングスクールの場合は「会話を楽しむ」、「願書だけでは見えない部分を知ってもらう」ために自分がどのような人間であるかをアピールするために行います。美術が得意な生徒であれば自分の作品を持って行って渡したり、音楽が得意であれば演奏動画を見せたり、留学生活でどのようなことを成し遂げたいかを伝えたり、面接で聞かれることも生徒に合わせて変わります。
面接が終わったら保護者の方が教員に気になることを質問します。保護者の面談という位置付けではなく「学校のことについて知る」ことを目的に時間を取っていただきます。今回は、BSCのサポートの一環として、事前に質問項目をメールでお送りし、先生方に予め回答を用意していただきました。
学校の滞在時間によりますが、お昼時に訪問する学校では在校生と一緒に、学食で昼食をとります。日本人の在校生がいる場合、学校側が一緒に食事ができるようセッティングしてくれることもあります。そこでは、普段の学校生活等、実際に通っているからこそ分かることを聞くことができます。
このような訪問を1日あたり3校実施し、気づいたら1日が終わっているというようなスケジュールでした。
ボーディングスクールごとの特徴の違い
ボーディングスクールという名の通り、どの学校にも敷地内に寮があり、寮生活をしている生徒がいます。また、人文学系・理数系・芸術系の授業があり、スポーツや放課後のクラブやアクティビティがあることも共通していますが、学校ごとにその特徴は大きく違います。では、何がその違いを生み出しているのか、ここから先は下記の2つの観点でご紹介していきたいと思います。1つ目は学校ごとの特徴的なカリキュラムやプログラムという観点、2つ目は学校の雰囲気という観点です。
まず、1つ目の「学校ごとの特徴的なカリキュラムやプログラム」に関してです。例えば、マサチューセッツ州の海の近くに位置するThe Governor’s Academyには海洋生物研究ができる大きな水槽があり、フィールドワークをせずとも校内で魚の生態を観察することができます。他にも、ニューヨーク州にあるMillbrook Schoolには敷地内に動物園があり、科学の教室棟には剝製が置いてある等、動物行動学を学ぶことができます。
(マサチューセッツ州にあるThe Governor’s Academyの海洋研究設備)
充実しているのは学業に関する施設だけではなく、スポーツの設備として、アイスホッケーリンクを持っている学校もいくつかあります。土曜日に訪問したBerkshire Schoolでは、地元のチームが対抗戦を行っていました。多くの学校が体育館の2階にフィットネスジムを設けていますが、その設備を地元の住民に開放している学校もあり、生徒たちが地域との結び付きを感じることもできます。
(マサチューセッツ州にあるBerkshire Schoolのアイスホッケーリンク)
2つ目の「学校の雰囲気」という点に関してですが、実際に訪問してみると、当たり前ですがインターネットの情報だけでは分からなかったことが見えてきます。学校周辺の立地や近くの街の雰囲気、教員と生徒の距離感、生徒同士の関係性、来校者に対する生徒の対応、留学生がどのように溶け込んでいるか、学校の施設や設備、食堂の料理の味や匂いなど、学校ホームページには載っていないことを感じることができます。
一口に「ボーディングスクール」と言っても、生徒数や寮生と通学生の割合、カリキュラムや特徴的なプログラム等、様々な面でそれぞれの学校に特徴があります。生徒の興味がある分野のカリキュラムが提供されているかということはもちろん大事ですが、学校と生徒のフィット感という観点では、その生徒が学校にうまく馴染んでコミュニティの中で生活していくことができるかという要素こそ、最も重要だと感じました。
例えば、全校生徒が200名強の比較的小規模な学校だと家族のようなコミュニティで教員が生徒のことをよく知っている雰囲気があり、生徒数が多くなるにつれ大学のような雰囲気で教員と生徒の距離感が小規模校ほど近くない印象を受けました。寮生の割合が高い学校でも家族のようなコミュニティの結び付きがあるように思います。
ボーディングスクールに在籍する留学生に関して言うと、例えばその割合が15%だとしても、全校生徒数が400名なら留学生は60名、800名なら留学生は120名というように規模によって印象は全く変わります。留学生の割合だけでなく、その内訳(ヨーロッパからの留学生がたくさんいるのかアジア人が多いか等)も、日本人留学生が学校の中でどのような立ち位置になるかが大きく異なります。
どちらかの学校が良くてどちらかが悪いということではなく、その生徒にとって最善の選択ができるかがいかに重要かということです。現在、横山社長とともに担当している生徒が数名いますが、14校訪問する中で、ある生徒にはこの学校がフィットすると思っても、また別の生徒に同じ学校をおすすめしたいというわけではない、ということを肌で感じました。
ボーディングスクール留学の意義
この出張の中で一番印象に残っているのは、今年の9月からボーディングスクール留学を始めた生徒の様子です。渡航前の数ヶ月間、メールや対面面談で数回やり取りをしていたのですが、レスポンスが遅かったり、数回催促しても課題をやっていなかったりということが続くような生徒でした。
入学前にカナダのボーディングスクールのサマースクールプログラムに参加していたのですが、渡航2日目で横山社長のもとに「英語で全然コミュニケーションが取れず早く帰りたい」という旨のメッセージが届きました。途中で帰国してしまわないか心配していたくらいなのですが、アメリカ出張で再会した姿は、数ヶ月前からは想像できないほど変貌を遂げていました。このような瞬間に立ち会えることこそがコンサルタントとしてのやりがいなのではないかと深く感動した出来事でした。
日本で会った時と比べると、表情が穏やかで明るくなっており、横山社長と話す時も、明瞭でよどみなく言葉が出てきて、学食が本当に美味しいと嬉しそうに語ってくれました。その様子から、生徒が自分の居場所を確立し、安心して学校生活を送っているのだなと感じ取ることができました。
誰しも大人になるまでの間に、必ず苦しい時や一生懸命に打ち込む時期を経験することと思います。それがいつになるのか、どのような経験かは人それぞれですが、ボーディングスクールに通う日本人生徒たちにとって、ボーディングスクールでの留学経験は間違いなく人生の糧になる大切な時間です。10代の大事な時期に親元を離れて海外で寮生活を送ること、たとえそれが生徒本人の希望でなかったとしても留学が無駄だったと感じることはないでしょう。
今後、コンサルタントとして独り立ちして生徒を担当するようになってからも、この感覚を大切にしていきたいと思います。ボーディングスクールへの留学は、本人だけでなくご家族にとっても大きな決断になります。今回の出張を通じて、一人ひとりに寄り添い、納得いただける提案ができるようになりたいと、改めて決意を新たにすることができました。
(バーモント州にあるSt. Johnsbury Academyの施設の1つ)