Webと実空間を横断しインスタレーションやストーリー設計などを手がける同社。設立23年の老舗である一方、探求と挑戦の姿勢を続けており、その歴史を伺った。
Webと実空間を横断し、技術と表現でインスタレーションやストーリー設計、体験設計などを手がけるイメージソース。設立23年の老舗である一方探求と挑戦の姿勢を続けており、今回はその歴史を代表 小池氏、取締役 山口氏に伺った。
Webと実空間を横断し、技術と表現で、インスタレーションやストーリー設計、体験設計などを手がけるイメージソース。「YOYOGI CANDLE 2020」や「Tiffany hand meets hand」などのインタラクティブコンテンツで知られている。
同社は1998年の設立以来、表現・技術の研究開発を続けながら、制作案件に活かしてきた。その実力はカンヌ広告祭・One Showなど数々の受賞歴が物語っている。
設立23年の老舗である一方、探求と挑戦の姿勢を忘れない。2017年に行ったD2Cグループとの業務・資本提携も、「作り手」としての挑戦を続けるための決断だ。今回は、その歴史を代表取締役社長 小池博史氏と、D2Cグループから2017年に参画した取締役 山口浩健氏に伺った。
「表現」を追求し続けてきた、23年の歴史
ーはじめに、イメージソースがどのような制作と向き合ってきたかを教えてください。
小池:設立当初の2000年初頭はFlashが徐々に盛り上がり始めた頃。企業プロモーションにWebが用いられるようになった時期で、私たちは創業期からWebでの表現を追及するコンテンツ制作に注力していました。映像表現やインタラクション、サーバーサイド連携が必要なものまで、あらゆる表現・技術の双方を実験をしていましたね。
私自身がイメージソースの代表に就任したのは、その少し後の2005年。代表を務めるノングリッドと業務提携したタイミングからです。当時は、Web上での「体験」をつくり始めた頃。ストーリー設計や、ユーザーに何か持ち帰ってもらうための導線設計に力を入れ始めていました。
ーインスタレーションやインタラクティブコンテンツの制作にも力を入れています。そのきっかけは何だったのでしょうか。
小池:Webでの体験設計をリアルな場にも持ち込めないかと考え、今でいう「サイネージ」に取り組み始めたことです。当時はまだ、サイネージという言葉も普及していない頃でしたが、我々はデジタルサイネージを用いて導線設計をおこなっていました。
「リアルな場でのデジタル表現」にも拡張できる可能性を感じていたんです。この頃、海外ではインスタレーションの事例が増えてきていました。日本でもレーザーを使った作品が発表されるなどしていましたが、まだまだ数が少なかった。
私たちは2005年からR&D(研究開発)でトライアンドエラーを重ねつつ、2006年には仕事になりはじめ、その後インスタレーションへと手を広げていきました。当時の制作事例としては、Xbox BIG SHADOW interactive wall (2006年)があります。
ー新たな表現への取り組みを、R&Dで始められたのですね。
小池:そうですね。イメージソースは創業以来R&Dを続けており、それが大きな意味をもつ会社です。R&Dでは表現や技術の研究・開発から始め、そこから実際の制作案件に繋げ、活かしているんです。
ーR&Dは、必ずしも仕事につながる保証はないと思います。なぜ続けられているのでしょうか。
小池:メンバー各々が、「面白い表現や新しい体験をつくっていくこと」を純粋に楽しんできたからではないでしょうか。私たちは、ベンチャーが新しいサービス開発をするように、「表現」を開発してきた。新たな技術や考え方をインプット・研究し、開発する中で人や世の中に対してどのようにインパクトを持つのか考えているんです。
たとえば創業初期の頃、ブラウザで表現するインスタレーション作品を制作したことがありました。アクセスした人々が、インタラクションすることで、音が広がり、共鳴していくインスタレーション作品で、アルス・エレクトロニカ(編注:オーストラリア・リンツで開催される、メディアアートの世界的祭典)でも賞をとるなど、実験的な制作を通して、表現をする者としての「楽しみ」を体感してきたんです。
作り手に集中し、より社会を見据えるための提携
ーR&Dで会社としてのアセットを創り、クライアントワークでそれを提供しているイメージですね。そのよい循環が生まれている中、2017年にデジタル広告・マーケティングを行う株式会社D2Cと資本・業務提携を結ばれました。背景には、どのような考えがあったのでしょうか?
小池:大きくは二つありました。一つは今後のイメージソースの展開を考えた時、「作り手」が集中し続けられる環境をつくりたいと考えたんです。
今、広告クリエイティブは、非常に消費が早いと感じています。この先の持続的な発展を考えた時、ある程度は今まで培ってきた技術・スキルで事業展開は可能ですが、“新たな武器”を獲得していける状況を整えたい。そのためには作り手として集中できる環境が必要だと考えました。
環境づくりは、提携の話が上がった当初から伝えていました。就業制度や評価制度、給与体系、経営面など、コーポレート部門をはじめとするD2C社内にある知見をお借りし、この規模の会社では中々構築しづらい基盤を、しっかり整えました。
ーたしかに、少数精鋭のデザイン会社や制作会社だと、制度等が整備されていないところも多く、長く働けないと思われる環境も少なくない印象があります。
小池:もう一つは、私たちがR&Dや制作案件の中で培ってきたクリエイティブの知見・技術を、より社会に直接インパクトのある接点で活かしたいと考えたんです。NTTドコモなど日本を代表するインフラ企業は先端技術を保有し、社会基盤に貢献しています。
しかし、そのアウトプットの見せ方はもっと良くできる。私たちが表現でその「見える部分」を担えれば、先端技術の普及に貢献できるのではないか。その期待もあり、グループ入りを決めました。実際、現在はR&Dの情報共有や、NTTドコモの大型プロジェクトや長期的なプロジェクトに携わっています。
ー2017年にD2Cからイメージソースに参画した山口さんは、当初この会社にどのような印象をお持ちでしたか?
山口:私自身、Flash全盛期にクリエイティブ領域で働いてきた人間なので、当時のイメージソースの活躍ぶりはとても印象に残っています。職人肌なクリエイターというイメージを持っていました。取締役に就任してからもそのイメージは覆ることはなく、自分達独自のこだわりを持ってものづくりを進めている集団という確信を深めています。
特筆すべきは、クリエイティブへのこだわりやガッツ、向き合う意識の高さでしょう。加えて、メンバーは多様なキャリアのバックグラウンドを持ち、各々の特性を活かしつつ、モチベーション高く取り組んでいる人が多い。とてもユニークな環境です。
そのため、提携にあたり一番大切にしたのは、イメージソースが培ってきたやり方の良さや、働いているメンバーの良さを消さずに、いかに発展させていくかです。
そもそも、D2Cグループの他の子会社はこれまでD2C本体から独立する形が多く、D2Cの文化が色濃く残ることが多かった。しかし、イメージソースはそうではないため、どのように連携していくか、しっかり相談しながら進めてきました。今、ようやく融合してきたところだと考えています。
ー連携から約3年経ちますが、これまでどのような変化がありましたか?
小池:働き方の面では、インフラ整備とコンプライアンスの整備を行い、制度が整ってきています。勤怠管理から情報管理まで一連の仕組みが会社として盤石になりました。また評価制度や給与面なども、D2Cのしっかりとした基盤を流用し設計、用意できています。
クリエイティブ面では、グループとしてのバックアップもあり、R&Dや新たな表現の挑戦に力を入れられるようになりました。デジタルサイネージアワード2018でグランプリを受賞した「YOYOGI CANDLE 2020」(D2Cグループの株式会社カケザン、株式会社イメージソース、及び株式会社ノングリッドの3社で制作)はその成果の一つだと考えています。
個々人が持つ「表現の楽しみ」に隠れる可能性
ー作り手としての環境が整ったということは、次は“新たな武器”を獲得するフェーズかと思います。イメージソースは、今後どのような企業に発展していこうと考えていますか?
小池:「新しいもの」を生み出し続けながら、100年続く企業にしていきたいと考えています。私は創業者じゃないからこそ、何代も続く会社にしたいと思ったんです。クリエイティブカンパニーでそうした会社はとても少ない。だからこそ、代表に就任した時に「100年続ける」と目標に据え、その想いは今も変わっていません。
しかし、企業が「100年続く」のは容易ではない。常に新しいものを生み出し続けながら、絶えず研究・開発が必要でしょう。ここ最近であればエンターテイメントが主でしたが、2021年以降はまたそのトレンドも変わっていく。表現領域が広がっていく中で、「ソーシャルデザイン」のような社会と向き合う意識も強まっていきます。より社会に直接的に影響のある場所で「新しい表現」に挑戦できればと思っています。
ー100年続くためにも、“新しい武器”を獲得し続ける姿勢が欠かせないと。山口さんはどうお考えですか?
山口:表現へのモチベーションの高い人が活躍できる環境を、いかに提供できるかが重要だと考えています。冒頭で小池も言っていたように、私もクリエイター個々人の中に「表現する楽しみ」があり、それが当社の価値を生んでいると考えています。
そうしたクリエイターのもつ力は、時代によってアウトプットの形が変わっても、生活者の心理変化や、体験による認知変化にもつながっていく。デザイナーもディベロッパーもプロデューサーも社員全員が、そこと向き合っていきたいですね。
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