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はじめに
24時間365日のオーダーメイド訪問介護サービス「イチロウ」を運営しているイチロウ株式会社の水野です。
今年(2025年)の2月27日、『介護関連サービス事業協会』設立という、介護保険外サービスの振興に向けた大きな一歩を踏み出しました。また、投稿している本日は、イチロウ株式会社の設立日でもあります。節目ではありますので、これまでの軌跡を振り返り、どのような想いと挑戦の中で歩んできたのか、そして業界全体の未来に向けた一歩を踏み出したのかを改めて考える良い機会だと感じ、記事にすることにしました。
施設入居者の「家に帰りたい」という本音に触れる中で生まれた小さな決意が、数々の困難を乗り越え、今では多くの方々に安心を届けるサービスへと成長することができた歩みを、これからの未来への挑戦とともに、率直な思いを込めて綴っていきたいと思います。
介護保険外の訪問介護に挑戦する原体験
私は20歳で介護業界に飛び込み、現場と本部で約10年の歳月を積んできました。入職当初から、介護施設で働いていると、入居者の本音に触れる機会が何度もありました。どれだけ私たち職員が心を込めたケアを提供しても、ふと「次は何をしたい?」と尋ねると、必ず「家に帰りたい」と答えるのです。その一言が、私の胸に深く刻まれました。施設でのサポートは意義深いものですが、家庭ならではの温かさや安心感は、どんなに尽力しても決して補いきれないという現実を目の当たりにし、「最期は住み慣れた自宅で過ごしたい」という利用者の想いに強く心を動かされました。これが、在宅介護に目を向けるきっかけとなり、保険外サービスへの挑戦を決意する原点となったのです。
【在宅介護の多くの問題を体感】
在宅介護に目を向けると、現場には想像以上に多くの課題が存在することも実感しました。介護保険制度内で提供されるサービスは、日本の社会構造の変化に伴い、厳格なルールに縛られ、被介護者やそのご家族の個別の事情に柔軟に応えることが難しく、被介護者とそのご家族の多様なニーズに答えられていませんでした。
訪問介護の厳しいルール
さらに、介護士自身の処遇改善も叫ばれる中、慢性的な人材不足や低賃金の問題が根強く残り、現場は常に過酷な状況に晒されていました。サービスの制約が多いだけではなく、介護士不足により、そもそもサービスを受けられない人も存在しているのが実態です。
多くの被介護者が「自宅で安心して過ごしたい」という切実な願いを抱いているにもかかわらず、現行制度ではその実現が難しいのが現実です。従来の枠組み ―介護保険サービス、家族介護、さらにはボランティア活動― だけでは補いきれない部分があると、私は強く感じるようになりました。実際、厚生労働省も在宅介護を効果的に機能させるために「公助・共助・自助・互助」の4つの支援の重要性を説いています。そのうち「自助」に該当する保険外サービスとしては、介護保険事業者の上乗せサービスや、一部富裕層向けの家政婦サービスが存在しますが、在宅介護の多様なニーズを十分に満たすサービスは普及していなかったのです。
介護業界で働く者なら誰もが必要性を痛感しているにもかかわらず、実際に取り組む事業者はほとんどいなかった現状に、私の中で「自らの手でこの状況を変えたい」という熱い思いが芽生え、2017年に起業、2019年10月に介護保険の枠外で利用者の多様なニーズに応える保険外の訪問介護サービス「イチロウ」をスタートさせました。
Open Network labでのイチロウのプレゼン実施時の写真
他社サービスとの違い
「イチロウ」の1つの特徴として、従来の訪問介護事業者が行ってきたプロセスを、オンライン上で実現している点があります。オンライン上で支援当日までの流れを迅速に完結させることで、最短当日から、24時間365日、誰もが安心して在宅介護を受けられる環境を実現しました。
オンライン上で実現することで、スピードを高めるだけではなく、間接コストの削減にも繋がります。間接コストを下げることで、高品質のサービスをご利用者はお手頃な価格で、介護士には高い時給をお支払いすることができます。また、このシステムを介護保険サービスの中で応用することができると、介護給付費を年間3,000億円近く削減できる可能性も秘めています。
とはいえ、オンラインでこれらを実現することは非常に困難な道のりでした。訪問介護は、施設介護と異なり、1対1での介護となりますので、介護スキルによるミスマッチは絶対に避けなければなりません。そのため、従来の訪問介護では、担当スタッフが利用前にご自宅に伺い、被介護者のADL(活動能力)や生活環境を確認し、最適なスタッフを判断していました。しかし、オンライン上で、かつ事前訪問なしに同じ判断を下すためには、介護スキルを細かく要素分解し、それぞれの要素をレベル別に評価する仕組みが必要となりました。面談時に介護の経歴やスキルを詳細に把握し、独自のデータ管理システムで情報を蓄積。さらに、ご予約時には、求めるサービス内容に応じた介護スキルの自動計算機能を導入するなど、最初は人力で管理しながらデータを蓄積し、徐々にシステムに反映させるという試行錯誤を繰り返してきました。サービス提供中に大きな事故に繋がることはほとんどありませんでしたが、黎明期にはご利用者やケアパートナーから厳しいご意見をいただくこともあり、その度に必死で改善を重ねてきました。
創業当初のMTG
サービスの浸透と大きな壁
このように、改善を繰り返し早5年、今では私たちの取り組みが多くのご家族に支持され、利用者数も着実に増加してきました。これまでのサービス提供回数は約90,000回となり、「急なお願いにも迅速に対応してくれるので、心身ともに安心できる」との声を多数いただいております。特に嬉しかったのは、「困った時はイチロウに頼れるということを知っただけで、心身がとても楽になり、親と健全に向き合えるようになった」という言葉です。我々のサービスは単なるソリューションではなく、まるでお守りのようにご家族に安心感を提供していると実感しております。こうした現場からの生の声が、私にとって何よりの励みとなり、さらなる挑戦への原動力となっています。
一方で、保険外サービスである「イチロウ」は、まだ広く認知されているとは言い難い状況です。ブランド「イチロウ」の認知以前に、保険外サービス自体が十分に理解されていない現状があります。多くの人々は「自費は富裕層向け」「介護は家族が行うべきだ」という従来の固定観念に囚われているのです。こうした認識の壁を打破するため、私たちは業界全体に向けた情報発信や、ケアマネジャー・包括支援事業者への働きかけに力を注いできました。しかし、民間サービスであるがゆえに、例えばケアマネジャー向けの勉強会を提案しても、「公平性を保つため特定企業だけを優遇できない」と断られるなど、解決が難しい課題にも直面しました。これらのもどかしさは、私自身の内面に大きな葛藤を生み、時には「保険外サービスの市場は本当にあるのか?」と不安になる日もありました。
大きな転機
そんな苦悩の中、ある転機が訪れました。経済産業省が「ビジネスケアラーによる経済損失額」を公表したのです。公表記事を読み、「在宅介護の問題を具体的かつインパクトのある数字でわかりやすく示してくれている!」と強く感動しました。その瞬間、まるで大きな力が働いたかのように、私の中に新たな希望が湧き上がりました。これこそ、業界全体で保険外サービスの普及に取り組むための大きな一歩だと確信し、かねてから面識のあった経済産業省の関係者と連絡を取り合いました。彼らもまた、現状に強い危機感を抱いており、私の考えに賛同してくれました。約1年半の設立準備を経て、2025年2月27日、正式に「介護関連サービス事業協会」が発足し、僭越ながら私が初代代表理事に就任する運びとなりました。この協会の設立は、業界全体として保険外サービスの普及に向けた、歴史的な第一歩であると確信しています。
今後は、協会として在宅介護保険外サービスのさらなる普及を目指すとともに、イチロウを中心とした同業他社との連携を強化し、全国規模でのサービスインフラ整備を推進していく所存です。安心して保険外サービスを選択できる環境を実現するため、ガイドラインや認証制度の整備を進め、業界全体の信頼性向上に努めます。さらには、従来の固定観念を打破し、介護DXを実現するための取り組みを推進し、真の変革を遂げることで、介護現場に新たな未来を切り開いていきたいと考えています。我々は、保険外サービスの分野でテクノロジーを活用していますが、これらの先進技術を介護保険の中に取り入れることで、さらなる価値創造が可能になると信じています。
今後の抱負
介護という現場で感じた数々の苦悩や葛藤、そして転機となる瞬間―すべてが、今の私と「イチロウ」、ひいては業界全体を変える大きな原動力となっています。これからも現場のリアルな声に耳を傾けながら、情熱と信念をもって介護の未来を切り拓いていく所存です。皆様と共に、この業界に革新をもたらし、真に人々の暮らしを支える在宅介護の新たな形を創り上げていきたいと、心から願っています。
【最後に】
ここまで読んでいただきありがとうございます。最後に、皆様にお願いがあります。我々の取り組みに共感いただける方は、ぜひ協会および保険外サービスの事業者に関する情報をシェアいただきたいと思います。保険外サービスについての認知を広げるためには、様々な媒体を通じてその魅力や必要性が言及されることが不可欠です。そのため、どうか我々の活動を積極的にご紹介いただければ幸いです。
🎥 イチロウ採用チャンネル公開中!
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もし少しでもイチロウに興味を持っていただけたら、ぜひ覗いてみてください。
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