1
/
5

実は大人の特効薬?デュアルスクールの隠れた効能

「徳島から帰って来ると、いつも元気だよね」

(2017年秋祭り 日和佐駅到着早々、戎町の子供みこしと合流。親の私の方が楽しそう)

2017年10月の徳島県海部郡美波町(※)の滞在で「3度目のデュアルスクール(※)・4度目のリモートワーク」となりました。滞在場所も今までと同じく宿泊できるオフィス「戎邸」・滞在期間も同じく2週間です。4度目の滞在ともあって、私達親子の徳島暮らしも日常の一部となりつつあります。

※「徳島県海部郡美波町ってどんなところ?」「どんな生活を送っているの?」と思った方はこちらの記事をご覧ください。
▼徳島県でリモートワーク&デュアルスクールをする親子の特別ではない1日
https://www.wantedly.com/companies/hitokara-co/post_articles/70053

※ 「デュアルスクール」は、徳島県が進める、住民票の異動なしに現地の小学校に通うことができる制度。
長期出張などでも小学生の子供を帯同することが可能。
https://dualschool.jp/

初回の滞在から今回に至るまで、東京に帰ってくる度に、ヒトカラメディアのメンバーから「徳島から帰ってくる度に元気になって帰ってくるよね」「徳島で在宅ワークしてる方が働く時間が長いのになんでだろうね?」と聞かれました。

・・・そういえば、確かに!!

徳島から帰りたてであることを知らない友人達からも「なんか色艶が良くなったけど何かしたの?」と聞かれます。ホントに何もしていません。ということで、今回は「今こそ伝えられる、繰り返す二拠点生活の効果効能」をご紹介します。

東京生活で感じること

共通編

(2017年冬 渋谷のヒトカラメディアオフィスにて。後ろには会議中のメンバーが)

・魚があまりおいしいと感じない(香りがしないのは、鮮度の問題?)
・食事は味より会話より時間が大事。平日の予定はテトリスを組み合わせるかのよう
・時間に追われて堪能する間もなく、あっという間に終わる
・土日は、休息と平日を切り盛りするための準備時間(つくりおきと買い出しと掃除)に使われて終わり。遠くまで出かける気持ちになりにくい
・医療機関が近隣にあり、受付時間も長い(〜19時まで営業の医療機関が珍しくない)
・急ぎ入手したいものがたいてい入手できる(Amazonはほぼ翌日には届く)


子供編

(2017年秋 東京のボルダリング施設にて。息子は取締役の田久保とデート。私は一人で羽を伸ばす)

・学校へ行って学童へ行って、18時に学童から家に向かう(親が仕事のため)。一人で漫画や本を読んで休憩する。家事手伝いと宿題はやったりやらなかったり
・生活上で使うのはもっぱら目。体を動かすのは体育とスイミング。学校での出来事はほとんど話さない。もしくは、話したくても親が余裕がなく聞ける状況にない
・うっかりすると子供の就寝時間が22時近くになる(頑張っても21時)


大人編

(2017年夏 東京オフィスにて)


・約30人がオフィスにいるため、来訪者の対応や電話、立ちMTGの声など、思考が中断されることが多い
・勤務時間は短い(9:30-17:30)が、スケジュールにも空間にも余白がない
・空調の調整が難しい(人の状態や場所によって快適温度が変わるので)
・集中が妨げられるBGMが流れることもある(テンション上がりすぎるなど)
・夜中に何度も起きる(外の音だったり、隣に寝ている子供に蹴られたり)

徳島生活で感じること

共通編

(2017年秋 滞在する戎邸から徒歩数分。アジ釣りのメッカ。徳島滞在中は魚料理をよく食べる)

・漁師町なので釣りたての魚が食卓に並ぶ。野菜も産直で風味がよい。薄味の方が食べ物の味がわかるので、よりおいしい。潮の香りや土の匂いなど、生活をしていても匂いを十分に感じられる。
・新鮮で風味豊かでおいしいため、食事自体に娯楽感がある
・ちょっと休憩や遊び、気分転換の中身が濃い(薬王寺温泉まで徒歩15分、海まで徒歩2分)
・土日は親子で遊んだり出かける時間が持てる。平日の家事は平日の1日で納められるスケジュールのため(通勤時間0で東京よりも2~3時間ほど余裕がある)
・内科は徒歩2分だが診察を受ける時間が短い(診察受付が17:00までなど)。眼科が車で2時間先と遠い。
・ネット通販で購入して東京の納品時間と比べてプラス1~2日。近くに家電量販店がないので、ガラケーの電源コードなど、「あまり購入する機会はないけど、いざ無いと困るようなもの」が入手しにくい

子供編

(2016年夏 男は寝てても背中で語る「これでいいのだ」)

・平日は16時前に家に帰ってくる。それから17時ごろまで友達と遊ぶ。友達と遊ぶ時間優先のため、家事手伝いと宿題は後回し
・カタツムリを見つけたりカニを発見したりヤモリを捕まえたりと、生活上で手や体で触れることが多い。刺激が多いから会話量も多い
・体を使い倒すので、子供はほっといても20時半ごろに寝てくれる(遅くとも21時には寝る)

大人編

(2017年秋 息子は「おもてなし」を覚えた。大人に一歩近づいた!)

・1人で仕事をしているため、来訪者の応対も1人。仕事の中断はあるが、東京オフィスの声が気になれば、常時繋いでいるappear.in(テレビ電話システム)もボリュームを下げて一人集中モードに入ることもできる
・1人で仕事をしているので、9時から16時ごろまで誰とも対面しないことがある
・勤務時間は東京より長い(9:30-18:30+α)が、移動時間がないので1日のスケジュールに余裕がある。空間的にも広く、気持ちが楽
・気温は自分でエアコンの設定温度を決められるので、快適と感じる温度に保つことができる
・自分の好みのBGMを流せる(1人なので)
・寝付きがよく熟睡もできる。6時間連続で寝ていられる(21時にもなると外は虫の声と波の音しかしない)。寝ている子供に蹴られることがない(12畳に2人だけなので)


結論、徳島滞在中に、生き物としての力を回復している

(2016年夏 戎邸から徒歩5分の眺め。1日が終わるのが惜しい)


東京で生活をしている時でも、子供に合わせて健康的な生活をするよう努めていましたが、徳島では、時間に余裕がある中で、新鮮な食べ物を堪能し、五感を刺激される生活ができるので、一層健康的な生活になります。滞在中は「人間も生き物なんだよな」と思うこと多し。生きることは、味わい深く濃い匂いがあってぬめっとした感触を伴うものと実感できるのです。

実は、10月の徳島滞在の直前に、自分の未熟さが原因で失敗をしてかなり落ち込んでいました。それでも、徳島で暮らしているうちに「いける(日和佐の言葉で「大丈夫」の意)」と思える不思議。自然はそこにあるだけで偉大でした。

大事なことをもう一つ。徳島滞在中に元気を回復したのは、自然環境のおかげだけではありません。徳島県特有、特にこの美波町特有の人のよさにもありました。


地元の常識を押し付けられない。何度来訪しても、異邦人のままでいられる

(2017年秋祭り 日和佐八幡神社の秋祭り「ちょうさ」。同級生と一緒に。約20年ぶりに復活した戎町の子供みこしのはっぴを着て


観客数日本一の盆踊り「阿波踊り」の徳島県。さらに、私達が滞在した美波町は、四国八十八ヶ所巡りの「薬王寺」があります。つまり、育った環境が異なる多くの人間が定期的訪れる地。どなたも敬意を払って説明や案内をしてくださったり、ふとした疑問にも答えてくださいます。リピーターである私達親子が何度この地を訪れても、「地元の普通」を強要されることはありません。だから、私達親子ものびのびと生活することができるのでしょう。


(2017年秋 サイファー・テック本社のある美波町日和佐田井集落の秋祭りにて。先の日和佐八幡神社の秋祭り「ちょうさ」に続き、毎週みこしを担ぐ)

象徴的なできごとが2017年の秋祭りにありました。自分が発した疑問がきっかけとなって、戎町(美波町内のあるエリア)のリーダー大城さんの掛け声の下、約20年ぶりに戎町の子供みこしが復活したのです。みこしやちょうさ(太鼓屋台)は、その土地の活力の象徴。担ぎ手と担ぎ手を支える人たちがいるということ。一度やめたものを復活させることは容易ではありません。戎町のみなさんの心意気で、息子に戎町のはっぴを着せることができました。改めてありがとうございます!

(2017年秋 これから大浜海岸へ)

「郷に入っては郷に従え」という言葉がありますが、訪問客が「せっかく訪れた地だから、初めてのことにトライしてみよう」と促すことであっても、「地元のルールに黙って従え」と言う意味ではありません。反対に、もしも、自分の実家でデュアルスクールにトライしたら、ここまでのびのび生活できたかは疑問です。何十年と離れても、出身者として地元のルールに即した振る舞いを求められたかもしれません。異邦人ではなく地元の人として扱われるんじゃないかなと思います。

今後「デュアルスクールをやってみよう」という地方自治体が増えることでしょう。ただ制度を作ったたけでは足りません。最も大事なのは、大前提として、「異なったモノを同化させるのではなく、異なったモノとの出会いによって自らが変わる様子」を面白い!と思うことです。おらが町の人口を増やすのではなく、おらが町のファンを作る。ファンを作り増やすためには、どういった仕組みがあればいいか、と考えることをオススメします。

地方で「働く・暮らす」をするから、気づき、身につく

都市の喧騒から離れて、想像力を働かせる・身体の感覚を研ぎ澄ます

(2017年秋 徳島での仕事をしている時はたいていこんな感じ)

遠いから・伝えることに一手間かかるから、先に相手の状況を考えることが習慣となります。
例えば、
・メンバーの目線で、常時接続しているappear.in(テレビ電話システム)のマイクがオン状態と知る
・私が途中からの会議参加のため、メンバー何も言わず議事録を取ってくれてた


他にも、離れているから「即対応ではなく、一歩踏みとどまってタスクの優先順位を考える」ことが徳島でのリモートワークでは比較的簡単でした。東京だと目の前の仕事もありつつ、即時対応の案件も対面で差し込まれるので、優先順位をつける時間を作るのが難しかったと感じています。入ってくる情報量が多くてコントロールしにくいためです。一方で、徳島リモートワーク生活では、必要に応じて、東京オフィスの音量を下げたり徳島からのappear.in(テレビ電話システム)の画面を非表示にしたりして、今起きている事象から距離を取ったり、お昼休憩をしっかり取って切り替えることができました。

コミュニケーションを取ることが楽しみに

(2017年秋 東京でメンバーの送別会が行われ、オンラインで送別会に参加。PCの中に私がいます)

食事と同じように、「人と話をすること」に特別感がでてきて娯楽になるのが、徳島生活のいいところです。appear.in(テレビ電話システム)を常時接続した状態にして、徳島にて在宅ワークをしていると、例えば、

・画面に映った自分を見ながら電話する時があると、東京メンバーの大半が照れくさくて笑ってしまう。
・息子が帰宅時に東京オフィスに向けて「ただいま」「お先に失礼します」ということに楽しみを感じてる(普段はなかなか会えないですが、画面向こうからメンバーのリアクションがあるため)。
・送別会にオンラインで参加する(いわゆる『スカイプ飲み会』)


まさに「ヒトカラメディア」なのかも

(2017年秋祭り やり遂げたぜ!という達成感を全身に)

都市と地方を行き来する暮らしは、一方で得た経験を他方に持ち込むことができます。「人間は遺伝子を運ぶ船」なんて言い方をしますが、「人間は経験と知恵を運ぶ媒体」とも言えるかもしれません。移住・定住よりも、行き来のある二拠点生活の方が効果的です。いずれたくさんの親子が自らを媒体にして、たくさんの人を交流させる。ヒトカラメディアの一部のメンバーのように、たとえ、実際にその地を踏まなくても、親近感を持って遠くから応援する人も増えるでしょう。

2017年10月に行われた全国知事会が主催する都道府県の優れた政策を表彰するコンテストにて、「デュアルスクール制度」が、先進政策大賞に選ばれました。この制度を活用して、多くの親子が地域交流のハブになるような日が1日でも早く訪れるのを楽しみにしています。

▼デュアルスクールについて興味のある方はこちら
https://dualschool.jp/


【イベントのお知らせ】1月19日(金)19:30@八重洲

フリーランス協会さん・福岡移住計画さんが主催の「第2回 local next」にて、「小さい移住」を実践しているスピーカーさん方と共にトークイベントに登壇することになりました。ここには書ききれなかったお話を存分にさせていただきます。また直接のご質問も大歓迎です!

【チケット情報などの詳細はこちら】
Peatix https://peatix.com/event/336401/view
Facebookページ https://www.facebook.com/events/689499648104377/


【イベント概要】
▶︎日時:1月19日(金)19:15開場、19:30開始
▶︎場所:Diagonal Run Tokyo(東京都中央区八重洲2丁目8−7 福岡ビル4F)
▶︎チケット:前売り券(交流費込)1,000円
https://peatix.com/event/336401/view
▶定員:50名
▶︎パネラー
・伊野 亘輝さん(ROLLCAKE Inc. 取締役 兼 デザイナー)
http://rollcake.co/
https://note.mu/eatoooni/m/mbd2a32e1d5e0
・板羽 宣人さん(株式会社ベビログ 代表取締役)
http://n-itaba.strikingly.com/
http://babylog.co.jp/
・杉浦那緒子(株式会社ヒトカラメディア)
http://hitokara.co.jp/
・板林 淳哉さん(株式会社ダンクソフト取締役/WLB・サテライトオフィス推進担当) 
http://www.dunksoft.com/
▶︎モデレーター
・片山昇平さん(福岡移住計画 / フリーランス / 文化財ロック主催)
・齋藤有子さん(フリーランス協会事務局)

「デュアルスクール」に関するブログ記事一覧

株式会社ヒトカラメディア's job postings
19 Likes
19 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Naoko Sugiura's Story
Let Naoko Sugiura's company know you're interested in their content