成果を出すことに向き合い、着実に評価も得られるようになった。それでも、ふと「以前に比べて成長が鈍化しているのでは」「応用の効く営業スキルが身についていないのでは」といった危機感に苛まれる。キャリアの分岐点に立ち、「もっと自分のスキルを高められる機会や環境があるのではないか」と自問自答する──こうした葛藤は、成果を出している人ほど直面しやすいものかもしれません。
今回紹介するのは、そんな危機感や葛藤と正面から向き合い、20代後半で転職を決意した石井さんと小笠原さんのストーリーです。
2人は法人営業職を経てHENNGEに入社し、ハイタッチセールス、パートナーセールス、カスタマーサクセス(以下、CS)といった幅広い職種を経験。さらにマネジメントや地方拠点での業務にも挑戦し、キャリアの幅を広げてきました。
成長の停滞感をきっかけに動き出した2人が、どのように新たな成長機会をつかみ、キャリアを切り拓いていったのか。そのリアルな歩みを深掘りします。
目次
成果を重ねた先に芽生えた、“このままでいいのか”という問い
ジョブローテーションで、常に次の挑戦がある環境
提案を起点に生まれた、新しいポジション
サイドプロジェクトが自然発生する、ボトムアップカルチャー
マネジメントと仕組みづくりの経験で、成長を実感
石井 瑠美(Customer Success Division, Engagement Management Section, Section Manager)
2013年に旅行代理店へ新卒入社し、法人営業を担当。2019年8月、HENNGEへ中途入社。東京本社でハイタッチセールスを2年間経験した後、名古屋拠点へ異動し、営業マネージャーとして東海・北信越エリアの営業統括を担う。現在は東京本社のCS部門にて、日本国内の既存顧客への製品活用の推進を担当する。
小笠原 真美(Product Planning & Research Division, Go-To-Market Strategy Section)
2016年にインフラ系ITメーカーへ新卒入社し、法人営業を担当。ハイタッチセールスを1年、パートナーセールスを2年経験した後、2019年4月にHENNGEへ中途入社。入社後はハイタッチセールスを経て、パートナーセールスとしてパートナーとのアライアンス強化や大阪拠点での営業業務などに携わる。現在は東京本社にて、メーカー間での連携やアライアンスの促進、強化を担当する。
成果を重ねた先に芽生えた、“このままでいいのか”という問い
──石井さんは社会人7年目、小笠原さんは4年目でHENNGEに転職したんですよね。お二人とも“成長に頭打ちを感じていた”そうですが、具体的にはどんな感覚だったのでしょうか?
石井:20代前半は「成果を出さなきゃ」「活躍できるようにならなきゃ」とがむしゃらに働いてきました。でも、ある程度成果や評価が伴うようになると、次第に停滞感を覚えるようになったんです。
「これをやればこのくらいの数字になるだろう」「これはあの人に通しておけばOKだな」と、仕事の流れが見えるようになり、未来がある程度予測できてしまう。社内に“すごいな”と思える存在も減り始め、少しずつ「このままでいいのか」と危機感を抱くようになりました。
その背景には、一社で勤め上げることが当たり前ではなくなった時代ならではの、「自分は他社でも通用する人材なのか?」という問いもあったと思います。
小笠原:すごくわかります。私も、がむしゃらに働いて成果を出すことはできていたけれど、ふと「このまま同じことを続けていていいのか」と自問自答する場面が増えていきました。
女性はライフイベントでキャリアが中断されやすいという課題意識から、時間を無駄にできないという焦りもありましたね。
──「停滞感」というのは、具体的に?
石井:「停滞感」というと受け身に聞こえますが、実際は「危機感」に近いですね。私は旅行業界自体の将来性に対して危機感を抱いていました。インバウンド需要は一部伸びていたものの、労働集約型で利益率は低く、努力がなかなか会社の成長に結びつかない。そんなもどかしさがあったんです。
さらに社内の海外派遣制度に合格したものの、業績悪化で白紙になった経験もあって。そこから「自分の力ではどうにもできない要因でチャンスを失うことがあるんだ」と痛感し、成長性のある業界への転職を決めたんです。
──HENNGEへの入社を決めた理由を教えてください。
石井:成長している業界に身を置こうと考えたとき、IT業界は分かりやすく伸びているなと感じていました。なので転職サイト経由でHENNGEから連絡をもらったときは、「変な社名だな」と思いつつ(笑)、話を聞いてみようと思ったんです。調べてみると、業界の中でも特に成長性が高いことがわかりました。
例えば、HENNGE OneのARR(年間経常収益)は二桁成長を長期にわたり維持しており、クラウドセキュリティ市場自体も年率20%前後で拡大しています。これは5年で市場規模が約2.5倍になるスピードで、他の多くの産業と比べても極めて高い成長率です。さらに製品の解約率は0.4%未満と非常に低く、顧客基盤も安定している。こうした成長の拡張性と堅実性が、他のSaaS企業と比べても際立っているなと感じました。
また、カルチャーのフィット感も大きな決め手でした。私は「役職はあくまで役割の一つ」と考えているのですが、HENNGEにはその価値観を自然に共有できる人が多かったんです。実際、社長や役員も肩書きではなく「〇〇さん」と呼ばれ、フリーアドレス席で社員と並んで働くなど、役職にとらわれないフラットな文化があります。
小笠原:私もフラットな社風は決め手の一つでした。前職では毎年のように前年比2倍の営業目標が課され、常に強いプレッシャーがありました。そのせいか人間関係もどこかピリピリしていて、「この働き方を長くは続けられないな」と感じていたんです。
一方HENNGEでは打って変わって、面接のときから余計な緊張感がなく、自然体でやり取りができました。無理せずありのままにいられる空気を感じて、「ここなら肩肘張らずに働けそうだ」と思えました。
また、裁量の大きさと育成環境のバランスがいい規模感にも惹かれました。小さすぎる会社だと視野が狭まる懸念がありましたが、HENNGEには外資系や異業種出身など多様なバックグラウンドを持つ営業メンバーがいて、幅広い視点から学べると感じたんです。
ジョブローテーションで、常に次の挑戦がある環境
──転職前に抱えていた停滞感は、HENNGEに入ってからどう変わりましたか?
石井:入社して6年経ちますが、停滞感を抱いたことはないですね。優秀な人に囲まれ、むしろ日々「自分はまだまだだな」と感じています。
小笠原:停滞感を抱きづらいのは、拠点や部署の異動など、環境の変化が定期的にあることも大きいんじゃないですか?
石井:たしかに。私は東京でハイタッチセールスを担当した後、名古屋拠点でエリア統括マネージャーを務め、今は東京に戻ってCSM(カスタマーサクセスマネージャー)を担当しています。いつもちょうどいいタイミングで新しい挑戦があり、その都度、新しい学びが必要でした。
小笠原さんも似たような経験をしていますよね?
小笠原:そうですね。私も1〜2年ごとに新しい役割にアサインされています。
ハイタッチセールスから始まり、その後はパートナーセールスへ。以降はパートナー領域に一貫して関わっていますが、役割は常に変化してきました。パートナーとのアライアンス業務、マネージャーロールやアライアンスと案件対応の両立、大阪拠点での案件対応、そして現在は東京で新設ポジション。常に新しいチャレンジがあって、停滞を感じる暇がないですね(笑)。
──そうした役割の変化は、希望によるものなのでしょうか。
小笠原:はい。基本的には、自分の希望と会社のタイミングが合致したときにアサインが決まります。
私の場合、入社後にハイタッチセールスを担当したことも、その後パートナーセールスに異動したことも、大阪拠点に転勤したことも、すべて自分の希望が起点でした。
石井:私は名古屋拠点への異動については、上司からの打診でした。ただ、最終的に受けるかどうかは自分で決めましたね。
キャリア的には大きなプラスになると感じながらも、心理的なハードルがあってかなり悩みました。でもよく考えるとデメリットはそれ以外になく、「それなら挑戦してみよう!」と決断したんです。
上司からは「本社から離れる拠点だから、自立して動ける人でないと任せられない。地方のほうが裁量を持って動けるから、石井さんに合っていると思う」と言ってもらったことを覚えています。結果として、自ら意思決定し、組織を動かすマネジメントを経験できたのは大きな財産になりました。
提案を起点に生まれた、新しいポジション
──現在のお二人の役割と、アサインされた経緯を教えてください。
石井:私はCS部門で、既存のお客様への追加提案や活用拡大の支援を専門とするCSMを担当しています。
もともとCSには興味があったのですが、技術的なバックグラウンドがない自分には難しいのではと思っていました。それでも興味があることは上司に伝えていたんです。
その後、CSの役割が細分化され、営業スキルを活かせるCSMというポジションが新設されて。そのとき、私の希望を覚えていた上司が声をかけてくれました。
小笠原:私は、他メーカーとの技術連携を通じて新しい市場を開拓する、プロダクトアライアンスを担当しています。部署はGo-to-Marketですが、この分野を専任で担当するのは私一人。今期から立ち上がった新しいポジションです。
HENNGEはこれまで、Google WorkspaceやMicrosoft 365といったプラットフォームの拡大に合わせて成長してきました。しかし今後これらの市場が伸び悩めば、自社の成長も鈍化しかねない。だからこそ、新たに伸びているメーカーと連携し、ビジネス基盤を広げる必要があると考えていました。
そうした考えを上長に伝え続けていたところ、「そのポジションをつくるから、やってみない?」と声をかけてもらえたんです。
──つまり小笠原さんの場合、言い続けたことがポジションの創出につながったんですね。
小笠原:そうですね。ただ、希望を通すにはいくつかポイントがあると思っています。
一つは、ただ自分の希望を伝えるのではなく、「会社にとって、なぜそのポジションが必要なのか」を示すこと。もう一つは、まず与えられたミッションをしっかり果たしていることです。
石井:例えば、いきなり「未経験からエンジニアになりたいです!」みたいな個人の希望だけを伝えても、それはなかなか通らないですよね。
小笠原:そうそう。
石井:そうした前提が共有されているからこそ、HENNGEでは各々がやりたいことを発信して実現しながらも、組織として成り立っているんだと思います。
サイドプロジェクトが自然発生する、ボトムアップカルチャー
──小笠原さんの現在のポジションが実現するまでの、具体的なプロセスを教えてください。
小笠原:きっかけは、有志メンバーが集まって始めた部門横断のプロジェクトでした。その取り組みが評価され、専任ポジションとして形になることになり、タイミングも重なって私がその役割を担うことになったんです。
私は先ほどお話ししたような危機感から、Google社やMicrosoft社以外のメーカー企業とも連携できる仕組みが必要だと考えていました。 一方、既存顧客チームも「競合に狙い撃ちされて解約が続いている。HENNGEならではの強みをつくるには、新しい連携先を開拓しなければならない」という課題感を抱えていたんです。
そうした共通の問題意識から、「じゃあ一緒にやろう」とプロジェクトチームが立ち上がりました。
──部門が違うメンバーと、どうやってそんな会話が生まれたんですか?
小笠原:きっかけは社内のオープンスペースでの雑談ですね。HENNGEには様々な社内のコミュニケーション施策があって、部門が違う人とも自然に話せる機会が多いんです。
最初は数人で動き出し、興味がありそうな人に声をかけて巻き込んでいきました。そこから半年もしないうちにメーカーへの声掛けを始め、アライアンスプログラムを立ち上げてリリース。最初は23社・26サービスとの連携からスタートし、その後アンケートや満足度調査を重ねながら活動を広げていきました。
──上長への承認プロセスはどのようなものだったのでしょうか。
小笠原:もちろん相談はしましたが、「今の業務を補完し、将来の成長につながるならいいんじゃない」とあっさり承認されました。その後も進捗共有はしていましたが、形式的な承認フローはありませんでしたね。
石井:HENNGEでは上長に承認を取るとき、分厚い提案書なんてつくらないですよね。せいぜい数枚のスライドで目的とマイルストーンを説明するくらい。
小笠原:そうですね。変化の速いIT業界なので、「まずは動いてみて、その中で修正していけばいい」という考えが根付いているんだと思います。
でも逆に言えば、ボトムアップで進めるからこそマネジメントのせいにはできない。やりたいことはやらせてもらえるけれど、どこまでやれるかは完全に自分たち次第でもあります。
石井:ちなみに、こうした動きは小笠原さんに限ったことではありません。たとえばHENNGEの製品を教育分野や自治体向けに広げる取り組みも、有志のサイドプロジェクトから始まり、今では専任部署に発展しています。
マネジメントと仕組みづくりの経験で、成長を実感
──HENNGEで働くなかで、自分の成長を感じた瞬間はどんなときですか?
石井:一番は、名古屋拠点でマネージャーを任され、組織を動かす経験をしたときです。
営業目標だけは決まっていましたが、それ以外はすべて自分の判断に委ねられていました。大型案件の受注戦略や特価承認なども、すべて自分次第。最初はその都度東京の上司に確認していたのですが、毎回「任せるよ」と言われてしまって(笑)。そこから腹をくくり、自分で意思決定をするようになりましたね。
自分の基準で判断し、その方針に沿ってメンバーが動き、結果に責任を持つ──そんな経験を重ねるなかで、「組織を動かすとはどういうことか」を肌身で学ぶことができました。物理的に距離があり、上司に頼れない場面も多かったため、意思決定力や責任感がかなり鍛えられたと思います。
小笠原:私はアライアンスの仕事を通じて、自分が直接営業しなくても商流を広げられる「仕組み」をつくる力が身についたことに成長を感じています。
例えばあるパートナー企業では、各拠点のセールスと連携して施策を動かした結果、新規案件が前年比200%に増加。その後も安定して高い売上を維持するトップパートナーへと成長しました。
こうした経験を通じて、目の前の案件対応にとどまらず、業界構造や商流全体を見渡しながら長期的な成長を描く力を養えたのは、自分のキャリアにとって大きな財産だと思います。
──最後に、お二人の今後の展望を教えてください。
小笠原:直近の目標は、現在担当しているポジションを社内にしっかり根付かせることです。
このポジションは社内でも初めての試みで、前例も正解もありません。その分、とても大きな裁量を与えてもらっています。だからこそこの数年で「この役割を置くことで会社にどんな価値を生み出せるのか」を具体的な実績として経営層に示し、存在意義を確立していきたいと考えています。
石井:私も同様に、CSMという新しい役割を社内外から認められるポジションへと育てていきたいです。
現在は担当企業との定期的な対話を通じて、HENNGE Oneの活用提案に加え、情報システム部門全体の課題解決や業務改善まで幅広く支援しています。すでに「ここまで手厚いサポートは珍しい」と評価いただき、競合との差別化につながっている実感もあります。
今後は、そうした一対一の伴走支援にとどまらず、ユーザー同士の交流を促す仕組みづくりなど新しい取り組みにも挑戦し、CSMが提供できる価値をさらに広げていきたいです。
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執筆:高野優海