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Hacobu CFOが語る、2023年資金調達の舞台裏とこれからの展望【Hacobu blog】

Wantedlyをご覧の皆様こんにちは!Hacobuの採用広報、すとみです。8月より人事チームに参画し、社会課題解決を目指すHacobuのGood&Newを、記事を通して皆さまにお届けしています!今回取り上げるのは、Hacobuを支える経営管理本部についてのお話です。

2023年に入って以降、Hacobuは合計18億円の資金調達を実施。社会情勢や市場動向といった多くの要因に左右される中での安定した資金調達の実現は、どのような成長ステージの企業にとっても難航するリスクを内包するものです。
それでもHacobuが2023年の資金調達ラウンドを無事に終えることができた舞台裏では、確かな実績と成長性のエビデンスをステークホルダー各位へ緻密に、かつ確信的に提示できるコーポレートチームの存在が原動力となっていました。

今回は、そんな資金調達の最前線に立つCFOゆいさんに執筆いただき、Hacobuの財務チームに関するリアルを、コーポレート側ならではの視点からお伝えします。

濱崎 惟(Hacobu CFO)
野村證券にて富裕層向け営業を経験。野村HLDGSの連結経理・開示、グループ内M&A、会計システム入れ替えプロジェクト等に関わったのち、スペインのIE Business Schoolに留学。卒業後はA.T.Kearneyにて、メーカーの海外進出戦略策定、PEファンドや商社のデューデリジェンスなどを担当。2016年Hacobuへ入社、2017年より現職。ファイナンス全般とバックオフィスの統括を担っている。


Hacobu 2023年資金調達の裏側と、これからの展望

2023年に入って以降、Hacobuは合計18億円の資金調達を発表し、2023年の資金調達ラウンドを完了しました。物流領域における「2024年問題」への対策が待ったなしの状況となる中、当社のお客様である荷主や物流企業の課題解決と、サプライチェーンにおける輸配送の動きの可視化、その先にあるData Driven Logisticsの実現に向けて取り組みを加速してまいります。

今回の資金調達を実施するにあたり、どのような点を投資家の方々に訴求したか、今後の見通しや、それを支えるHacobuのコーポレート部門に関してご紹介します。

資金調達の全体像

エクイティ(既存投資家3社、新規投資家4社)およびデット(金融機関2社)を組み合わせた形で、合計18億円の調達を行いました。またエクイティ投資家については、従前のファイナンス同様、事業会社とベンチャーキャピタルの両方から支援をいただく事ができました。

参考:

Hacobu、約15億円の資金調達を実施 | 株式会社Hacobu
株式会社Hacobu(ハコブ、本社:東京都港区、代表取締役社長CEO 佐々木太郎、以下「Hacobu」)は、既
https://hacobu.jp/news/6053/
Hacobu、商工中金より無保証で3億円を資金調達。新株予約権付融資スキームを活用。累計資金調達額は約46億円に | 株式会社Hacobu | クラウド物流管理ソリューション・物流DXコンサルティング
株式会社Hacobu(ハコブ、本社:東京都港区、代表取締役社長CEO 佐々木太郎、以下「Hacobu」)は、株
https://hacobu.jp/news/6665/


今回のラウンドの検討は2022年の夏頃に開始し、秋頃から本格的に推進しました。前回(2021年)の資金調達以降、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」においてUI・UXの改良が順調に進み、ユーザー基盤が安定的に拡大してきたことや、動態管理サービス「MOVO Fleet」において、特に輸配送データの可視化を支える機能に対して複数のお客様から高い評価がいただけていたこと等から、今後数年の継続的な成長に関して、自信を持てる状態を作る事ができていました。

加えて、2020年の初リリース後、試行錯誤を続けてきたMOVO Vistaの新たなPMF仮説が見えつつあったこと、Hacobu Strategyが経営戦略×物流現場×データのいずれにも知見を持つユニークなサービスとして、大手企業(例:キリングループ)から地方公共団体(例:秋田県)まで、幅広いお客様に価値を感じていただけていたことなどもあり、成長スピードを加速させる二の矢、三の矢のシナリオの説得材料が揃ってきていました。

参考:
ミック経済研究所 スマートロジスティクス・ソリューション 市場の実態と展望【2022年度版】

2021年末以降、資金調達環境が冷え込んだ影響で、投資家のマルチプルに関する見方は前回よりも厳しいものとなっていましたが、上記の様な実績や今後の成長性に関する評価、2022年12月にはMOVO Berthが国内のドライバーの2人に1人(*)が使うサービスに成長したことなども後押しになり、結果的には満足のいく形でクローズすることができました。

また、2023年2月に公表したBIPROGYとの資本業務提携に関しても、4月のエクイティクローズまでの間にフォローいただく投資家の皆様にとってはポジティブな評価をいただけたものと思います。

(*)参考:

累計利用ドライバー数が42万人を突破、トラック予約受付サービス MOVO Berth!国内トラックドライバーの約半数に相当 | 株式会社Hacobu | クラウド物流管理ソリューション・物流DXコンサルティング
「運ぶを最適化する」をミッションに掲げる株式会社Hacobu(ハコブ、本社:東京都港区、代表取締役社長CEO
https://hacobu.jp/news/3094/
累計利用ドライバー数が42万人を突破、トラック予約受付サービス MOVO Berth!国内トラックドライバーの約半数に相当
迫る2024年問題〜運べなくなるリスクを真剣に考えているか〜KIRINが物流パートナーにHacobuを選んだ理由〜 - ハコブログ | 株式会社Hacobu
トラックドライバーと聞くと、多くの人は「宅配の配達員」を思い浮かべるだろう。しかし、物流業において宅配の割合は
https://hacobu.jp/blog/archives/1958
【鼎談】迫る2024年問題〜運べなくなるリスクを真剣に考えているか〜KIRINが物流パートナーにHacobuを選んだ理由〜

評価いただいたポイント

今回のラウンドでは、様々な投資家の皆様と対話させていただきました。私の力不足で当社の魅力を伝えきれなかったケースもありましたが、評価いただけた投資家の皆様に対しては、概ね下記の4点に関してご理解をいただけたのではないかと(勝手に)感じています。

1. 物流DX領域のHorizontalな拡がり

当社は創業以来、企業間物流の最適化を一貫して目指してきました。そのため、「物流業界向けのSaaS企業」=「Vertical SaaS」である、という評価をいただく事も多いですが、「半分正しいが、半分そうでもない」という感覚を持っています。なぜなら、荷主(製造業・卸売業・小売業など)と物流事業者の双方が物流最適化のステークホルダーであり、「物流DX」の領域は「物流業界」に留まらないHorizontalな市場の拡がりを持っていると言えます。

下記の様な事実も、この感覚を裏付けるものだと考えています。

  • 2023年6月2日に公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」では、物流事業者に加えて荷主が物流最適化に向けた役割を担う事が明示されたこと
  • 物流に関わるコストのうち、半分程度は荷主の社内コストであると推計されること。例えばJILS(日本ロジスティクス協会)の調査ではマクロ物流コストは48兆円と試算されている一方で、物流業界の市場規模は24兆円(輸送以外も含む)と試算されており、これが正しければ、残りの24兆円は物流企業の売上には属しない物流コストであると想定される
  • 当社の現在の売上も荷主向け、物流事業者向けのどちらかに偏る事はなく、双方からバランスよく収益あげる事業構造となっていること

参考:
2022 年度 物流コスト調査報告書【概要版】
国土交通省 令和2年7月資料『物流を取り巻く動向について』

2. MOVOネットワークの拡大に向けたストーリー

MOVOは輸配送に関わる課題をワンストップで解決するクラウド型物流ソリューションであり、共通認証を通じて、1つのIDを使って様々な機能を利用できるサービスプラットフォームですが、その中で主にBerth、Fleet、Vistaという3つのサービスを提供し、それぞれ物流拠点の入出荷管理、車両の動態管理、配送案件管理という形で、物流現場の異なるシーンにおける課題解決(可視化・効率化)を担っています。

現段階では、サービスのいずれか1つをご利用いただいているお客様も多いため、当社としては「MOVOとして1つのサービス」というビジョンを最終形として持っていても、過渡期である現状においては「3つの異なるサービスを提供している」という風にどうしても捉えられがちです。そのように捉えられた場合のメリット・デメリットを考慮した上で、どのように伝えていくかを工夫しました。

【メリット】
・お客様の社内で、様々な方に興味を持ってもらえるフックが多い
・クロスセルによる収益拡大の見込みがある
・将来的にサービス間のデータ連携を進めることにより、更なる価値が生み出せる可能性がある(一部は既に実現)

【デメリット】
・(特に物流領域の知見がない人にとって)何のサービスか分かりにくい
・営業やカスタマーサクセス、開発のリソースが分散する恐れがある

大前提として、Berth、Fleet、Vistaそれぞれのターゲットと訴求価値を丁寧に説明し、個別サービスでも現場業務の効率化と可視化を通じた最適化の推進という目的は果たせることを説明しました。それぞれが拡大することによって、MOVOネットワークが拡大し、様々なステークホルダーが繋がっている状態をまず作る、という段階に進めるかどうかがポイントになるためです。
加えて、現場で営業のリソースが分散しないための工夫を必要に応じて説明していきました。例えば、それぞれのプロダクトに詳しいメンバーを育成し、必要に応じて商談サポートに入ったり社内ナレッジを充実化させることで、新しく入ったセールスメンバーでも、お客様に対して適切な提案ができる工夫を行っています。3つのサービスがカバーする工程は前後で繋がっているため、個別サービスの提案だとしても、幅広い業務範囲をセールスが理解していることで提案の深みが出るという効果もあります。

Hacobu Strategyの存在も、多くの投資家からポジティブに受け取っていただきました。基本的には独自のコンサルティングサービスとして、MOVO活用を必ずしも前提としない中立的な立場でお客様に関与し、守秘義務を負う中での活動という前提ではありますが、コンサルティングが接点となって大手企業のマネジメント層との関係性が深まること、結果的にMOVOの活用に繋がる場面もあることは評価いただけました。
サービス間のデータ連携が今以上に進み、1つのサービスプラットフォームとして機能している姿のインパクトは比較的分かりやすいのですが、そこに至る道程、特に効率的に収益を伸ばしながらネットワークを拡大できるかどうかについては、今回の資金調達で最も説明・議論に時間を使ったポイントのように感じます。

3. MOVOの収益の安定性

従前より公表している通り、MOVO Berthの継続率は安定して99%(月次)を超えていますが、MOVOシリーズ全体で見た継続率も遜色ない水準となっています。効果を実感いただいたお客様から、MOVO Berthを複数の物流拠点に横展開いただける事例も多く、アップセルの強さという形で数値として表れてきます。これを支えるカスタマーサクセスのナレッジの強さ・オンボーディングの品質と、カスタマーサクセス・営業が連携して既存顧客に提案する体制の強さについては、多くの投資家に、比較的速やかにご理解をいただけました。

4. Data Driven Logistics®の実現を支えられる技術基盤の強さ

当社は従前から公表している通り、2019年~2020年にかけて、全サービスの作り直し、フルリプレイスを行っています。当時はData Driven Logistics®という言葉はありませんでしたが、当社が目指す物流ビッグデータを活用した物流領域の最適化のためには、MOVO上で異なるサービスを展開したとしても、裏側で重要なマスタデータやトランザクションデータが統一的な基盤の上で動いている状態が必須であると考え、実行に踏み切りました。

フルリプレイスは苦しい道のりでしたが、これをやり切ったことによって、「プラットフォームと名乗っているが、裏側はバラバラ・ぐちゃぐちゃ」「UIがバラバラで、サービス連携といいつつ現場の使い勝手が悪い」という状態に陥る事を回避し、名実ともに物流ビッグデータ活用の基盤として活用いただける実態を作り上げることができました。

また、技術スタックを当時の最新技術で揃えたことで、サービスの開発効率が高まったことに加えて、Berth、Fleet、Vistaといった異なるサービスでも共通の技術を利用していることから、技術的な知見に関して社内でタコ壺化が起こり生産性が下がるリスクを最小化することもできました。

参考:

"変化に強い"プロダクトで、SaaSの限界を超える〜物流スタートアップHacobu、これまでの7年、これからの7年〜(前編)【CEO佐々木×CTO戸井田】 | 株式会社Hacobu
皆様、初めまして!ベトナムからフルリモート勤務しておりますコーポレートコミュニケーション担当のもりこです。2022年12月20日、クラウド型物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のトラック...
https://www.wantedly.com/companies/hacobu/post_articles/481909
“変化に強い”プロダクトで、SaaSの限界を超える〜物流スタートアップHacobu、これまでの7年、これからの7年〜(前編)【CEO佐々木×CTO戸井田】
約1年半の死闘、大規模「フルリプレイス」の舞台裏〜物流スタートアップHacobu、これまでの7年、これからの7年〜(後編)【CEO佐々木×CTO戸井田】 | Hacobuに入社した理由/社員インタビュー
ベトナムからフルリモート勤務しております、コーポレートコミュニケーション担当のもりこです!MOVOの急拡大を支えてきたのがHacobuエンジニアチーム。重要な経営判断であり、Hacobuの転機と...
https://www.wantedly.com/companies/hacobu/post_articles/488617
約1年半の死闘、大規模「フルリプレイス」の舞台裏〜物流スタートアップHacobu、これまでの7年、これからの7年〜(後編)【CEO佐々木×CTO戸井田】

今後の見通し

今後、2023年5月と7月のリリースで公表している通り、今回の調達資金を主に以下の3つの領域に投入し、成長加速を実現していきます。

  1. ドライバーにデータとデジタルの恩恵を。新スマホアプリ「MOVO Driver」開発
  2. 企業との連携強化。データテクノロジーへの投資を加速
  3. 社会への「Data Driven Logistics」の啓蒙。MOVOネットワークの拡大

2番目、3番目の要素が直接的な収益拡大のレバーとしては重要である一方で、1番目の取り組みで実現したいドライバーネットワークのデジタル化は、中長期的に当社が社会のインフラとして受け入れられ、物流ビッグデータの蓄積と活用を推進する上で、重要な役割を果たします。これらの取り組みを通じて、物流領域における課題解決のプラットフォームを運営するリーディングカンパニーとなることを目指します。
また中長期的には「持続可能な物流インフラを作る」ビジョンに資する範囲で、サービスラインナップの拡大も視野に入れながら、様々な構想を社内で練っています。

Hacobuの経営管理本部について

以上のような成長を実現する上で、事業成長をドライブする事業部門、開発組織が重要であるのは言うまでもありませんが、成長をバックアップしつつ守りを固める役割として、コーポレート部門の存在も大きいと考えています。私自身はCFOとしての役割を担いながら、経営管理本部を管掌する本部長も務めています。

1. 役割

経営管理本部には、財務経理部(経理、財務、経営計画・予算、資金調達)、経営管理部(法務、知財、社内IT、ガバナンス、総務、秘書)、人事部(採用、組織人事、労務など人事全般)の3つの部があります(今後変わる可能性もありますが、現時点では)。 多機能に渡る組織ですが、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を包括的に扱う(獲得する・管理する)役割として自己定義を行い、日々のオペレーションだけではなく、事業成長や経営の安定に対して高い視座を持ちながら貢献できる姿を目指しています。

上述の通り、当社は現在でもサービスラインが複数あり、ソフトウエア・ハードウェア・コンサルティングを組み合わせた価値提供を行っており、事業の進化も組織の成長も早いことから、単純にルーティン業務として割り切れない問題が日々発生します。機能別組織の生産性を重視しながらも、縦割にならないように、必要に応じて3つの部が連携しながら、事業部門、開発組織の意思決定やオペレーションをサポートしつつ、スケーラブルな仕組み作りを進めています。

2. 人材像

本部として、上記のような役割を果たすためには、generalな課題解決能力と、各機能に求められる専門性の両方が必要となります。もちろん、両方ができる人ばかりであれば理想ですが、日々降ってくるあらゆるトピックに関して、一人の人間でこなすには、ハードルが高い場面もあるのが現実です。

だからこそ、個々の能力に加えて、当社のvalueである「All in the same boat」での助け合いや、「Creative Dialogue」を通じて意見をぶつけあいながらも、最後は具体的な解決策を導き出すといった姿勢が大事になってきます。知識・経験の相互共有をしながら課題解決を繰り返し、困難な場面はありつつも、そういった環境の中で成功体験を積む。その中で組織としても人としても成長する事にやりがいを覚える人が(私自身も含めて)集まっている組織でありたいと思いますし、今後の事業拡大の途上で、そんな仲間が増える事を期待しています。



今回はCFOゆいさんの寄稿を主軸に、Hacobuコーポレートチームの資金調達における活躍と、その舞台裏をご紹介しました。
Hacobuでは今後も積極的な採用活動を通じ、「最後の暗黒大陸」とも呼ばれる物流領域の課題解決を目指して、共に注力できる仲間を広く募集していきます。安定した資金調達を実現し、急拡大する企業を支えるコーポレートの一員として、組織の成長に寄与できるのはもちろん、一個人としても成長できる環境となっています。魅力を感じられた方は、ぜひ下記リンクから人事部門の採用ページもご一読ください!

また、今回ご紹介したコーポレート以外にも、各プロダクトの開発部門や事業部門ほか、コンサルティング機能を担うStrategy部門においても随時人材を募集中です。まずはお気軽に、話だけでも聞きに来てみてください!

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