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フリーエージェント時代における企業姿勢の考察――「至上命題は企業がビジネスパーソン育成のプラットフォームになり得るかどうか」

こんにちは。株式会社ギャプライズの齋藤です。取締役として、主に人事や総務、経理、法務などのバックオフィスを担当しています。

今回は、アフターコロナにおける企業とビジネスパーソンの向き合い方について、私なりの考察と想いをまとめてみました。この記事を読まれる皆様の参考に少しでもなれば幸いです。

前回、2020年5月に執筆しました『アフターコロナを見据えた取り組みの方向性』に関しての記事はこちらからご覧いただけます。併せてお読みくださいませ。

アフターコロナを見据えた取り組みの方向性――「収束から再成長に向け、新しいワークスタイルの追求へ」 | Gaprise Management
こんにちは。株式会社ギャプライズの齋藤と申します。取締役として、主に人事や総務、経理、法務などのバックオフィスを担当しています。 ...
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■はじめに

アフターコロナ時代、いよいよ日本にも「フリーエージェント時代」が到来してきたということをつくづく実感しています。独立や副業など、いわゆる特定の企業だけに所属することなく、自分の知恵や経験を活かして企業のニーズや課題に応えるという働き方ですね。これは、コロナ禍によって加速したテレワークとその影響による業界ごとの景気変動が、フリーエージェント時代を加速させた要因であることは皆様もご存知のとおりだと思います。

私たち日本人はコロナ禍を通じて、この新たな働き方を導き出しましたが、アメリカ合衆国の作家で政府ライターの経験もあるダニエル・ピンク氏は、自身の著書において2002年頃からこの働き方が主流になるであろうことを予測しており、現に2002年時点でアメリカ合衆国では4人に1人がフリーエージェントとしての働き方を実践していたそうです。約20年の月日が経過したあとに日本でも同じ流れが来たということですが、遅いと感じるかどうかは人によって異なるにせよ、大事なことはビジネスパーソンの価値観の変化を、社会や企業はどう受け止めて対応するのかが問われているということだと感じています。

■育成の重要性

フリーエージェント = ジョブ型の働き方を求めるということですから、企業としては職務のジョブディスクリプションを明確にしたうえで、副業を受け入れる、もしくは容認する、業務委託契約をより細分化し充実させるという複線雇用制度を確立することは自然な流れになるでしょう。ただし、ここで忘れてはいけないのは、ジョブ型の働き方ができるビジネスパーソンというのは、一定のキャリアを保有している人のみに限られるということです。すでにキャリアのある人たちの知恵や経験を活用する、いわゆるジョブ型雇用の促進だけでは、企業の姿勢と対応としては不十分だと考えます。加えて、これから社会に出る人たちやまだキャリアの浅いビジネスパーソンたちの育成環境を整備することの方が、企業がおこなう措置としては重要だと感じています。

企業は今まで以上に「選ばれる立場」になっていくわけですし、「選ばれる立場」になるためには、何よりも育成の環境整備が必要になるでしょう。優秀な人はキャリアアップ志向が高く、常に学ぶ姿勢がありますから、明確な基準を持った育成制度を明示できる企業でなければ、「選ばれる立場」にはなりえないと思います。これまで企業の育成は階層別における育成がメインでしたが、キャリアアップをどのように支援できるのかも問われていきます。

単純な教育のためのコンテンツを並べるということではなく、

・様々な職務へのチャレンジ機会を提供する
・仕事をするうえでの裁量権を一定与える
・新規ビジネス、業務改善の積極的な提案を推奨する
・市場価値と照らし合わせた昇給やキャリアグレードまたは職位昇格の見直し

といったことが挙げられます。

これまでも自社のPRとして明示していた企業も多いとは思いますが、明確に仕組化されていたわけではなく、あくまで企業の裁量という曖昧な基準であったことも否めないでしょう。

また、育成制度の確立だけではなく、

・評価制度においてもキャリアごとの評価のあり方やコンピテンシーの指標を見直す
・実際に教育や育成をおこなう配属先の部長やマネージャーの権限を明確にする
・育成モニタリング指標としてアウトプットゴールに加えて、インプットゴールも定める
・職種や部署を超えた交流機会を創出する

など、周辺のコーポレートインフラ全般を整備することも必要になると感じています。従来、日本の企業は育成よりも採用のウェイトの方が高く置かれていた事実は否めませんが、これからは育成も同等以上のウェイトが必要になってくるでしょう。当社においても役員間だけでなく、執行役員や部長も交えて重要課題として協議し、様々な検証をしながら確立していきたいと思います。

■ジョブ型雇用環境の弊害について


ジョブ型雇用環境を積極的に推し進めると、旧来のメンバーシップ雇用環境で形成された企業風土に弊害が出てしまうといった評価をよく耳にします。

果たして本当にそうでしょうか。

メンバーシップ雇用を学歴や年齢だけでおこなうことはすでに弊害でしかなく、年功序列という考え方の排除と併せて、人材育成におけるキャリアアップ支援とは関係ないはずです。また、ジョブ型雇用環境を推進したとしても、仕事だけでなく、その会社のビジョンや事業戦略に共感したうえで会社を選択する人もたくさんいると思います。欧米を主流とした割り切った関係(実際にそれだけではないと思いますが)をイメージするから拒否反応が出るのかもしれませんが、会社の風土に合わせたジョブ型の関係を新たに構築していけば良いのではないでしょうか。

当然、改めて会社の風土やビジョン、一体感をより醸成するためのコミュニケーションやマネジメントといったソフト面の強化も必要不可欠になるでしょう。世界でも有数の企業であるAmazon.com, Inc.もジョブ型採用を採っていると聞きますが、関連書籍を読んでも、どの企業よりも理念・ビジョン・バリュー・行動指針が共有および徹底されていることが見受けられます。

ジョブ型雇用というのはあくまで仕組みのことであり、理念などに対してどうリンクさせていくかを念頭に置けば解決策は導き出せるはずです。制度を整えるというハード面以上に、社内のマインドセットに導くコミュニケーションといったソフト面の方が重要であり、絶対に欠かしてはならないことだと思います。

■最後に

若きビジネスパーソンという日本社会における未来の大事な宝を、新たな時代に沿ってどのように育成するか、企業が絶対に疎かにしてはいけないと強く感じています。新卒採用や第二新卒採用といった日本企業の伝統的な採用形態を維持しつつ、企業がビジネスパーソン育成のプラットフォームになり得るかどうか、日本の企業における至上命題だと思っています。引いてはそれが企業の発展と日本経済の発展に繋がるものと、私は信じています。

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