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元社会部記者の「SDGsやサステは胡散臭い」という思い込みがFULL KAITENによって覆された話

本稿では当社が開発するプロダクト『FULL KAITEN』が小売業の「SDGs」や「ESG」「サステナビリティ」対応の“切り札”であると断言できる理由についてお話ししたいと思います。

自己紹介が遅れましたが、私はフルカイテン戦略広報の南(写真左から一番目)です。私は一般紙の元社会部記者ですので、最近まで「SDGs」「ESG」「サステナビリティ」を胡散臭い目で見ていました。メルヘンチックな“スローガン”の匂いしかしなかったからです。

しかし、様々な広報活動や会社のブランディングに携わる中で、「もはや好き嫌い、善悪のレベルを越えた」と感じるようになりました。つまり、全ての企業が「SDGs」「ESG」「サステナビリティ」に何らかの形で対応しなければならなくなっているのです。
このnoteを読んでいる皆さんにも“我が事”と受け止めてほしいと思うんです。

そんな中でFULL KAITENは贔屓目に見ても、「やみくもに売上を追わずに利益を追う」経営を支援することで、SDGsやサステナビリティを「スローガン」から「手が届く目標」に変えることができるプロダクトだと思います。
小売経営に本当に良いインパクトを与えられるプロダクトだと思うので、その理由をご説明していきます。

目次

  1. 1.「SDGs」「ESG」「サステナビリティ」が胡散臭いと思っていた理由
  2. 2.日本の小売市場は猛スピードで縮小していく
  3. 3.縮小市場では価格競争が起き、価格競争に勝てるのは巨大企業のみ
  4. 4.FULL KAITENは価格競争ではなく付加価値で勝負することを支援

1.「SDGs」「ESG」「サステナビリティ」が胡散臭いと思っていた理由

言うまでもなく、日本経済そして世界経済は資本主義体制の下で回っています。そして、資本主義というのは、際限なく生産能力を高めること(資本蓄積)自体を目的としたシステムなのです。これは非常に重要なポイントですが、多くの国民は資本主義が当たり前のものとして私たちの生活に入り込んでいるため(目に見えないですが)、いまいち理解されていません。

際限なく生産能力を高めるために、資本主義はあらゆる物から掠奪してでも利潤を上げることが宿命づけられています。生産能力が高まれば、商品を安価に供給できて競合を駆逐できるからです。近年では労働者からの収奪に飽き足らず、自然環境からの掠奪が看過できないレベルまで進んでいます。

そんな資本主義経済ですから、持続可能性などという概念とは相容れるはずがないのです。異例のロングセラーそしてベストセラーになっている『人新世の資本論』のなかで、著者の斎藤幸平氏(大阪市立大学准教授)は「SDGsは大衆のアヘンだ」と喝破しています。

少し長いですが、一部引用してみます。

「人新世の資本論」 より温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバッグを買った? ペットボトル入り飲料を買わないようマイボトルを持ち歩いている? 車をハイブリッドカーにした?
はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころか、その善意は有害でさえある
なぜだろうか。温暖化対策をしていると思い込むことで、真に必要とされているもっと大胆なアクションを起こさなくなってしまうからだ。良心の呵責から逃れ、現実の危機から目を背けることを許す「免罪符」として機能する消費行動は、資本の側が環境配慮を装って私たちを欺くグリーン・ウォッシュにいとも簡単に取り込まれてしまう。


生半可なSDGsだのESG投資だのスローガン的なものでは、もうどうにもならない状態まで気候変動と資本主義経済の劣化は進んでいます。

ここまで読んで、「内容が重たい」「政治的な話には立ち入りたくない」と感じる方もいるかもしれません。でも、どんなスタートアップもITベンチャーも、日本経済と社会構造の大きな変化と無縁でいられません。
繰り返しとなりますが、皆さんにも“我が事”と受け止めてほしいと思うんです。

2.日本の小売市場は猛スピードで縮小していく

この章からは、私自身が「SDGs」「ESG」「サステナビリティ」への対応が必要だ、と考えをほぼ180度転換した理由について、順を追って説明していきます。

まず、日本の大多数の小売企業は国内市場を主戦場としています。その国内小売市場はマーケット規模(市場規模)がものすごいスピードで縮小していく最中にあります。

小売の市場規模というのは総需要つまり私たち消費者が日本国内の小売店やECで様々な買い物をした総額に当たります。言い換えると、小売事業者が消費者に対して販売した商品等の売上総額になります。

これらの買い物総額・売上総額は、買い物をした人数(客数)× 1回の買い物の購入金額(購買力)に因数分解できますよね。
日本はこれから客数が減っていき、購買力も落ちていきます。これが縮小市場ということです。
何故かというと、日本は人口減少と高齢化がすごいスピードで進んでいるからです(図1)。

特筆すべきは高齢者人口(65歳以上)の増加と年少人口(15歳未満)の減少です。生産年齢人口も年々減少しており、年少人口の減少は5年後、10年後に生産年齢人口の減少としてボディブローのように効いてきます。※詳細は私が制作したレポートをご覧ください

さらに、日本は過去30年弱、賃金が上がっていません。こんな国は世界を見渡しても他にありません(図2)。

しかも、昨今は新型コロナウイルス禍からの経済回復の過程で世界的にインフレが加速しています。デフレが続いてきた日本も食品や日用品を中心に徐々に物価が上がっています。
それなのに賃金が増えないわけですから、私たちが消費に回せるお金はどんどん減っていきます。
実際、2014年までの15年間で、個人消費は最も多い世代で月あたり6万円も下がりました(図3)。

以上が客数の減少(人口減少)と購買力の低下(高齢化と賃金低迷)のお話でした。

3.縮小市場では価格競争が起き、価格競争に勝てるのは巨大企業のみ

前章では、日本の小売業がとてつもない縮小市場に直面していることを書きました。バブル経済崩壊前までは人口増加が続いていたので、市場は拡大していました(年少人口は既に減少が始まっていたので、10年後、20年後に総人口の減少と高齢化の加速が進むことは予測可能でしたが)。

問題は、拡大市場の時代がとうの昔に終わっているのに、拡大市場でしか通用しない在庫の物量ありきの経営戦略、つまり売上至上主義から脱却できていないということです。縮小市場では、顧客の奪い合いによる過度な価格競争が生じてしまうのです(図4)。

2020年夏以降、ギャップジャパンやイオンリテールなどが相次いで定価を下げたのに続き、ファーストリテイリング傘下のジーユーが2021年春夏物を最大3割値下げしました。そして2021年春、ファーストリテイリングは「ユニクロ」で実質9%もの値下げを断行するに至り、良品計画も主要品目の値下げで追随しました。

ただ、小売業界を支える大多数の中堅・中小の会社が、以上のような巨大企業に価格競争を挑んでも勝ち目がないのは明白です。

しかも、原材料高によるインフレの足音が徐々に大きくなっています。物流をめぐる2024年問題(詳細は別レポート参照)もあり、物流コストも下がる余地は皆無です。

様々なコストアップ要因が顕在化していることを受け、ファーストリテイリングは値上げを模索しています。2021年12月にCFOが日本経済新聞のインタビューに応じ、原材料高の長期化に備えて一部商品の値上げの可能性に言及しました。いわゆる“観測気球”を上げて世間の反応を探ったわけです。

ファーストリテイリングが実際に値上げに組み切れるかどうかは分かりません(私は難しいのではないかとみています)。同社のようなガリバーにとっても価格競争はシビアであり、できるだけ避けたい事だということが改めて浮き彫りになったと私は捉えています。

つまり、価格競争に良いことは1つも無いのです。

4.FULL KAITENは価格競争ではなく付加価値で勝負することを支援

前章まで見てきたように、縮小市場では従来のような売上第一、売上至上主義のビジネスモデルは全く持続可能(サステナブル)ではありません。では、ビジネスモデルをどのように変革すれば良いのでしょうか。

その答えはFULL KAITENによってもたらされました。「粗利益」です。売上ではなく粗利を第一に追う経営に変わるということです。

売上を追わずに粗利益を追うーー。一見して矛盾していますが、FULL KAITENを用いると実践が可能です。

どういうことかと言うと、在庫の物量に頼るのではなく、少ない在庫でいかにして利益を出すか、つまり在庫1単位あたりの利益をどう増やすかを考えるのです。

利益を増やすには、値引きと評価減(在庫評価損)を抑制しなければなりません。

そのためには見るべき経営指標も変わります。かつては消化率やプロパー消化率、回転率などの遅行指標を見ていれば良かったのですが、在庫1単位あたりの利益を増やすには先行指標を見ていく必要があります。

ここで言うところの先行指標とは、商品をいつまでに定価で売り切ることができるかを表す「完売予測日」です。例えば、プロパー販売期限が「12月31日」だった場合、もしも12月1日の時点で期限までに売り切れるかどうかを予見できていれば、早めに手を打つことができますよね。

この完売予測日を全ての在庫について毎日計算し、洗い替えていけば、少ない在庫から最大限の粗利益を引き出すことができます。

これらは、あくまで理屈の上で言えることでした。FULL KAITENが存在するまでは。でも、FULL KAITENが可能にしたのです。

小売企業は、FULL KAITENを導入すると無駄な在庫を持たずに利益を上げられるようになります。そして、FULL KAITEN導入企業が増えれば増えるほど、大量生産の弊害だった売れ残りや廃棄の問題が緩和されていきます。

これはつまり、FULL KAITENの提供を通じて「必要な商品が必要な量だけ流通する社会」の実現に近づき、サステナブルな社会への貢献になるということです。

本稿の最初の章で、企業やわれわれ消費者が生半可な「SDGs」「サステナビリティ」の取り組みをしても、焼け石に水であり、本格的な取り組みの必要性から目を背けるための“免罪符”に過ぎないことに触れました。

でも、一社でも多くの小売企業がFULL KAITENを活用してビジネスモデルの変革に取り組めば、社会・経済は大きく変わるはずです。そう信じられるほどインパクトがあるSaaSであり、フルカイテンメンバーは皆それくらいの目的意識を持って業務に臨んでいます。

FULL KAITENでは一緒に働く仲間を募集しています!

フルカイテン入社エントリー|SDGs×AI|大量廃棄を無くす「FULL KAITEN」|note
フルカイテンの社員それぞれの転職STORYをまとめています。
https://note.com/fullkaiten_re/m/m220aa92a81e1
オープン社内報「回転ニュース」|SDGs×AI|大量廃棄を無くす「FULL KAITEN」|note
誰でも読める、オープン社内報です。フルカイテンで働く「ヒト」を、インタビューを通じて紹介します。
https://note.com/fullkaiten_re/m/m10be5226e107
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