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『STARTUP DB ENTERPRISE』共創に向けた企業引き合わせ事例3選。導入メリットはデータ×人の総合力。

(※この記事は2022年4月に公開したのものです。)

「オープンイノベーション」や「共創」という言葉が浸透しつつある昨今。1万3000社以上のスタートアップと投資家情報を一同に集めたデータベース『STARTUP DB』では、スタートアップとの共創実現までワンストップでサポートをするプラン『STARTUP DB ENTERPRISE』を2021年7月にリリースしました。

2022年5月には4年目を迎えるデータベースの成り立ちから活用のメリット、共創事例についてご紹介いたします。

【プロフィール】

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企業同士の共創のハブに。『STARTUP DB』とは?

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ーー『STARTUP DB ENTERPRISE』は、スタートアップとの協業をワンストップで実現できる“共創実現”を目的としたプランです。データベース自体は当初からその想定だったのでしょうか?

竹内:最初はスタートアップのリストアップが目的でした。ちょうど、私が入社した2015年に前身の『Cotobe』というWebサービスの開発がはじまり、スタートアップランキングTOP100という形でインターネット上に情報公開していたのです。そのうちに単純な企業のリストアップだけではなく、「スタートアップと投資家・事業会社・行政・大学などのエコシステムビルダーとのハブになる」ことをミッションに本格始動し、投資家側の情報も掲載する形に変わっていきました。

現在では私たちがスタートアップエコシステムそのものを担い、日本における成長産業領域のさらなる成長を支えたいという想いに変化しています。且つ、ニーズの合う企業同士のマッチング部分も担いたいと考え、事業開発兼営業担当の加藤さんを中心に営業担当が“共創”に向けた共創相手企業のご提案を『STARTUP DB ENTERPRISE』プランの導入企業に対して行っています。

ーー“データベース×人”の力で、スタートアップと大手企業の共創実現をサポートしているのですね。なぜ、企業同士の共創が実現できるのでしょうか。

加藤:データベース上で、スタートアップの事業概要やサービス情報、そして資金調達情報などのファクトデータが揃い、さらに大手企業とスタートアップそれぞれの課題やニーズ、中長期的な戦略といった一次情報を理解している我々が間に介在しているからこそ、共創の実現可能性を高めることができます。

もともと当社は「日本から世界に通用するスタートアップを輩出したい」という想いから立ち上がり、主にベンチャーキャピタルのポートフォリオに基づき、いち早く各産業をリードする可能性の高いスタートアップに対して人の支援をしてきました。その過程で、当社には公開情報では知り得ない濃密なデータが社内に蓄積されています。

当社では年に約160回ものスタートアップと投資家による社内向けの勉強会が実施され、企業ごとの事業の状況から将来展望まで独自に最新の情報を収集しています。

具体的には各スタートアップが、どのような経営戦略を掲げながら、どのマーケットを狙って、どのようなプロダクトを展開しているのか。競合の優位性はどこにあって、今後どのような成長が見込まれるのかという情報が集まっています。

もちろん、これらは秘匿性が高い情報なので、外部の企業様にお伝えすることはできませんが、我々の頭の中で「この企業とこの企業が合うのでは」というイメージの解像度を上げるにあたって非常に貴重な情報源となっています。従って、そのようなより深い理解のもとスタートアップと大手企業の共創機会の創出・提案が可能になるのです。

ーー お客さまが選ぶ理由として「個別の企業情報のデータの更新頻度が高い」ことも挙げられます。実際にデータの更新頻度について教えてください。

竹内:保有している企業情報のデータの更新頻度については、月1,000件はマストで更新しています。直近では月1,500件程度にまで上がってきており、今後もよりフレッシュな情報を提供できるようデータの更新性は担保したいと考えています。

データ収集方法としては、自動収集と人の手による部分の2つがあります。まずはシステムによって各社のサイトや公開情報を自動収集しますが、直接関連しないようなデータが集まることも多々あります。そのような部分はデータ収集専門のリサーチャーの手作業によって補っています。たとえば、企業のプレスリリースや協業、事業提携、資金調達に関するニュースなど。中身を確認した上で情報を収集すべきものは、必ず人の手を介して、データベース上で展開するようにしています。

今後も、更新性と正確性を持って信頼性を担保したデータベースを提供して参ります。

ーー 頻繁に機能追加もされていますね。どのくらいの頻度で行われているのでしょうか。

竹内:細かいものも含めると1ヶ月に1〜2個以上は機能追加や改善を行っています。直近では、ユーザーの方が情報を直感で理解できるように大幅なデザイン変更もしました。このように大がかりな変更も3ヶ月ほどの準備期間を経て開発にあたっています。

これらの機能追加は「やって終わり」ではありません。情報が伝わる状態か、どのような方でも見やすいかなどの視点を大切にして、仮説検証を繰り返していく。ずっと使いつづけていただけるよう、実際に利用いただいてるお客さまの声を参考にさせていただきながら改善をつづけていきます。プラスして、新しい機能も提供していきたいと考えています。

人を介するからこそ、実現できた。共創に向けた、企業引き合わせ事例3つと営業担当の裏側。

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ーー『STARTUP DB ENTERPRISE』プランを導入してくださった企業に対して、これまでに提供した“お引き合わせ”の内容を教えてください。

加藤:たとえば、大手情報通信会社の場合は、電動シェアバイクを展開する企業や産業用ドローンで企業や自治体を支援する企業、IoTやAIを活用した保育支援サービスを展開する企業など多種多様なスタートアップとお引き合わせしました。また、卓越した半導体技術を持つ大手半導体メーカーの場合は、AIを中核としたハードウェアやソフトウェアを開発するスタートアップとお引き合わせしました。それぞれ、各産業のトップランナーとして走る企業のCEOやCxOクラスの方々です。

ーー具体例を教えていただけますか。

加藤:大手情報通信会社は、全国に拠点があり、各所に通信技術分野に長けたオンサイトエンジニアなどの技術者を有しています。また、通信網においても全国を網羅しており全国各地の自治体とも深いリレーションがあるため、このような特性を活かせるようなスタートアップとの引き合わせを行なっています。

たとえば電動シェアバイクを展開する企業は、地方を含めて全国展開していくことが重要です。新たなモビリティとして認知され、これまでにないインフラとして展開していくためです。関東圏に留まらず、全国展開をすることは今後の大きな戦略となっていました。また、それに伴いバッテリーの充電施設等など多く確保していかなればなりません。

すでに生活のインフラとなって全国展開をする大手企業と、これから全国展開をしようとしているスタートアップの引き合わせ事例です。

ーー他の事例も教えてください。IoTやAIを活用した保育支援サービスを展開する企業は、どのように考えてお引き合わせをしたのでしょうか。

加藤:同社のサービスを利用するために、保育園はデジタル機器の設置や通信環境の整備等が発生する場合がありますが、保育士さんはデジタル機器に詳しいわけではありません。「設定の仕方がわからない」や「そもそも通信環境が整ってない」といったパターンも多く、カスタマーサクセスにも大きな影響を与えます。

「デジタル機器の設置とサービスの浸透」といった課題を解決するには、全国展開しており通信技術面でプロフェッショナルである大手情報通信会社はぴったりだと思いました。現地での調査や通信環境の整備、デバイス設置や保守にいたるまで一気通貫で提供できる可能性があるからです。

ーーAIスタートアップに関する提案についても教えてください。

加藤:人々の行動の“違和感”を検出する行動認識AIを開発しているスタートアップなのですが、世界の防犯・監視カメラによって捉えられた映像データから“違和感”を検出し、事前の事件・事故防止などに繋げられるような技術です。その技術に、さらに大手半導体メーカーが提供する、ハードウェア性能を最大限に発揮するためのオープンソースの開発ツールキットを組み合わせることで、更なる革新的なプロダクトを実現できるのではないかと考えました。実際にお引き合わせをした結果、技術検証や実証実験などを通し、商用化の話にまで発展している事例も出てきています。

ーー 双方にとってWin-Winとなる共創相手を引き合わせていますが、その裏側で、加藤さんはどのようなことをされているのでしょうか?

加藤:大手企業側もスタートアップ側にも共通していますが、それぞれがどんなミッションを掲げて、どのような戦略とアセット、技術があるのかを情報収集します。たとえば、当社のヒューマンキャピタリストと呼ばれる人材支援部門の法人企業担当者に聞いて回ったり、当社で行われている勉強会の情報から検討したりと本当に泥臭く足で稼いでいます(笑)。

こうした生の情報をヒアリングしつつ、「フィットギャップはどこにあるのか」「共創したらどんなバリューが生まれるのか」などというように思考を常に張り巡らしています。究極的には、こうしたリアルな情報はネット上に公開されておらず、どのデータベースでも拾えない部分だと思っています。

データベースから共創プラットフォームへ。人にしかできないことにテクノロジーをプラスオン。

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ーー『STARTUP DB ENTERPRISE』プラン導入後のお客さまの反応を教えてください。

加藤:まずは「今まで知るよしもなかったスタートアップと出会えた」「資金調達情報やサービス情報を含めた細かい情報まで、タイムリーにキャッチアップできる」といった声は共通しています。また「データベースにはない情報も交えながら支援をしてくれるところが、スタートアップとのリレーションが強いフォースタさんならではですね」と言われることもあり、それこそが我々だからこそ提供できる価値だなと感じています。その他、成長産業カンファレンス『FUSE』や当社創業時から行っている「感謝祭」は濃密なスタートアップコミュニティという側面も担っているため、スタートアップとの共創を求めている大手企業からはご好評をいただいています。

一方で、「こんな機能が欲しい」や「もっとこういう情報が欲しい」といったご要望も多く頂戴しています。そういったユーザーからのインサイトを多く拾い、開発側と連携して、より良いプロダクトになるように常にアップデートしていきたいと思っています。

ーー今後の『STARTUP DB』は、どのように進化していくのでしょうか。

竹内:まだ構想段階ではありますが、現在のデータベースという立ち位置からインターネット上で企業同士で声を掛け合って共創・協業を実現できるようなプラットフォームに進化していきたいと考えています。

将来的には企業が保有するより深い情報や課題・ニーズを公開して、企業同士で自由に探せるような世界観を目指しています。

また、我々にしか取得し得ないような情報やよりディープなデータを収集し、コアな利用ニーズに応えていきます。スタートアップの専門家が運用するデータベースサービスとして唯一無二の存在であるべく今後も成長していきます。

加藤:昨今、スタートアップ市場は過去に例を見ないほど熱を帯びてきています。特に、2022年は「スタートアップ創出元年」と言われ、国策としてもスタートアップの成長を加速的に支援していく方針です。

「どの産業にいる、どのようなスタートアップに、どんな支援をしていけば、どんな結果が生まれるのか」というように、戦略から具体的な戦術、行動に落とし込むために必要なデータを集約し、アウトプットできるようなプロダクトに進化させていきたいです。

成長産業を大きくしていくために、スタートアップに対しての投資という考えがトレンドではなく国としてのカルチャーとなるように、データベースを通してどんな役割を担っていくべきか。常に考えながら精進していきます。


執筆/編集:宮本 愛、カメラマン:友行 仁美

for Startups, Inc. / フォースタートアップス株式会社's job postings
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