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ゼロから立ち上げた新規事業「Masstery」のあゆみ

皆さん、こんにちは。フォルシア株式会社でデータクレンジングツール「Masstery」(マスタリー)の営業担当をしております秋山です。

先月、Massteryではカテゴリ自動分類精度が大幅向上したことをプレスリリースにてお知らせさせていただきました。(プレスリリース:「データクレンジングツール「Masstery」 のカテゴリ自動分類精度が大幅向上 ~商品情報のカテゴリ分類を自動化、分類精度は最大96%~」

これから記述する文章ですが、noteにも同様の内容がございまして、そちらの転載となります。Massteryを知っていただく上でとても良い記事ですので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思い、今回転載することにしました。

ぜひこれから社内で新規事業を立ち上げたいという方や起業をお考えの方のご参考になれば嬉しいです。

はじめに

今回は「ゼロから立ち上げた新規事業「Masstery」のあゆみ」と題しまして、フォルシア株式会社の新規事業であるデータクレンジングツール「Masstery」がどのような試行錯誤を経て、皆様のお役に立てるサービスへと育っていったのかについてお話しさせて頂きます。

新規事業を立ち上げるにあたり、「リーンスタートアップ」という手法を参考にしました。リーンスタートアップは新しいビジネスを創出するための方法論です。

リーンスタートアップでは最初にまず「顧客+課題」の発見を目指します。そして、そのための仮説検証を行います。次いで、その課題を解決するための方法を最小のコストで構築し、顧客からのフィードバックを得て改良を重ねていきます。

そこで今回の記事では

  • 「ステップ1. 顧客+課題の発見」
  • 「ステップ2. 解決策の考案」

として、各ステップで新規事業創出の際に取り組んだことを書かせて頂きます。

ステップ1. 顧客+課題の発見

「顧客+課題の発見」の考え方

最初に本の紹介をさせて頂きます。リーンスタートアップは「教科書」的位置づけですが、「参考書」的な本としては元リクルートの新規事業開発室長でもある麻生要一さんによる「新規事業の実践論」という書籍がとても参考になります。

読んだのは事業を立ち上げて3年目くらいのときでしたが、その際も大いに参考になりましたし、もっと前に読んでいたらさらに効率的に時間を使えたかもしれません。「新規事業の実践論」でも、最初に考えるべきことは「誰の、どんな課題を、なぜあなたが取り組む必要があるのか」であると述べられています。

私たちが新規事業を立ち上げる際も、「解決すべき課題があるかどうか」の検証を最優先させました。また、検証を通じて現場の方とお話をさせて頂くことで、実際にその課題に直面し困っている方と出会うことができ、結果的に「自分が解決したい」=「なぜあなたが取り組む必要があるのか」という思いも強くなりました。

以下では「解決すべき課題があるかどうか」にフォーカスして書かせて頂きます。

BtoBかBtoCか

解決すべき課題の発見については、BtoBサービスなのかBtoCサービスなのかによって難易度が変わるように思います。

BtoCのサービスでしたら、自分自身がそのサービスの顧客にもなり得ます。そのため、自分の生活を振り返り、不便なことや「あったらいいな」と思うことをリストアップすれば、解決すべき課題を見つけることができる可能性が高いです。ユーザーインタビューの相手も、知り合いのつてなどを辿れば見つけることは難しくないでしょう。

一方で、BtoBのサービスは自身がユーザーになるとは限りません。

各自の仕事は全体の業務フローの一部であることが多く、そのため業務フローを俯瞰した上で、全体のボトルネックとなっている課題の特定が難しいことは往々にして起こりえます。他の会社や他の業界はもちろん、同じ会社の人であっても、自分の担当する部署以外の人が普段どんな仕事をしており何に困っているかわからないものです。

企業活動における課題を見つけるためには、まずは現場に入り、能動的に情報収集を行う必要があります。経営コンサルタント出身の起業家が多い一つの要因は、コンサルタントとしての業務を通じて業界の重要な課題に触れやすい、という点も挙げられると思います。

「顧客+課題の発見」のために何をしたか

経営コンサルタント出身の起業家が多いというお話をしましたが、私もお客様の受託開発を通じて業界の知識を得ることができました。そして、その経験を通じて、「これは課題かも?」という仮説に出会いました。

具体的には、Massteryを立ち上げる前、私は受託開発で企業向けの消耗品業界や理化学機器業界のECサイト開発に関わっていました。その過程で、商品データの質が不十分で、ECサイトの力を十分に発揮できていない場面に遭遇してきました。それも1社や2社ではありません。むしろほとんどの企業で程度の差はあれど、データの質が確保できない、そのための整備コストが追いつかない、という話を聞きました。

これがMassteryのスタート地点です。

次に、実際に試薬・理化学機器系の専門商社でデータ整備業務をされている方にお話をお伺いし、また実際の作業手順書なども見せて頂き、業務理解を深めていきました。

こちらのユーザーインタビューを通じて、専門商社の方の商品データ管理や整備には

  • データ整備だけで専用の人員が複数人必要
  • 属人化しやすく、退職や異動後に整備が再現できない可能性がある。
    (実はこちらは潜在的にかなりリスクのある状態です。)
  • 人手に頼った作業なので間違える危険性もある

など、多くの課題が存在することが判明しました。

なお、この課題を解決できた場合に喜んで頂ける方の顔が具体的に思い浮かぶようになり、結果的に当事者意識が強くなったのも、現場の方にお話を伺って良かった点です。

ステップ2. 解決策の考案

「解決策の考案」の考え方

ステップ1でもご紹介した「新規事業の実践論」から引用させて頂きます。

大切なのは、その解決方法の「実現可能性」ではなく、「それをやったら本当に課題が解決できるか」です。
(引用:新規事業の実践論)

どうしても「それができるかどうか」で判断してしまいがちですが、やはり大事なのは「解決できるかどうか」です。まずは頭の制限を外して「それをやったら本当に課題が解決できるか」にフォーカスしましょう。

「解決策の考案」のために実際に何をしたか

ステップ2-1.「この水準まで達成したら買うライン」がどこにあるか見極めるためのデモの作成

事前のユーザインタビューによって、商社さんは取引先ごとにExcelのシートに変換手順を書いていることが分かりました。そこで、ファイルをアップロードするだけで後は自動で変換することができれば大幅に手順が短縮できるだろう、と考えました。

その仮説を検証するために、簡単なWebアプリケーションを開発しました。変換前のファイルをアップロードすると、画面上に変換されたデータが表示される、というものです。日本語の商品名が英語になっていたり、不正なJANコードを警告したり、といった専門商社さんのデータ整備業務に必要なことを盛り込みました。

ただし、実際の変換は行っておらず、事前に手動で変換したファイルをただ表示しただけです。いわゆる「3分クッキング」方式ですね。もしこれで反応がよければ、翻訳機能やJANコードチェック機能などを実際に実装しようと考えていました。これにより優先度の高い機能から開発できるようになり、大幅に時間を短縮できたように思います。

このように、「理想的な状態のデモを見せて、お金を払ってでも買ってもらえるかどうか確認する」という方法は、解決策の妥当性の検証をするための良い方法だと思います。ぜひ選択肢に加えて頂けたらと思います。

なお、リーンスタートアップによると「ユーザーインタビューを繰り返せ」とあります。しかしながら、BtoBの場合、担当者の方もお忙しいですし、そう何度も会ってもらえるとは限りません。筋の悪い提案や質問をするたびに「使えない」と思われて距離を置かれてしまう可能性もあります。毎回の提案の質を上げることは、BtoBではより重要になると感じています。

アプリケーションのプロトタイプを作るコストは一段と下がっていますので、一度のプレゼンテーションで顧客の心を掴むように、最初に簡単にアプリケーションを開発してしまうことも時には必要であると考えています。または、POCを実施して一定期間腰を据えて課題に向き合うのも手です。

ステップ2-2. 解決策(製品)のマイナーチェンジ

最初のデモはいわば「紙芝居」であり、パワーポイントによるプレゼンテーションの延長線上に位置するものです。実際に製品を使って頂いた場合のフィードバックは頂けていない状態です。次のステップとして、使用感を確認頂いた上でのフィードバックを反映させることが重要です。実際に、とある企業様とPOCのような形でお金を頂きながらより詳細な業務内容をお伺いし、製品としてのMassteryのあるべき姿を詰めていきました。

結果的に最初の構想からは若干の方針転換をすることになりました。

  • 最初の構想完全自動化のクレンジングツール!

↓↓↓↓↓

  • ユーザーさんの観察結果そのユーザー企業さんでしか知り得ない設定が存在するので、完全自動化は不可能だし、そもそも求められてもいない。

↓↓↓↓↓

  • 転換後の方針非プログラマーでも簡単な設定だけでデータクレンジングができるノーコードツール
    AIなどで入力補助はする

お客様の声を聴きながら柔軟にサービスの方針を転換することで、Massteryは現在の「ノーコードで誰でも簡単にデータクレンジングができるツール」に着地し、広くお客様に使って頂けるようになりました。

さいごに

今回の記事でお伝えした通り、Massteryはお客様の声を頂きながら、使って頂ける形になりました。そして、進化は今もなお続いています。「こんな変換はできる?」などご意見やご要望がありましたら、ぜひ製品HPよりご連絡ください!

また、最後に採用関係のお知らせも少しさせてください。

フォルシア株式会社は新規事業にも果敢に挑戦する会社です。
Massteryはようやく「0から1を生み出す」フェーズを脱しました。今後「1を10や100に拡大させる」フェーズに向けて、さらにチームを強化したいと考えています。エンジニア、セールス、マーケティング、CSいずれの職種においても、優秀な方に取り組んで頂きたいポジションがあります。
ご興味のある方は、ぜひ「話を聞きに行きたい」からエントリーをお願いします!

今回の記事は以上です。お読み頂きありがとうございました。
Masstery 公式サイト:https://mstr.forcia.com/

この記事を書いた人

秋山 昌義
こちらの記事はnoteの転載となります。
Special Thanks 光山さん!!

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