朝起きてSNSを開くと、誰かの「新しい挑戦」が目に飛び込んでくる。
転職、起業、フォロワー1万人達成、受賞、資金調達──。
「また、すごいな」
「自分は何をしているのだろう」
そんな感情に飲み込まれるのに、1秒もかからない。
別に張り合いたいわけではないのに。自分には自分のペースがあることを理解しているのに。それでも焦る。置いていかれる気がして、そわそわしてくる。
そんな自分が、少し嫌だった。
自分のスピードで進んでいるはずなのに、"誰かと比べた瞬間"に、自分を否定してしまう。
「まだこれしかできていない」「全然成長できていない」
そんな言葉が、脳内に自動再生される。
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だけど最近、少しだけ変わった。
ある日、昔の自分のノートを読み返してみた。2年前、必死に言葉を考えていたプレゼン資料。1年前、勇気を出して書いた営業メールの下書き。
すべてが拙い。でも、それでも前に進もうとしていた。
ふと、思った。
「あのときの自分が、今の自分を見たらどう思うだろう」
きっと、びっくりするだろう。あの頃できなかったことが、今は当たり前になっているから。
「他人より遅いかもしれない」
「でも、ちゃんと進んでいる」
そう思えた瞬間、心が少し軽くなった。
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比べるべきは、他人ではない。昨日よりも、少しでも進んだ自分でいい。
むしろ、「比べる」から「積み重ねる」へと視点を変えるだけで、景色は変わる。
SNSの世界は、加速しているように見える。しかし、現実は一歩ずつしか進めない。その地道な積み重ねが、ある日ふと"抜ける瞬間"をつくる。
僕は、それを何度も体験してきた。
だから、焦らなくていい。小さくても、今日も一歩進めばいい。
そう思えた日から、他人の成功が前よりも素直に祝えるようになった。
そして今日も、自分の足で、静かに一歩を踏み出している。