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「正解が決まっていない」からこそ面白い! 発足1年半、カスタマーサクセス部のメンバーが実感したやりがい

サイボウズにカスタマーサクセス部が発足したのは2020年1月のこと。ナレッジがほとんどない状態から動き出し、正解が見えない中でお客さまと向き合ってきました。部長を務める齋藤操さんは「『まずは走ってみよう』という思いで行動し、土台を作ってきた1年半」だと振り返ります。

正解が決まりきっていないのは提供するサービスでも同様です。サイボウズが開発する製品には「100社あれば100通り」の可能性があり、個別の課題をさまざまな形で解決していける奥深さがあります。

こうした状況の中、カスタマーサクセス部の人たちはどのようにしてお客さまへ価値を提供しているのでしょうか。メンバーの山路由里江さんと武田杏奈さんを交えて語っていただきました。

◆齋藤 操(さいとう・みさお)さん 

カスタマーサクセス部長。インスタントカメラ製造会社の情報システム部門を経て、2001年にサイボウズ入社。開発本部で新製品に関する代理店サポートやプロジェクトマネジメントを経験し、「Garoon」のプロジェクト・マネジャーとして製品リリースに携わる。クラウドサービスの展開に伴い、2011年よりマーケティング手法を活用した顧客支援を担う。2020年1月より現職。

◆山路 由里江(やまじ・ゆりえ)さん

前職はIT系人材派遣・紹介会社の営業職。ある会社のカスタマーサクセス部門に関する説明会へ参加し、「顧客と深く向き合う仕事」に魅力を覚える。2020年4月にサイボウズ入社。立ち上げ初期のカスタマーサクセス部に所属して顧客サポートを担う。

◆武田 杏奈(たけだ・あんな)さん

2009年に新卒でサイボウズへ入社し、愛媛県松山市のサポート拠点でテクニカルサポートを担当。結婚を機に東京へ移り、「導入相談カフェ」で顧客向けの導入支援業務を担う。2020年にカスタマーサクセス部にも所属。



お客さまは100社100通り。「ここまでできたら大成功」と簡単には言えない

――サイボウズのカスタマーサクセス部が担うミッションについて教えてください。

齋藤:サイボウズの主要プロダクトの一つである kintone では、100社のお客さまがいれば、100通りの使い方があります。お客さまが実現したいことを理解しながら、自社ならではの活用法に「気づいていただく」ための仕事をするのがカスタマーサクセスの役割だと思っています。お客さまにサイボウズ製品を使っていただき、さらに事業を進化させていくために私たちがいます。

――プロダクトとして何かの機能に特化していたり、決まった業界や業務に特化していたりするわけではないという意味では、サイボウズ特有の難しさもあるのでしょうか。

武田:あると思います。お客さまの使い方が100社100通りなので、顧客対応を一律にテンプレート化していくことはできません。それぞれのお客さまと対話し、伴走していく必要があるんです。

山路:加えて、各企業の担当者の方の思いや、置かれている状況も関わってきます。いつも「ちゃんとこのお客さまを自走に導けているかな」と考えるのですが、それは何かの指標で測れるものではありませんし、「ここまでできたら大成功」と簡単には言えるものでもありません。そうした意味では難しさも感じますね。

齋藤:みんなの日報を見ていると、「この応対でよかったのかな」「この部分は反省だな」といったコメントがたくさん流れてくるんですよ。私はそれを見てどんどん「いいね!」を押しています。私も以前は導入相談カフェなどで個別にお客さまと関わってきたので、みんなが日々向き合っている中で感じる気持ちにはとても共感できます。「私も現場で動きたい」と思いつつ、もうやりたくて仕方ないと思いつつ(笑)、ぐっとこらえて、みんなが動きやすいように裏方の役割をこなさなければならないと思っているところです。

製品を通じて、お客さま個人のキャリアや働き方にも良い影響を与えられる

――実際の現場ではどのようにお客さまと関わっていますか? 可能な範囲でエピソードを教えていただけるとうれしいです。

武田:あるビルメンテナンス業のお客さまでは、当初は10ユーザーくらいから kintone を使い始めました。kintone は少人数から活用できる製品なので、導入段階ではスモールスタートのお客さまも多いんです。そこから担当者さんが他部署の方にもどんどん紹介してくださり、現在は約40ユーザーに拡大しています。

kintone を導入するまで、その企業では会議用の資料作成やグラフ作成に時間がかかっていました。カスタマーサクセスで支援したところ、すぐに結果が出て、「kintone のおかげでものすごく業務を効率化できた!」と喜んでいただけました。

――まさに、お客さま自身が「kintone の活用法に気づいた」のですね。

山路:私は、担当者の方にも直接お役に立てているんだと実感したエピソードがあります。岡山県にある企業で社員数は数十人規模、その多くは工場に勤務している方々です。kintone の管理者となった担当者さんは人事・総務のさまざまな仕事を担っていて、アプリを作った後に「どうやってみんなに使ってもらうか」を課題に挙げていました。

それまでは「私の仕事は社内で『やって当たり前でしょ』と思われている面があり、孤独感を覚えることもあります」とおっしゃっていました。それが、タイムカードのアプリを作り、現場の方々の手間を大きく削減したことで、「私の仕事の意義や存在感が社内に伝わっていった」と喜んでくれるようになったんです。

―― kintone という製品を通じて、組織だけでなく個人のキャリアや働き方にも良い影響を与えられるんですね。逆に、お客さまを支援する中で「うまくいかない」と感じることもあるのでしょうか?

武田:kintone を活用していただきたいと思う方向とはちょっと違うこと、例えば「Excelの代わりになればいいや」といった使い方をされているときは、複雑な気持ちになりますね。カスタマーサクセスとしては「それはExcelでやってください。私たちは他の価値を提案したいです!」という思いがあるので……。

山路:スペックの説明だけではなく、kintone の根本的な考え方を改めて伝えなきゃいけないと感じるシーンも少なくないですよね。

武田:はい。もちろんサイボウズのカスタマーサクセス以外の部署でも、マーケティングコンテンツや製品提案の段階から伝える努力をしています。とはいえ、kintone を導入すればすぐにお客さまの社内に浸透し業務改善が進むというわけではありません。そんなときには「kintone はどんな製品で、どういった方法で活用できるのか」を伝える社内向け勉強会の開催を kintone 管理者の方と企画することもあります。





目の前にいないお客さまへも、あらゆる手段を使って役立つように

――みなさんはそれぞれ、カスタマーサクセス以外の仕事を長く経験しています。これまでのキャリアを踏まえて、カスタマーサクセスという仕事をどのように捉えていますか?

山路:私はずっと営業畑だったので、営業職の視点で見たイメージをお伝えしますね。強く感じるのは「カスタマーサクセスはデータドリブンな仕事だなぁ」ということ。営業は新規でアプローチするときにも会社や営業部の大きな方針を軸に動きますが、カスタマーサクセスはデータを重視してお客さまへアプローチします。

もちろん人と向き合うときには、その人自身のパーソナリティや業界の流れなど、営業が重視するような項目を押さえることも重要です。だけどカスタマーサクセスはちょっと違うんですよね。製品やアプリにどれくらいの人数がアクセスできているかなど、さまざまな数値をもとにお客さまの状況を理解し、アプローチにつなげています。

――武田さんはいかがでしょうか。

武田:私が経験したテクニカルサポートとカスタマーサクセスは、似ているようで全然違う仕事だと感じます。テクニカルサポートはお客さまに向けて広く窓口を開け、問い合わせ時には幅広い製品知識をもとに対応します。カスタマーサクセスではお客さまと一緒にアプリを作ることもありますが、そうした仕事は全体の一部で、本質的な役割は「お客さまの状況をデータと直接伺った導入背景や社風、課題などの定性情報と突き合わせて理解を深め、目標達成に向けた戦略を一緒に立てる」ことなんですよね。

一方で共通している部分もあります。「お客さまの会社が良くなるために貢献したい」というホスピタリティ精神はテクニカルサポート時代から引き継ぎ、現在の仕事に生かしています。

――カスタマーサクセスとしての新しい観点やスキルを習得する必要があるとともに、これまでの仕事経験もしっかりつながっていくのですね。サイボウズでさまざまな役割を経験してきた齋藤さんは、どのように感じますか?

齋藤:サポート部門やSE、プロジェクトマネジメント、マーケティングなど、いろいろな現場の経験を踏まえると、カスタマーサクセスには「目の前にいないお客さまも含めて、すべてのお客さまへどのように役立っていくのか」という幅広い視点が必要だと感じます。

サポートでは常に目の前のお客さまに向き合ってきましたし、プロマネ時代も関わる案件に集中してきました。カスタマーサクセスでも目の前のお客さまと向き合うことの重要性は変わりませんが、自分自身が対応するだけでなく、あらゆる手段を使ってお客さまの成功につなげていく戦略的思考も求められます。これは私自身、カスタマーサクセスへ移って新たに磨かれた力だと思います。





ナレッジが少ないからこそ、自分たちで新しい発見を積み重ねていける

――カスタマーサクセス部が発足して、もうすぐ1年半となります。ここまでを振り返ってみてどうでしたか?

武田:とにかくスピード感がすごい部署だと思います。カスタマーサクセスという分野自体が新しくて、何が正解なのか定まっているわけではありません。走りながら検証していくしかないという状況の中で、ちょっと立ち止まるだけで不安を感じてしまうこともありました。

山路:その感覚、とてもよく分かります……。立ち上がったばかりの組織なので、新しい情報やナレッジが次々と飛び交うんですよね。それに付いていけないと不安を感じるかもしれません。だけど、「私は聞いていなかった」と言って終わるのと、「聞いていなかったから改めて聞きにいこう」という姿勢でキャッチアップしに行くのとでは、仕事の成果も、個人としての働きやすさも大きく変わるのだと感じています。

齋藤:カスタマーサクセス部内で「自分たちは今、どこに向かっているんだろう?」と会話したこともありましたよね。新しい部署の中で、少しずつ認識合わせをして土台を作ってきた1年半だったと思います。「ここまでしか決まっていないけど、まずは走ってみようか」という感じで、山路さんや武田さんをはじめメンバーのみんなは大変だったと思います。その中でも活発なコミュニケーションがあり、前向きな意見が交わされているのはとても心強いです。

――今後はどんな人にカスタマーサクセス部へ加わってほしいと考えていますか?

山路:答えのない中を、1人ではなくチームで一緒に突き進む仕事なので、チームワークを強く意識してくれる人に来ていただきたいですね。

武田:私は「こんなことに挑戦してみよう」「これについて学んでみよう」といった前向きな意識の人と一緒に働きたいです。サイボウズの中にもまだまだナレッジが少なく、自分たちで新しい発見を積み重ねていけることが大きなやりがいとなっているので、そうした瞬間を一緒に楽しみたいですね。

齋藤:カスタマーサクセスには、お客さまと直接向き合っていくだけでなく、全体戦略を考えたり裏方に回ってコンテンツを整えていったりする業務もたくさんあります。今後は戦略作りやコンテンツ整備を得意とする人も増やしていく予定です。さまざまなスキルや可能性を持つ人に出会いたいと考えています。

編集後記

こんにちは。カスタマーサクセス部の山路です。

今回の記事は、サイボウズのカスタマーサクセスで働くメンバー3名が、これまでの業務を通じて感じたこと・嬉しかった事を中心に率直にお話させていただきました。ユーザー様に対し、100人100通りのテンプレート化できない対応の難しさや醍醐味、また作り上げている組織の中の様子を少しでも感じ取ってもらえたら嬉しいです。


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