長年にわたり社員エンゲージメントの向上は、人事チームにとって重要なKPIの一つでした。しかし近年、社員エンゲージメントを測定するだけでは十分ではなく、社員幸福度に注目が集まっています。
今回は、社員エンゲージメントと社員幸福度の関係について考えてみましょう。
人事担当者であればすでにご存じの通り、社員エンゲージメントの重要性はいくら強調してもし過ぎることはありません。
その理由を一言で言えば、社員のエンゲージメントがビジネスの成功にとって非常に重要であるからです。社員エンゲージメントが高いと社員の離職率を下げ、生産性と効率を向上させてより高い利益を生み出すことが証明されています。エンゲージメントの高いチームがあれば、ビジネスはうまく回り、イノベーション、プロセス改善、開発など、より高い価値をもたらす活動に集中することができます。そのため、社員のエンゲージメントを知ることは会社(人事)にとって重要な課題です。
ソース:https://www.entrepreneur.com/article/315095、幸福度が高い社員のベネフィット:31%生産性向上、利益率が37%上がる、想像力が3倍より高い
エンゲージメントを測定するために、多くの企業でアンケート調査を実施しています。アンケート結果に応じて、パルスサーベイのような小規模な調査を四半期ごと、月ごと、あるいは週ごとに高頻度で実施し、問題部分について社員がどのように感じているかをリアルタイムで把握できます。
また、1on1ミーティングもエンゲージメントを測定する有効的な方法の一つです。従業員と定期的に非公式な会話をすることで、何が起きているのかを実感することができます。1on1ミーティングの利点は、直接会って話をすることで、安全性と機密性が確保されるため、問題について詳細に共有できます。
社員エンゲージメントに加え、GAFAでいち早く導入された「社員幸福度」に注目が集まっています。
人生のあらゆる分野で幸せになるためには、仕事に夢中になる必要があるという研究結果があり、職場での感情が健康や人間関係に影響を与えるのは、波及効果や交差効果があるからです。しかし、残念なことに多くの企業では社員幸福度の重要性を過小評価しています。
では、社員エンゲージメントと社員幸福度の違いは何でしょうか。
前回のコラムも話がありましたが、満足している社員は、朝9時に出社し、自分の仕事をこなし、夕方5時には退社しています。
彼らは、予定された時間にオフィスやテレワークにいるなど、物理的に自分を会社に貸していると考えているのです。そして積極的に会社を支援したりはしませんが、ソーシャルメディアや友人に会社の悪口を言うような妨害もしません。
社員エンゲージメントとは、オフィスにダーツボードやビリヤード台を設置したり、無料のお菓子コーナーを設けることではありません。
また社員に「アソシエイト」や「チームメンバー」と少し意識の高そうな肩書を付けることでもありません。
ソース:https://www.entrepreneur.com/article/315095、世界の142か国のデータによるただの13%の社員が高いエンゲージが持っている
仕事に対して、身体+意識が作用するのが社員エンゲージメント、身体+意識+感情が作用するのが社員幸福度と、カルチャリアでは定義しています。
補足しますと、エンゲージメントの高い社員は、しっかりと自分の仕事をこなし、時には頼まれ事にも嫌な顔をせず対応するでしょう。
そして良い仕事をしようと最善を尽くし、会社のミッションに賛同し、積極的に期待に応えようとするかもしれません。
また彼らは友人に「働きがいのある会社」として推薦するかもしれません。
対して社員幸福度とは、純粋に物理的なもの(満足度)でも知的なもの(エンゲージメント)でもありません。
人間は社会的な生き物であり、COVID-19が流行して籠もりがちな生活が続くほど、人とのつながりを求めています。
これまでに出会った最高に幸せな社員たちは、会社のミッションや価値観に賛同し、志を同じくする他のメンバーと一緒に働き、そして誰もが一人ではできないようなことを一緒に成し遂げる人たちでした。
幸せな社員は、肉体的、知的、感情的な要素を組み合わせた「流れ」の中にいます。
社員が幸せそうにしているのを見ると、自分にも周りの人にも、その「流れ」がはっきりとわかるのです。
皆さんの会社はいかがですか?
現段階では社員幸福度そのものを算出する方法がないため、いくつかのアプローチを組み合わせる必要があります。