「次の世代につながる仕事がしたい。」そんな想いから2023年にFracta Leapへの入社を決めたという市川さん。現在は、水処理プラント設計の自動化に挑むEPC Div.にて、7つあるアプリケーションの1つである「装置構成アプリケーション」のPdM※を担当するとともに、アプリケーション間のデータ連携プロジェクトをリードしています。市川さんに入社の経緯や仕事の醍醐味を聞きました。
※2025年よりSenior Product Manager(PdM)から、Director of Productに昇格
プロフィール
市川 高史
EPC Div.
Director of Product
システムインテグレーター(SIer)でエンジニアとしてのキャリアをスタートし、その後、大手人材グループでプロダクトオーナー、商社資本のSaaSサービスを提供するベンチャー企業にてプロダクトマネージャーを経験。2023年にFracta Leapにジョインし、EPC Div.の設計自動化チームにて、装置構成アプリケーションの開発と、データ連携プロジェクトをリード。
目次
“なくてはならないモノ”を0からつくりたい
「なぜ?」から議論できる環境
水処理という未知の領域。その難しさと面白さ
見えてきた設計自動化実現への兆し
“なくてはならないモノ”を0からつくりたい
SIerでエンジニアとしてキャリアをスタートし、前職ではベンチャー企業で建設業界向けのSaaSサービスのプロダクトマネージャー(PdM)をしていた市川さん。キャリアを積み重ねる中で、徐々に社会にとって“なくてはならないモノをつくりたい”という気持ちが芽生えたそうです。
市川:
「20代でエンジニアとしてのスキルを身につけ、30代はそれを存分に発揮する時期だったと思います。40代に近づくにつれ、今まで身につけたスキルを社会のために使えないかと悶々と考えるようになりました。前職で携わっていたSaaSサービスは世の中を“便利にするモノ”でしたが、より社会にとって“なくてはならないモノ”に携わりたい。ちょうど子どもが小学生になり社会に興味を持ち始めたことも重なり、次の世代のためにできることをしたいと考えている時期でした」。
“次の世代につながる仕事がしたい”そう悶々と考えていた市川さんの元に、Fracta Leap CPOの村井さんからビジネスSNSのダイレクトメールが届きます。それをきっかけに水資源や水処理業界の課題、Fracta Leapのチャレンジを知ります。
市川:
「水という私たちの生活に不可欠なものに向き合っていることに惹かれたとともに、水処理という全く想像のつかない領域におもしろそうだと感じました。もう一つ魅力的だったのはFracta Leapの“整っていない環境”です。Fracta Leapの第一印象は、リソースが足りていなく、まだ体制も整っていない、チャレンジのフェーズにいるまさにスタートアップ企業といった感じ。前職のSaaSサービスはすでに業界では圧倒的なシェアがあり、さらに機能追加をしていく10→100のフェーズにいました。まだ整っていない中で0→1フェーズを経験したいと思っていた自分にとってはFracta Leapの環境はまさに求めていたものでした」。
「なぜ?」から議論できる環境
リソースも体制もまだまだ不十分なスタートアップであるFracta Leapが目指すのは、水処理インフラのデジタル変革という大きな目標。その実現に向け、ともに開発を進めるのは水処理の国内最大手・栗田工業という強力なパートナー。その関係について市川さんに聞きました。
市川:
「Fracta LeapはITのスペシャリストとして、栗田工業は水処理ドメインのエキスパートとして、互いにフラットな関係で、『本質的に必要なものは何か?』といったMVP(Minimum Viable Product)から議論し開発を進めています。スタートアップ企業は、ときには本質的ではないとわかっていても、売上をつくるための機能を開発せざるをえなかったり、SaaSサービスでは顧客要望に応えて汎用的でない開発をやらざるえない状況もあります。Fracta Leapと栗田工業の協業体制ではそういった本質的でない部分に煩わされることなく、本当に必要なモノをつくるということに、ともに向かっていける関係ができています。」
Fracta Leapのメンバーが「なぜこれが必要なんだっけ?」といった「なぜ?」を一つひとつ問いかけ、「その理由だとこれは後回しでもいいですよね」「これを先に届けるべきだよね」といった「Why」から考え議論を重ねていく。これが大切だと市川さんは言います。
市川:
「これはITのプロダクトを作っていくときにはごく当たり前の話なのですが、その本来こうあるべきという開発姿勢や関係性ができていることは実はめずらしいこと。限られたリソースで最大価値を発揮していくための環境がここにはあります」。
水処理という未知の領域。その難しさと面白さ
これまでのキャリアで事業ドメインを縛らずに様々な領域にチャンレンジをしてきた市川さん。ドメインのキャッチアップには自信があった市川さんも水処理というドメインは難しいと感じたそうです。
市川:
「ホリゾンタル(業界横断型)のサービスは、だいたい業務内容の想像ができますが、水処理というドメインは全く想像のつかない未知の世界でした。馴染みがなく専門性が高い領域のため、とにかくわかりづらい(笑)。さらにデータ量が膨大で複雑。例えば私が開発を担当している装置構成アプリケーションだけでも装置の数がおよそ100種以上あり、その一つひとつの装置に50〜200の属性値があります。その属性値が装置ごとに共通だったり、異なっていたりと、データの整合性もとれていない。そんな未開拓とも言える領域でドメイン知識を学び理解しながら、一つひとつ言語化していく。これがFracta LeapのPdMの難しいところでもあり、やりがいだと思います」。
一般的にPdMとして必ずやらなければいけないWhy(なぜやるのか)と、What(なにをつくるのか)といった要件定義の部分はもちろんのこと、Fracta LeapのPdMは、How(どういうデータとして考えるべきか)のデータ設計まで考える必要があると市川さんは言います。
市川:
「まだ人的リソースの足りていないスタートアップではよくある話だと思いますが、PdMが見ないといけない範囲は広いです。未知の領域も、今までやったことのない業務も、それを面白がって取り組めること。そんな姿勢が求められると思います」。
見えてきた設計自動化実現への兆し
設計業務量の約6割を削減し、所要時間の約4割を短縮することが期待されている設計自動化ソリューション。その実現には、現在個々で開発を進めるアプリケーション間のデータ連携が必須。このデータ連携プロジェクトを市川さんがリードしています。
市川:
「今までは設計工程ごとに7つのアプリケーションがそれぞれ単独で機能しているスタンドアローンの状態でした。これらが連携することではじめて私たちが目指している設計自動化の世界が実現できるため、現在は各アプリケーションを一気通貫でつなぐデータ連携に取り組んでいます。現状はようやく細い針が横串で通ったというような状態。それでも一緒に開発を進める栗田工業の設計者から『これが実現できたら業務がすごく変わる!』という声が聞こえるようになり、目標達成に向けた実感が湧いてきています。とはいえ実現までには、全体のデータの整合性をとることや、各アプリケーションの装置ラインナップの拡充、アルゴリズムの精度向上と、乗り越えなければならない壁がまだまだあります。」
現在は1人のPdMが複数の役割を担っている状態から、まずそれぞれが一つのことに専任して行える環境をつくるため、PdMの採用を積極的に進めている設計自動化ソリューションチーム。ともに開発に取り組むメンバーはバックボーンも入社のきっかけも様々ですが、その多くが事業の社会貢献性の高さに惹かれて集まっていると言います。未知の領域で社会意義の大きい仕事に取り組みたい人はぜひFracta Leapにジョインしてほしいという市川さん。インタビューの最後には「自分のキャリアを終えるときまでに、何か一つ次の世代につながることができたら幸せ」と笑顔で語ってくれました。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです