oVice社には1人目広報として、創業初期からリリースやメディアリレーションなどを担当してきた社員がいます。
新卒で新聞記者、その後、経済リサーチャーや航空会社で広報の経験を積んだ彼女の名前は、薬袋(みない)友花里さん。oVice社のことを誰よりも深く知るメンバーの一人です。
「サービス開始から間もない頃、oViceには社会的な信頼がなかった」と語る、薬袋さん。新しい市場で、信頼される会社になるために広報としてどんな工夫をしてきたのでしょうか。そして、oVice社の社会からの認知はどう変遷してきたのか。
広報観点から見た、oVice社のこれまでとこれからについて聞きました。
薬袋 友花里(みない ゆかり)
大学で中国語を専攻し、中国の雲南省に1年間留学。新卒で新聞記者(2年半)、中国にある日本領事館で経済リサーチャー(2年間)、航空会社でSDGs関連広報(1年半)を経て今に至る。中国が好きで、いつかまた中国に戻りたいと思っている。
oViceというプロダクトに感じた「人の温かみ」
ー薬袋さんがoVice社に入社した理由を教えてください。
転職サイトでoVice社の存在を知り、プロダクトの目指す世界観に共感したからです。前職でテレワークをしていた際、多くの仕事がリモートワークで完結できると感じていました。しかし、コロナが落ち着いてくると、以前のような出社型に戻る企業も増えてきて、それにあまり共感できなかったんです。
生まれが山梨で、仕事のために東京に住んでいたことも原因の一つかもしれません。バーチャルオフィスを世の中に広げることで、働く場所も住む場所も自由に選べるような社会にしたいと思い、この事業に関わることを決めました。
また、oVice社に転職したのには、もう一つ大きな理由があります。
それは、代表のジョンの存在。初めてジョンと面談した際に「PRしがいのある、面白い経営者だ!」と感じたんです。
私は新聞記者の経験があるので、取材や面談でこちらから質問する際、あらかじめ回答をイメージしています。しかし、ジョンの答えはどれも予想から外れていました。
たとえば、日本語がうまく話せる理由を聞いてみたんです(ジョンは韓国出身)。私はてっきり、「アニメが好きだから」や「日本で働くため」という返答がくると思っていました。
しかし、返ってきた答えは「オーストラリアでの留学時代にまだ英語がうまくない日本人の友人がいて、自分が日本語を話せたらもっと理解しあえるのではないかと感じたから」でした。ちょっとしたことの理由も、他の人とは違う観点で話す姿に興味をそそられたんです。
また、コミュニケーションツールを作る背景にも、他社さんとは違った考え方がありました。ツールを作る企業の中には、「効率よく仕事をしたいから」といった合理的な説明をする方もいると思います。
しかし、ジョンは「自分がオフィスで働くのが好きだから」と答えました。合理的な思考だけではなく原体験も踏まえて語る言葉に、「人としての温かみ」や「たくさんの人に共感される可能性」を感じたんです。
新聞記者だった頃、先輩から「話を聞いて、2つ以上『へぇ!』と思う発見があれば記事になる」と習ったことがあります。その教えからすれば、いくつもの「へぇ!」があるoVice社は、間違いなく誰かに話したくなる企業。そんな確信を得られたので、入社することにしました。
ー広報という目線から見て魅力を感じたんですね。しかし、創業間もないベンチャーに入ることに不安はなかったんですか?
不安よりも可能性を強く感じていました。
実際、面談があったのは2020年10月のコロナが収まりつつある時期。oVice社が入社後も成長するかどうか、確信は持てませんでした。しかし、それまで安定していて世間的に名前も知られた企業で働いてきた私が人生を変えるには、この選択肢しかないと思ったんです。
広報という仕事を極めていきたいと思っていたのと、普通じゃない人生を歩むためにチャレンジングな環境で働きたいと思っていたので、oVice社はぴったりでした。
メディアでの露出が社会的信用を高めた
(RICOHの360°ストリーミングサービスとの連携発表時の写真)
ー人生を変えるほどの強い意思で転職したんですね。入社後、薬袋さんが取り組んだことを教えてください。
私が入社した時の会社は、Webサイトすら整っていない状況でした。2本ほどプレスリリースを出していましたが、広報活動はほとんどなし。しかも、会社の進むスピードが速いため、「明日、このリリースを出したい」と依頼がくるような感じです。
嬉しいことではありますが、その後のoViceは広報担当が一人で扱うには多すぎるほどネタがありました。他のベンチャー企業の広報さんに聞いたところ、1つのネタを丁寧に育てることがよくあるそうなのですが、oViceではそんな時間をとれない状態で。
メディアの方々との丁寧な関係性作りにも手が回せず、とにかく対外的な露出を増やすため、社内で情報を集めてプレスリリースと事例記事を書くことに集中していました。
ーoVice社の世間的な認知やブランディングはどのように変化していったんですか?
創業当時は、バーチャルオフィス自体の認知がほとんどありませんでした。世間的にテレワークといえば「Zoom」や「Microsoft Teams」、「Google Meet」以外は出てこない状況。そこに対して、バーチャル上の「空間」を利用すれば、もっとコミュニケーションが取りやすくなりますよ、という認知を広げようと考えていました。
しかし、最初は上手くいかないことがたくさんありました。当たり前のことですが、oVice社に対する信頼が無かったので。oViceの導入企業さんに事例紹介用の取材のご協力をお願いして、断られることも多々ありました。
ーその状況をどう打開したんですか?
2020年の年末にキーワードとして打ち出した「バーチャル忘年会」がきっかけで、サービスのトライアルや取材依頼が増えました。その後、2021年1月に緊急事態宣言が出されたタイミングで、oViceの無償提供を開始。申し込みが急増し、メディアでの露出も増え、社会的に信頼いただけるようになったと感じます。
このタイミングでoViceを全社導入していただいたエン・ジャパンさんが広報面で協力してくださったのも、大きな転機となりました。上場企業が大規模に導入したということで、読売新聞や東京新聞、NHKなどの大手メディアが取り上げてくださるようになったんです。
※TBS「Nスタ」にoViceが取り上げられた際の様子。oVice社としてはTV初出演。
キーワードは「ビジネスメタバース」&「ハイブリッド」
ーありがたいことですね。緊急事態宣言などで広まった新しい働き方の広がりを経て、広報として打ち出すメッセージに変化はありましたか?
緊急事態宣言の前後で、メッセージに大きな変化はありません。しかし、2021年の秋頃、コロナが再度落ち着いていたころに、「ビジネスメタバース」と「ハイブリッド」という2つのキーワードを出すようになりました。
ー1つずつキーワードの意味を教えてください。
「ビジネスメタバース」とは、ビジネスシーンに最適化したメタバースのことです。ゲームや音楽などで活用されるいわゆる「エンタメメタバース」との違いは「汎用性」だと考えています。
エンタメメタバースは、基本的に3次元空間で構成されることが多いですが、これをビジネスシーンで毎日長時間使い続けるのは、疲れて集中力も落ちるため現実的ではないと思います。現状では、デバイスやネットワーク環境に依存する部分も多いため、たくさんの方が仕事で気軽に使える状況には至っていません。
ビジネスシーンにおいて誰もが使えるツールにするため、oViceはあえて2次元空間を採用しているんです。
ーなるほど。
また、oViceが実現したいのは単純な「テレワーク」ではなく、「オンライン」でも「オフライン」でも同じような働き方ができる「ハイブリッドワーク」です。
コロナが落ち着くたびに、「オフラインに戻りたい派」と「このままオンラインで働きたい派」で世論が割れますが、その2つを分断させたくないと考えています。ある時はバーチャルオフィスで働き、ある時はリアルなオフィスで働く。そんなハイブリッドな働き方を実現するサービスを作るため、oVice社は技術開発に取り組んでいます。
※RICOHの360°ストリーミングサービスとの連携
「テレワーク」と言えばシンプルなのですが、あえて「ハイブリッドワーク」と言うのは、やはり創業の思いからです。先ほども話したように、ジョンはオフィスで仲間と働くのが好きでoViceを作りました。
社内にも対面で会うことに価値を感じているメンバーが多いからこそ、オンラインとオフラインを上手く融合する方法を、必死に模索しています。「ハイブリッド」というキーワードは、私たちの想いを表現した言葉でもあるんです。
オンラインとオフラインの境目がない体験を
ーこの言葉を採用した背景がよく理解できました。今後、広報として注力していきたいことはなんですか?
入社当初と比較すると、広報の体制が整ってきました。一つひとつの対外発表も丁寧に扱うことができそうですし、あらためてメディアの方とのリレーションも丁寧に行っていきたいと考えています。
また、これまでは言語化できていなかった中長期的な広報戦略作りにも着手中です。広報としての経験が豊富なメンバーが指揮官的な役割をにない、「どの案件に、どのくらいのリソースを割くか」という強弱をつけながら広報活動を行っていきたいと思っています。
ー最後に、薬袋さんがoViceに感じている未来の可能性を教えてください。
最近、社内で聞いていてすごく面白かったのは、「ハイブリッドワークの先にあるのは『オンラインとオフラインの境目がない体験』だ」という話でした。
オンラインとオフラインを単純に”つなぐ”のは技術的に難しいことではありませんが、それだけでは、本当の意味で境目なく「同じ体験」を提供しているとは言えません。つなぐだけではなく、「一つのものとして、働き方をデザインし直す」ことが必要なんだと思います。
それが実現できれば、オフィスで働くことも海辺で働くことも、場所以外は全く同じ体験になるはず。世の中が大きく変わっていくと思います。
ーどういうツールになるか、想像がつきません。
そうですよね。私自身もoViceの最終的にどのような形になるのか、よく分りません。きっと、まだ誰も将来の働くスタイルを明確にイメージはできないんじゃないでしょうか。でも、逆に言えば、考える余白があるということ。面白い環境だと思います。
これまでのoViceの歩みを振り返って見ると、今は想像すらできないものも、なんだかんだ実現していくだろうと楽しみにしています。広報としては、引き続き一人でも多くの方に、oVice社の目指す未来を知っていただけるよう、精進していきたいと思います。
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