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≪people/passion(HMSの人と想い)≫最先端のエッジクラウディングAI技術を武器に、福岡から世界へ打って出る。世界一の製品でなければ、つくらない。社長が描くビジョン
最先端のエッジクラウディングAI技術を武器に、福岡から世界へ打って出る。
世界一の製品でなければ、つくらない。
「世界一の製品でなければ、つくらない」それが私たちがものづくりにおいて大切にしている思いです。申し遅れました。代表取締役社長の胡 振程です。このHMS株式会社は、2018年に福岡で創業したスタートアップ企業。世界最先端の人工知能技術とエッジコンピューティング技術を駆使し、画像入力と処理を一体化した世界最速・最小・最軽量クラスのAIスマートカメラおよびARスマートグラスシステムの開発と製品化を行っています。今の時代、AI関連のスタートアップなんて決して珍しい存在ではありません。私たちのような後発の企業がわざわざ出てきて何かをつくろうというのであれば、そこに新しさやイノベーションがないとダメ。お金もなければ人もいない、小さな会社からのスタートですが、それでもこれまで培ってきたこの技術力にかけては、先達にもそう簡単に負けないぐらいの自信があります。だからこそ冒頭の「世界一の製品でなければ」という思いに至るわけです。
当社ブランド「SiNGRAY(シングレイ)」は、おかげさまでそのリリース直後から多くの方に注目していただき、CES 2019におけるロボティクス&ドローンイノベーション大賞をはじめ、さまざまな場でさまざまなご評価を頂戴してまいりました*。創業から4年目となった現在、私たちのエッジAI製品は、食品・医薬品・製造・FA・自動車・移動体ロボットといったさまざまな分野で、今こうしている間にも黙々と活躍を続けています。その数じつに14,000台以上。売上で言うなら1億7200万円(2021年9月期)という規模です。創業1年目と比べると540%。その急成長ぶりが見て取れるのではないでしょうか。
*受賞歴等:
- CES2019(ラスベガス)ロボティクス&ドローンイノベーション大賞
- (公財)福岡県産業・科学技術振興財団令和2年度DX共創事業選定
- 福岡市令和2年度トライアル優良商品認定
- 福岡市ステップアップ事業最優秀賞
- NTT 5G協創ピッチ最優秀賞
他多数
私たちのエッジそしてクラウドのAIサービスが多くのお客さまに届くよう、努力を続けていく所存です。
キーワードは「AI+エッジコンピューティング」。
SiNGRAYはなぜそこまでの評価を勝ち得ることができたのか、それを説明するために、まず業界の歴史を簡単に振り返っておきたいと思います。
私たちが主として関わっているのはFA、いわゆる工場の自動化というやつですね。画像処理という技術は産業界においてすでに30年以上も前から用いられてきました。最も原始的な形としてはまず、ライン上にカメラがあり、そこからはケーブルが伸びていて、それらの束は工場内のどこかに据えられたコンピュータに接続。その中では何らかのソフトウェアが動いていて、カメラから転送されてきた画像をこつこつと解析・処理しているといったところでしょう。これらの機器は人間の目視という仕事を長く肩代わりしてきてくれました。
一見すると何の問題もないようですが、データ転送や処理の速度といった面では比較的早い段階で限界が来てしまい、ライン全体のスピードアップ・効率化を図ろうという際にこれが大きな妨げとなってきます。コンピュータの役割をクラウドに移したとしても、このロスと遅延の問題は避けられず、さらにはwebを介したせいでセキュリティという新たな問題も出てくる始末です。
それなら、とカメラやセンサーといった端末そのもの、あるいはその近くにコンピュータを組み込んでしまおうというのが、いま大きく注目を集めるエッジコンピューティングの基本的な考え方。IoTという言葉が出てきて久しいですが、これだけ膨大な数のデバイスがwebに繋がった現代社会においては、クラウドの持ち味だった集中一括処理にも限界が出てきます。言うなれば、一度はクラウドに上がった頭脳の一部を、再び現場に戻そうという発想ですね。
ただ、リアルタイム性能やセキュリティ面で秀でる反面、エッジで計算させようとするといくつかの条件も出てきます。すなわち、サイズ、重さ、そして消費電力が小さいことです。ところが10年も前になると、組み込み系のプロセッサの開発技術がまだ足りず、そこまでの能力を備えたデバイスはなかなか存在しませんでした。しかも、温度や湿度といった比較的簡単なデータならともかく、画像や映像となるとその負荷は跳ね上がります。200万画素や500万画素の高画素・高精細で、なおかつ50、60、100fpsといったハイフレームレートのカメラも出てきているような状況で、このようなデータをぜんぶローカルで、エッジ側で処理するとなるとなかなか…。さらには高度なアルゴリズムを要求されるAI処理まで組み込もうとなると、当時の技術ではほぼ無理。巨大なコンピュータを抱えた小型ドローンに飛んでみろと言っているようなものだったんです。
可能性が見えてきたのが、私たちが起業する前の2016年前後。Intel社の高性能プロセッサMyriad 2の登場によって、エッジにおける画像処理の未来がようやく拓けてきました。時は流れて2019年、満を持して産業用AIスマートカメラ「Iシリーズ」「Rシリーズ」をリリース。さらに「Aシリーズ」。こちらはステレオVSLAM & ToF機能を搭載したスマートカメラです。2022年現在においても、いまだに世界最速(6DoF情報の出力フレームレートにおいて100fpsを実現、2022年3月時点、自社調べ)を誇る当社の看板製品で、先に述べたCES 2019での大賞受賞製品でもあります。いかがでしょう?エッジコンピューティングの現場がどれだけ待望していたものか、少し想像していただけたのではないでしょうか。こちらの製品はAGV(自動無人搬送車)をはじめとした、リアルタイム性が要求されるようなFA関係のものをメインに、AR/VRグラス、ネットゲーム、ロボット、ドローン…と、あらゆる分野で応用できる可能性を秘めています。
私たちが得意とする分野はAI+エッジコンピューティング。IoTは世界のすべてのものを繋げますが、データが多すぎてまだまだいろんな制限があります。そこでAIの出番なんです。AI技術を端末(エッジ)に入れて賢くしてあげれば、端末そのものが処理したデータだけをクラウドに上げるから、転送量を少なくできてしかも早く処理できる。これはICTの世界ではかなりブームになっている思想ですね。スマート農業やスマート医療、さらにはスマートシティ。仮想世界に現実世界のコピーを再現するデジタルツインなんて言葉も聞かれるようになってきました。無限に広がる可能性を考えると、市場規模は10兆円どころではないかもしれません。
世界が求めているのは、最先端だけではない。
ハイエンドな話が続きましたが、その逆も少しだけ。エッジデバイスの中でリアルタイム性をもってデータの処理をする。前述の通り、私たちはこの技術を創業当初から突き詰めてきました。しかし世の中を見渡してみると、こういったリアルタイム性なんて全く必要とされないケースのほうが大部分です。たとえば万引き防止のカメラを想像してみてください。50fpsで滑らかに動く映像なんて必要でしょうか。また、別の例を挙げるとしたら農作物の生育状況を確認するカメラ。秒刻みで何かが変わるものでもありませんし、1日1枚写真が撮れれば十分ですよね。つまり「AIは今、ローエンドなニーズのほうが多い」という状況をまず冷静に認識しないといけなくて、それらにどう対応していくかを考えるべきなんです。
従来の課題は、コストにあります。いかに簡単なものであっても、カスタマイズ開発は絶対に避けられません。まずヒアリングして、案をつくって、AIの初期モデルを作ってみて…。それができるまで仮に3ヶ月ぐらいかかったとしても、9割以上の案件はさまざまな事情によってこの段階で終わります。いわゆる「PoC死」というやつです。それを突破できたとして、さぁ本開発となると、数百万円の人件費をかけて数万枚のデータサンプルを取り、それらを学習してチューニング…半年以上の時間と、1000万円以上の費用がかかることも珍しくないでしょう。これでは全く現実的ではありません。10万円の損害があるから、と1000万円かけて対策を講じようとする人はいませんから。
ただ、これを事前にチューニングしたクラウドで処理すれば、安くすることは十分に可能なんです。AIのネットワーク自体はもうすでに学習も済んでいて、カメラの中に入っているのと同じものがクラウドのほうでも使えます。同じアプリケーションですが、クラウドで処理するか、エッジ側で処理するか、お客さまのニーズに合わせて使い分けができるんです。エッジ側でやるとリアルタイム性が高い。プライバシー、データセキュリティも守られる。デメリットは初期費用の高さです。一方、クラウドでやると処理は多少遅延がありますが、遅延があっても問題ないケースであればこちらのほうが絶対おすすめ。どちらか、あるいは両者を組み合わせた「エッジクラウディングAI」こそが私たちがたどり着いた答えです。
クラウド導入の難点を挙げるとすれば、何かと大がかりになりがちなことでしょうか。アカウントを開通して、クラウドサーバーをレンタルして、いろんなデザインサービスを入れて…自動化させるまでの工程はなかなか骨が折れます。でもその点についてもご心配には及びません。世界最大手のクラウドIaaSであるAWS(Amazon
Web Service)と一緒に2年をかけて開発してきた私たちのクラウドサービスを利用すれば、誰もがより簡単かつ安価にAIの力を借りられるようになるはずです。
AIを阻むのは、2つの誤解。
広報力の強化や継続的なビジネスモデルの構築、機器性能の評価基準の設定などなど、ビジョンを実現するためにはまだまだ課題が山積みです。とりわけ、産業のDX化を妨げる要因として、AIソリューションに対する「2つの誤解」が大きく影響しているように感じます。
ひとつは「不信」。まったく信頼してもらえない状態です。AIには無理だ、と。AIはとてもデタラメなものでウソばっかりだ、と。システム開発には途中で失敗して挫折されるケースも多いので、AIと聞いただけで拒否反応を示す方も少なくないようですね。
もうひとつは「過信」です。こちらは逆に、AIを信頼しすぎてなんでもできると思われている状態。データさえあればAIはどんどん賢くなり、そうすればすべて100%認識できるはず!と。さすがにそこまで万能ではありません。人間と同じように失敗もするし、入れるデータが間違っていれば、思ったような成果には繋がりません。
AIをどこまで理解できているかは、そのプロジェクトの成否に大きく関わってくるのです。ただ、こういった背景を十分理解できてさえいれば、人材の採用で解決できる課題だとも思っています。私たちのやっていることはまだまだ「ツールを提供する」というレベルから抜け出せていません。世界一とは言いながらもカメラひとつではただのオモチャ。これらを応用して組み合わせ、お客さまの求める利益や結果を生み出す全体像を描けるSIer的なセンスとサポートができる人材には非常に魅力を感じます。
先ほどの2つの誤解を生んだ要因でもありますが、AIってやっぱり実際に使ってみると意外と難しいんですよね。だからなるべく簡単にしてお客さま側の負担をなくしていこうというのが、製品開発におけるコンセプトとして根付いています。うちの最も特徴的な強みとして、外注に頼らずフルスタックでぜんぶ自前で作れるという点が挙げられるんですが、ワンタッチで簡単にセッティングできるものを作ろうとなると、ソフトとハード、そしてクラウドまで理解してないとできません。スマートカメラひとつ取って見ても、ハードウェアの設計デザイン、レンズは光学、基盤をつくるのは電子系、その中に動いているソフトやそれらをサポートするSDK、AIのディープラーニングの推論、クラウドのトレーニング…それらぜんぶ準備しないとこういう製品は出てこないわけですから。少ない人数の会社ですし、開発時の苦労は並大抵のものではありませんでしたが、いったん製品化できたものがあるので、これをベースにしてさらなる発展が狙えるはずです。正直、地味で泥臭いこともありますが、技術の追求だけにとらわれず、お客さんのこともちゃんと見る。ここからはそんな姿勢が問われてくるんじゃないでしょうか。
福岡から世界へ向けて今、START UP。
本社を置くここ福岡は、創業支援に注力していることでも有名な土地です。私たちも創業当時は官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」に入居していました。貴重な出会いや機会にも恵まれ、ここで資金調達も果たすことができましたし、何よりスタートアップに取り組む若い方々がひしめく環境に身を置けたことは非常に刺激的でした。現在はここを卒業して博多区にオフィスを構えていますが、上海の子会社にもアクセスしやすく、交通の利便性という観点から見ても福岡はベストポジション。もう6年ほど住んでいますが、都市機能と豊かな自然が調和した過ごしやすさも気に入っているポイントで、休日にふらっと糸島まで車を走らせて、海風に撫でられるのも気持ちがいいものです。おいしいものも安くいっぱい食べられますしね。
社内を見渡せば、新入社員から役員まで、あらゆる人材が自由な発想で、夢や理想を徹底的に追求する風土が根付いています。学歴や年齢、国籍に関係なく誰もがフラットに活躍できる職場環境です。積極的に仕事に向き合い、推進する力がある方であれば、入社直後であっても大きな仕事をお任せします。
まだ急成長を始めたばかりの当社ですから、みなさんにはコアファウンダーとして入っていただきたいな、という考えです。この時点で入れば、おそらく成功していく様を最前列でご覧いただけるんじゃないでしょうか。私たちが取り組むのは、世界を相手に打って出るような、新しいものづくりです。大手にいてもそんなチャンスはなかなかないかな、と思います。
ベースとなる世界一の技術はもうすでにここにあります。あとはそこをいかに広げていくか。この面白さを感じていただける方となら、きっと長くご一緒できるはずです。