キャリアの8割は偶然の出来事で決まる。
5つの行動特性を持てば計画的に偶然を呼び込める。
クランボルツ教授が提唱する計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、20年以上経営・人事に携わる中で一番共感し、腹落ちしているキャリア理論です。
要約するとこんな感じ。
クランボルツ教授がビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、8割が偶然の出来事によるものだったことをきっかけに提唱、予期せぬ偶然の出来事がキャリアを左右する理論。
目的意識ややりたいことに固執して目の前に訪れた想定外のチャンスを見逃しかねないよう、5つの行動特性の必要性が示される。
就活中の大学生や、社会に出て1ヶ月の新卒社員、入社して数年経って転職を考えてる人たちなど、これからのキャリアを考える上で、あまり深刻に考えすぎず、偶然を楽しんでほしいとも思ってます。
1.好奇心
新しいことに興味を持ち続ける
人口1万人の過疎地域、都農町に移住して6年目。
いまだに、初めて会う人には必ず
「なんで東京のベンチャー経営者やめてまで移住したんですか?」
と聞かれます。
4つの理由を答えたりしてみましたが、あえて1つ挙げるなら
好奇心
としか言えません。
20年近く東京で経営していると、日常に忙殺されて、クライアントや取引先など、接する人たちも固定化しがち。
建築・不動産・ホテルなど同じ業界の人といる時間が長くなり、居心地も悪くないため、自分が知らないことや人との出会いは減ってました。
創業者とは、もともと早い段階で自分たちより若い世代に経営のバトンタッチをすることは決めていたのですが、いざ自分がフリーになることをリアルに考え始めた時、一番、好奇心がわいてワクワクしたのが、仕事で縁ができはじめていた都農町へ移住してゼロから会社を起こすことでした。
53歳という年齢への危機感もあったため、より一層、新しいことに渇望していたのかもしれません。
都農町に移住・起業して、いままで経験したことない環境や仕事の進め方、人との出会いなど偶然の連続。
日々刺激を受けて、さらなる好奇心を掻き立てられてます。
好奇心はいくつになっても、個人的に最重要特性です。
2.持続性
失敗してもあきらめずに努力する
偶然というと、いろいろなところに顔を出したり手を出したり、より広く動いた方がいいというイメージありませんか?
ぼくもそんな風に意識していたのですが、自分に起きた偶然を振り返ると、何か一つのことを続けていると面白い偶然が起きるなぁと実感します。
いま、偶然で一番多いきっかけは、5年目を迎える都農中学校の総合学習「つの未来学」です。
取材や講演のご依頼や、そこで出会った方々と仕事につながったり。
予期せぬ展開が起こってます。
もう一つは空き家をリノベして経営して4年目を迎えるHOSTEL ALAです。
日々運営していく場があることで人を招きやすくなりその結果、予期せぬ出会いに巡り会えます。
何かを続けていることが「信頼の素」になり、偶然が起きやすくなるのではないでしょうか?
3.柔軟性
こだわりすぎず、決めつけない
過疎地のまちづくりをしよう!
と決意して移住後2週間で「緊急事態宣言」
町民とのワークショップや場づくり業務は凍結。
もしここで、リアルな場づくりにこだわってたら創業年度に解散、なんて笑えない話になりかねませんでした。
たまたま町長や生産者との話から、デジタル政策の提言して予算がついて、デジタル推進の会社になっていました。
ぼくがデジタルと言って、友人知人からほぼ全員、疑われたり笑われたりしましたが。。
宮崎の方言で「てげてげ」という言葉があります。
・適当
・ほどほど
・いい加減
って意味合いですが、宮崎らしいおおらかでゆるい感じが個人的に気に入ってます。
3つめの行動特性「柔軟性」は、「てげてげ」とも言えます。
4.楽観性
何事もポジティブに考える
ポジティブさは偶然を呼び込む上でも重要な特性。
2年前に、町長交代で会社の売上が8割ふっとんだとき、ぼく以上に会社のメンバーがポジティブだったことに助けられ、いろんな偶然が起こってくれて、なんとかいまに辿り着いてます。
都農町で仕事がなくなったことで営業しまくった結果、縁のなかった高鍋町や日向市、延岡市、宮崎市の人と仕事に巡り会えました。
都農町にはない高校生とのプロジェクト、観光ブランドづくり、植物園や図書館の企画など、個人的な好奇心も満たされまくりに。
もし、都農町だけの仕事をしていたら、このようなキャリアの広がりはなかったので楽観的に構えることも大事だなと思います。とはいえ、経営が楽になったわけではないので引き続き営業邁進です。
5.冒険心
結果がわからなくても挑戦する
「リスクテイク」といったほうが個人的には腹落ちしてます。
個人的に、なんでも知ってる人よりは、一つの分野で勝負して極めようとしている人に興味がわきます。
借金したり、みんなからダメだしされながらも挑戦している人の話は聞いてみたいです。
リスクは、あくまでその人が感じるものだから個人差あるものです。
人生かけてとか、身銭を切るレベルでなくても、苦手の克服や、カッコ悪くて恥をしのんでとか、その人にとっての挑戦、冒険であれば、いい偶然は起こると信じてます。
ぼくなりに、53歳で都農町への単身移住&起業はリスクテイクでした。
でも、この5年間で数え切れないほどいい偶然に巡り会えたので良かったと思ってます。
もちろん、客観的に何かに成功したわけでも、うまく行ってるわけではなく、現状の経営は厳しくて大変なことばかりです。
でも、東京で経営を続けていたり似たような環境にいたことを想像すると、いま、そしてこの先も、より多くのいい偶然に出会えると確信してます。
根拠はありませんが 笑。
6.まとめ
偶然のことばかり書いてきましたが、目的意識ややりたいことを明確に言語化し、5年、10年の経営計画を立てることも大事です。
ぼくも経営者の端くれとして、いまの会社の5年後、10年後を考え事業計画はたてています。
計画性or偶発性
ではなく
計画性and偶発性
将来像を明確に描きつつも、目の前で起きた偶然をチャンスに変えるための準備も同時に必要と捉えてます。
最後に、6つめの行動特性として挙げたいのが「発信力」です。
どんなに好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心をもって行動していたとしても、そのことを人に知ってもらわないことにははじまりません。
特に過疎地域にはプレイヤーが少ない環境では、地域外を含めていかに発信するかが生命線です。
このnoteも、その一つ。
1人でも多くの人に見て頂き、新しい偶然の種になってくれたら嬉しいです。