【新人リーダー奮闘記】昇進して見えた、自分らしいリーダー像への葛藤と挑戦 下川さん編 #1 | なゆたネット INTERVIEW
『新人リーダー奮闘記』シリーズの連載を始めます!キャリアアップを考える中で、昇進の流れをイメージできる人は多いですが、昇進後はどのように経験を積み、どう成長していけるのかは不透明な部分が多く不安...
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なゆたネットで活躍する「新人リーダー」に焦点を当てるインタビューシリーズ「新人リーダー奮闘記」。下川さん編の#2をお届けします。
『新人リーダー奮闘記』シリーズ
キャリアアップを考える中で、昇進の流れをイメージできる人は多いですが、昇進後はどのように経験を積み、どう成長していけるのかは不透明な部分が多く不安な方も結構いると思います。
なゆたネットには現在、就任1年未満の主任が3名います。その新人リーダーが、どのように成長していけるのか、新人リーダー3名それぞれにクローズアップして、“きれいごと”だけではない、リアルな奮闘の様子をお届けしていきます。
努力している姿を応援したくなったり、憧れになったり、「自分もリーダーになってもいいかも」と思っていただけるような企画をということで、『新人リーダー奮闘記』をシリーズで連載していくことになりました。
彼女たちの成長を、ぜひ一緒に見守っていただきたく思います。
👇下川さん編 #1 はコチラ ※今回より部署が変わっています
#1では、リーダーになるまでの葛藤を乗り越え、覚悟を決めた彼女の姿を描きました。しかし、リーダーとしての日々は、想像以上の壁となって彼女の前に立ちはだかります。
「私が、やらなきゃいけない」
その強すぎる責任感が、いつしか彼女自身を追い詰めていく。 これは、完璧じゃない自分を受け入れ、本当の意味で「チーム」になるまでの一人のリーダーの物語。
「向き合いたいのに、向き合えない」マネジメントの壁。
「私がやらなきゃ」。一人で抱え込んだ、見えない重圧。
転機は突然に。差し伸べられた、上司の手。
完璧じゃない自分だから、できること。
「主任になって、私が最初にぶつかった壁は、部下の育成でした。一般社員の時も指導経験はありましたが、それはあくまで業務のレクチャー。相手のキャリアや成長まで見据えた指導、つまり『マネジメント』は、全くの別物でした。」
リーダーとしての新たな責任。それは、単にタスクを管理することではなく、人の未来を預かることの重みだった。特に、元々「人に指示を出すのが得意ではなかった」という彼女にとって、その壁は想像以上に高かったという。
「どういう風に言えば、相手の本質的な理解に繋がるんだろうって。表面的なことだけ言ってもダメだし、かと言って、私の考えを押し付けてもいけない。その塩梅が本当に難しくて…」
その悩みは、個性豊かな二人の部下の存在によって、さらに深まっていく。
「遠藤さんは、コミュニケーション能力が高く、人と話すのが得意なタイプ。一方、信山さんは、アルバイトから正社員を目指している頑張り屋さんで、かつての自分に少し似ているな、と感じるところがあるんです。『色々やってみたい』という意欲はあるのに、気を遣ってしまいうまく言葉にしたり、人に伝えたりするのが少し苦手な部分とか…。それぞれに強みも目標も違うからこそ、彼女たちの良さを最大限に引き出すにはどうすればいいか、本当に悩みました。」
頷き方や相槌のトーンから「あ、今、腑に落ちていないな」となんとなく察することはできる。しかし、そこから一歩踏み込んで、一人ひとりのキャリアのために何が必要かを一緒に考え、導いてあげられない。リーダーとして最も重要な役割を果たせていないという無力感が、彼女を苦しめていた。
部下への伝え方以上に、当時の彼女を苦しめていたのが、彼女自身が作り出した、見えない壁だった。
「主任になったばかりの頃は、まだ自分が作業のメイン担当でした。自分のタスクをこなしながら、チームとしての新しい方針を理解し、部下に指示を出す。正直、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまって…」
真面目で、何事も完璧にこなしたい。その性格がゆえに、彼女は無意識のうちに「人に相談する」という選択肢を失っていた。
「人に相談するのが、昔から本当に苦手なんです。『これくらい自分でできる』『自分でやった方が早い』って、どうしても思ってしまう。でも、それを続けていたら、当然自分のキャパはオーバーするし、何より、部下の成長機会を奪ってしまう。頭では分かっているのに、悪循環から抜け出せませんでした。」
主任になって約1年が経った6月、7月が、心身ともに最も苦しい時期だったと彼女は振り返る。
日に日に増える残業。対応すべき業務が、頭から抜け落ちていく。指示された内容が、いつの間にか手付かずになっている。日々のタスクを処理するだけで精一杯で、本来リーダーとしてやるべき業務改善や部下の成長について「考える」余裕を、完全に失っていた。
「私がやらなきゃ」。その思い込みが、彼女を一人きりの袋小路へと追い込んでいた。
そんな状況は、長くは続かなかった。抱えきれなくなった業務は、ある日、限界点を迎える。 その様子を見かねた上司が、最終的に、強制的に彼女の業務へ介入。チーム内での役割分担を再構築したのだ。
「本来なら、そうなる前に自分から言うべきだったんです。本当に、不甲斐ないなと思いました。でも、その出来事がきっかけで、強制的にですけど、初めてちゃんと周りのメンバーに『お願い』ができたんです。」
それは、彼女にとって大きな転機だった。 一人で抱え込んでいた重荷が、ふっと軽くなる感覚。そして、物事がスムーズに進み始めるという、当たり前の事実に気づかされた。
「それ以降、意識して相談するようになりました。部下の二人に『今、こういう状況で…』と正直に話したり、チームだけで回らない時は、他のチームに助けを求めたり。一人で悩んでいた時間が嘘みたいでした。」
完璧じゃない自分を見せること。弱さをさらけ出すこと。 それは、決して悪いことではなかった。むしろ、それこそがチームが一つになるために、不可欠なことだったのかもしれない。
「『部下に迷惑をかけたくない、できれば業務を整えてから渡してあげたい』。その思いが、結果的に私を抱え込みのスパイラルへと導いていたんです。でも、周りを頼るようになって、私一人が完璧じゃなくても、チームとして成果を出せばいいんだ、と少しずつ思えるようになりました。未完成のままでも、まずは部下に任せてみる。その方が、彼女たちの成長に繋がるんだって。」
その気づきは、部下との向き合い方にも大きな変化をもたらした。彼女の役割は、完璧な答えを教えることではなく、部下一人ひとりが持つ力を最大限に引き出す「伴走者」であること。
コミュニケーション能力が高い遠藤さんには、その強みを活かせるよう、関係各所との調整役などを積極的に任せる。一度決めたら曲げない芯の強さを持つ彼女だからこそ、細かく指示を出すのではなく、まず目的とゴールを丁寧に共有する。「あとは、信じて任せる」。その方が、彼女はもっと輝ける。
そして、かつての自分に似ていると感じる信山さんには、特別な想いがあった。「色々やってみたい」という意欲が、過去の自分のように空回りしてしまわないように。目標である正社員になるために何が必要か、その道筋を一緒に考え、少し挑戦的な業務を任せては見守る。
それは単なる業務の割り振りではない。彼女たちのキャリアを預かるリーダーとしての、強い責任感の表れだ。「もし私の指導力不足で、二人がこのチームで『成長できていない』と感じてしまったら、それは全部、私の責任」。そう語る彼女の言葉には、かつて自分が成長を実感できずに苦しんだ経験があるからこその、重みと愛情が宿る。
根気強く問いを投げかけ、時には待ち、相手が自分で答えを見つけ出すまで伴走する。それは、「完璧なリーダー」であろうとすることを手放した彼女だからこそ、たどり着けた境地だった。
リーダーという立場になって初めて、見えてきた景色もある。かつて上司だった坂口さんや西田さんから言われていた言葉の意味が、今になってようやく腑に落ちる瞬間が増えたという。「あの時、お二人が言っていたのは、こういうことだったのか」。当時は理解しきれなかった指摘や助言が、自分が同じ立場になってみて初めて、その本当の意味とありがたみを実感できるようになったのだ。
「今も、自分の課題は山積みです。でも、もう一人で戦おうとは思わない。私を見て、部下も『助けて』と言えるようになってほしいから、まずは私自身が、どんどん周りを頼っていこうと思っています」
今回の経験を通して、改めてマネジメントの難しさと重要性を痛感した彼女は、今後、会社で行われるリーダー研修にも参加する予定だ。手探りの実践で得た学びを、体系的な知識で補強し、さらにチームに貢献していきたい。その視線は、すでに未来を見据えている。
強さとは、一人で立つことではない。支え、支えられること。 彼女のリーダーとしての本当の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
次回の#3では、彼女が自分なりのリーダー像をどう見つけていくのか、その「らしさ」に迫ります。