部門間を超えた連携で期待される新しいナリコマのかたちとは?〈前編〉|営業・デジマ・インサイドセールス座談会
「"ALL for ONE SPOON" 食の可能性をデジタルで広げ、『一さじの喜び』を届け続ける」
食事を通して人々に生きる喜びを届けるべく、高齢者福祉施設や医療機関向けに食事サービスを提供する、株式会社ナリコマホールディングス(以下、ナリコマ)。大阪府大阪市に本社を構え、関西を中心に成長を続けてきた当社では、関東以北のエリアにもナリコマのサービスを浸透させるため、この春から東京拠点を増強しています。
今回は、関東以北での認知度向上やサービス拡大をめざすべく、東京拠点で連携を深める営業・デジタルマーケティング(デジマ)・インサイドセールスのメンバー3人の対談を前後編にわたってお届け。前編では情報のデジタル管理化、ナリコマにおけるインサイドセールス、関東での市場拡大などについて語ってもらいました。
なお記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
参加者紹介
由利さん(関東営業支店長)
北窓さん(コーポレート本部 本部長、デジタルマーケティング室)
山岡さん(デジタルマーケティング室 インサイドセールス担当)
情報の一元管理から始まった営業のデジタル化![]()
ーナリコマで営業ノウハウをシステムで一元管理し、全社員に共有できるようになったのは、由利さんの発案がきっかけだとお聞きしました。
北窓さん:
そうです、当社のCRMシステムを発案したのは由利さんなんです。由利さんはしっかりとデータで物事を捉えようという考え方で、その感覚がデジマととても相性が良いと感じます。しかも、このCRMシステムは、当社のエンジニアが開発した内製化されたシステムなんですよ。
由利さん:
僕は従来の靴底をすり減らすような泥臭い営業も嫌いではないのですが、「営業のデジタル化」が好きなんです。デジタルを駆使してPR活動をし、インサイドセールスも行い、さらに結果を分析する。そして「この営業戦法なら間違いない」という方法を見つけて、それをどんどん広めていきたいというスタンスです。
以前のナリコマって、まるで三国志時代のように情報を口頭伝承する文化だったんですよ(笑)。情報を知ってるメンバーが口頭や書類、Excelで一部のメンバーに情報を教える感じで。その人がどれだけ予算をかけて、汗水流して行動していたとしても、得た情報は一部のメンバーに直接渡すだけ。それだとせっかく得た情報という財産が、限られた人にしか伝わらないですよね。それがすごくもったいなくて。
だから、「システムで一元管理して、情報を蓄積しましょう」とCRMシステムの構築を提案しました。このシステムのおかげで、営業が得た情報を、今では部門を超えてデジマやインサイドセールスでも活用できるようになってきました。あの時、システムを作っておいてよかったなと思います。
北窓さん:
営業の世界って「他社に情報を漏らさない」だとか、「ノウハウは自分のもの」という意識が強いこともありますよね。「数字は営業担当個人に反映されるので、他のメンバーに有益な情報は渡さないぞ」という。でも、そんな文化を壊してくれたのが由利さんなんです。
由利さん:
僕からすれば「せっかくだから、それ共有しません?」というノリでしたけどね(笑)。当時自分が勤務していた支店での成功事例を、他の支店の人たちも見られるようにしたかったんです。特にコロナの時期は、直接対面で話すことが難しく、情報を伝えにくかった。だから、コロナ禍にこのシステムはかなり役立ったのではないかと思います。
営業とインサイドセールスの役割分担![]()
ーナリコマでは近年あらたに、インサイドセールスの部門ができました。現在、お客様への営業活動に関連する部門は営業・インサイドセールス・カスタマーサクセスがありますが、それぞれどのような役割ですか。
由利さん:
営業は、未契約のお客様に、当社とご契約いただけるようPRを行う役割です。
インサイドセールスはその前段階。営業の足掛かりになるようなアプローチをしたり、潜在ニーズはあるものの、まだ温度感が低いお客様に対して、熱量を上げる役割です。お客様の関心が高まってきたら、営業にバトンタッチするという流れですね。
カスタマーサクセスは、すでにご契約いただいているお客様に対して、サービスを継続していただけるようアドバイスを行う役割です。
関西を中心に発展してきた当社にとって、関東は後発の開拓エリアなので、まだまだ認知度は低い状況。今はそれを高めていくフェーズです。とはいえ、関東は人口が多く、人手不足が課題となっているエリアなので、まちがいなく当社のサービスのニーズが高い市場なんですよ。
ただ課題は、市場のニーズに対して、営業メンバーや現場スタッフをいち早く育てる必要があることです。お客様が増えるにしたがって、営業や現場スタッフの数も必要になるので、しっかり育てていきたい。最近は「成長スピードを少しでも上げるためにはどうすればいいか」とよく考えています。
山岡さん:
実は今、当社で「インサイドセールス」の役割を名乗っているのは僕だけなんです。でも、僕1人では十分な活動は難しいので、今後東京でもメンバーを採用したいと考えています。
由利さん:
東京にはまだインサイドセールスのメンバーはいないけれど、大阪にいる山岡さんとは以前から連携しています。最初にインサイドセールスとしての発信を始めたころよりも、どんどんクオリティが上がってきていて、「山岡、やるじゃん!」と思っています(笑)。
それでもやはり、同じオフィスで働くのとリモートとでは、コミュニケーションの取りやすさは全然違うと思いますね。
北窓さん:
東京にインサイドセールスがいれば、営業と物理的に距離が近くなるぶん、もっと密に連携が取れるようになりますよね。
インサイドセールス新設による変化![]()
ー約2年半前に新設され、その役割を確立中のインサイドセールス。今後営業とインサイドセールスは、どのようにシナジーを生み出していきたいですか。
由利さん:
以前から営業だけで全国の市場をカバーするのは無理があると感じていました。そして、それを補うために、営業人材をどんどん増やすというのも現実的に難しいんですよね。ですから、インサイドセールスと二人三脚で新規のお客様を獲得する体制にしたいと思っているんです。
先ほど、インサイドセールスのアプローチによってお客様の関心が高まってきたら、営業にバトンタッチするとお伝えしましたが、逆に営業が一度アプローチして契約に結びつかなかったお客様について、またインサイドセールスがアプローチしなおすという流れもあるでしょうね。
タッグの組み方には、様々な可能性や方法があると思っていて。営業側からも「これ、インサイドセールスにお願いしたいです」と積極的にリクエストしていかないと、相互理解にはつながらないと思っています。お互いにもっと提案しあいたいですね。
山岡さん:
僕自身、インサイドセールスがどのような役割なのか、まだまだ社内への発信が足りていないと思っています。というのもインサイドセールスという職種は、まだ特定の業界にしか存在していないというイメージ。営業メンバーもイメージが持てないと、インサイドセールスにリクエストや相談がしづらいのかなと思います。
だから、もっとコミュニケーションをとって、理解を深めていく必要がありますね。
北窓さん:
インサイドセールスは、SaaS業界ではごく一般的な職種ですが、当社のような医療福祉業界では、まだほとんど導入されていない職種です。でも当社もSaaS業界同様、お客様に継続していただくことで初めて収益が出るビジネスモデルなので、インサイドセールスとの相性はとてもいいと思いますよ。
山岡さん:
そうですね。ただ、SaaSやクラウド系のサービスであれば、新規のお客様との商談は全部オンラインで完結するんです。でも、当社のお客様である医療福祉施設の厨房は、そうはいかないことも多いんですよね。
現場に行かないと具体的な状況がわからないし、個人ではなく共有のパソコンしかない施設も多く、オンライン商談だけでは限界がある。そうなると、やはり営業メンバーが商談を行う前段階のアプローチが重要になってきます。より多くの潜在層のお客様を獲得して、少しずつ興味関心を育てていく。そういったインサイドセールスのスタイルが、今のところナリコマにはマッチしていると感じています。
関東市場拡大に向けた展望![]()
ーそれでは今後、営業・デジタルマーケティング・インサイドセールスの3部門が東京拠点でどのように協力し、関東以北での市場拡大をめざしていきたいですか。
由利さん:
まずは、すでに東京に拠点のある営業部隊からデジマやインサイドセールスに対して、関西とは異なる関東のエリア特性を共有していきたいと思っています。そして、営業・デジマ・インサイドセールスをつなぐ核となるのはデータ。しっかりデータを用いて、関東以北での市場拡大の戦略を立てていく。そんな考え方自体が市場拡大に直結すると思っています。
また、先ほどお話した営業メンバーやスタッフの成長スピードについてですが、これからは「1年かけて営業します」「2年かけて契約取ります」というスピードだと、もう遅い。早めにどんどん成功体験を積ませることで、成長が速くなる。その成功体験を加速させるためには、デジマとインサイドセールスと協業することで効率が上がると期待しています。
できれば、この3部門で同じKPIを設定したいですね。同じ目標に向かって、それぞれの役割で走っていくことで、相乗効果が高まるのではないでしょうか。
北窓さん:
それ、いいですね!同じKPIを持てば、切磋琢磨しやすくなりますし。
関東以北といっても、東京から青森までとエリアが広いので、足で稼ぐ営業には限界があるんです。ですから、当社の知名度をしっかり広げるためには、デジタルを使った情報戦が絶対に効率的。
デジマとして、情報戦の部分で営業やインサイドセールスへの支援を、今後さらに強化していきたいと思います。
※後編に続く
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[執筆・校正・取材]株式会社ストーリーテラーズ 平澤 歩
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