入社したきっかけ
前職はサービス業に務めていた畑中慧子さん。このまま続けると社員になるかどうかだったが、そろそろ卒業の時期かもしれないと考えていた時にクラップへの誘いの声がかかったそうだ。
「前職はアルバイトでしたが当時は私が先輩で、畑中代表が後輩でした。そこで私はずっと勤めていたところ、代表から声をかけてもらいました。その時は療育を全く知らない状況でした。」
無資格からスタートしたというが、クラップへ転職した理由は声をかけてもらったという何気ないものだった。
「入社時は、法改正前だったので無資格から指導員として始めることが出来ました。三山の校舎ができて、その後に駅前の習志野校舎が開校するという頃でした。当初は支援のベースのものはあったのですが、手探りの状態でもあり、どうしていこうかというところから始まりました。
一緒に働いていた児発管の方が福祉の経験が豊富な方で 、その都度教えていただきました。支援の仕方などはその方から学び、育てていただきました。人との接し方がとても上手な方でした。
接し方や支援など、全てにおいてわからない状態だったので、子どもを第一に考えるというその方の理念をもとに、こどもの対応や保護者の対応などたくさんのことを教えて頂きました。私自身、人付き合いが得意ではなく、口数が多い方でもないので、子どもとも軽快にポンポンと話せるというタイプではありませんでした。関わり方についても、時には優しく、時には厳しく、一から熱心に教えて頂き、私にとって人生の恩師です」
畑中さんは未経験から、ひとつずつ経験を重ね、要件を満たした後で研修を受けて児発管になったそうだ。
仕事の内容について
彼女の児発管としての仕事内容は、保護者対応、子どもたちの支援のサポート、支援内容の再検討、職員の教育をしている。
「子どもたちの支援においては、メインで支援をするというよりは、 職員が足りない時にスポットでの支援や、 モニタリング前にお子さんの様子を知るために支援に入ります。保護者さんとの面談をもとに個別支援計画を立てていますので、その内容をもとに職員 に伝えて支援に反映していっています。また、共有会では職員と悩みを共有しながら、より良い支援を一緒に模索しています。
児発管になると、保護者との結びつきが指導員の頃とは違ってより強くなり、お子さんの状況や支援内容についてなど、定期的に保護者と直接関わり話をします。」
人付き合いがそんなに得意な方ではない彼女は、児発管として保護者と接する面談時には悩んでいたようだった。
「児発管になりたての頃は、まだ私自身に子育てをした経験がありませんでした。その状態で何をお伝えすればいいのか、どうやって保護者の気持ちに寄り添えるのかということを考えていました。
どこまで親身にできるか、保護者にとって相談しにくいのでは、少し頼りなく見えたりするのでは等と考えたりしていました。
当時は経験値が圧倒的に足りなかったので、 それをカバーするのは一つ一つ場数を踏んでいくしかなかったです。
あとはもう素直に『勉強不足で申し訳ないのですが』と聞きました。また、誠意を込めながら『クラップでできる限りのことをやっていきます』と伝えました。
そうやって保護者と話すと皆さん理解を示してくれる方が多く、勇気づけられました。」
たくさんの場数を踏み、経験を重ねていった畑中さんは、管理の仕事も兼務している。
以前は経理には携わっていましたが出産を期に離れました。
現在は人事部での求人制作、面接と評価、労務に関しては簡単な書類の仕事に従事しています。
社会保険の手続き等、ひとつひとつ実際にやっていく上で、学びながら進めています。
経験のない事務については調べながら聞きながらと着実に経験値をあげていく畑中さんの努力は測りしれない。
職場の雰囲気や環境
「習志野第二校は役員が多いため、会社全体の話になることもありますが、通常は個々でも話しやすい環境です。クラップはアルバイトを含めて全体としては女性のほうが多い職場です。」
会社の目標・ビジョン
「理念はもうずっと一緒で楽しく働こうというところは変わりません。
楽しく働くためには、やはり、お金も必要になってきますし、福祉の収入には限界があるので、その辺りの改善の為、現在はフランチャイズなども展開しています。
クラップに通う子どもにとってはやはり楽しく学ぼうということが、一番だと思いますね。
そこは、ぶれたくないところです。
一対一の人間として関わっていくっていう事が楽しいときもありますが、悩む時も、もちろんあります。
私はお子さんも1人の人間だと思っています。学校で頑張った後や休みの日にクラップに来て課題に取り組むというのは、もちろん必要なことですが、私たち大人の都合だと思っています。
遊びたい、疲れたから家でゆっくりしたいなど、子どもには子どもの都合があると思っています。疲れたときに行きたくないということも当然あるでしょうし、 気持ちの波っていうのは誰にでもあると思います。
大人でも、疲れている時は仕事をしたくないと感じることがありますよね。私自身も、そう感じることはあります。お子さんのその気持ちをしっかり汲み取ってあげた上で、コミュニケーションを取りながらどこまでだったらできそうとか、そういう事を子どもも大人も伝えるという練習の場になればと良いと考えています。
将来自立したときにもしっかり言語化して伝えられるように、お互いに折り合いをどうつけるかに気を付けています。」
畑中さんは勉強に取り組むとか学習の点数を伸ばすことよりも、その時のお子さんの立場や保護者の思いも受け止めながら、その時の状況を言葉で伝える練習に繋げるようにと支援に携わっている。
「例えば、その1回が駄目だったとしても次のステップでできれば、その1回は全然出来なかったとしてもいいと思うんです。
アンガーマネジメントじゃないですけど、大人になっても 自分自身をコンロールしていく力を学べると、将来的に考えたらそちらの方が良いと考えています。
ずっと100%の気持ちの状態を維持するのは難しいですし、もう60%になったからやらないと言ったら、一緒に働いている人は理解出来ないなと思ってしまうと思います。そこに至る前の
80、70%になったときに、どう周りの人と関わっていけるかというのはすごく大事だと思います。」
畑中さんは、気持ちを伝える、そこで折り合いをつけるというコミュニケーションスキルが 将来的に子ども自身が助かるという見通しをもって支援というものを考えている。
成功体験ややりがい
児発管の仕事で彼女がやりがいを感じたことは子ども達の声を保護者に一番に届けられることだという。
「支援の合間にとてもいいことを子どもが言ってくれたりするんですよね。 例えばお母さんに感謝しているなどの話です。
子どもによっては結構何気なく言ってくれたりして、自身の親御さんに伝えたのかと聞いてみると、言っていないと。
子ども自身も大きくなってくると、考えていることを 直接、話すのは難しいところもあると思います。
おそらく、そこを保護者も知りたいと思うんです。
普段お子さんがどのように考えているのかと、その辺りをお伝えできるのは児発管ならではだと思います。
かつてプリントを破るほどだったお子さんが、中学生になって『先生、ありがとうございました』と声をかけてくれた時は、とても嬉しく感じました。」
プライベートや休日
「お金と時間があるのであれば、何かスキルアップがしたいです。
会社と個人があって、個人ではファイナンシャルプランナーの資格ですね。こどもの将来のためにもお金のことを知っておきたい。
昔は服とか好きだったんですけど、子供が生まれてからは全く買わなくなりました。むしろ子ども服を買う事が多くなりました。
自分の趣味の中でも、スキマ時間にしていることは漫画です。昔から漫画が好きです。自分をオタク気質だと思っています。」
楽しんで見ているものを一つ教えてもらうと『薬屋のひとりごと』だという。
子育て中の彼女は、ちょこちょこと隙間時間に見て楽しんでいるそうだ。
好きな言葉と自分を動物に例えたら
『生きていれば何とかなる』と言葉にした畑中さん。
次の言葉に彼女の思いが込められる。
「出産のときに予後が悪く、集中治療室とかに入った経験があるんです。だからこそ、我が子に会えたこと、そして大きく育ってくれたこと、もう本当にそれだけで十分だなと思っています。」
笑顔を見せた彼女は、いつかお子さんと一緒にウィンドウショッピングができたら嬉しいとも語った。
マイペースなタイプで、ちょっと怠けたいなと思う時もあります。そう言葉にする彼女は自分を「ナマケモノだと思う。」と例えた。
怠けがちになる時に気をつけないと、と思っています。と話す畑中さんは
多くの経験を積み重ねてきて、今がある。その努力は、周囲からも高く評価されています。