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多くのクリエイティブな広告を世に送り出している広告制作会社・サン・アドで、入社当初からプロダクションマネージャーとしてサントリー烏龍茶や「とっておき果実のお酒」など、数々のCM制作に携わってきた山野邊。
そしてディレクターとしてサントリー、プレイステーション、PanasonicなどのTVCMをディレクション。長年キャリアを積んだのち、40歳を迎えて改めて「映像とどう向き合うか」を考えたといいます。
そして2025年、映像制作会社pumpに入社。 現在は制作部のプレイングマネージャーとして、メンバーの育成やチームづくりに取り組んでいます。
山野邊のこれまでの歩み、そしてpumpで描くこれからのビジョンをインタビューしました。
目次
“映像を形にする”という現場の全てを経験
「何者でもない自分」を見つめ直した40歳の転機
pumpの映像に感じた「理屈抜きの美しさ」
「やらなくても、任せられる」チームを育てたい
クライアントと“対等な関係”でつくる現場を目指して
“映像を形にする”という現場の全てを経験
Q)サン・アドに入社された当時は、どのようなお仕事から始められたのでしょうか?
山野邊:新卒でサン・アドに入社、アシスタントプロダクションマネージャーとしてすぐに制作業務に携わり始めました。スパルタです。メインでサントリー烏龍茶や「とっておき果実のお酒」などを担当してきました。
新卒で入社した当時、映像部ができて2年ほどの時期で、まだアシスタントという職種が明確に存在していなかった頃です。プロデューサー4名体制で、プロデューサーと制作が中心となり、営業・編集・音楽などのスタッフが横断的に関わっていました。
その分、スタッフとの距離が近く、わからないことがあればすぐに聞ける環境でした。
仕事としては、絵コンテが決まった後に、それをどう実現していくかという全工程、つまり制作進行、予算立案、撮影、現像、編集、音楽、納品の全てに関わっていました。
現場、現場で仕事を覚えるのは早かったと思います。
Q)制作進行からディレクターに転身されたきっかけを教えてください。
山野邊:もともとディレクターになりたいという気持ちはありましたが、まずは制作として一本立ちしなければディレクターにはなれない。と思っていました。
3年目に自分のアシスタントがついたことで、企画を考える時間が少しずつ持てるようになったんです。
サン・アドの良さは、若手の企画を積極的に受け入れてくれる環境にあります。企画が良ければ自主プレゼンに参加させてくれる機会も多く、当時尊敬する上司に誘われて手伝ったアニメーション企画がサントリーに採用されたのは大きな転機でした。
少数精鋭の環境で緊張感がありましたが、その分、学びの多い日々でした。厳しい中でも成長を実感でき、当時の仲間とは今でも一緒に仕事をしたいと思っています。
Q)当時の印象に残っている作品づくりを教えてください。
山野邊:エーザイのTVCMをディレクションを5年ほどさせてもらいました。一線で活躍されている俳優さんとの仕事は毎回刺激的で数秒の演技に力を引き出すことができるかどうか?大変な中に達成感を感じました。
また多くの方々から見たよ!知っている、など声をもらいました。覚えてもらえてなんぼですから、嬉しかったですね。
Q)若い頃の失敗談などはありますか?
山野邊:今では笑い話ですが、本番中にカチンコを打ったあと寝落ちしたことがあります。ライトの温かさでつい寝てしまい。制作時代はそれほど忙しい毎日を過ごしていましたが、今となってはいい経験だったと思います。
「何者でもない自分」を見つめ直した40歳の転機
Q)キャリアの中で転機だった出来事はなんでしょうか?
山野邊:40歳の時に、改めてこの先を考えたのが大きな転機でした。
「何者でもない自分」「何者にもなれなかった自分」という思いを抱き、これからどうしようかと考えた時に、「やっぱり自分は映像をやりたい」と思ったんです。
Wantedlyで映像関連の会社を探し、自分の市場価値を確かめる気持ちで登録しました。いくつかオファーをいただき、その中でスタートアップ企業に業務委託で参画しました。当時手がけたSNS動画案件はとても印象に残っています。
テレビCMとはまったく異なり、予算も制作体制もミニマム。
一眼カメラで撮影し、Adobe Premiereで仕上げるなど、これまでとは違う映像の世界に触れることができたのが大きな転機でしたね。
Q)SNSやYouTube、TikTokなどの新しい映像領域に取り組む中で、どんな発見がありましたか?
山野邊:自分の子どもたちを見ていると、映像に関わる年齢がどんどん若くなっていると感じます。
TikTokなどで若い世代が自由に発信していて、本当に驚かされます。
まだまだ映像の表現は無限にあると感じます。世界中に年齢を問わず才能あるクリエイターがいて、常に刺激をもらっています。
pumpの映像に感じた「理屈抜きの美しさ」
Q)なぜpumpを次のステージに選ばれたのでしょうか?
山野邊:数ある制作会社の中でも、pumpの映像は圧倒的にレベルが高いと感じました。
三本菅さんが手がけた乃木坂46のPVや、小笠原さんが手がけたトヨタ自動車の「とけねこ」などを見て、理屈抜きで「美しい」「おもいろい」と思ったんです。またYouTubeメディアのPIVOTの制作も目を引きました。
(出典:乃木坂配信中 YouTubeチャンネル)
カジュアル面談で小船さんとお話しして、役職にとらわれず映像づくりに挑む姿勢に強く共感しました。小船さんのなんとも言えない人柄にも引き込まれました。
Q)入社後の印象はいかがですか?
山野邊:入社して1ヶ月ほどですが、みんな気さくで話しやすい。親世代の自分にも自然に話しかけてくれるのがありがたいですね。
20名ほどのコンパクトな組織なので、チームとしての一体感が強い一方で、個々のマネジメントには丁寧さが必要だと感じます。
自分のテーマは「仲良くなりすぎずに仲良くする」。組織のためには、厳しさも持って向き合っていきたいです。
「やらなくても、任せられる」チームを育てたい
Q)pumpでは「プレイングマネージャー」として動かれていますが、具体的にはどのような役割を担っていますか?
山野邊:制作部のマネージャーとして、メンバーのタスク管理・育成・スタッフィングを行っています。Notionを活用してタスクの可視化を進めるほか、自らも案件の企画や撮影に携わっています。
Q)実務とマネジメントを両立する上で意識していることはなんですか?
山野邊:「自分がやらなくても、みんなでやれればそれでいい」という意識です。
理想のバランスはマネジメント8割、実務2割。5:5だと「自分がやった方が早い」と思ってしまい、結局プレイヤーに戻ってしまう。そうならないよう、チームの成長を第一に考えています。
Q)pumpでやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
山野邊:自分がアサインしたメンバーの企画がクライアントに通った時ですね。適材適所でメンバーをアサインし、その結果が実務につながった時は、本当に嬉しいです。マネージャーとしてのやりがいを強く感じます。
Q)サン・アド時代の経験が、これからのpumpでの仕事にどう生きていくと思いますか?
山野邊:サン・アドでは、広告主、または商品やサービス 伝えたいこと真正面から向き合い、ブランドの本質をどう映像で表現するかを常に考えていました。その経験は、今のpumpでも確実に活きています。
pumpの強みは、クオリティの高い映像を、少数精鋭のチームでスピーディに形にできること。一方で、広告的な文脈やコンセプトの作り方は、自分が経験してきた大手制作現場の知見が補える部分だと思っています。YouTubeのメディアコンテンツの台本でも生かされると思って取り組んでいます。
若いメンバーが、撮影や編集だけでなく“映像の伝わり方”まで意識できるようになる。そんなふうに、自分の経験をチームの成長に還元していけたらと思っています。
クライアントと“対等な関係”でつくる現場を目指して
Q)これから、どんな現場をつくっていきたいですか?
山野邊:クライアントに“頼まれるパートナー”として信頼される現場をつくりたいです。一方的にスケジュールを押し付けられる関係ではなく、対等に意見を出し合える関係。そんな環境でこそ、良い映像が生まれると信じています。
Q)今後の目標を教えてください。
山野邊:短期的には、社内業務の可視化を進め、チーム全体のスキル底上げを図りたいです。
中長期的には、「成果と人材を生み出す人」から、「場をつくる人」へ。仕組みやチームをつくり、成果と成長が生まれる“場づくり”を主導していきたいと思っています。
エバンジェリストとして、学んだことを次の世代へ伝えていくことも自分の役割だと感じています。