「物流×テクノロジー」の進化を支える、ハコベル組織のリアルとは | ハコベル株式会社
本記事はハコベル CFO 兼 コーポレート部 部長 末藤のインタビュー記事後編となっております。前編は以下のリンクからどうぞ!CFO 兼 コーポレート部 部長末藤 英彦 Hidehiko Sue...
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25年間にわたり投資銀行業務に携わり、国内外の多くの企業を支援してきた経験を持つ、ハコベル CFO 兼 コーポレート部 部長の末藤。IPOや資金調達、M&Aの最前線で実績を重ねてきた“金融のプロ”が、なぜスタートアップ企業に身を投じたのか。キャリアの選択に込めた思いと、これからの社会に必要とされる価値について話を聞いてきました。
CFO 兼 コーポレート部 部長
末藤 英彦 Hidehiko Suefuji
一橋大学経済学部卒業後、大和証券SMBC(現:大和証券)にてキャリアをスタート。2005年よりモルガン・スタンレー(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に在籍し、一貫して投資銀行部門に従事。マネージング・ディレクターとしてテレコム・メディア・テクノロジー領域企業の顧客カバレッジ業務に携わる。インターネット、メディア、ハードウェア、人材、FinTechなど多様な業種の企業を担当し、IPO、公募・売出し、社債調達、M&Aなどの案件獲得および執行を担う。2025年よりハコベルに参加し、CFO 兼 コーポレート部 部長として本社部門の基盤強化から財務・IRまで幅広く担当。
ー早速ですが、前職までのご経歴とご経験について教えてください。
これまで約25年にわたり、一貫して投資銀行業務に携わってきました。キャリアのスタートは、法人取引に特化した証券会社である大和証券SMBC(現:大和証券)です。総合職として入社し、希望していた投資銀行部門に配属され、約4年半後の2005年にモルガン・スタンレー(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)へ転職しました。前職では、業界別に編成されたチームのうちテレコム・メディア・テクノロジー業界の営業としてIPO支援や、株式や社債を使った資金調達のサポート、M&Aに関する提案・アドバイスなどを行っていました。お客様のもとへ足を運び、ニーズのヒアリング、構想段階での相談などを経て提案を行い、実際に案件化した後は案件の執行まで一貫して携わっていました。
ー多くの企業と長期的な取り組みを重ねてこられたのかと思いますが、具体的にはどのような企業のご支援をされてきたのでしょうか?
例えばIPO支援では、大手HR Tech企業やFin Tech企業など、比較的身近なサービスを提供している企業の上場を支援してきました。上場企業の資金調達では、半導体メーカーやインターネットサービス企業、大手電機メーカーなどの資金調達に関わってきましたし、社債に関しても数々の企業の案件を担当してきました。
取り組みの一例を挙げると、大手HR Techの上場をお手伝いした際は実際に上場する5年ほど前から、そもそも上場すべきか?という根本的なところから議論を重ねていきました。上場以外の選択肢で、当時抱えていた経営課題を解決できないか、といった観点も含めて対話を重ねていった結果、「やはり上場が最適だ」という結論に至り、上場までの支援を行いました。また、上場後も事業ポートフォリオの構築、経営戦略を資本市場の投資家にいかにして理解してもらうかといったIR戦略、上場後の資本政策の検討や資金調達といった様々な課題を議論し支援するような活動を10年超行ってきました。こうした長期的な対話を通じて、お客様自身が納得した上で意思決定を進めていくプロセスに伴走できたことは、私にとっても非常に意義のある経験でした。
ー大手企業のご支援を中心に、これまで非常に豊富なご経験を積まれてきたのですね。そんな充実したキャリアの中で、あえて新たな環境へ挑戦しようと考えた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
転職を考えた理由は、大きく2つあります。
一つは、これまで約25年間同じ仕事を続けてきた中で、「新しいことに挑戦したい」という思いが強くなっていったからです。これまで携わってきた仕事は、お客様の課題を解決する過程で自身も多くの学びがあり、どれもやりがいのある仕事ではありましたが、提供するサービスの本質は大きく変わることはありませんでした。金融という業種の性質上、法律や規制も厳格に定められており、決まったフレームの中で仕事を進めていくスタイルが続いていたため、徐々に次のステージを考えるようになりました。
もう一つは、世の中の変化に対する危機感があったからです。例えば、昔は「物事を知っていること」自体に価値がありました。社会人1年目には証券六法を渡され、その内容を覚えていきました。ルールに基づいてなにができるのか?を知っていることが価値である、という時代でした。その後、ネットや検索エンジンの発達により、情報は調べれば簡単に手に入るようになり「知っていること」の価値は相対的に低下していったと思います。さらに現在ではAIによって誰でも整理された情報、実質的な答えに簡単にたどり着ける時代になっています。わざわざ時間をかけて調べなくても、聞けばすぐに教えてくれる。そうなると「人が担うべき役割」や「本当に価値のある仕事」はこれまでとは違うものになってきていると感じました。
1点目の決まったフレームの中で仕事を進めていくこと、2点目の加速度的に変化する世の中、を合わせるとこのままでは時代から取り残されてしまうのではないか、と危機感を覚えたことが、転職を考える大きなきっかけになりました。
ーそのようなきっかけですと、転職に際しては多くの企業が候補に挙がったかと思いますが、最終的にハコベルを選ばれたのはなぜでしょうか?
まず大前提として考えたのは、「この先の世の中に必要とされる事業かどうか」という視点です。例えば、医療や介護のように今後ますます必要とされる領域も含めて、幅広く選択肢を検討していました。また、先に述べたように、世の中の変化への問題意識から、その変化をけん引していくような会社という観点と、自身の新たなチャレンジという観点で、仕組みが出来上がっている大企業よりも、スタートアップ企業を志向していました
また、自分自身これまで投資銀行で資本市場の論理を行動の基軸としてきたなかで、企業の資本構成も見ていました。表面的な経済条件だけで言えば、例えばPEファンドが買収した企業のCFOポジションのほうが報酬水準が高いケースも多かったです。ただ、「投資銀行業界から離れる」という考え方に対して、それを半分しか実現していないような感覚が拭えず、本当の意味で新しいチャレンジに踏み出したいという思いから、そうした選択肢は外すことにしました。
そうすると結果的に残ったのは、創業者や事業会社が株主として支えているスタートアップ企業でした。そういった企業の多くは、まさに今の社会に必要とされる領域にテクノロジーを掛け合わせて事業を作っていて、ハコベルもそういった企業の一つとして人材紹介会社から紹介を受けました。何度か面接を受けていくうちに、一定のスケールを持ち始めている企業だと実感し、スタートアップ企業でありながらも安定感や事業の広がりを期待できる点に魅力を感じました。そのうえで、最終的にハコベルに入社した決め手は「誰と働くか」が自分にとって重要だと再認識したからです。特にCEOの狭間さんとの面接を通じてロジックベースで議論ができるタイプだと実感し、この人の元でならやっていけると思えたのは大きかったです。実際に入社してからも、経営会議でのやりとりを通じてそれは確信に変わりました。どんな投資であれ「それって本当に必要?」と問い直すカルチャーがありますし、経営会議メンバーが納得できなければ宿題として差し戻されることも当たり前。そうした真っ当な経営のスタンスが組織に根付いているのを見て「やっぱりちゃんとした会社だな」と思いました。
ー実際に入社されてから感じた、ハコベルのサービスやプロダクトの特徴はありますか?
マッチングサービス事業の大きな特徴の一つは、「計画外」の配送ニーズに応えられるという点です。もちろん計画的に物を運びたいという方も多くいらっしゃいますが、実際には「いつもお願いしている会社では運べない」「急にトラックが足りなくなった」といったイレギュラーなケースが日常的に発生します。そういったときに、私たちのプラットフォームの裏側には約6万人超のドライバーさんが控えていて、すぐに対応できるというのは大きな強みです。実際にあった出来事なのですが、ある企業が100台分の車両手配を依頼していたものの、前日にそのうちの50台が確保できないという事態になったのです。そのうち20台近くを、ハコベルで即座に手配したという事例がありました。世の中は、予定通りにいかないことのほうが多いですが、そうした不測の事態に柔軟に対応できるというのは、私たちのサービスの圧倒的な価値だと思っています。
また、物流DXシステム事業に関しても大きな意義があると感じています。これまで電話・FAX・手書きといった方法で管理されていた物流の現場を、テクノロジーの力でより効率的にサポートしていく。私たちのサービスは、まさにその変革を支える存在だと思っています。もちろん、紙や電話といった従来の方法にも良さはあります。ただ、それらでは対応しきれない複雑さやスピード感に対して、私たちのサービスは選択肢を提供できていると感じています。例えば、スマートフォンが登場した当初は、なかなかガラケーから移行しない人も多くいましたが、いまやほとんどの人がスマートフォンを使っています。紙や電話での管理も、それと同じように、いずれテクノロジーに置き換わっていくのが自然な流れだと思います。そうした背景も踏まえると、私たちが提供しているサービスは、世の中の変化の方向性に合った価値あるものだと確信しています。それ故に、最初にお話しした「これからの社会に必要とされることを提供したい」という自分自身の想いにも、しっかりフィットしていると感じています。
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投資銀行で積み上げてきた経験を携え、あえてスタートアップという新たなステージに踏み出した末藤。
後編では、ハコベルでの意思決定のリアルや、これからの事業成長にどう向き合っていくのか、その核心に迫ります!
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