《創業者インタビュー》なぜ『人の成長』にこだわるのか
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働く場所は単なる仕事をする場所ではなく、人が成長し、可能性を広げていく場所であるべき。 そんな信念を持ち、従業員一人ひとりの成長にこだわった経営を実践する代表取締役、鈴木恵太に企業理念や求める人材像、そして「人を大事にする」という価値観が生まれた背景についてお話を伺いました。
重視している経営理念を教えて下さい!
重視している経営理念は、人を大事にすることです。人の中には当然に従業員も入っています。従業員の幸せ無くして顧客重視のサービスはありえません。
従業員の幸せを担保するためには、まずは会社がつぶれないこと。社会課題を解決することを目標にかかげ、赤字なのに資金調達して上場EXITめざします!みたいな会社がたくさんありますが、そういう会社が失敗しているのを見ていると、うまくいけばいいものの、失敗した場合はそこの従業員はかわいそうだなぁと感じていました。当社は複数のビジネスラインを持つことで変化の大きい世の中に柔軟に対応していきます。
経営理念が生まれた背景や創業者ご自身の経験からの影響などがあれば教えて下さい!
従業員の成長にこだわった経営をしている理由としては、私が外資系証券に入社した際に、可能性がある若手が次々にクビになるのをみて、そのような会社ではよくないと強く感じたからです。入社の翌年がリーマンショックだったこともあり、有能な若手がどんどんクビになっていきました。
海外からの要請が「人件費削減」ではなく「人員を〇〇人カット」だったからです。
当社は、(今の日本では簡単ではないですが)クビという行為をすることなくみんなで目標を達成するために、まずは徹底的に従業員に寄り添い、成長を手助けできる組織作りを目指しています。
この理念が生まれた背景には、社長自身の経験があるわけですね。
理想とする人材像について教えて下さい!
自分の可能性を信じて、成りたい人物像に対して努力のできる人です。
できないこと、知らないことが出てきた際に、とりかかる前に諦めるのではなく、どのようにすればできるのか、本当に難しいポイントやリスクは何なのかをしっかりと考えてから動く人を求めています。
リスクがある場合や、想定より自分の時間がかかる場合などには取り掛かる前に許可を取れる人だとなおうれしいです。
チームに加わる方に対して、最も重視している能力やスキルは何でしょうか?
成し遂げたいことが何なのかについて定期的に立ち返り、自分たちのチームの動きが間違っていないかを振り返る能力が一番大事だと思います。
理由としては、その振り返りがない人は、気が付いたら細かいことにとらわれ過ぎて全体像を見失ったりするからです。局所最適解と全体最適解は、同じケースは多くありません。
従業員の中では、できないことを周りに聞きながら、自分がどのポイントが理解できていないのかを追求する思考回路の人が活躍している傾向にあります。また、失敗やミス、落ち込むことが起きても、落ち込んでいても変わらない、こうすれば同じ過ちは繰り返さないと、工夫をしてすぐに自らの行動を変える人が活躍しています。
やりたいことは会社も既存の社員もいっぱい持っているので、その方の興味のポイントと我々の「やりたいこと」が重なることによって少しでも実現されればいいな、と思っています。特にこの部署のここにこういう人を!という強い意志はありません。
技術的なスキル以外で、企業文化や組織に馴染むために必要な人間性や価値観はどのようなものでしょうか?
良くも悪くも体育会系な人が合うかな、と思います。とはいっても、体育会系の悪しき伝統である「理不尽」や「意味のない伝統」といったことは全くありません。
チームで何かを成し遂げる際には誰かがやりたくない業務をやらないといけないことがあります。それを率先してやるメンバーが集まっていますので、そこに甘えっぱなしの人は合わないかな、と思います。
体育会系だと思うポイントの一つは、誰かが向上しようと質問したり悩んでいたりする時には、全メンバーが全力でサポートするところです。一体感をもってみんながみんなのために動ける、そういった文化になじめる方が良いかと思います。
自ら考え、振られた仕事に関しても、やり方を変えた方が良い、このようにやった方が良い、などと提案してくれる人になってくれると嬉しいです。
そのために、業務を振る際や指導する際も、徹底的になぜそうするべきなのか、そうしないとどうなるのか、別のやり方だとこうなってしまうよね、など周辺の話をたくさんするようにしています。
周りの友人や家族に、最近変わったね、と言われるという言葉を聞くと嬉しくなります。
困難や未知の課題に直面した時こそ、周りを頼ったり打開策を考える努力が出来る人材が活躍できる環境ということですね!
社員が成長するには何が必要と考えていますか?
「社員の成長」については、ビジネス面とメンタル面の両方から捉えています。
1.ビジネス面での成長
タスクがあった時に、それがビジネスのストーリーのどの部分なのかということを正確に認識することでビジネス的な成長を成し遂げられると考えています。そうすることで、ミスもなくなり、効率もあがります。
具体的には、「何かの業務が終わったらチェックをする」というタスクを振られた際に、チェックがないと引き継いだ人が判断を見誤るからチェックをするのだという、その後の流れを意識しているかどうかということです。これが意識できていかいないかで、チェック忘れの頻度が変わります。
また、一つの交渉ごとにしても、多方面から見るようにすることも大切です。
お客さま視点と顧客担当者視点、顧客意思決定者視点、の複数の眼から見ることで、より商談の成功率が上がります。
2.メンタル面での成長
「自分は苦手だからできない」と思っていることを、「自分は苦手だから、このように工夫すればできる」と成長していく社員が数多くみられます。
社内でも「仕事を受ける」ということは、「仕事を完遂すること」を受けているのであって、「仕事を努力すること」を受けているのではない、という話をよくしています。期限内にどうやって完遂するのかを意識している人は、「〇〇さんには伝えたんですけど返信がないので回答できません」というような報告にはなりません。
努力思考を完遂思考に、他責思考を自責思考に変えていくことが成長だと考えています。
社員の成長を測る指標や評価方法について、特に重視している点を教えていただけますか?
他の社員の評価を特に重視しています。
わかりやすく営業成績が伸びた人、これも当然評価しますが、その人の成績が伸びた原因として、情報共有の方法を別の人が提案してスムーズになったことがあれば、当然その人も評価されるべきです。
従業員が他の従業員を見て感じていることに気を付けて、フェアに耳を傾けるようにしています。
まだまだ発展途中ではありますが、「仕事に合わせた人を募集する」より、「働きたい人に合わせた仕事を作る」会社になれればいいなと思っています。
労働人口が急速に減少している昨今、従業員が出来る仕事の幅を増やしたのちに、その従業員がやりたいことを仕事に出来たら会社も従業員も幸せだなぁ、と思っています。
会議をする際には円卓を利用するなどの色々な面白い取り組みを実施されていますが、社員の成長や職場環境を良くするための制度などについて、強みと考えている点があれば教えて下さい!
社員の成長や職場環境を良くするために、様々な取り組みを実践しています。最も特徴的なのは、部署や事業の垣根を越えたコミュニケーションの促進です。
他の事業部のスタッフと積極的にコミュニケーションをとってもらっています。例えば飲食店のスタッフと靴のクリーニングのスタッフとのコミュニケーションがとれたことにより、飲食店のメニューを、クリエイティブが得意な靴のクリーニング事業のスタッフが手掛けた事例もありました。
他にも、内部だけでなく、社長や従業員の友人を会社に招いて仕事の話を伺ったり、とにかくいろんな人と話してもらうようにしています。
その際大切なことは、自分がその事業に責任を持って取り組んでいる、という姿勢だと教えています。
責任を持って取り組んでいるから、他の人に時間を使ってもらい、アドバイスをもらう権利がある、ということです。
アドバイスしてくれる人は真面目に考えてアドバイスしてくれるので、相談する人は、より真面目に相談内容を考えている必要があります。そして相談した人は、必ずその後どうしたのかを、アドバイスしてくれた人にフィードバックするようにも伝えています。そうすることでアドバイスした人も一つ学びになります。
そのように感謝の連鎖を作りながら、社内、社外問わずに仲間を増やして仕事をしています。同じ志のみんなでもっと色んなことを成し遂げていきたいと思っています。儲かったら毎年行っている社員旅行を海外にしたり、家族も呼んだり、とかしてみたいです。
今の時代において、「人を大事にすること」にこだわる意義とは何だとお考えですか?
前の回答とやや重複すると思いますが、労働人口が減少している今、「一人ひとりに合わせた仕事」を作っていける企業が生き残っていけると思います。
しかし、合わせた仕事を作るにも、その人のビジネススキルがある程度ないとうまくいかないので、せっかく入社してくれた従業員をその段階まで鍛えていくことに徹底的にこだわることは、会社を超えて従業員が自信をもって今後数十年の人生を過ごしていくために、何より大切なことだと思っています。
会社はそのプラットフォームだとも言えます。当然利益も追及しなければいけませんが。
この記事を読んでいる方へ一言お願いします!
どれだけ整った環境にいたとしても、自分の成長は、自分の努力なくしてはあり得ません。努力する方には最速最大の効果をご提供できると信じています。
勇気をもってチャレンジしてみてください!