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《役員インタビュー》生き生きと働ける社会を創る

常務取締役 権田 和士

早稲田大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。住宅・不動産業界を中心とした様々な業界のマーケティングコンサルティング、経営戦略コンサルティングに従事。2008年より4年間、住宅不動産コンサルティング部門の本部長を務めたのち、米国ミシガン大学に留学し経営学修士(MBA)取得。2014年、リブ・コンサルティングに参画。現在、常務取締役として人事や新規事業開発に携わる。

インパクト・モーメントを 確実に捉える

ー記事化*された若手2人の 対談に参加されて、いかがでしたか。

『*記事:私たちの存在意義、リアルから生まれた覚悟。』

そうですね。彼らが大手企業の看板を外す決意を下した覚悟について話を聞いて、あらためて、人には人生を変える“インパクト・モーメント”というものがあるということを再認識しました。 しかも、その瞬間は人生の中で、何度も訪れます。思い返せば私にも、幾度となく“インパクト・モーメント”と呼べるような瞬間との遭遇がありました。今でも忘れることができない原体験ともいえる光景は、中学生の頃、通学で利用していた都内の電車の中にありました。 乗車率180%ともいわれる朝の満員電車の中には生気を失ったサラリーマンがあふれていました。バブル崩壊直後というのもあったかもしれませんが、一様に彼らの目は死んでいるように見えました。大きな体に押しつぶされそうになるのを必死に耐えながら、多感だったころの私は、この世の終わりのような光景に恐怖を覚えていました。中学3年生の時には、その通学電車で地下鉄サリン事件にも遭遇します。自分もいずれ、こんな世界の一部になるのだと思い、とても憂鬱な気持ちになったことを覚えています。社会や大人たちとの最初の接点は、そういった“負の感情”から始まったのです。 「社会」というものに対する抵抗感を拭いされないまま大学3年生となり、私もいよいよ就職活動をはじめることになりました。リクルート社のインターンシップに参加していた時に、後に和田中学校の校長になった藤原和博さんの言葉に触れる機会を得ました。「世の中には、勝ち組と負け組という言葉があるが、実際にそんなものはない。本当にあるのは、納得組と不満組だ」という話が私に深く刺さりました。 勝ち組と負け組が、何となく世の中に存在していた正解と不正解という尺度で決められるものだとすれば、納得組と不満組を分かつものは自分が納得しているかどうかという自らの尺度であって、そこから導き出す納得解のようなもので決まるといいます。 「あぁ、そうか。私があのぎゅうぎゅう詰めの電車の中で見ていた大人たちの正体は、この不満組というカテゴリだったのだ」と妙に腹落ちしたのを覚えています。 それがわかってからは、どうすれば自分が納得できる人生を歩めるのか?それが私の人生における最大のテーマとなりました。

ー納得解を見つけられずに もがいている人って、 現在の日本の社会の中で、 相当数いそうですよね。 そこから抜け出すために、 特に若い人たちは、 納得できる場所を求めるのですね。

現在、リブに入社している多くの人たちも同じような経験をしていると思っています。例えば前回、対談をしてもらった切通と松尾もそう。就活ランキング上位の常連で、大きな看板を誇らしげに掲げている企業に入社して、わかりやすいレールの上を勝ち組の人間として走ってきたつもりが、ちょっと違うと。勝ち組に乗ったはずなのに満たされていない、それほど自由ではないと気づいてしまったわけですね。 その結果、彼らは誰かが決めた正解を走るのでなく、自らの納得解を求めるようになり、彼らの表現を借りるなら、“やりたいことがやれる”リブ・コンサルティングという会社の門をたたきました。 さらに興味を引いたのは、彼らが看板を下ろした理由です。中小企業経営の最前線というリアルな現場に触れたからであったり、会社の方針と自分のやりたい仕事や現場の空気との乖離に失望したり、とにかくリアリティの感じられない世界に生きてきた彼らがリアルに触れたときに、彼らにとってのインパクト・モーメントが訪れたのでしょう。 そのリアルが、彼らに“このままではまずい。自分らしく生き生き働ける場所を求めなくては”という衝動を与えたのです。そして、その衝動はリブと出会うことで行き場を見つけます。“あぁ、こんなところにあったのか”と。 現代社会において、彼らは決して少数派ではないと思います。残念ながらあの電車の光景は今もまだそこにあり、それぞれが得体の知れない巨大なシステムの中で葛藤と闘いながらもがいているのではないでしょうか。 ですから、現在、既存のレールの上に乗っかっていても、生き生きと働くことができない人たちに対して、納得解を見つけることのできないキャリアに縛られるべきではないと伝えたい。そしてこのリブという会社も含め、私たちがご支援しているインパクト・カンパニーという新しい選択肢を増やしていくことでどんどん彼らの背中を押していこうと思っています。

事業リーダーを養成し、 輩出していく

ーインパクト・モーメントを 逃すことなく、 しっかりキャッチアップすることは、 人間だけではなく、 企業にとっても重要ですね。

そうです。私たちが支援しているインパクト・カンパニーにも、実はインパクト・モーメントはあります。それは人間にだけ訪れる瞬間ではないのです。今日、この意思決定が会社の未来を大きく変えていく、その瞬間こそがまさにインパクト・モーメントですし、その決断の場に立ちあうコンサルタントにとってもそれは、インパクト・モーメントになりうるでしょう。 さらにいえば、コンサルタントが経験してきたインパクト・モーメントがクライアントに対する支援の中で発揮されることで循環されていきます。そういったインパクト・モーメントがリアル化できると、コンサルタントは背負えるようになるのです。クライアントの会社も、そして自分たちの会社も。そこから連鎖的に社会に直結していることを実感できるようになります。 クライアントとつながり、リブという会社の未来を創っていきながら、日本の未来を創っていける。この会社に入って、そんな実感をつかむことができたら、コンサルタントとして一皮むけるだけでなく、事業リーダーとして育っていきます。

ー部外者のコンサルタントが、 事業リーダーとして 育っていくということは どういうことでしょうか。

事業リーダーに必要な条件は、覚悟を広げていくことです。看板を下ろして個として戦うことを決め、クライアントを背負うと決めて、大事な意思決定を背負うプロセスによって事業リーダーは育まれます。 リブでは若いうちから様々なオーナー社長と対峙して、ひりひりする意思決定を一緒に背負っていきます。時にはクライアントの売上目標を背負い、結果が出なければ迫られますし、逆に事業存続にかかわる究極の問いを突き付けなければならないこともあります。 「アウトサイダーだから責任がない」なんていう古臭い発想は私たちにはありません。リブではクライアントの成果を出せないコンサルタントは評価されませんし、カウンターパートである経営者を前にして結果から逃げられるはずがありません。フィー体系を、一部成功報酬にしていたり、CVCによってインパクト・カンパニーに投資するのも同じ文脈です。 ですから、リブでコンサルタントとして成長していくということは、様々な事業を背負っていくリーダーとして育っていくことなんです。 さらに、当社ではコンサルティング会社として珍しく、若手から積極的に会社運営に携わってもらっています。自らが企業運営に参画することで見えてくるものがあります。その経験から、クライアントに対する実践的な提案が生まれるのです。

ー確かに、おっしゃる通りですね。 自ら会社運営にかかわれば、 提案もより実践的なものに なりますよね。

そうですね。当社では、新卒、キャリアに限らず、全社員が段階を踏みながら、会社運営に参画してもらっています。コンサルティング事業において重要なことは、「案件創り」「人創り」「事業創り」です。最初は人創り、すなわち採用活動・人材育成で貢献してもらいます。1~2年目であれば採用活動のお手伝いをして貰いますし、3年目になれば新人の育成を担います。加えて、3年目くらいになってくると案件創り、つまり売上創りにおいてもどんどん貢献できるようになります。4~5年目になると、今度は事業創りにおける貢献を期待します。当社ではこれまでも、スクラップ&ビルドを重ねながら、いくつかの新規事業を進めてきました。海外展開、M&A、IPO、ベンチャーキャピタル、デジタル領域と次々に新規事業を立ち上げ続けています。これらの事業はもちろん、リブ・コンサルティング自体が伸びていくために必要ですが、その先に100年後の世界を良くするインパクト・カンパニーを増やすことにつながっていかなければ意味がありません。 100年後の世界を良くする企業が生まれ、成長し、社会にどんどんインパクトを出していく過程において必要となっていく事業を、私たちも次から次へとリリースし、カタチを変えながら成長をしていきます。そして、自分たちの会社を良くしていくというプロセスを事業参画する中で体感していくことで、その経験値をクライアントに還元することが可能となります。誤解を恐れずに言えば、これは壮大な社会実験なのです。

ここに社会の フロンティアラインがある

ー壮大な社会実験! 御社の新たな取り組みは クライアントにとっての 指標となるので、 失敗は許されませんね。

私たちは、「100年後の世界を良くする会社を増やす」というミッションに対して真剣に考え、そのプロセスを示し続けていきたいのです。ですから、その試行錯誤も含めて提案するのですね。クライアントに対して解答を示しているのではなく、ずっと提案を続けているのです。 これだけ不確実性の高い時代ですから、単純に“答えをください”と言ってくるようなクライアントなどいません。FIXされたものをどうぞと渡すのではなく、「ウチはこういうトライをしましたよ」ということをお互いに交換し合うみたいな感覚です。 長く続く組織の共通点は、「未解決の本質課題を追求し続けていること」だといわれています。だからこそ、リブ・コンサルティング自体が変化を続け、社会実験を繰り返しながら体感したことを提案し続けることに価値があると思っています。 言ってしまえば、100年後の世界など誰も予測はできないでしょう。だからこそ、私たちは「100年後を良くする会社って何だろうか?」と常に問い続けるのです。 私たちはこの真っ暗闇の海に漕ぎ出す船の羅針盤であったり、航海士や乗組員になったりしながら、クライアントと一緒に冒険を続けていく。インパクト・カンパニーは、そんなスタイルのパートナーを欲していますし、私たちはその期待に応えていきたいと考えています。 それはまさに正解でなく、納得解を求めていくことであり、もっと言えば個別解でなく普遍解を追求していくことこそが私たちの覚悟なのです。 他の大手コンサル会社からしたら、多少危なっかしく見えるほどワクワクそわそわした会社かもしれませんが、常に未来進行形というか、リブ・コンサルティングという会社自体が、クライアントの、いや社会のフロンティアラインであろうと思っています。 そんな境遇や、見えない未来を作っていく経験にワクワクしながらチャレンジできるメンバーのジョインを心待ちにしています。

(インタビュー・文:伊藤秋廣[エーアイプロダクション]、写真:岡部敏明)

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